最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

おかしい判決:農業用水に家庭排水を流してよい

2019-07-23 17:29:12 | 日記
平成30(受)533  使用料請求事件
令和元年7月18日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  高松高等裁判所

 土地改良区が河川法23条の許可に基づいて取水した水が流れる水路への第三者の排水により当該水路の流水についての当該土地改良区の排他的管理権が侵害されたとした原審の判断に違法があるとされた事例

中日新聞の報道です。
農業用水路を管理する土地改良区が、浄化槽で処理したし尿を流している一般家庭に対し、河川法に基づき使用料の支払いを強制できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は18日、強制できないとの判断を示した。
 その上で、改良区側の請求を一部認めた二審高松高裁判決を破棄し、住民側全面勝訴の逆転判決を言い渡した。5人の裁判官全員一致の結論。
 農林水産省などによると、農業地域に農家ではない一般家庭が住む「混住化」が進み、下水道が整備されていない地域では、浄化したし尿などの生活排水を農業用水路に流すケースが多い。


事実認定を見ていきます。

(1) 被上告人は,昭和26年に以西普通水利組合の組織変更により設立された土地改良区であり,昭和40年以降,かんがいの目的で,鮎喰川の流水の占用について河川法23条の許可を受けている。

この土地改良組合は、鮎喰川の水をくみ上げて水田?畑に使ってよいという許可を持っています。

(2) 上記許可に基づいて被上告人が取水した水は,数本の幹線水路から多数の支線水路へと流れており,被上告人の組合員は,これらの水路(以下「本件水路」という。)を農業用の用排水路として使用している。

水田か畑に届くまでの水路管理もやっています。

(3) 被上告人は,その定款等において,被上告人が維持管理する用排水路に無断で汚水を流してはならず,当該用排水路等を使用しようとする者は,被上告人の承認を受け,被上告人との間で使用契約を締結し,被上告人の定める基準により計算される使用料を支払わなければならない旨を定めている。

所謂下水ですね、それをこの用水路に勝手に流すなよという決まりがあります。やりたければ許可を得て金を払えという規則です。

(4) 上告人ら及び選定者Aは,本件水路の周辺に土地建物を所有するか,又は居住しており,公共下水道が整備されていないため,し尿等を各自の浄化槽により処理して被上告人の承認を受けないで本件水路に排水している。

上告人、たぶん農転して新たに入ってきた住民でしょう。その住民は浄化槽をつけてきれいにしたからいいでしょうと思って、用水路に流しました。
これについて土地改良区が勝手に流すな。流したければ金を払えと訴えたようです。

原審では、少しは払いなさいよという判断が出たようですが、最高裁では逆転しました。

公水使用権は,公共用物である公水の上に存する権利であることに鑑み,その使用目的を満たすために必要な限度の流水を使用し得る権利にすぎないと解され(最高裁昭和36年(オ)第62号同37年4月10日第三小法廷判決・民集16巻4号699頁参照),当該使用目的を満たすために必要な限度を超えて他人による流水の使用を排斥する権限を含むものではないというべきである。

最高裁昭和36年(オ)第62号が出てこなかったので何とも言えませんが、それは程度によるのではないでしょうか。火事があったときに、消防車が水をくみ上げるというような場合はおっしゃる通りです。ですが、民家が汚水を流し続けるというのは少々問題が違います。垂れ流しよりはきれいにはしてはあるものの、洗剤やら場合によっては有毒物質も流れてくる可能性もあります。これを継続的に流されると水田に何らかの影響が出るでしょう。しかも一軒や二軒だけではなく、宅地開発が進めばその濃度は高まります。


それでも最高裁は裁判官全員一致の意見でした。

本件水路に被上告人が河川法23条の許可に基づいて取水した水が流れていることから,被上告人が第三者に対し本件水路への排水を禁止することができるとし,上告人ら及び選定者Aの本件排水により本件水路の流水についての被上告人の排他的管理権が侵害されたとした原審の判断には,法令の解釈適用を誤った違法がある。


おいおい、何が何でも水捨てさせないぞと言ってるのではないでしょう。利用するならそれなりの料金を払えと言っているので、それを拒否したから使用禁止にすると言ってるのですよね。百姓を少しでもやった経験があるならば、こんなアホな判断は出ませんよ。

裁判官小池裕の補足意見
本件水路は,古くから土地改良区である被上告人の組合員により農業用の用排水路として使用されており,組合員から組合費を徴収する被上告人が,水利の必要等に応じて事実上その全般的な維持管理を行ってきた。他方,被上告人の組合員ではない上告人ら及び選定者Aは,特段の費用を負担することなく,し尿等を浄化槽で処理して本件水路に排水している。本件水路は,公的財産であるいわゆる法定外公共物として法令等に基づいて管理されるべきものであるところ,国から本件水路の譲与を受け,その管理権限を有する徳島市と,本件水路を使用し,その維持管理を行ってきた被上告人との法的関係が明確でないことが,本件のような紛争を生ずる原因の一つとなっていると思われる。そのため,本件水路の維持管理やその費用負担の在り方については,徳島市と被上告人との法的関係を明確にした上,法令に基づいて整理・検討する必要があると考えられる。


ここまで言うなら反対意見を出しなさいよ。

裁判長裁判官 小池 裕 今一つ
裁判官 池上政幸 ダメ
裁判官 木澤克之 ダメ
裁判官 山口 厚 ダメ
裁判官 深山卓也 ダメ


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2 コメント

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Unknown (法学部生)
2021-03-04 17:26:18
浄化槽の機能とかちゃんと調べて書いたほうがいいですよ。
Unknown ()
2023-12-24 09:07:56
 公共の道や川を占有しておいて、他から金をとろうなんざ、ヤクザの考え方ですね。
 補助金をたんまり貰ってその金で設置した水路、元は税金ですよ。
 自分たちに都合の良い考え方を押し付けるのは老害です。

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