最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

わいせつ行為の証拠となったPCR検査は精度が怪しい

2022-02-26 15:40:35 | 日記
令和2(あ)1026  準強制わいせつ被告事件
令和4年2月18日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所
準強制わいせつ被告事件について,公訴事実の事件があったと認めるには合理的な疑いが残るとして無罪とした第1審判決を事実誤認を理由に破棄し有罪とした原判決に,審理不尽の違法があるとされた事例

朝日新聞の報道です。
「審理尽くされていない」 手術後わいせつ事件で有罪破棄、最高
東京都内の病院で2016年、胸の腫瘍(しゅよう)の摘出後、麻酔で意識がもうろうとする30代女性の左胸をなめたとされた。現場は4人部屋の病室だった。
 第二小法廷は判決で、執刀の痛みや麻酔による意識障害「せん妄」で女性が性的幻覚をみた可能性を否定した高裁判決について、専門家とはいえない精神科医の意見を根拠にしたのは不当だと指摘。検察が「被告の唾液(だえき)」と主張した左胸の付着物のDNA型鑑定の正当性も「疑問が解消されていない」と判断し、審理を尽くすよう求めた。
 一審・東京地裁は、幻覚の可能性を認め、DNAは会話や触診で付いても矛盾しないとして無罪とした。だが高裁は、「せん妄の専門家でない」と自ら認める医師の証言をもとに幻覚を否定し、鑑定も被害証言を補うとして逆転有罪とした。被告が上告していた。


事件は密室でおきたとされますから、非常に厄介です。
訴えの内容は以下の通りです。
被告人は,外科医として勤務するものであるが,自身が執刀した右乳腺腫瘍摘出手術の患者である女性が同手術後の診察を受けるものと誤信して抗拒不能の状態にあることを利用し,同人にわいせつな行為をしようと考え,平成28年5月10日午後2時55分頃から同日午後3時12分頃までの間,病室内において,同室ベッド上に横たわる同人に対し,その着衣をめくって左乳房を露出させた上,その左乳首をなめるなどし,もって同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした。

事実確認は以下の通りです。
(2)Aは,午後1時30分頃,手術室に入室した。本件手術は全身麻酔の下で行われることになっていたため,午後1時35分,麻酔科の医師が手術台に横になったAに対し,麻酔を開始した。なお,午後1時39分頃及び午後1時57分頃,鎮痛剤も投与されている。
被告人は,Aの両胸を手で触診するなどした後,手術台越しに,両胸を露出した状態のAを挟んで,助手を担当する医師Bに対して手術の概要等を説明し,引き続き,被告人とBは手術の内容について口頭で打合せをした。
本件手術は,午後2時から午後2時32分までの間実施され,麻酔は,午後2時42分,終了し,手術終了後,Aは手術室から病室(以下「本件病室」という。)に運ばれた。


意外とさっさと終了したのですね。

(3)本件手術後,被告人は,4人部屋である本件病室内の可動式のカーテンで間仕切りされたAの使用するベッドの脇に2回赴いた。
(4)Aは,スマートフォンを作動させ,上司に対し,午後3時12分頃助けを求めた。
(5)前記上司の通報により臨場した警察官は,午後5時37分頃,Aの左乳首付近を蒸留水で湿らせたガーゼで拭き取った(以下,このガーゼを「本件ガーゼ」といい,拭き取られた物を「本件付着物」という。)。
(6)警視庁科学捜査研究所の研究員Cは,本件ガーゼの半量を用いて,アミラーゼ鑑定びDNA型鑑定を行った。


アミラーゼは唾液の中に入っている消化酵素です。が、同時に臓器が壊れると出やすくなるようです。

(7)本件アミラーゼ鑑定の結果は,検査開始から1時間後にアミラーゼの反応が陽性を呈したというものであった。・・・DNA型鑑定で使用した試薬においてはPCR増幅に適したDNA量が1ngとされていることから,0.6µlの本件抽出液を用いてPCR増幅を行い,増幅産物を電気泳動するなどしてDNA型を判定した結果,検出されたDNA型は男性の1人分のDNA型であり,このDNA型は被告人のそれと一致するものであった

ここまで見ると真っ黒になりますね。

最高裁は
(1)原判決は,せん妄について,過活動型,混合型及び低活動型という分類はせん妄の重症度による段階的なものであり,せん妄が過活動型から混合型を経て低活動型,更には完全な覚醒へと順次回復するものであって,低活動型のせん妄においては通常幻覚を伴わないという井原の見解を前提としているものと解されるところ,

悪文が酷いのでぶった切りました。せん妄状態にあったので、Aのいうことは信用ならない部分がありませんか?と疑問を呈しています・

(2)本件アミラーゼ鑑定及び本件DNA型鑑定殊に本件定量検査の結果により,Aの左乳首付近に被告人のDNAが多量に付着していた事実が認められれば,これによって,被告人が公訴事実のとおりのわいせつ行為をしたとするAの証言の信用性が肯定され,原判決の上記判断の誤りが判決に影響しないとみる余地がある。

証言内容から、どうもおかしいと思ったのですかね。

(3)DNA定量検査の結果が,どの程度の厳密さを有する数値といえるのか,換言すれば,どの程度の範囲で誤差があり得るものであるのかは,必ずしも明らかではない。

DNA塩基を全て読み込んで同定するのではなく、あくまでも確率的に処理するみたいですね。

リアルタイムPCRによるDNA定量検査の原理に照らすと,本件定量検査において,科捜研が,標準資料と濃度を測定しようとする試料である本件付着物からの抽出液とを同時に増幅して検量線を作成し,濃度を測定するのではなく,あらかじめ作成しておいた検量線を使用したことが,上記の指摘にもかかわらず検査結果の正確性の前提となるPCR増幅効率の均一性の確保の観点から問題がないといえるのか,このような検査方法が検査結果の信頼性にどの程度影響するのかという点についても,必ずしも判然としない。

武漢ウィルスで有名になったPCR検査ですが、DNAを増幅させてやるものです。マスクをしなくて喋るだけで唾が飛びますから、それが反応することもあり得ます。ということで、PCR検査では決定打にかけるよねと言っているようです。なので、もう一度その制度の妥当性をもう一度判断しなさいという結論になりました。

第二小法廷判
裁判長裁判官 三浦 守
裁判官 菅野博之
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美


マスク着用、往診は常に何人でやっているのかの事実確認はなされていないので何とも言えません。それに4人部屋でそんな痴漢行為なんぞするとも思えません。疑わしきは罰せずの原則に沿ったものでした。

特殊詐欺の「受け子」には窃盗未遂罪が成立する(罪名がおかしくないか?)

2022-02-21 11:12:15 | 日記
令和2(あ)1087  窃盗,窃盗未遂被告事件
令和4年2月14日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  仙台高等裁判所
いわゆるキャッシュカードすり替え型の窃盗罪につき実行の着手があるとされた事例

産経新聞の報道です
特殊詐欺、犯行断念でも未遂罪「成立」 最高裁判断
たとえ被害者と会う前に犯行を断念したとしても、特殊詐欺の「受け子」には未遂罪が成立する-。若者などがアルバイト感覚で特殊詐欺に手を染めるケースが後を絶たない中、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)が、こんな判断を示した。
対象となったのは、金融庁職員になりすまし高齢者からキャッシュカードや現金を詐取したなどとして窃盗と窃盗未遂の罪に問われた男(25)の公判。被害者宅を訪れカードを封筒に入れさせ、別の封筒とすり替える手口で盗み取り、現金を引き出す役だった。


事実確認から見ていきます。
1 被告人は,氏名不詳者らと共謀の上,金融庁職員になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え,令和元年6月8日,警察官になりすました氏名不詳者が,山形県西村山郡 a 町内の被害者宅に電話をかけ,被害者(当時79歳)に対し,被害者名義の口座から預金が引き出される詐欺被害に遭っており,再度の被害を防止するため,金融庁職員が持参した封筒にキャッシュカードを入れて保管する必要がある旨うそを言い,さらに,金融庁職員になりすました被告人が,被害者をして,前記キャッシュカードを封筒に入れさせた上,被害者が目を離した隙に,同封筒を別の封筒とすり替えて同キャッシュカードを窃取するため,同日午後4時18分頃,被害者宅付近路上まで赴いたが,警察官の尾行に気付いて断念し,その目的を遂げなかった。

相変わらずの悪文です。おそらく闇バイトサイトで知り合った人から、お前金融庁の役人のふりして通帳と番号を貰ってこいと言われたのでしょう。取りに行ったところ、本物の警察官がいたので逃げようとしたところ捕まったようです。

(1)偽警察官は、被害者に対し,「詐欺の被害に遭っている可能性があります。」「被害額を返します。」「それにはキャッシュカードが必要です。」「金融庁の職員があなたの家に向かっています。」「これ以上の被害が出ないように,口座を凍結します。」「金融庁の職員が封筒を準備していますので,その封筒の中にキャッシュカードを入れてください。」「金融庁の職員が,その場でキャッシュカードを確認します。」「その場で確認したら,すぐにキャッシュカードはお返ししますので,3日間は自宅で保管してください。」「封筒に入れたキャッシュカードは,3日間は使わないでください。」「3日間は口座からのお金の引き出しはできません。」などと告げた。

(2)はあまり重要ではないので飛ばします。

(3)警察官を装う者が,被害者に電話をかけ,被害者のキャッシュカードを封筒に入れて保管することが必要であり,これから訪れる金融庁職員がこれに関する作業を行う旨信じさせるうそを言う一方,金融庁職員を装う被告人が,すり替えに用いるポイントカードを入れた封筒(以下「偽封筒」という。)を用意して被害者宅を訪れ,被害者に用意させたキャッシュカードを空の封筒に入れて封をした上,割り印をするための印鑑が必要である旨言って被害者にそれを取りに行かせ,被害者が離れた隙にキャッシュカード入りの封筒と偽封筒とをすり替え,キャッシュカード入りの封筒を持ち去って窃取することを計計画していた(以下,この計画を「本件犯行計画」という。)。警察官になりすました氏名不詳者は,本件犯行計画に基づいて,被害者に対し本件うそを述べたものであり,被告人も,同計画に基づいて,被害者宅付近路上まで赴いたものである。

結論
このような事実関係の下においては,被告人が被害者に対して印鑑を取りに行かせるなどしてキャッシュカード入りの封筒から注意をそらすための行為をしていないとしても,本件うそが述べられ,被告人が被害者宅付近路上まで赴いた時点では,窃盗罪の実行の着手が既にあったと認められる。

よく分からんのですが、これって窃盗未遂ではなく詐欺未遂じゃないのですか?刑法では、ほぼ同じ刑期なので実質変わりませんが。被告は自分が金融庁の人間ではないと自覚していたわけで、それを名乗って通帳、キャッシュカード、印鑑を受け取ろうとしたんでしょ?よく分からん判決です。

裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子

微妙判断:大阪市のヘイト条例は合憲

2022-02-15 21:19:05 | 日記
令和3(行ツ)54  公金支出無効確認等請求事件
令和4年2月15日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所
 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条は,憲法21条1項に違反しない

大阪市のヘイトスピーチ抑止条例、最高裁が「合憲」判断
大阪市のヘイトスピーチ(憎悪表現)抑止条例が「表現の自由」を保障した憲法に反するとして、市民が制定時の市長に対して関連費用約115万円の返還請求を行うよう市に求めた住民訴訟の上告審判決が15日、最高裁第3小法廷であった。戸倉三郎裁判長は「合憲」との判断を示し、原告側の上告を棄却した。

朝日新聞の報道です。
氏名公表のヘイトスピーチ抑止条例は「合憲」 最高裁が初判断
市は在日コリアンを「殺せ」「たたき出せ」と繰り返す集会の動画を投稿した人物について、同条例に該当すると認定。氏名が分からなかったことから投稿者のハンドルネームを公表した。こうした市の動きに対し、市内在住の男女8人が「表現の自由を萎縮させる」と反発し、関連経費は違法な支出だと主張して住民訴訟を起こした。

「殺せ」は流石に不味いですね。

訴えの内容です。
1 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例2条,5条~10条は,一定の表現活動をヘイトスピーチと定義した上で,市長が当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置等をとるものとするほか,市長の諮問に応じて表現活動が上記の定義に該当するか否か等について調査審議等をする機関として大阪市ヘイトスピーチ審査会を置くこと等を規定している。

大阪市内で悪辣な言葉で、特定の民族を罵ったとされたときに、それは罰するべきかどうかを判断する委員会があるようです。

本件は,市の住民である上告人らが,本件各規定が憲法21条1項等に違反し,無効であるとるため,審査会の委員の報酬等に係る支出命令は法令上の根拠を欠き違法である

基本的に表現の自由と結社の自由に違反しているから、大阪のこの条例は違憲で、無効であるという訴えのようです。

本件条例2条1項柱書きは,本件条例においてヘイトスピーチとは
・人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は当該個人により構成される集団(以下「特定人等」)を社会から排除すること(同号ア)
・特定人等の権利又は自由を制限すること(同号イ)
・特定人等に対する憎悪若しくは差別の意識又は暴力をあおること(同号ウ)


表現の内容又は表現活動の態様が次のいずれかに該当すること(同項2号柱書き)
・特定人等を相当程度侮蔑し又はひぼう中傷するものであること(同号ア)
・特定人等(当該特定人等が集団であるときは,当該集団に属する個人の相当数。同号イにつき以下同じ。)に脅威を感じさせるものであること(同号イ)


何とも抽象的な書き方ですが、これは運用によっては幅広く適用できそうですね。特に、特定人というのは個人であっても含まれるわけですね。つまり、事実の報道があって職を解くべきだという場合もこの中に入りそうです。いわゆる報道の範囲であっても恣意的に運用が可能になりそうです。どうやって回避するのでしょうか?

ウ 不特定多数の者が表現の内容を知り得る状態に置くような場所又は方法で行われるものであること(同項3号)

となると、新聞にも放送も出来ないことになりますね。

(2)当該表現活動が条例ヘイトスピーチに該当する旨,表現の内容の概要及びその拡散を防止するためにとった措置並びに当該表現活動を行ったものの氏名又は名称を公表する

まあ、言う以上はいう本人が顔を晒すべきだと思いますね。自分の言動に責任を持てというのは当然です。

(4)本件条例7条1項は,上記 の事項等について,諮問に応じて調査審議をし,又は報告に対して意見を述べさせるため,市長の附属機関として審査会を置く旨を規定し,本件条例8条は,審査会は,委員5人以内で組織し(1項),審査会の委員は,市長が,学識経験者その他適当と認める者のうちから市議会の同意を得て委嘱する(2項)旨を規定する。

ここが胡散臭い。市長と市議会ですよね。判断が政治的に偏りが出ることになりますよね。

第2 上告理由のうち本件各規定の憲法21条1項違反をいう部分について
1 前記事実関係等によれば,本件条例の制定当時,市内においては,特定の民族等に属する集団を一律に排斥する内容,同集団に属する者の生命,身体等に危害を加える旨の内容,同集団をその蔑称で呼ぶなどして殊更にひぼう中傷する内容等の差別的言動を伴う街宣活動等が頻繁に行われていたことがうかがわれる。ヘイトスピーチであるという認識,その事案の概要及び講じた措置を公表することが適当であるなどとする一方,憲法上の表現の自由との関係を考慮し,単なる批判や非難を上記措置等の対象外とし,社会からの排除等を目的とする表現活動にその対象を限定することが適当であるなどとしており,これを受けて,本件条例に係る条例案が提出され,可決成立したものである。


経緯はどうかはあまり関係ないのでは?

(2)本件条例2条1項柱書きは,拡散防止措置等の対象となる条例ヘイトスピーチの定義として,同項各号のいずれにも該当する表現活動をいう旨を規定しているところ,その文理及び上記の本件条例の趣旨に照らせば,同項1号は,一定の不当な目的を有することを要件としたものであり,具体的には,当該表現活動が,人種又は民族に係る特定の属性を理由とし,同号ア~ウのいずれかを目的として行われるものであることを要する旨を規定したものと解するのが相当である。

単に「〇〇人を追い出せ!」はこれに該当するが、例えば「生活保護を不正受給している〇〇人は追い出せ」は問題ないということになりますね。

2 憲法21条1項により保障される表現の自由は,立憲民主政の政治過程にとって不可欠の基本的人権であって,民主主義社会を基礎付ける重要な権利であるものの,無制限に保障されるものではなく,公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限を受けることがあるというべきである。・・・これに加えられる具体的な制限の態様及び程度等を較量して決めるのが相当である(最高裁昭和52年(オ)第927号同58年6月22日大法廷判決・民集37巻5号793頁等参照)。

よど号事件の案件を持ってきますか。何かずれている気がするのは気のせいでしょうか?

人種又は民族に係る特定の属性を理由として特定人等を社会から排除すること等の不当な目的をもって公然と行われるものであって,その内容又は態様において,殊更に当該人種若しくは民族に属する者に対する差別の意識,憎悪等を誘発し若しくは助長するようなものであるか,

確かに、どこの国籍であるかどうかで判断するのはまずいことだとは思いますが、本当にそういう内容の発言があったのでしょうか?私が知る限りは、制度の不正利用があまりのもあるから「出て行け」になったのだと思います。ここは事実誤認がありそうです。

市長は,看板,掲示物等の撤去要請や,インターネット上の表現についての削除要請等を行うことができると解されるものの,当該要請等に応じないものに対する制裁はなく,認識等公表についても,表現活動をしたものの氏名又は名称を特定するための法的強制力を伴う手段は存在しない。
そうすると,本件各規定による表現の自由の制限は,合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものというべきである。


裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子

誰からも補足言意見も反対意見もないようですね。何か言う以上、批判する以上は正々堂々やるべきでその点においては賛成ですが、あまりにも政治的に使われる可能性を残した条例はどうなんですか?例えば、Aという政党が某国とつるんでいたとします。そのA党を追い出せ!ぶっ潰せという勢力をこの条例で排除可能になりかねませんよね。
また、その特定の国の人が市議に圧力をかけられた場合、まともに判断できるとは限りませんよね。特に、帰化した場合ならば。かなり回りくどく表現の自由をぶっ潰す第一歩を作ってしまったのではないかと思えます。地獄の釜の蓋をあけるような判決にならなければいいですが。

その上で、悪辣な言葉を言い続けている人は、実はその国の人あるいは帰化人だという説があります。あくまでもネット上の噂ですが。どうやら日本人は、かの国の罠に嵌ってしまっているのかもしれません。

按摩の学校で視覚障碍者の入学を優遇するのは憲法違反ではない

2022-02-11 08:12:34 | 日記
令和3(行ツ)73  非認定処分取消請求事件
令和4年2月7日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
 あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律19条1項は,憲法22条1項に違反しない

NHK報道です。
あん摩マッサージ指圧師 養成施設規制 最高裁も合憲判決
大阪市と福島県郡山市の学校法人は、視覚障害がない人を対象としたあん摩マッサージ指圧師の養成施設を設置しようと国に申請しましたが視覚障害がある人を保護する法律の規定を理由に認められなかったため、「規定は職業選択の自由を保障した憲法に違反する」として国を訴えていました。

朝日新聞の報道です。
「視覚障害者の就業機会を保障」 あん摩学校新設規制は合憲 最高裁
目が不自由な人の職を守るため、国家資格「あん摩マッサージ指圧師」の養成施設を一般向けに開くのを規制できる――。そう規定する法律が職業選択の自由を保障した憲法に違反するかが問われた訴訟で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は7日、「合憲」とする初判断を示した。裁判官4人の全員一致の意見。
 法律は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律」。1964年の改正法は「国は当分の間、視覚障害者以外の人に向けた養成施設の開設を認めないことができる」とした。あん摩マッサージ指圧師に多く就く目の不自由な人の職域を守ることが改正の趣旨で、改正後、視覚障害がない一般向けの養成施設は開設されていない。


事実確認から見ていきます。
1 専門学校を設置する上告人が,あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号。以下「法」という。)に基づき,あん摩マッサージ指圧師に係る養成施設で視覚障害者(法18条の2第1項に規定する視覚障害者をいう。以下同じ。)以外の者を養成するものについての法2条1項の認定を申請したところ,厚生労働大臣から,視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があるとして,平成28年2月5日付けで,法19条1項の規定(以下「本件規定」という。)により上記認定をしない処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,本件規定は憲法22条1項等に違反して無効であると主張して,被上告人を相手に,本件処分の取消しを求める事案である。

最初から悪文の極みです。複文は使うなと。按摩さんは基本的に視覚障碍者の職業としているのは職業選択の自由違反である。だから専門学校で健常者専用のコースを認めろという裁判です。

(1)(2)も悪文なのでコピーは止めました。
法律では、大学に行って専門課程に行かないと、按摩さんの資格は取れませんという趣旨です。


(3)「当分の間,文部科学大臣又は厚生労働大臣は,あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合,あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し,又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して,視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは,あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し,又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。」と規定する。また,法19条2項は,文部科学大臣又は厚生労働大臣は,本件規定により認定又は承認をしない処分をしようとするときは,あらかじめ,医道審議会の意見を聴かなければならないと規定している。


要するに健常者も入学を認めるけど、一定割合は視覚障碍者を入れなさいねという規制を撤廃するには、医道審議会の意見を聴かなければならないのはおかしいと言っています。これがおかしいと主張するなら、上場企業の取締役や国会議員の候補を女性比率を上げろというのもどうかということになります。私はおかしいと思っていますけどね。

昭和37年は視覚障害がある者以外の者(8万7216人)の割合は77.0%であった。・・・昭和39年度に36.8%であったところ,平成9年度に40.7%,同27年度に45.8%と増加した。

ひと頃よりはだいぶ視覚障碍者の比率は減っています。だから、視覚障碍者を一定比率を入れなければならない義務はおかしいと言っているようですね。となると身体障碍者お断りの学校を作れという主張になるのでしょうか?

第2 上告理由のうち本件規定の憲法22条1項違反をいう部分について
(1)直接的には,上記養成施設等の設置者の職業の自由を,間接的には,上記養成施設等において教育又は養成を受けることにより,免許を受けてあん摩,マッサージ又は指圧を業としようとする視覚障害者以外の者の職業の自由を,それぞれ制限するものといえる。
(2)憲法22条1項は,狭義における職業選択の自由のみならず,職業活動の自由も保障しているところ,こうした職業の自由に対する規制措置は事情に応じて各種各様の形をとるため,その同項適合性を一律に論ずることはできず,その適合性は,具体的な規制措置について,規制の目的,必要性,内容,これによって制限される職業の自由の性質,内容及び制限の程度を検討し,これらを比較考量した上で慎重に決定されなければならない。・・・原則として,重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要するものというべきである(以上につき,最高裁昭和43年(行ツ)第120号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁参照。)。


薬局は薬剤師免許がなければ営業できないのはおかしいと訴えた件です。これを根拠の判例として追ってくるのはどうなの?思いますけどね。この裁判は、資格を取るための養成学校に障碍者が優遇されるのが気に入らないという訴えです。資格試験は合格すればいいですが、そもそも資格試験を取る学校への入学を門前払いするのはおかしいという主張ですから、薬局の裁判を根拠とするのは明らかにおかしいです。これだったら過去の判決に関係なく独自で判断すべきでしょう。

(3)本件規定は,その制定の経緯や内容に照らせば,障害のために従事し得る職業が限られるなどして経済的弱者の立場にある視覚障害がある者を保護するという目的のため,あん摩マッサージ指圧師について,その特性等に着目して,一定以上の障害がある視覚障害者の職域を確保すべく,視覚障害者以外の者等の職業の自由に係る規制を行うものといえる。・・・このような規制措置の必要性及び合理性については,立法府の政策的,技術的な判断に委ねるべきものであり,裁判所は,基本的にはその裁量的判断を尊重すべきものと解される。

これはその通りだと思います。結論は、
以上によれば,本件規定については,重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることについての立法府の判断が,その政策的,技術的な裁量の範囲を逸脱し,著しく不合理であることが明白な場合でない限り,憲法22条1項の規定に違反するものということはできないというべきである。

なかなか視覚障碍者が就職できる業種が増えてこないから、この規制は仕方ないのではないかと思いますねと裁判所は言っています。私も同意します。

裁判官草野耕一の意見は
1 ①あん摩,マッサージ又は指圧,②はり及び③きゅうの各施術を業として行うための免許及び国家試験をれぞれ別のものとして規定しているが,憲法22条1項適合性の問題を考えるに当たっては,職業の異同を現行法上の免許及び国家試験の分類どおりに捉えるべき必然性はない。思うに,職業活動の主たる意義の一つは,当該職業活動が生み出す商品役務の効用(福利の増加)にあるから,同等のコストで他の商品役務を調達しても得ることのできない効用をもたらす商品役務の提供活動は,これを一つの独立した職業として捉えることが合理的である。この点を踏まえていえば,一人の被施術者に対して,はり及びきゅうのいずれか又は双方の施術とマッッサージの施術とを併用して行う施術業(以下「総合施術業」という。)は,これらの各施術を個別に行う職業とは異なる独自の職業とみることが可能である。

また訳分からない文章ですね。①あん摩,マッサージ又は指圧,②はり及び③きゅうは別の職業だと言っているようです。

①総合施術業は,上記の各施術を組み合わせることによって,これらの個別の施術によっては得ることのできない効用を被施術者にもたらし得る業務であり,かつ,②総合施術業を行い得る者(以下「総合施術師」という。)なくして同等のコストで同等の効用を得ることはできないからである(なお,以下,マッサージの施術のみを行う業務を「マッサージ業」,マッサージ業を行う者を「マッサージ師」といい,はり及びきゅうのいずれか又は双方の施術のみを行う業務を「鍼灸業」,鍼灸業を行う者を「鍼灸師」という。)。

訳分からないですね。患者さんから見れば、肩が痛い腰が痛いで来ているのであって、提供する側の論理を持ち出して別の職業と言ったって、実際には全部やっていたりしています。実態は一体化して営業しているのに、これを根拠にできますか?

鍼灸師の養成施設等は本件規定の適用対象とされていないが,総合施術師養成施設等は,あん摩マッサージ指圧師国家試験の受験資格を付与するものであり,あん摩マッサージ指圧師に係る養成施設等に当たることから,本件規定の適用対象となるものである。

資格試験の流れが違うと言ってるのですね。

2 憲法22条1項適合性の問題は,主として,商品役務の供給者の利益に対する制約の問題として論じられてきたように思われるが,職業活動に対する制約は,当該職業活動が生み出す商品役務に対する需要の充足を妨げ,その需要者が受ける利益を減少させることにつながるから,職業活動に対する制約の合理性を考えるに当たっては,それによってもたらされる需要者の利益の減少についても検討がされるべきである。・・・①総合施術師の養成業に対する需要と②総合施術業に対する需要の双方を考察の対象としなければならないのである。

1とどういう関係にあるのでしょうか?

平成10年度から同27年度までの期間において,本件規定の適用対象外である鍼灸師の養成施設等は,施設数が14から93
へ,1学年の定員が合計875人から合計5665人へと大幅に増加した。これに対し,上記期間において,視覚障害者以外の者を対象とする総合施術師養成施設等は,施設数が18から19へ,1学年の定員が合計903人から合計974人へとわずかに増加したにとどまり,また,視覚障害者を対象とする総合施術師養成施設等は,施設数が69から63へ,1学年の定員が合計958人から合計719人へと減少している。これらの事実によれば,少なくとも上記期間においては,総合施術師の養成業に対する超過需要が存在したものの,本件規定が総合施術師養成施設等に適用されたことにより,当該需要の充足が妨げられてきたが,それにもかかわらず視覚障害者の総合施術業への新規の就労は増加しなかったことがうかがえる


となれば、視覚障碍者のための制度になっていないのであれば、反対意見を出せばいいじゃないですか。

本件においては,上告人自身が上記のような職業の捉え方を少なくとも明示的には主張していないのであるから,原審が特にこのような観点からの審理,判断をしなかったことを違法ということはできない。そして,原審の判断及びこれに対する論旨の内容を前提とする限り,論旨に理由が認められないことは多数意見の指摘するとおりである。

実体と制度があってないので、実態を中心に訴えたら上告人の主張を認めるよという趣旨のようです。意見ではなく感想文ですね。訴えの内容について意見を書けばいいのであって、訴えてないことについてああだこうだというのはどうなんですか。

第二小法廷判決
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一 わけ分からん
裁判官 岡村和美

結論はともかくとして、過去の判例を根拠に使うにはあまりにも思慮が浅すぎる印象です。

ベテラン弁護士から「げんこつで殴られた」

2022-02-08 06:54:53 | 日記
ベテラン弁護士から「げんこつで殴られた」 女性事務員がパワハラ提訴 「労災」は認定済

労働基準監督署の資料によると、女性は2010年の就業以来、上司にあたる弁護士から複数回、げんこつで殴られている。2019年3月に精神疾患を発病し、業務に起因するものとして、2021年3月に労災が認められた。
女性によると、殴られてたんこぶができることもあったといい、「上司の機嫌の差の激しさに振り回されてきた。機嫌が悪くなるのが怖かったので、どんなことを言われても我慢するしかなかった」などと語った。


こんな事務所さっさと辞めて、懲戒請求を出せばいいのに。

弁護士だからと言って、人格が優れているとかそれは思い込みですからね。おかしな人はおかしいです。実際、直接見てきた弁護士ですが、裁判所内で怒鳴るとか、裁判官に食って掛かるのとか、誤字脱字しか見つけてこないのとか、基本的な法理も身に着けていない弁護士を見てきました。人間ですから、カチンとくるのは分かりますが、しかし能力不足を隠そうとして粋がっているヤンキー兄ちゃんと変わらない弁護士もいます。

お勉強はできるけども人間としておかしい人はおかしいのです。ある北陸地方の弁護士は、1年間で3人も弁護士がスピンアウトしています。よほどでかい事務所かと思うかもしれませんが、事務員含めて5人の事務所です。しかも、辞めた弁護士はよその県で登録しなおしでした。

また、1年ごとに事務所を移り続ける弁護士もいます。裁判は数年かかるのはざらですから、1年で辞めるというのはどういうことか分かりますよね。それを何度もやるというのは相当なもんです。

弁護士懲戒処分検索センター
依頼する前にここで過去の悪行と経歴は確認したほうがいいですよ。

代理投票の公選法規定「合憲」

2022-02-07 17:23:10 | 日記
上告棄却なので判決文は公開されていません。

NHK報道です
“代筆投票の規定は合憲” 原告の上告退け判決確定 最高裁
文字を書くことができない人が選挙で投票する際に、代筆を頼む相手を投票所の事務員に限定している公職選挙法の規定が、投票の秘密を保障した憲法に違反しているか争われた裁判で、最高裁判所は原告の男性の上告を退け、規定は憲法に違反しないとした判決が確定しました。
公職選挙法は、文字を書くことができない人が代筆での投票を希望する場合、本人の意思と異なる投票を防ぐため代筆を頼む相手を投票所の事務員に限定する規定を設けています。


産経新聞の報道です
代理投票の公選法規定「合憲」 最高裁が上告退け
男性は28年7月の参院選で、ヘルパーらによる代理投票を求めたが認められず、面識のない市役所の職員らに投票内容を知られるのは「投票の秘密」を保障する憲法に違反すると訴えた。
1審大阪地裁は、補助者となる職員らについて「公務員で守秘義務があり、政治的中立性は確保される」とし、請求を棄却。高裁も1審同様に規定は合憲とした上で、訴えの一部について不適法として却下した。


上告人は重度脳性麻痺で自分で字が書けないようです。こういう人は、自分の声の制御もできないため、大声になったり、発音が悪くなったりと聞き間違いが発生しやすいのです。事前投票とは言えその場は公務員だけでなく、投票に来た一般人もいますよね。となると、自分がだれに投票したいのか、書き込む公務員だけでなく他の人にも聞こえる可能性が高いのです。

ならば普段から会話に慣れている施設の職員の方が間違いは少ないし、守秘義務も守れますよね。公務員だから大丈夫という発想自体が傲慢でしょう。公務員法があって、やらかしたら処分されるからと?こういう対策をとるのは立法と行政の問題であって、司法は法の中だけで判断したということでしょうか?
ならば、書き間違いが減るようにチェック欄を入れるようにするとか、何らかの対策をとるように法改正すべきではないでしょうか。

妥当判決 離婚慰謝料未払いの遅延損害金は離婚が法的に成立してから

2022-02-06 07:55:08 | 日記
令和2(受)1765  離婚等請求本訴,同反訴事件
令和4年1月28日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  大阪高等裁判所
 離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時に遅滞に陥る

事実認定方見ていきます。
1 婚姻後同居し,2子をもうけたが,平成29年3月に別居するに至った。本件は,上告人が,本訴として,被上告人に対し,離婚を請求するなどし,被上告人が,反訴として,上告人に対し,離婚を請求するなどするとともに,不法行為に基づき,離婚に伴う慰謝料及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

いきなり悪文ですね。長くても70字以内に切りなさいと中学高校で教わらなかったのでしょうか。
夫婦もどちらかが言い出したか分かりませんが、別居になりました。不法行為とあるので、浮気かハラスメントでしょう。どちらに原因があるかは不明です。判決確定しても慰謝料の支払いが払われない可能性があるので遅延損害金を入れろと要求したようです。
これもよく分かりませんが、離婚が成立しても慰謝料が払われないという前提がなければこういう条項は難しいと思うのですが。

2 原審は,被上告人の離婚請求を認容し,被上告人の慰謝料請求を120万円の限度で認容すべきものとした上で,要旨次のとおり判断し,上記120万円に対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払請求を認容すべきものとした。

要するのは勝手ですが、これは裁判に至る前に弁護士が止める案件ですよ。さらに言えばを家裁で認めるのもどうかと思いますね。金額からするとモラルハラスメントっぽいです。
原審では

被上告人の慰謝料請求は,上告人が被上告人との婚姻関係を破綻させたことに責任があることを前提とするものであるところ,上記婚姻関係が破綻した時は,平成29年法律第44号(以下「改正法」という。)の施行日である令和2年4月1日より前であると認められるから,上記の慰謝料として上告人が負担すべき損害賠償債務の遅延損害金の利率は,改正法による改正前の民法所定の年5分と解するのが相当である。

離婚が法的に成立する前の、事実上の離婚状態が始まった日にすべきだとしました。はぁ?ですね。何のために法による結婚制度があるんだか。

離婚に伴う慰謝料請求は,夫婦の一方が,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由として損害の賠償を求めるものであり,このような損害は,離婚が成立して初めて評価されるものであるから,その請求権は,当該夫婦の離婚の成立により発生するものと解すべきである。

この点は至極まっとうです。

不法行為による損害賠償債務は,損害の発生と同時に,何らの催告を要することなく,遅滞に陥るものである(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)。したがって,離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時に遅滞に陥ると解するのが相当である。

交通事故と同様、遅延損害金は判決が出てからにしなさいということのようです。そりゃそうです。相手も納得していない訳ですから、裁判になっているわけで。高裁がおかしすぎますね。

離婚に伴う慰謝料とは別に婚姻関係の破綻自体による慰謝料が問題となる余地はないというべきであり,被上告人の慰謝料請求は,離婚に伴う慰謝料を請求するものと解すべきである。

慰謝料が安いからと離婚しないというのは本末転倒だと言っています。これはある程度納得できます。さもないと別居費用をを貰う時期を意図的に伸ばされますからね。これは相手に責任がある事項(一方的に浮気など)であっても、請求権はありますからとんでもないことになります。

離婚に伴う慰謝料として上告人が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時である本判決確定の時に遅滞に陥るというべきである。したがって,改正法の施行日前に上告人が遅滞の責任を負った(改正法附則17条3項参照)ということはできず,上記債務の遅延損害金の利率は,改正法による改正後の民法404条2項所定の年3パーセントである。

離婚成立後は法改正後だから3%にします、という趣旨です。

まあまあ妥当な判断だったのではないでしょうか。
第二小法廷
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美


本裁判の判決とは若干ずれますが、以下の文章にはいろいろ考えるものがありそうです。

原判決中,上記部分を認容した部分を主文第1項のとおり変更することとし,子の監護費用の分担に関する上告については,上告受理申立書及び上告受理申立て理由書に上告受理申立て理由の記載がないからこれを却下し,その余の上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので,これを棄却することとする。

訴えを起こすときに、重要なことを書いていなかった?論点を後から付け足した?弁護士と依頼人の関係が上手くいかなかった?

妥当判決 離婚慰謝料未払いの遅延損害金は離婚が法的に成立してから

2022-02-06 07:55:08 | 日記
令和2(受)1765  離婚等請求本訴,同反訴事件
令和4年1月28日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  大阪高等裁判所
 離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時に遅滞に陥る

事実認定方見ていきます。
1 婚姻後同居し,2子をもうけたが,平成29年3月に別居するに至った。本件は,上告人が,本訴として,被上告人に対し,離婚を請求するなどし,被上告人が,反訴として,上告人に対し,離婚を請求するなどするとともに,不法行為に基づき,離婚に伴う慰謝料及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

いきなり悪文ですね。長くても70字以内に切りなさいと中学高校で教わらなかったのでしょうか。
夫婦もどちらかが言い出したか分かりませんが、別居になりました。不法行為とあるので、浮気かハラスメントでしょう。どちらに原因があるかは不明です。判決確定しても慰謝料の支払いが払われない可能性があるので遅延損害金を入れろと要求したようです。
これもよく分かりませんが、離婚が成立しても慰謝料が払われないという前提がなければこういう条項は難しいと思うのですが。

2 原審は,被上告人の離婚請求を認容し,被上告人の慰謝料請求を120万円の限度で認容すべきものとした上で,要旨次のとおり判断し,上記120万円に対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払請求を認容すべきものとした。

要するのは勝手ですが、これは裁判に至る前に弁護士が止める案件ですよ。さらに言えばを家裁で認めるのもどうかと思いますね。金額からするとモラルハラスメントっぽいです。
原審では

被上告人の慰謝料請求は,上告人が被上告人との婚姻関係を破綻させたことに責任があることを前提とするものであるところ,上記婚姻関係が破綻した時は,平成29年法律第44号(以下「改正法」という。)の施行日である令和2年4月1日より前であると認められるから,上記の慰謝料として上告人が負担すべき損害賠償債務の遅延損害金の利率は,改正法による改正前の民法所定の年5分と解するのが相当である。

離婚が法的に成立する前の、事実上の離婚状態が始まった日にすべきだとしました。はぁ?ですね。何のために法による結婚制度があるんだか。

離婚に伴う慰謝料請求は,夫婦の一方が,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由として損害の賠償を求めるものであり,このような損害は,離婚が成立して初めて評価されるものであるから,その請求権は,当該夫婦の離婚の成立により発生するものと解すべきである。

この点は至極まっとうです。

不法行為による損害賠償債務は,損害の発生と同時に,何らの催告を要することなく,遅滞に陥るものである(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)。したがって,離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時に遅滞に陥ると解するのが相当である。

交通事故と同様、遅延損害金は判決が出てからにしなさいということのようです。そりゃそうです。相手も納得していない訳ですから、裁判になっているわけで。高裁がおかしすぎますね。

離婚に伴う慰謝料とは別に婚姻関係の破綻自体による慰謝料が問題となる余地はないというべきであり,被上告人の慰謝料請求は,離婚に伴う慰謝料を請求するものと解すべきである。

慰謝料が安いからと離婚しないというのは本末転倒だと言っています。これはある程度納得できます。さもないと別居費用をを貰う時期を意図的に伸ばされますからね。これは相手に責任がある事項(一方的に浮気など)であっても、請求権はありますからとんでもないことになります。

離婚に伴う慰謝料として上告人が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時である本判決確定の時に遅滞に陥るというべきである。したがって,改正法の施行日前に上告人が遅滞の責任を負った(改正法附則17条3項参照)ということはできず,上記債務の遅延損害金の利率は,改正法による改正後の民法404条2項所定の年3パーセントである。

離婚成立後は法改正後だから3%にします、という趣旨です。

まあまあ妥当な判断だったのではないでしょうか。
第二小法廷
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美


本裁判の判決とは若干ずれますが、以下の文章にはいろいろ考えるものがありそうです。

原判決中,上記部分を認容した部分を主文第1項のとおり変更することとし,子の監護費用の分担に関する上告については,上告受理申立書及び上告受理申立て理由書に上告受理申立て理由の記載がないからこれを却下し,その余の上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので,これを棄却することとする。

訴えを起こすときに、重要なことを書いていなかった?論点を後から付け足した?弁護士と依頼人の関係が上手くいかなかった?