最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

トンデモ判決:定年後の再雇用、現役世代に準ずる賃金を払え

2023-10-21 20:35:24 | 日記
令和4(受)1293  地位確認等請求事件
令和5年7月20日  最高裁判所第一小法廷  判決  その他  名古屋高等裁判所

無期契約労働者と有期契約労働者との間で基本給の金額が異なるという労働条件の相違の一部が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例

日経新聞の報道です。
定年再雇用、基本給格差「支給目的で検討」  最高裁初判断
原告は名古屋自動車学校(名古屋市)の元社員2人。2013〜14年に定年を迎え、嘱託職員として再雇用後も仕事内容などは定年前と変わらなかったが、月額約16万〜18万円だった基本給が4〜5割ほどに減った。訴訟では差額分の支払いを求めた。
当時の労働契約法20条は正社員と非正規社員の「不合理な待遇格差」を禁じ、同種の規定を盛り込んだパートタイム・有期雇用労働法が21年に全面施行された。訴訟では旧20条に照らし、正社員と再雇用者の基本給の差が不合理かどうかが争われた。


事実確認を見ていきます。
(1)ア 賃金は、月給制であり、基本給、役付手当等で構成されていた。このうち、基本給は一律給と功績給から成り、役付手当は主任以上の役職に就いている場合に支給するものとされていた。また、正職員に対しては、夏季及び年末の年2回、賞与を支給するものとされ、その額は、基本給に所定の掛け率を乗じて得た額に10段階の勤務評定分を加えた額とされていた。
イ 平成25年以降の5年間における基本給の平均額は、管理職以外の正職員のうち定の資格の取得から1年以上勤務した者については、月額14万円前後で推移していた。上記平均額は、上記の者のうち勤続年数が1年以上5年未満のものについては月額約11万2000円から約12万5000円までの間で推移していたが、勤続年数に応じて増加する傾向にあり、勤続年数が30年以上のものについては月額約16万7000円から約18万円までの間で推移していた。
勤続短期正職員については、1回当たり約17万4000円から約19万6000円までの間で推移していた。


自動車教習所の教員ですが意外と安いですね。

ア 上告人は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条1項2号所定の継続雇用制度を導入しており、定年退職する正職員のうち希望する者については、期間を1年間とする有期労働契約を締結し、これを更新して、原則として65歳まで再雇用することとしていた。
イ 上告人は、上記アの有期労働契約に基づき勤務する者の労働条件について、正職員に適用される就業規則等とは別に、嘱託規程を設けていた。嘱託規程においては、嘱託職員の賃金体系は勤務形態によりその都度決め、賃金額は経歴、年齢その他の実態を考慮して決める旨や、再雇用後は役職に就かない旨等が定められていた。


この法律は厄介なんですよ。当然65歳まで雇ってもらえると思い込んでいる、権利だとすら思いこんでいる人たちがいるんですね。ただでさえ日本の労働恵沢法では解雇には世界で一番厳しい解雇条件が付けられて、仕事ができないというだけでは解雇できず、刑事事件でも起こさない限り解雇できない状況です。

(3)ア 被上告人X1 は、昭和51年頃以降正職員として勤務し、主任の役職にあった平成25年7月12日、退職金の支給を受けて定年退職した。定年退職後再雇用され、同月13日から同30年7月9日までの間、嘱託職員として教習指導員の業務に従事した。
被上告人X2は、昭和55年以降正職員として勤務し、主任の役職にあった平成26年10月6日、退職金の支給を受けて定年退職した。被上告人X2は、定年退職後再雇用され、同月7日から令和元年9月30日までの間、嘱託職員として教習指導員の業務に従事した。
イ 被上告人X1の基本給は、定年退職時には月額18万1640円、その後は月額7万4677円、人X2の基本給は、定年退職時には月額16万7250円であったと
ころ、再雇用後の1年間は月額8万1700円、その後は月額7万2700円
被上告人らは、再雇用後、厚生年金保険法及び雇用保険法に基づき、原判決別紙1及び3の「厚生年金(報酬比例部分)」欄及び「高年齢雇用継続給付金」欄記載のとおり、老齢厚生年金及び高年齢雇用継続基本給付金を受給した。


(4)被上告人X1は、平成27年2月24日、上告人に対し、自身の嘱託職員としての賃金を含む労働条件の見直しを求める書面を送付し、同年7月18日までの間、この点に関し、上告人との間で書面によるやり取りを行った。

当然事前に確認したわけですよね。そうでなくても自動車教習所のような衰退産業で、雇用調整をしたいところでフルで定年前の金額を払えというのは酷というものでしょう。午前中だけ、午後だけの出勤ならまだしも。

最高裁は
労働契約法20条は、有期労働契約を締結している労働者と無期労働契約を締結している労働者の労働条件の格差が問題となっていたこと等を踏まえ、有期労働契約を締結している労働者の公正な処遇を図るため、その労働条件につき、期間の定めがあることにより不合理なものとすることを禁止したものであり、両者の間の労働条件の相違が基本給や賞与の支給に係るものであったとしても、それが同条にいう不合理と認められるものに当たる場合はあり得るものと考えられる。
(2)ア 管理職以外の正職員のうち所定の資格の取得から1年以上勤務した者の基本給の額について、勤続年数による差異が大きいとまではいえないことからすると、正職員の基本給は、勤続年数に応じて額が定められる勤続給としての性質のみを有するということはできず、職務の内容に応じて額が定められる職務給としての性質をも有するものとみる余地がある。他方で、正職員については、長期雇用を前提として、役職に就き、昇進することが想定されていたところ・・・


おかしいでしょう、同一労働同一賃金を言うならば、年功給は明らかにおかしいでしょう。ただ長くいただけで給料が上がるんですよ。それこそ法の趣旨に遭いません。さらに、高齢路ドライバーによる事故も多発してますよね。それも無視ですか?

一部の者の勤続年数に応じた金額の推移から年功的性格を有するものであったとするにとどまり、他の性質の有無及び内容並びに支給の目的を検討せず、また、嘱託職員の基本給についても、その性質及び支給の目的を何ら検討していない。

何でそっちに合わせなきゃならんのか。

イ また、労使交渉に関する事情を労働契約法20条にいう「その他の事情」として考慮するに当たっては、労働条件に係る合意の有無や内容といった労使交渉の結果のみならず、その具体的な経緯をも勘案すべきものと解される。

その他ってのが厄介で、どの事情が該当するというのでしょうか?これはいくらでも拡大会社記できるトンデモ規定です。

(3)被上告人らに支給された嘱託職員一時金は、正職員の賞与と異なる基準によってではあるが、同時期に支給されていたものであり、正職員の賞与に代替するものと位置付けられていたということができるところ、原審は、賞与及び嘱託職員一時金の性質及び支給の目的を何ら検討していない。

その前に再雇用のときに納得して契約したんでしょ?それも一切無視なんですか?このときに労基署か何かに行くべきで、後出しじゃんけんを最高裁が認めるのですね。

第一小法廷判決全員一致
裁判長裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

トンデモ判決ですね

トンデモ判決:工事済みでもないのに女扱いしろ 4

2023-10-20 09:39:53 | 日記
裁判官今崎幸彦の補足意見

トランスジェンダーの人々が、社会生活の様々な場面において自認する性にふさわしい扱いを求めることは、ごく自然かつ切実な欲求であり、それをどのように実現させていくかは、今や社会全体で議論されるべき課題といってよい。・・・原審の認定事実によれば、本件説明会に先立ち、上告人は、平成10年頃から継続的に女性ホルモンの投与を受け、平成20年頃からは私的な時間の全てを女性として過ごすようになっており、そのことを原因として問題が生じたことはなかったというのである。

この書き方からすると、個別で判断すべきでこの判例が以降に影響しないかのような印象を持ってしまいます。

情報提供についても、どのような場合に、どの範囲の職員を対象に、いかなる形で、どの程度の内容を伝えるのか(特に、本人がトランスジェンダーであるという事実を伝えるか否かは場合によっては深刻な問題になる。もとより、本人の意思に反してはならないことはいうまでもない。)といった具体論になると、プライバシーの保護と関係者への情報提供の必要性との慎重な較量が求められ、事案によって難しい判断を求められることになろう。

本人が洗いざらい公にしてくれれば問題は小さくなるでしょうが、管理職として他の同僚にどの位の情報を提供するか、どの順番でいうか、希望を聞くのか要請するのか、これは管理職としてはかなりしんどい業務になります。心理カウンセラーあるいは産業医がやってくれるならまだしも、これは相当なストレスですよ。そういう社会的費用も含めて公正に見てくれているのでしょうか。

本判決は、トイレを含め、不特定又は多数の人々の使用が想定されている公共施設の使用の在り方について触れるものではない。この問題は、機会を改めて議論されるべきである。

これは意見じゃなくて感想だよね。

裁判官全員が判断に苦慮したのは分かりますが、社会的公正性と個人がやり過ごせる範囲ともっと比較して議論すべきじゃないでしょうか。全員思考停止になっています。

トンデモ判決:工事済みでもないのに女扱いしろ 3

2023-10-17 09:18:53 | 日記
裁判官長嶺安政の補足意見

担当職員が、数名の女性職員の態度から違和感を抱いていると見たことから、経済産業省としては、職員間の利益の調整を図ろうとして、本件処遇を導入したものと認められるところではあるが、トイレの使用への制約という面からすると、不利益を被ったのは上告人のみであったことから、調整の在り方としては、本件処遇は、均衡が取れていなかったといわざるを得ない。・・・本件処遇は、急な状況の変化に伴う混乱等を避けるためのいわば激変緩和措置とみることができ、上告人が異を唱えなかったことも併せて考慮すれば、平成22年7月の時点において、一定の合理性があったと考えることは可能である。

女性トイレは誰のためにあるのか、女性の為ですよね。それを曲げるのに、時間で判断するんですかね。

上告人によるトイレ使用をめぐり、トラブルが生じることもなかったというのである。上記の経緯を勘案し、また、自認する性別に即して社会生活を送ることは、誰にとっても重要な利益であり、取り分けトランスジェンダーである者にとっては、切実な利益であること、そして、このような利益は法的に保護されるべきものと捉えられることに鑑みれば、法廷意見がいうように、人事院が上告人のトイレの使用に係る要求を認めないとした本件判定部分は、著しく妥当性を欠いたものであると考える次第である。

トラブルがなかったというのは、一切誰も何も言わなかったということでしょうか?だからいいと?立ちションは軽犯罪になります。継続していれば違法ではないと?見つからずにやっていれば合法になると?

裁判官渡 惠理子の補足意見
性別は、社会生活や人間関係における個人の属性として、個人の人格的な生存と密接かつ不可分であり、個人がその真に自認する性別に即した社会生活を送ることができることは重要な法益として、その判断においても十分に尊重されるべきものと考える。

公益よりも個人の意思ですか?

重要な法益であっても、他の利益と抵触するときは、合理的な制約に服すべきことはいうまでもなく、生物学的な区別を前提として男女別トイレを利用している職員に対する配慮も必要であり、したがって、本件についてみれば、トランスジェンダーである上告人と本件庁舎内のトイレを利用する女性職員ら(シスジェンダー)の利益が相反する場合には両者間の利益衡量・利害調整が必要となることを否定するものではない。

何か煮え切らないですね。

女性職員らの利益を軽視することはできないものの、上告人にとっては人として生きていく上で不可欠ともいうべき重要な法益であり、また、性的マイノリティに対する誤解や偏見がいまだ払拭することができない現状の下では、両者間の利益衡量・利害調整を、感覚的・抽象的に行うことが許されるべきではなく、客観的かつ具体的な利益較量・利害調整が必要であると考えられる。

だから別の階のトイレを使って欲しいと経産省は言ったわけですよね。トイレを使うなとは言ってないのです。それを経産省は権利の濫用とまで言いますか?自己矛盾してますよ。現に今勤務している人はOKとしても、後から異動や採用で来る女性の権利は考慮する必要はないと考えるのですね。

裁判官林道晴
裁判官渡 惠理子の補足意見に同調する。

トンデモ判決:工事済みでもないのに女扱いしろ 2

2023-10-16 09:42:10 | 日記
最高裁の判断は次の通り

国家公務員法86条の規定による行政措置の要求に対する人事院の判定においては、広範にわたる職員の勤務条件について、一般国民及び関係者の公平並びに職員の能率の発揮及び増進という見地から、人事行政や職員の勤務等の実情に即した専門的な判断が求められるのであり(同法71条、87条)、その判断は人事院の裁量に委ねられているものと解される。

(2)性同一性障害である旨の医師の診断を受けているところ、本件処遇の下において、自認する性別と異なる男性用のトイレを使用するか、本件執務階から離れた階の女性トイレ等を使用せざるを得ないのであり、日常的に相応の不利益を受けているということができる。・・・担当職員から数名の女性職員が違和感を抱いているように見えたにとどまり、明確に異を唱える職員がいたことはうかがわれない。


権利の上に眠る者、これを保護せずは大原則ですけどね、よほど何かされてもいない限りは、そりゃ露骨に同僚のことを気持ち悪いとは言わんでしょう。

⑶ したがって、本件判定部分は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるというべきである。

おいおい、飛躍しすぎてませんか?

そもそも最近の傾向として、今日の気分は男、翌日は女というのも認めろという状況です。内心の状態なんぞどうやって知ることができますかね。いくら女でございという格好をしているからといって、女として扱うには工事もしていないのにそれは難しすぎやしませんか?これは明らかに飛躍しすぎです。落としどころはあったはずです。

裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 今崎幸彦
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子

全員×
裁判官の中には女性もいますが、法的にどうこう以前に一緒に便所に行けますか?自分の嫁や娘がどう反応するのか見てるんですかね。現行法で明確な基準がなかった以上、判例がなかった以上、もっと常識的な範囲で判断すべきじゃないですか。

裁判官宇賀克也の補足意見

①上告人が女性ホルモンの投与や≪略≫等により女性として認識される度合いが高いことがうかがわれ、その名も女性に一般的なものに変更されたMtF(Male to Female)のトランスジェンダーであるものの、戸籍上はなお男性であるところ、このような状態にあるトランスジェンダーが自己の性自認に基づいて社会生活を送る利益をどの程度、重要な法的利益として位置付けるかについての認識の相違、
②上告人がそのような状態にあるトランスジェンダーであることを知る同僚の女性職員が上告人と同じ女性トイレを使用することに対する違和感・羞恥心等をどの程度重視するかについての認識の相違


本人の自覚と同僚がどう見ているかの相違があるということでしょうか。

2 現行の性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の下では、上告人が戸籍上の性別を変更するためには、性別適合手術を行う必要がある。これに関する規定の合憲性について議論があることは周知のとおりであるが、その点は措くとして、性別適合手術は、身体への侵襲が避けられず、生命及び健康への危険を伴うものであり、経済的負担も大きく、また、体質等により受けることができない者もいる

この体質的に合わないというのはどういうことなのでしょうか。調べてみましたが、分かりませんでした。

3 本件判定が行われた平成27年5月29日の時点では、上告人が女性の服装で勤務を開始してから4年10か月以上経過しており、上告人がその名を変更し職場においてその名を使用するようになった平成23年6月からは約4年が経過していた。

4年経過したから既に女性としての生活が定着しているということでしょうか?とは言え、同期は昔男扱いだったことを知っています。期間はあまり意味はないのではと思いますが。

4 本件の事実関係の下では、人事院の裁量権の行使において、上告人がMtFのトランスジェンダーで戸籍上はなお男性であることを認識している女性職員が抱くかもしれない違和感・羞恥心等を過大に評価し、上告人が自己の性自認に基づくトイレを他の女性職員と同じ条件で使用する利益を過少に評価しており、裁量権の逸脱があり違法として取消しを免れないと思われる。

つまり言ったもん勝ち、やったもん勝ちを認めるのですね。社会通念は考慮しないということになります。

トンデモ判決:工事済みでもないのに女扱いしろ 1

2023-10-15 10:40:56 | 日記
令和3(行ヒ)285  行政措置要求判定取消、国家賠償請求事件
令和5年7月11日  最高裁判所第三小法廷  判決  その他  東京高等裁判所
生物学的な性別が男性であり性同一性障害である旨の医師の診断を受けている一般職の国家公務員である者に対し、その執務室がある庁舎のうち上記執務室がある階とその上下の階の女性トイレの使用を認めず、それ以外の階の女性トイレの使用を認める旨の処遇が実施されている場合において、次の⑴~⑷など判示の事情の下においては、上記の者がした職場の女性トイレの使用に係る国家公務員法86条の規定による行政措置の要求は認められない旨の人事院の判定は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。
⑴ 上記の者は、上記処遇の下において、自認する性別と異なる男性用のトイレを使用するか、上記執務室がある階から離れた階の女性トイレ等を使用せざるを得ない。
⑵ 上記の者が所属する省において開かれた、その者が執務する部署の職員に対しその者の性同一性障害について説明する会においては、その者が上記執務室がある階の女性トイレを使用することについて、担当職員から数名の女性職員が違和感を抱いているように見えたにとどまり、明確に異を唱える職員がいたことはうかがわれない。
⑶ 上記の者は、女性ホルモンの投与を受けるなどしているほか、性衝動に基づく性暴力の可能性は低い旨の医師の診断も受けており、上記の説明会の後、女性の服装等で勤務し、上記執務室がある階から2階以上離れた階の女性トイレを使用するようになったことでトラブルが生じたことはない。
⑷ 上記の説明会から上記判定に至るまでの約4年10か月の間に、上記の者による上記庁舎内の女性トイレの使用につき、特段の配慮をすべき他の職員が存在するか否かについての調査が改めて行われ、上記処遇の見直しが検討されたことはうかがわれない。
(補足意見がある。)


これは大きな事件でしたね。日経新聞の報道です。
職場トイレ制限訴訟 最高裁判決の要旨・補足意見
原告は生物学的には男性だが1999年ごろ性同一性障害と診断され、2008年ごろから女性として私生活を送るようになった。健康上の理由から性別適合手術は受けていない。
10年7月、原告の性同一性障害に関する同僚向け説明会が開かれた。担当職員には、原告が勤務先フロアの女性用トイレを使うことに、数人の女性職員が違和感を抱いているように見えた。原告には勤務先とその上下の階の女性用トイレ使用は認めないこととした。その後、他の職員とトラブルは生じていない。原告は13年、女性用トイレを自由に使わせるよう行政措置を求めたが人事院は15年5月、認められないと判定した。


裁判所の事実認定です。
1 本件は、一般職の国家公務員であり、性同一性障害である旨の医師の診断を受けている上告人が、国家公務員法86条の規定により、職場のトイレの使用等に係る行政措置の要求をしたところ、いずれの要求も認められない旨を受けた。

女性トイレは女性の為なので、男性は入るなというのは当然でしょう。

2 ⑴ 国家公務員法86条は、職員は、らゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われることを要求することができる旨を規定がある。

随分守られてますね。

⑵ア 上告人は経産省で勤務している。
イ 上告人は、生物学的な性別は男性であるが、同11年頃には性同一性障害である旨の医師の診断を受けた。性衝動に基づく性暴力の可能性が低いと判断される旨の医師の診断を受けていた。なお、上告人は、健康上の理由から性別適合手術を受けていない
ウ 平成21年7月、上司に対し、自らの性同一性障害について伝え、同年10月、経済産業省の担当職員に対し、女性の服装での勤務や女性トイレの使用等についての要望を伝えた。・・本件執務階の女性トイレを使用することについては、数名の女性職員がその態度から違和感を抱いているように見えた。


そりゃそうですよ。今でこそなくなりましたが、高速道路のPAでトイレが足りないからとおばさんが大挙して男性トイレに入り込むのが当たり前のようにありましたが、そういう時代じゃないですしね。

エ 本件庁舎のうち本件執務階とその上下の階の女性トイレの使用を認めず、それ以外の階の女性トイレの使用を認める旨の処遇を実施することとされた。・・・、主に本件執務階から2階離れた階の女性トイレを使用するようになったが、それにより他の職員との間でトラブルが生じたことはない。

ちゃんと配慮してるじゃないですか。同じ階では遠慮してくれ他の階なら使用者が少ないからいいだろ?という趣旨のようです。一説には障碍者用トイレを遣えという噂が出たようですが、それはそれで障碍者にとっては迷惑な話なんですよ。元々数が少ないところを占拠されると、障碍者特に脊髄をやられているとどうしようもなくなります。

⑷ 上告人は、平成25年12月27日付けで、国家公務員法86条の規定により、職場の女性トイレを自由に使用させることを含め、原則として女性職員と同等の処遇を行うこと等を内容とする行政措置の要求をしたところ、人事院は、同27年5月29日付けで、いずれの要求も認められない旨の判定をした。

何かよく分かりませんね。そこまでして同じ階の女性トイレに入らなければならない理由があるのでしょうか?それとも女扱いされないのが気に入らないとごねたのでしょうか?これが故安倍元首相の様な潰瘍性大腸炎のような病気ならばわからないでもないですが。

原審では棄却しています。不当な差別でもないですし、どうしてもという必要性はこの事実認定からしたら感じられません。

長いのでここでいったん切ります。

死刑当然判決・・・でも要約が訳分からん

2023-10-12 17:46:15 | 日記
令和3(あ)855  殺人、生命身体加害略取、逮捕監禁致死、逮捕監禁被告事件
令和5年7月3日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所
 死刑の量刑が維持された事例(遺体なき殺人事件)

NHKの報道です。
2009年から2011年にかけて、兵庫県内で会社社長や元暴力団員ら3人が殺害されるなどした事件で、実行役として1審と2審で死刑が言い渡されている被告について、最高裁判所は「3人の命を奪った結果は重大だ」と指摘して被告側の上告を退け、死刑判決が確定することになりました。
上村隆被告(56)は、2009年から2011年にかけて、兵庫県内で会社社長や元暴力団員の2人を殺害したほか、別の暴力団員を監禁して死亡させたとして、殺人や監禁致死などの罪に問われました。
この事件で指示役とされた男については、1件の殺人を無罪と判断して無期懲役とした判決が確定していて、被告側は「指示役よりも刑が重いのは不当だ」として最高裁判所に上告していました。


サンテレビニュースの動画
県内で元暴力団組員ら男性3人を死亡させた実行役の男の上告審判決 最高裁が男の上告棄却 男の死刑確定へ

争われた事項についての紹介がないので、事実確認から見ていきます。

被告人からAを拳銃で撃って殺害した旨打ち明けられたというBの証言につき、他の証拠から認められる客観的事実関係と整合することなどからその信用性を認め、被告人と共犯者である陳春根との共謀の事実をも認定するなどして、本件各事実について被告人を有罪と認定した第1審判決を是認した原判決は正当として是認することができ、本件につき、刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。

裁判としては死刑そのものが憲法違反だとして訴えていますが、その要求内容は実質的には量刑が厳しいだけでしょ?とバッサリ切られています。犯罪内容は

(1)陳と共謀の上、同人と金銭トラブルのあったAを、約1年2か月間にわたって狭いおりの中に逮捕監禁し、その後、Aを拳銃で射殺し(逮捕監禁、殺人)、
(2) 陳ほか3名と共謀の上、陳の父親の死に関わった人物とみていたCをその生命に対する加害目的で略取し逮捕した上、自動車内にその身体を緊縛した状態で閉じ込め監禁し、これら一連の逮捕監禁行為によってCを死亡させ(生命身体加害略取、逮捕監禁致死)、
(3)陳と共謀の上、同人の経営するパチンコ店から逃げ出した従業員であるDを、約1か月間にわたって倉庫内の小室の中に逮捕監禁し(逮捕監禁)、
(4)陳と共謀の上、かつて同人の父親に対する傷害致死被告事件で有罪判決を受けて服役したEの頸部を圧迫して殺害した(殺人)


これは酷いですね。

跡隠蔽のための焼却炉等を用意した上でEを再び襲うなど執拗かつ計画的な犯行であり、手足を拘束され抵抗できない状態のEの頸部を強く圧迫して窒息死させたものであって、ここにも強い殺意が認められる。

ここでやっと証拠隠滅の話が出てくるのですが、どういう訳かこの証拠隠滅が争われた形跡がありません。なんでこの部分が要約文に出て来るのか意味不明です。

裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 尾島 明  当然判決
裁判官 草野耕一  当然判決
裁判官 岡村和美 当然判決

結論は当然だと思いますが、これがなんで最高裁のDBに載せられたのかよく分かりません。新解釈でもないのに。この紹介文とか要約文って誰が書くのでしょうか?どういう基準で、DBに載せられるのでしょうか???

酒気帯び物損事故の先生、退職金0は権利の濫用ではない

2023-10-07 22:12:35 | 日記
令和4(行ヒ)274  懲戒免職処分取消、退職手当支給制限処分取消請求事件
令和5年6月27日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  仙台高等裁判所
 1 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和元年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分の適否に関する裁判所の審査
2 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和元年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により公立学校教員を退職した者に対してされた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分に係る県の教育委員会の判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないとされた事例


意外とマスコミで取り上げられていないようです。これは当然ワイドショーネタになるような話なので、取り上げられると思うのですが。

事実認定から見ていきます。
1 公立学校教員であった被上告人が、酒気帯び運転を理由とする懲戒免職処分を受けた。一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分を受けたため、上告人を相手に、上記各処分の取消しを求める事案である。

退職金なしとした根拠条文は、昭和28年宮城県条例第70号

(2)ア昭和62年4月に上告人の公立学校教員に採用され、以後、教諭として勤務した。被上告人につき、本件懲戒免職処分以外の懲戒処分歴はなく、その勤務状況にも特段の問題は見られなかった。
イ同僚の歓迎会に参加するため、本件高校から自家用車を運転し、その会場付近の駐車場に駐車した。被上告人は、同日午後6時20分頃から午後10時20分頃まで、上記歓迎会に参加し、ビールを中ジョッキとグラスで各1杯程度、日本酒を3合程度飲んだ。20㎞以上離れた自宅に帰るため、上記自家用車の運転を開始しで物損事故を起こしている。


これは悪質ですね。こんなに飲んでしかも20㎞も離れているところにこれで運転?

被上告人は、呼気1Lにつき0.35㎎のアルコールが検出されたことから、道路交通法違反の罪(酒気帯び運転)で現行犯逮捕された。
ウ酒気帯び運転を理由として本件懲戒免職処分をするとともに、本件規定により、一般の退職手当等(1724万6467円)の全部を支給しないこととする本件全部支給制限処分をした。
エ罰金35万円の略式命令を受けた。


有罪判決が出ました。

(3)平成28年5月16日付け及び同年7月14日付けで、各教育機関の長等に宛てて、今後飲酒運転に対する懲戒処分についてはより厳格に運用していくといった方針を示すなどして、服務規律の確保を求める旨の通知等を発出していた。

警告が出ていたようです。原審では、退職金の3割以上を払わないというのはやりすぎと判断しました。

4⑴ 本件条例の規定により支給される一般の退職手当等は、勤続報償的な性格を中心としつつ、給与の後払的な性格や生活保障的な性格も有するものと解される。・・・退職者の功績の度合いや非違行為の内容及び程度等に関する諸般の事情を総合的に勘案し・・・

退職金は生活保障であるのと同時に、これまでの功労金でもあると認めています。そうなんですかね。最近は、退職金をなくして年俸制にしているところもかなり増えています。あまり意味はないのではないかという気もします。

懲戒免職処分を受けた退職者の一般の退職手当等につき、退職手当支給制限処分をするか否か、これをするとした場合にどの程度支給しないこととするかの判断を、退職手当管理機関の裁量に委ねているものと解すべきである。・・・退職手当支給制限処分が退職手当管理機関の裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、当該処分に係る判断が社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に違法であると判断すべきである。

若干逃げ口上にも読めますが、退職金は支払う事業所ごとに趣旨が違うのだから、その事業所で定めた趣旨で考えると言ってます。

本件規定は、退職手当支給制限処分に係る判断に当たり勘案すべき事情を列挙するのみであり、そのうち公務に対する信頼に及ぼす影響の程度等、公務員に固有の事情を他の事情に比して重視すべきでないとする趣旨を含むものとは解されない・・・本件規定からは、一般の退職手当等の全部を支給しないこととする場合を含め、退職手当支給制限処分をする場合を例外的なものに限定する趣旨を読み取ることはできない。

全額不支給もあり得ますよと書いています。

運転開始から間もなく、過失により走行中の車両と衝突するという本件事故を起こしていることからも、本件非違行為の態様は重大な危険を伴う悪質
公立学校の教諭の立場にありながら、酒気帯び運転という犯罪行為に及んだものであり、その生徒への影響も相応に大きかった
本件高校は、本件非違行為の後、生徒やその保護者への説明のため、集会を開くなどの対応も余儀なくされた
複数回にわたり服務規律の確保を求める旨の通知等を発出するなどし、飲酒運転に対する懲戒処分につきより厳格に対応するなどといった注意喚起をしていた


充分悪質ですよ。代行運転であってあったでしょうに。小銭惜しさに自分で素面のときから運転して帰るつもりだったわけですよね。

結論
反省の情を示していること等を勘案しても、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとはいえない。

裁判官宇賀克也の反対意見
県教委が制定した「一般の退職手当等の支給制限処分等の運用について」では、停職以下の処分にとどめる余地がある場合に、特に厳しい措置として懲戒免職処分とされたときには、一般の退職手当等の一部を支給しないこととする処分にとどめることを検討することとし、その場合であっても、公務に対する信頼に及ぼす影響に留意して、慎重な検討を行うこととしている。

逆に言えば全部不支給はしないとも読めると言ってます。

「教職員に対する懲戒処分原案の基準」では、飲酒運転を行った場合は、免職又は5月以上の停職とされており、平成27年に3名の高校教員が酒気帯び運転で停職処分とされた例があるほか、上告人の職員の飲酒運転による非違行為で停職処分にとどめられた例は少なくない。

この規定は随分大甘ですね。酒気帯び運転でこれまで何人殺されてます?

教職員以上に飲酒運転を自制すべき立場にあるともいい得る警察官が、被上告人による本件非違行為より後の平成30年に酒気帯び運転を行った事案では、停職3月の懲戒処分にとどめられている。

そもそもこの判断自体がおかしいでしょう。取り締まる立場の人が飲酒運転だから、懲戒免職にあるべきです。

私見によれば、原審の判断は是認することができるから、本件上告は棄却されるべきである。

大甘ですな、宇賀克也裁判官は。
まず、他の事件の判断がおかしいのであって、この判断が厳しい訳ではありません。
警察官の処分を判断材料としていますが、こういう事件が続いたから処分を重くするって言ってるわけでしょう。

第三小法廷判決
裁判長裁判官 長嶺安政
裁判官 宇賀克也   裁判官やめろ!
裁判官 林 道晴
裁判官 渡 惠理子
裁判官 今崎幸彦