最高裁判所裁判官の暴走を許さない

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示談金払わず、仮差押債権者が第三債務者に対抗できる

2021-02-05 20:41:03 | 日記
令和1(受)1166  損害賠償等請求事件
令和3年1月12日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

仮差押債務者が債権の仮差押えを受けた後に第三債務者との間で示談をした場合に当該債権に対する転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して示談金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例


事実認定から見ていきます。

(1) 上告人は,平成22年9月,Aが起こした強盗致傷事件の被害に遭った。Aの父であるBは,平成26年9月,被上告人が自動車を運転中に起こした事故により死亡した。



(2) 平成27年11月,上告人の申立てにより,本件相続人らを債務者,被上告人を第三債務者とし,上告人が本件相続人らに対してそれぞれ有する上記強盗致傷事件に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を請求債権,本件相続人らがそれぞれ法定相続分に応じて取得した本件事故によるBの被上告人に対する不法行為に基づく損害賠償請求権のうちCのものにつき2411万1953円,Aのものにつき803万7320円,D及びEのものにつき各803万7317円(合計4822万3907円)に満つるまでの部分を仮差押債権とする債権仮差押命令が発令され,被上告人に送達された。
(3) 被上告人と本件相続人らは,平成28年10月6日,次の内容を含む示談をした。
ア 被上告人は,本件相続人らに対し,本件事故による一切の損害賠償金として合計4063万2940円の支払義務があることを認め,内金3000万1100円を速やかに支払う。
イ 上記内金が支払われたときは,被上告人と本件相続人らとの間には,本件示談で定めるほか,何ら債権債務のないことを相互に確認する。


とんでもない兄弟がいると大変ですね。

(4) 本件相続人らは,平成28年10月20日頃,本件事故に関する自動車損害賠償保障法16条1項に基づく損害賠償額の支払請求権について,被上告人が自動車保険契約を締結していた保険会社から,合計3000万1100円の立替払を受けた。
(5) 上告人は,上告人の本件相続人らに対する本件各請求債権に基づく請求を一部認容する旨の仮執行宣言付き判決を得て,これを債務名義として,本件各損害賠償請求権及びその遅延損害金債権のうちCのものにつき3000万円,A,D及びEのものにつき各1000万円に満つるまでの部分につき,本件相続人らを債務者,被上告人を第三債務者とする債権差押命令及び転付命令の申立てをし,平成30年3月7日,これに基づく債権差押命令及び転付命令が発令された。本件差押転付命令は,同月28日に確定した。


ところがさっさと払わなかったようです。そこで争点は

4822万3907円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。上告人が被上告人に対して本件示談において合意された損害賠償金の額である4063万2940円を超える額の請求をすることができるか否かが争われている。

原審では不法行為で生じた損害に対する賠償金であるから、将来に対する被害の確定もできないので、一度決めたのだからこれ以上は許してやれという判断が出たようです。

ところが、最高裁は

債権の仮差押えを受けた仮差押債務者は,当該債権の処分を禁止されるから,仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をしても,仮差押債務者及び第三債務者は,仮差押債権者を害する限度において,当該示談をもって仮差押債権者に対抗することができない。・・・本件示談は,本件相続人らが本件仮差押命令による仮差押えを受けた後に被上告人との間でしたものであり,本件各損害賠償請求権の合計額が本件示談金額を超えないことを確認する趣旨を含むものであると解される。
そして,本件仮差押命令の仮差押債権は,本件各損害賠償請求権のうち合計4822万3907円に満つるまでの部分であるから,本件示談金額が実際の本件各損害賠償請求権の合計額を下回る場合には,遅延損害金を考慮するまでもなく,上告人(強盗の被害者)を害することになり,被上告人は,その害する限度において,本件示談をもって上告人に対抗することができないというべきである。


裁判官全員一致
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴

素晴らしい!
当然です。民事は逃げたもん勝ちでした。こういう事件のとき払ってくれなければ、再度調停なり裁判なりで債権の存在確認により時効の延長を被害者側がやらなければなりません。あり得ないでしょう?!日本の民事はそういう点では本当にクソなのですよ。
しかも、今回の件はさっさと払わなかったわけです。下手すれば逃げ切る気だったとも読めます。そういうとんでもない連中には一撃を加える判決なのです。

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