最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

夫婦別姓裁判 4 裁判官宮崎裕子,同宇賀克也の反対意見

2021-08-31 12:40:45 | 日記
憲法24条に違反するものであるから,原決定を破棄し,抗告人らの婚姻の届出を受理するよう命ずるべきであると考える。

判例主義をぶち壊すのですね。判例を変更するのはよほどの社会状況の変化がなければなりませんが、5年ぐらいで変化ありました?

1 憲法24条1項について
憲法24条1項の法意,趣旨
ア 最高裁平成25年(オ)第1079号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2427頁(以下「再婚禁止期間大法廷判決」という。)は,憲法24条1項は,婚姻をするについての当事者の意思決定は,当該当事者の「自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたもの」であると判示しており,平成27年大法廷判決にも同文の判示がある。婚姻をするについての当事者の意思決定が自由かつ平等なものでなければならないことは,憲法13条及び14条1項の趣旨から導かれると解されるから,憲法24条1項の規定は,憲法13条の権利の場合と同様に,かかる意思決定に対する
不当な国家介入を禁ずる趣旨を含み,国家介入が不当か否かは公共の福祉による制約として正当とされるか否かにより決せられる。

そもそもが家庭の問題ですよね。論点のすり替えじゃないですか?

最高裁昭和34年(オ)第1193号同36年9月6日大法廷判決・民集15巻8号2047頁(以下「昭和36年大法廷判決」という。)は,憲法24条の法意は,「民主主義の基本原理である個人の尊厳と両性の本質的平等の原則を婚姻および家族の関係について定めたものであり,男女両性は本質的に平等であるから,夫と妻との間に,夫たり妻たるの故をもって権利の享有に不平等な扱いをすることを禁じたもの」であると判示しており,上記アで述べた同条1項の解釈は,昭和36年大法廷判決にも沿うものである。

この判例は所得税法に関するもので、結婚生活そのものを論じていません。そもそも、共働きで財布が完全に別々何ていう家庭は腐るほどあります、論拠になりません。

ウ その制約が,夫婦になろうとする個人のそれぞれの人格が尊重されることを否定するものであってはならず,自由かつ平等であるべき本人の意思決定を抑圧するものでないことが必要である。

これは所得税の頭割りである話なら分かります。

エ 昭和36年大法廷判決が判断の対象とした財産権だけではなく,人格権(人格的利益を含む。)も当然含まれるといってよい。そして,かかる「権利」が憲法上の権利に限定されると解すべき根拠は文理上見当たらない。そもそも,憲法上の権利については,国民は,婚姻しているか否かにかかわらず,すべからく個人として性別による差別なく憲法13条の権利を享受できるのであるから,わざわざ夫となり妻となった者のみを捉えて平等原則を規定することが憲法24条1項のこの部分の規定の趣旨であるとは解し難い。

そもそも姓を夫に合わせろという制度ならこの話は分かります。選択しろという規定なんだから、何の問題があるのか分かりません。

オ 夫と妻の双方がそれぞれ人格権を享有することが第三者の権利を不当に侵害するとか,公共の福祉に反することになるなどの正当な理由がないにもかかわらず,婚姻のみを理由として夫と妻とがそれぞれの人格権を同等に享有することが期待できない結果をもたらすことになるような法律の規定は,憲法24条1項の趣旨に反すると解されよう。

通名でいくらでも調整が利きますよね。個人的には通名は犯罪に使われやすいので、使うべきではないと思っていますが。

こういう訳の分からない論理の飛躍が激しい論拠と称するものが30ページ続きますので、かいつまんで見ていきます。


本件では,抗告人らは,夫婦同氏制の下では,一方の当事者が生来の氏名に関する人格権の侵害を受け入れ,アイデンティティの喪失を受け入れなければ婚姻をすることができないのに対して,他方の当事者は生来の氏名に関する人格権を全く制約されることなく享受できるという点を捉えて,夫と妻とがそれぞれの人格権を同等に享有できないことも夫婦同氏制の問題として指摘している。

極論でしょ。親が宗教的な名前を付けたが、子どもは全然違う宗教を信じている、こういう場合はあり得ますが、姓が変わるのはそういうことは言えますか?アイデンティティの侵害とはどう見ても言えないでしょう。

オ 私たちは,氏には家族の呼称という側面があることまで否定するものではないが,既に述べたように,それを憲法上の要請と位置付ける根拠はなく,平成27年大法廷判決が夫婦同氏制に合理性があるとして挙げている「氏は,家族の呼称としての意義がある」という説明に氏名に関する人格権を否定する合理的根拠があるとは考えにくい。加えて,それ以外に同判決で夫婦同氏制の合理性の説明として挙げられている内容(氏は夫婦であることを対外的に公示し識別する機能を有すること,嫡出子であることを示すこと,家族の一員であることを実感すること,子がいずれの親とも氏を同じくすることによる利益を享受しやすくすること)は,いずれも民法が想定している夫婦や親子の姿の一部を捉えているとはいえても,上記で述べた家族形態の多様化という現実と,家族の形が多様であることを想定し容認する民法の寛容な基本姿勢に照らすと,夫婦同氏制の合理的根拠とはいい難い。

そこまで言うなら、姓を廃止したら?インドネシアは姓はありませんよ。そこに触れないのは何故?

3 本件婚姻届の受理を命ずべきことについて
(1)そして,婚姻届の受理による婚姻の成立とその後の戸籍の記載等の取扱いは,概念的に区別し得る。婚姻が成立すれば,夫婦としての同居・扶助義務や相続などの様々な法的効果が発生するし,別れる場合には離婚の手続をとる必要が生ずることになる。夫婦別氏とする婚姻届が受理されても,戸籍の編製及び記載をどうするのか(同一戸籍になるのか,その場合,戸籍の筆頭者は誰になるのかなど)は,法改正がなされるまではペンディングにならざるを得ないかもしれず,

出生届、死亡届と違うんですよ。今すぐ問題になりますか?

男女差別云々言いますが、自由意思に基づく選択性です。さらに、女子差別撤廃委員会は2003年に指摘していますが、それでも立法府はこれを差別ではないと言っているにもかかわらず、これを論拠に持ち出しています。さらに平成25年の判決も、これをもってしても違憲ではないと判断しています。この2人の行動は全く持ってわけが分からない。

宮崎裕子  話が低レベル過ぎる
同宇賀克也 話が低レベル過ぎる

夫婦別姓裁判3 三浦守の意見

2021-08-29 09:30:41 | 日記
1 婚姻前の氏の維持に係る利益
氏名は,社会的にみれば,個人を他人から識別し特定する機能を有するものであるが,同時に,その個人からみれば,人が個人として尊重される基礎であり,その個人の人格の象徴であって,人格権の一内容を構成する(最高裁昭和58年(オ)第1311号同63年2月16日第三小法廷判決・民集42巻2号27頁参照)。


韓国人が、漢字を日本語読みされたことを不満として訴えた案件ですが、ここに持ってきて根拠にしますか?

他方,氏は,一般に,名とは別に,婚姻及び家族に関する法制度の一部として,親子関係など一定の身分関係を反映し,また,身分関係の変動に伴って改められることがあり得るものであり,婚姻における氏の在り方も,こうした法制度全体において関連する仕組みが定められる。

論理の飛躍が見られます。上段と下段はつながっているのですが、論旨はつながっているように思えません。

2 婚姻の自由
平成27年大法廷判決は,憲法24条1項について,婚姻をするかどうか,いつ誰と婚姻をするかについては,当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものであるとしている。そして,最高裁平成25年(オ)第1079号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2427頁は,それに加えて,婚姻をするについての自由は,同項の規定の趣旨に照らし,十分尊重に値するとしたが,これは,民法の規定が,再婚をする際の要件に関し男女の区別をしていることにつき,憲法の平等原則との関係で考慮すべき点として判示したものであり,この自由の憲法上の位置付けや規範性を限定したものではないと解される。・・・憲法24条2項は,その立法に当たり,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきものとして,その裁量の限界を画しており,憲法上の権利として保障される人格権を不当に侵害する立法措置等を講ずることは許されない。そして,この要請は,形式的にも内容的にも,同条1項を前提とすることが明らかであり,そこにいう個人の尊厳は,婚姻の自由の保障を基礎付ける意義を含むものとして,立法の限界を画するということができる。


本件と同関連するのか見えません。男女間の話ですよね。氏名の話と同関連するの?後半を読んでも分かりません。

3 権利の制約及び合憲性判断の枠組み
本件各規定は,民法739条1項とあいまって,夫婦が称する氏を定めることを婚姻の要件としており,法が他に選択肢を設けていないことは明らかである。
これにより,婚姻をするためには,二人のうちの一人が氏を変更するほかに選択の余地がない。これは,法の定める婚姻の要件が,個人の自由な意思決定について,意思に反しても氏の変更をして婚姻をするのか,意思に反しても婚姻をしないこととするのかという選択を迫るものである。婚姻の際に氏の変更を望まない当事者にとって,その氏の維持に係る人格的利益を放棄しなければ婚姻をすることができないことは,法制度の内容に意に沿わないところがあるか否かの問題ではなく,重要な法的利益を失うか否かの問題である。これは,婚姻をするかどうかについての自由な意思決定を制約するといわざるを得ない。
・・・憲法上の権利の制約との関係でその合理性が問題となる以上,当該権利の性質に応じて,合憲性の審査を行う必要がある。


どっちかの姓を名乗ることは、そんなに法的に不利に扱われるんですか?そのくらいの話をまとめられないなら、結婚生活もうまくいかないでしょう。よく分からないな。

(3)婚姻の自由は,前記のとおり,個人の尊厳に基礎を置き,当事者の自律的な意思決定に対する不合理な制約を許さないことを中核とする。そして,個人の尊厳は,法制度が立脚すべき基盤として立法の限界を画するものであり,立法裁量の指針や考慮要素にとどまるものではない。

そりゃあんたの価値観はそうだろうけど、世間的にはどうなんですか?そんなことを考える人は少数派じゃないでしょうか。

(3)以上を前提にして,憲法24条1項の保障する婚姻の自由の性質を踏まえるとともに,同条2項が立法に当たっての要請を明示していることに鑑みると,本件各規定に係る婚姻の要件について,婚姻の自由の制約が同条に適合するか否かについては,婚姻及び家族に関する法制度における本件各規定の趣旨,目的,当該自由の性質,内容,その制約の態様,程度等を総合的に衡量し,個人の尊厳と両性の本質的平等の要請を踏まえて,それが合理的なものとして是認できるか否かを判断する必要がある。

通名が許されているんでしょう?ならば通名を含めて判断しなおすべきじゃないですか?

4 本件各規定についての合憲性
夫婦同氏制の趣旨,目的と,その例外を許さないこととの実質的な関連性ないし均衡の問題といってもよい。このような観点から検討すると,夫婦同氏制の趣旨,目的については,以下のような疑問がある。
第1に,社会の構成要素である家族の呼称を一つに定め,それを対外的に公示して識別するといっても,現実の社会において,家族として生活を営む集団の身分関係が極めて多様化していることである。


ここからが問題です。

しかし,70年を超える時代の推移とともに,婚姻及び家族をめぐる状況は,大きく変化してきた。少子高齢化が著しく進展する中で,いわゆる晩婚化,非婚化が進んでいる上,離婚及び再婚も増加し,世帯の構成は,夫婦と子どものみの世帯の割合が大きく減少して多様化してきた。日本国民と外国人の婚姻も増加し,その間の子も生まれている。

これ裁判官として言う話ですか?合憲かどうかの話をしているのに、何で社会政策論の話に?全く訳分かりません。

第2に,同一の氏を称することにより家族の一員であることを実感する意義や家族の一体性を考慮するにしても,このような実感等は,何よりも,種々の困難を伴う日常生活の中で,相互の信頼とそれぞれの努力の積み重ねによって獲得されるところが大きいと考えられる。これらは,各家族の実情に応じ,その構成員の意思に委ねることができ,むしろそれがふさわしい性質のものであって,家族の在り方の多様化を前提に,夫婦同氏制の例外をおよそ許さないことの合理性を説明し得るものではない。
第3に,婚姻の重要な効果である嫡出子の仕組みを前提として,嫡出子がいずれの親とも氏を同じくすることによる利益を考慮するにしても,そのような利益は,嫡出推定や共同親権等のように子の養育の基礎となる具体的な権利利益とは異なる上(児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)にも,そのような利益に関する規定はない。),嫡出子であることを示すための仕組みとしての意義を併せて考慮することは,嫡出子と嫡出でない子をめぐる差別的な意識や取扱いを助長しかねない問題を含んでいる。


これは分かります。


ア 他方において,本件各規定に係る婚姻の要件は,婚姻年齢や重婚等のように客観的な事実のみに係る要件ではなく,夫婦の氏を定めるという当事者の意思に関わる内容を要件としている。しかし,婚姻という個人の幸福追求に関し重要な意義を有する意思決定について,二人のうち一人が,重要な人格的利益を放棄することを要件として

ここで先の判決文が出てきましたか。先の判決でも、日本人が正確な外国語の発音ができますか?あの判決は充分おかしい判決なのにここに持ってきますか。全く持ってわけ分かりません。そこまで言うならば、自分の名前を親に着けられること自体人格権の侵害になりますよ。

イ また,本件各規定は,その文言上性別に基づく差別的な取扱いを定めているわけではないが,長年にわたり,夫婦になろうとする者の間の個々の協議の結果として,夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占めており,現実に,多くの女性が,婚姻の際に氏を改めることによる不利益を受けている。このことは,国民の間に,夫婦の氏の選択について極端な偏りを生じさせる意識や考え方が広く存在することを明らかに示しており,夫婦となろうとする者双方の真に自由な選択の結果ということ自体にも疑問が生ずるところである。

はぁ?

ウ 今日,我が国において,男女が,互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い,性別にかかわりなく,その個性と能力を十分に発揮することができる社会を実現することは,緊要な課題であり,そのためには,社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立的なものとすることが求められる(男女共同参画社会基本法前文,4条参照)。

憲法判断なのに男女共同参画社会基本法前文?

エ 女子差別撤廃委員会は,一般勧告において,各パートナーは,自己の姓を選択する権利を有し,法又は慣習により,婚姻に際して自己の姓の変更を強制される場合には,女性は,その権利を否定されているものとし,さらに,我が国の定期報告に関する最終見解において,繰り返し,女性が婚姻前の姓を使用し続けられるように法律の規定を改正することを勧告している。


日本の憲法の話なのに、外国人が入っている委員会の勧告?

(4)以上のような事情の下において,本件各規定について,法が夫婦別氏の選択肢を設けていないことが,婚姻の自由を制約している状況は,個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らし,本件処分の時点で既に合理性を欠くに至っているといわざるを得ない。

根拠にならないことを根拠にして言いますか。

このような届出によって婚姻の効力が生ずると解することは,婚姻及び家族に関する事項について,重要な部分に関する法の欠缺という瑕疵を伴う法制度を設けるに等しく,社会的にも相応の混乱が生ずることとなる。これは,法の想定しない解釈というべきである。

結婚ですよ。権利義務が大きく絡んでいます。車庫証明だっておかしいとなれば受け取ってもらえません。

三浦守・・・訳の分からなさは活動家レベル。

こんなのが最高裁判事で判決文を書くのかと思うと恐ろしい限りです。

夫婦別姓裁判 2 深山卓也,同岡村和美,同長嶺安政の補足意見 

2021-08-29 08:57:49 | 日記
本件各規定は憲法24条に違反するものとはいえず,平成27年大法廷判決の判断を変更する必要はないとする多数意見に賛同する。

この意見は、反対派への牽制意見のようです。

民法750条を受けて,戸籍法74条1号は,夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項としており,これを記載しなければ,婚姻届は受理されず,婚姻は効力を生じないのであるから(民法739条1項,740条),その点を捉えれば,本件各規定は,夫婦同氏とすることを婚姻の要件としており,婚姻に制約を加えるものということもできる。・・・・婚姻は,そのような戸籍への記載のための届出によって効力を生ずるという届出婚主義が採られている。そして,これらの規律を受けて,戸籍法74条1号は,婚姻後に夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項としているのである。民法及び戸籍法が法律婚の内容及びその成立の仕組みをこのようなものとした結果,婚姻の成立段階で夫婦同氏とするという要件を課すこととなったものであり,上記の制約は,婚姻の効力から導かれた間接的な制約と評すべきものであって,婚姻をすること自体に直接向けられた制約ではない。

なんか気持ち悪いですね。法律婚と事実婚(本来は特殊関係人)であるから、別に事実婚でいいじゃないかとも読めますね。事実婚については、以前の記事でも書きましたが重婚や近親相姦婚を認めることになるので、私は反対です。

憲法24条1項は,婚姻をするかどうか,いつ誰と婚姻をするかについては,当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものであるところ,ここでいう婚姻も法律婚であって,これは,法制度のパッケージとして構築されるものにほかならない。

その通りです。強制的に結婚離婚をさせてはいけないという趣旨であって、姓をどうするかを趣旨としていません。ところがここからおかしくなります。

2(1)現行の夫婦同氏制の下において,長期間使用してきた氏を婚姻の際に改める者の中には,アイデンティティの喪失感を抱く者や種々の社会生活上の不利益を被る者がおり,これを避けるために婚姻を事実上断念する者がいることは,平成27年大法廷判決においても指摘されているところである。

はぁ?アイデンティティの喪失感を抱く者?それで結婚を断念?それは言い訳にしかすぎず、ありえないでしょう。
社会生活上の不利益を被る者?通称名が認められていますよね。国会議員にも芸名で出ている人もいましたし、旧姓で出ている人もいます。何か問題でも?

本件各規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合に当たると断ずることは困難である。

この根拠不足でよくもまあ話を盛りますね。

(2)我が国が批准した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」に基づき設置された女子差別撤廃委員会からの勧告などの事情の変化が生じており,これにより夫婦同氏制の合理性は失われたという。

ん?どういう因果関係があるのでしょうか?

3 もっとも,上記の法制度の合理性に関わる国民の意識の変化や社会の変化等の状況は,本来,立法機関である国会において不断に目を配り,これに対応すべき事柄であり,選択的夫婦別氏制の導入に関する最近の議論の高まりについても,まずはこれを国会において受け止めるべきであろう。この点に関しては,平成27年大法廷判決及び本件多数意見も,選択的夫婦別氏制の採否を含む夫婦の氏に関する制度の在り方は,国国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないと指摘しているところである。

そもそも昨日書いたように法制審議会で「やらんでよろしい」と言って、国会にも出なかったのですから、今この段階でここでああだこうだいうこと自体がおかしいのです。

国会において,この問題をめぐる国民の様々な意見や社会の状況の変化等を十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待するものである。

何この最後っ屁みたいな一文は。どうしても言いたいのであれば、個人的にブログでやれよレベルの駄文です。判決文に書く話ではありません。

深山卓也 司法の傲慢
同岡村和美 司法の傲慢
長嶺安政 司法の傲慢

当然判決 夫婦別姓裁判 1 

2021-08-28 16:54:38 | 日記
令和2(ク)102  市町村長処分不服申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和3年6月23日  最高裁判所大法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

 民法750条及び戸籍法74条1号は,憲法24条に違反しない。(補足意見,意見及び反対意見がある。)

いわゆる夫婦別姓を認めろという裁判です。今回は49ページという無茶苦茶長い判決文です。

各社の報道を見ます
NHK
夫婦別姓 最高裁きょう2度目の憲法判断 焦点は社会情勢の変化
民法の規定によって夫婦別姓を認めず同じ名字にするという制度は明治時代から120年余り続いています。
最高裁大法廷は2015年の判決で初めて憲法判断をし、「夫婦が同じ名字にする制度は社会に定着してきたもので、家族の呼称を1つにするのは合理性がある」として、憲法に違反しないと判断しました。
今回は、それ以来、2度目の憲法判断で、その後の社会情勢の変化をどう捉えるかがポイントになるとみられます。


一度判決が出て確定しているのに、もう一度受理するというのが分かりません。

夫婦同姓の規定は「合憲」 最高裁大法廷、6年前と同様
夫婦別々の姓(名字)での婚姻は認められない――。最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は23日の家事審判の決定で、夫婦同姓を定めた民法などの規定は憲法24条の「婚姻の自由」に違反しないと判断した。2015年に初めて「合憲」とした大法廷判決を踏襲して、「この種の制度のあり方は国会で判断されるべきだ」と指摘した。
 裁判官15人のうち11人の合憲判断。「違憲」としたのは4人で、15年判決の5人から減った。法相の諮問機関「法制審議会」は1996年に選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を答申したが、自民党を中心に「家族の一体感が失われる」との反論が上がり、法改正は見送られている。


法政諮問会議でやらんでよろしいと結論が出ているのにもかかわらず、裁判所が政治に口出すのは司法の傲慢です。勘違いにもほどがありますね。

案の定日弁連は
最高裁判所大法廷決定を受けて、改めて民法750条を改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを求める会長声明
当連合会は、国に対し、改めて民法750条を速やかに改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを強く求める。

会員の過半数の同意をとったのでしょうか?任意団体ならまだしも、強制加入の団体がこういう声明を出すのはどうなんでしょうか。


訴えの内容を見ていきます。
婚姻届に「夫は夫の氏,妻は妻の氏を称する」旨を記載して婚姻の届出をしたところ,国分寺市長からこれを不受理とする処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,本件処分が不当であるとして,戸籍法122条に基づき,同市長に上記届出の受理を命ずることを申し立てた事案である。本件処分は,上記届出が,夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称するとする民法750条の規定及び婚姻をしようとする者が婚姻届に記載しなければならない事項として夫婦が称する氏を掲げる戸籍法74条1号の規定(以下「本件各規定」という。)に違反することを理由とするものであった。所論は,本件各規定が憲法14条1項,24条98条2項に違反して無効であるなどというものである。

要するに、婚姻届けを出した。そのときに、夫婦別姓で申請したら市役所が受け取ってくれなかった。これは憲法(法の下の平等)違反とであるという訴えです。

即結論が出てきます。

民法750条の規定が憲法24条に違反するものでないことは,当裁判所の判例とするところであり(最高裁平成26年(オ)第1023号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2586頁(以下「平成27年大法廷判決」という。)),上記規定を受けて夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項と定めた戸籍法74条1号の規定もまた憲法24条に違反するものでないことは,平成27年大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。

既に同様の裁判があり、判決が出てるのだからそれに従えという単純明快な答えです。さらに

その余の論旨は,違憲をいうが,その実質は単なる法令違反を主張するもの又はその前提を欠くものであって,特別抗告の事由に該当しない。

一般人の言葉でいうならば、「結論が出ているのに蒸し返すな。黙れ。」レベルです。判例主義の観点からすれば、少なくとも法律家なら当然でしょう。むしろこの裁判を受理したこと自体がおかしいぐらいです。

ここまで2ページですが、その後の補足意見が異常に長い。あまりにも長いので次回以降に回します。

東京高裁 群馬・朝鮮人追悼碑訴訟控訴審 原告が逆転敗訴

2021-08-27 07:44:04 | 日記
まだ高裁なので、判決文は公開されていません。

以下、毎日新聞の報道です。
群馬・朝鮮人追悼碑訴訟控訴審 原告が逆転敗訴
群馬県の県立公園にある朝鮮人労働者の追悼碑の設置期間更新を認めない処分をした県に対し、市民団体が認めるよう求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、県の処分を違法とした1審・前橋地裁判決(2018年2月)を取り消し、市民団体の請求を棄却した。高橋譲裁判長は「県の処分には正当な理由がある」と述べた。

産経新聞の報道です
朝鮮人追悼碑訴訟、市民団体が逆転敗訴 「政治的発言で中立性失う」
追悼碑は、原告「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」の前身団体が平成16年、県から10年間の設置許可を受けて建てた。「政治的行事を行わない」との条件を付けたが、追悼式で出席者が「強制連行の事実を訴えたい」などと発言し、県は26年、許可の更新を認めなかった。
判決理由で高橋裁判長は、追悼碑の設置前に県が市民団体側に対し、碑文にあった「強制連行」の文言を見直すよう助言し、市民団体がこれを了承した経緯などを指摘。しかし、17~24年に追悼碑前で開催された追悼式で「強制連行」との文言を含む発言があり、「追悼碑が公園施設として存立する上での前提を失い、日韓・日朝の友好促進などの設置の効用が損なわれた」と結論づけた。


恐らく最高裁までもっていくでしょう。

そもそもで言うと、こんなのを最初に設置許可したのが悪いので、当時の担当者の名前を晒してもいいくらいです。公務員の公務上の業務については名誉棄損は成立しませんから。

とりすぎ税金の差し押さえについて、取りすぎ分の差し押さえ費用も返せ

2021-08-17 18:13:34 | 日記
令和2(行ヒ)337  過誤納付金還付等請求事件
令和3年6月22日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  札幌高等裁判所

複数年度分の住民税を差押えに係る地方税とする滞納処分における配当金であって,後の減額賦課決定により配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものは,配当時に存在する他の年度分の住民税に法定充当がされる


1 平成21年度分から同23年度分までのもの(以下「本件市道民税」という。)並びにその延滞金等につき,順次,納付を受け又は滞納処分により徴収したが,その後,本件市道民税の税額を減少させる各賦課決定(以下「本件各減額賦課決定」という。)をするとともに,これにより過納金が生じたとして,上告人に対し,過納金の還付及び還付加算金の支払をした。本件は,上告人が,市長による上記過納金の額の計算に誤りがあるとして,被上告人に対し,不足分の過納金の還付及び還付加算金の支払を求めるとともに,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。

地方税を払わない人がいたので、その人の動産を差し押さえ競売か何かにしたようです。そうしたら、地方税の減免決定が出たので、取り過ぎの分が出てしまいました。その分の返還と国家賠償の請求裁判です。

事実認定を見ていきます。
(1)個人の道府県民税の賦課徴収は,原則として,当該道府県の区域内の市町村が,当該市町村の個人の市町村民税の賦課徴収の例により,これと併せて行うものとされ(地方税法41条1項前段,319条2項),この場合において,還付加算金,延滞金等の計算については,道府県民税及び市町村民税の額の合算額によって行うものとされている(同法41条1項後段)。そして,市町村民税に係る地方団体の徴収金の滞納処分については,国税徴収法に規定する滞納処分の例によるものとされている(地方税法331条6項)。
(2)上告人の平成20年分から同22年分までの所得税について,上告人が確定申告をしたところ,所轄税務署長は,平成23年3月14日付け及び同月30日付けで,それぞれ総所得金額及び納付すべき税額を増加させる各更正処分(以下「本件各増額更正処分」という。)をした。
本件市道民税につき,平成23年4月25日付けで,平成21年度分の税額を0円から1931万6300円に,同22年度分の税額を0円から2561万6300円にそれぞれ増加させる各賦課決定(納期限をいずれも同23年5月20日とするもの)をし,同年6月10日付けで,同23年度分の税額を1192万8700円とする賦課決定(納期限を同月30日以降の日とするもの)をした。


無税からいきなり合計5600万円以上の税金?そりゃ払えませんね。そもそも元の制度に問題がありそうですが。

(3)平成23年7月7日から同29年12月26日までの間に,上告人から納付を受け又は滞納処分による徴収を行い,これらの納付又は徴収に係る金銭(合計6468万9760円)は,同別紙の「充当内訳」欄のとおり,本件市道民税及びその延滞金等に順次充当された。
これはヤクザですわ。この後差し押さえされます。

(3)上告人は,本件各増額更正処分の取消訴訟を提起していたところ,平成29年12月15日,総所得金額及び納付すべき税額の計算の誤りを理由に,本件各増額更正処分のうち確定申告額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した。これを受けて,市長は,平成29年12月27日付けで,本件市道民税につき,平成21年度分の税額を1054万5700円に,同22年度分の税額を2079万2200円に,同23年度分の税額を556万5000円に,それぞれ減少させる本件各減額賦課決定をした。

???3600万ちょっとに???2000万円も税金が負かるってどういう計算をしていたのでしょうか。中国や韓国じゃあるまいし。

(5)市長は,本件各減額賦課決定により過納金が生じたとして,平成29年12月27日付けで,上告人に対し,過納金1995万8400円及び還付加算金77万2600円を支払った。

とりあえず払い過ぎは回収できたわけですか。

(6)本件訴訟において,上告人は,第1審判決別紙6のとおり,本件各滞納処分において差押えに係る地方税に配当された金銭であって,本件各減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の市道民税に充当されていたものについては,当該差押えに係る地方税のうちその配当時に存在していた他の年度分の市道民税に充当されるべきであり,本件各減額賦課決定による減額後の本件市道民税に係る延滞金の額については,同別紙7~9のとおり,その充当後の滞納税ては,延滞金の額が過大に算出された結果,上告人に還付すべき過納金の額が過少に算出されている旨主張している。

ここでも凄いことが起こっていたようです。取り過ぎの税金の額の差し押さえ費用が返還額から差し引かれていました。市が計算間違いしたことから始まったのに、その間違いのコストも納税者から取り上げようと?むしろ市に賠償責任が発生してもいいくらいです。

これについて最高裁は、
(1)普通徴収に係る個人の市町村民税及び道府県民税について賦課決定がされた後,当初から当該賦課決定における税額等の計算に誤りがあったことを理由に減額賦課決定がされた場合,当初の賦課決定のうち減額賦課決定により減少した税額に係る部分は当初の賦課決定時に遡って効力を失い,当該部分の個人住民税は当初から存在しなかったこととなる。

当たり前ですよ。請求されるいわれのない税金額を要求された挙句に、その取立費用まで払う義務があっていいはずはありません。担当者が個人賠償しろと言いたくなるレベルです。

(2)市長は,複数年度分の市道民税を差押えに係る地方税とする本件各滞納処分において,当該差押えに係る地方税に配当された金銭であって,本件各減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の市道民税に充当されていたものにつき,当該差押えに係る地方税のうちその配当時に存在していた他の年度分の市道民税に充当されたものとせず,それぞれ直ちにその金額に相当する過納金が生じたものとして,本件各減額賦課決定により生じた過納金の額を計算したものであるから,市長の当該計算には誤りがある。

裁判官全員一致の意見
第三小法廷判決
裁判長裁判官 宮崎裕子
裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政

日本において税金がらみは、いくらでも論点をずらして納税者は泣き寝入りになる判決が圧倒的に多いのですが、至極まっとうな判決でした。

クソ判決 免責されれば当事者である債務者も競売で落とせる

2021-08-16 07:43:59 | 日記
令和3(許)7  売却不許可決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
令和3年6月21日  最高裁判所第一小法廷  決定  破棄自判  東京高等裁判所

担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け,同競売の基礎となった担保権の被担保債権が上記決定の効力を受ける場合,当該債務者の相続人は,民事執行法188条において準用する同法68条にいう「債務者」に当たらない

事実認定から見ていきます。
(1)平成25年12月27日,Aが所有する原々決定別紙物件目録記載の土地建物につき,Aを債務者とする根抵当権の実行としての競売の開始決定をした。
(2)Aは,平成26年6月18日,破産手続開始の決定を受け,同年9月18日,破産手続廃止の決定を受けた。Aは,同日,免責許可の決定を受け,同決定はその後確定した。上記根抵当権の被担保債権は,上記免責許可の決定の効力を受けるものである。


最高裁まで持ち込まれるのは厄介な件が多いですが、Aが持っていた土地を貸して建物が建っていた。その建物の所有者が金を払わないので建物が競売になったようです。Aが金を持っていれば買い上げるのでしょうが、Aも借金地獄だったようでAも破産しました。

(3)Aは,平成27年2月23日に死亡し,その子である抗告人等がAを相続した。
(4)執行官は,令和2年12月1日午前9時に開かれた本件競売事件の開札期日において,抗告人を最高価買受申出人と定めた。


相続ということは、借金も相続したのでしょう。その間にも競売が進んでいたため、買主が決まりました。

(5)執行裁判所は,令和2年12月21日,本件競売事件の債務者であったAの相続人である抗告人は上記土地建物を買い受ける資格を有せず,民事執行法(以下「法」という。)188条において準用する法71条2号に掲げる売却不許可事由があるとして,抗告人に対する売却不許可決定をした。この決定に対し,抗告人が執行抗告をした。

相続人は買い入れできませんと裁判所が判断したようです。その判断がおかしいでしょ!と訴えました。

最高裁は
法188条において準用する法68条によれば,担保不動産競売において,債務者は買受けの申出をすることができないとされている。これは,担保不動産競売において,債務者は,同競売の基礎となった担保権の被担保債権の全部について弁済をする責任を負っており,その弁済をすれば目的不動産の売却を免れ得るのであるから,目的不動産の買受けよりも被担保債権の弁済を優先すべきであるし,債務者による買受けを認めたとしても売却代金の配当等により被担保債権の全部が消滅しないのであれば,当該不動産について同一の債権の債権者の申立てにより更に強制競売が行われ得るため,債務者に買受けの申出を認める必要性に乏しく,また,被担保債権の弁済を怠り,担保権を実行されるに至った債務者については,代金不納付により競売手続の進行を阻害するおそれが類型的に高いと考えられることによるものと解される。

当然ですね。競売物件になっているものを見てもらえばわかりますが、こんなものが担保?と思えるようなボロ屋が担保になっているものがあります。当然、任意売却でも売れませんし、競売になっても成立しない物件はかなりあります。そうなると値段を下げて再競売になりますが、担保金額の半額も回収できないことは多々あります。しかも、裁判がのろいので債務不履行になってだいたい3年ぐらいは宙ぶらりんになります。
そこへ来て、相続人とは言え債務者がギリギリの値段で落としたとなると、そりゃ債権者としてはふざけんなとなります。

しかし,担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け,同競売の基礎となった担保権の被担保債権が上記決定の効力を受ける場合には,当該債務者の相続人は被担保債権を弁済する責任を負わず,債権者がその強制的実現を図ることもできなくなるから,上記相続人に対して目的不動産の買受けよりも被担保債権の弁済を優先すべきであるとはいえないし,上記相続人に買受けを認めたとしても同一の債権の債権者の申立てにより更に強制競売が行われることはなく,上記相続人に買受けの申出を認める必要性に乏しいとはいえない。また,上記相続人については,代金不納付により競売手続の進行を阻害するおそれが類型的に高いとも考えられない。
上記の場合,上記相続人は,法188条において準用する法68条にいう「債務者」に当たらないと解するのが相当である。


はあ?免責を受けるというのは、全てチャラ?入札にも参加できる?おいおい、そんなごね得許すのですか?せめて当事者だった案件は入札を認めないとかあってしかるべきでしょう。借金を返さなかったことへの社会的制裁でもあるんですから。

裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 山口 厚
全員アホ

日本の民事裁判がクソだという典型的な判断です。

トンデモ判決 未決囚の治療でもインフォームドコンセントが必要

2021-08-14 17:30:49 | 日記
令和2(行ヒ)102  情報不開示決定取消等請求事件
令和3年6月15日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所
 刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に当たらない

特にマスコミでの報道はありませんでしたので、訴えの内容から見ていきます。
東京拘置所に未決拘禁者として収容されていた上告人が,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき,東京矯正管区長に対し,収容中に上告人が受けた診療に関する診療録に記録されている保有個人情報)の開示を請求したところ,同法45条1項所定の保有個人情報に当たり,開示請求の対象から除外されているとして,その全部を開示しない旨の決定(以下「本件決定」という。)を受けたことから,被上告人を相手に,その取消しを求めるとともに,国家賠償法1条1項に基づき慰謝料等の支払を求める事案である。

何のために開示請求したのか分かりませんが、何かやらかして逮捕されて裁判が開始されました。その裁判の最中に診療記録をとろうとしたところ拒否されたようです。これは勝手な想像ですが、他害して逮捕されたようです。その犯人は、精神疾患で心神耗弱をで刑の減免を受けようとしたのではないかと想像します。

事実認定です
1 行政機関個人情報保護法12条1項は,何人も,同法の定めるところにより,行政機関の長に対し,当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる旨を規定し,同法14条は,行政機関の長は,上記の請求があったときは,同条各号に掲げる不開示情報のいずれかが含まれている場合を除き,請求をした者に対し,当該保有個人情報を開示しなければならない・・・行政機関個人情報保護法45条1項は,刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判,検察官,検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分刑若しくは保護処分の執行,更生緊急保護又は恩赦に係る保有個人情報(当該裁判,処分若しくは執行を受けた者,更生緊急保護の申出をした者又は恩赦の上申があった者に係るものに限る。)については,上記各規定を含む同法第4章の規定を適用しない

ちゃんと例外規定が入っており刑事事件の裁判中のものは見せませんと規定があります。

(2)上告人は,平成28年1月25日,被告人として千葉刑務所に収容され,同年7月20日,同刑務所から東京拘置所に移送された。
上告人は,平成29年5月12日,法務大臣から権限又は事務の委任を受けた東京矯正管区長に対し,本件情報の開示を請求したが,東京矯正管区長は,同年6月15日付けで,本件情報は行政機関個人情報保護法45条1項所定の保有個人情報に該当するとして,その全部を開示しない旨の本件決定をした。


思いっきり例外規定に該当しているじゃないですか。

裁判所の判断を見ます。
ア 行政機関個人情報保護法45条1項は,平成15年法律第58号による行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(以下「旧法」という。)の全部改正(以下「平成15年改正」という。)によって新たに設 けられた規定である。

訴えの前に改正されていますね。ところが、
旧法は,何人も,個人情報ファイルを保有する行政機関の長に対し,自己を本人とする処理情報(個人情報ファイルに記録されている個人情報をいう。以下同じ。)の開示を請求することができる旨を規定しつつ(13条1項本文),刑事事件に係る裁判若しくは検察官,検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分又は刑の執行に関する事項(以下「刑事裁判等関係事項」という。)を記録する個人情報ファイルについてはこの限りでない旨を規定していた(同項ただし書)。これは,刑事裁判等関係事項に係る個人情報には個人の前科,収容歴等の情報が含まれており,これが開示請求の対象となると,就職の際に開示請求の結果を提出させるなどの方法で第三者による前科等の審査に用いられ,本人の社会復帰を妨げるなどの弊害が生ずるおそれがあるため,これを防止するという趣旨に基づくものであったと解される。また,旧法は,個人情報ファイル簿に掲載されていない個人情報ファイルに係る処理情報について,開示請求をすることができるものから除く旨を規定し(13条1項本文),勾留の執行,矯正又は更生保護に関する事務(7条3項3号)等に使用される個人情報ファイルについて,その保有目的に係る事務の適正な遂行を著しく阻害するおそれがあると認めるときは,個人情報ファイル簿に掲載しないことができる旨を規定していた(同項柱書き)

旧法の立法趣旨は関係ないんじゃないですか?

イ 被収容者が収容中に受ける診療の性質は,社会一般において提供される診療と異なるものではないというべきである。このことは,旧法が制定された当時の監獄法等の下においても同様であったということができる。
ウ 旧法において,被収容者が収容中に受けた診療に関する事項を記録する個人情報ファイルに係る処理情報は,その性質上,13条1項ただし書の診療関係事項として開示請求の対象から除外されていたと解するのが自然であり,これを刑事裁判等関係事項又は7条3項3号所定の事務に係る事項に関するものとして開示請求の対象から除外することは想定されていなかったものと解される。


28年の訴えでも15年の法改正ですよ。なんで旧法云々なんでしょうか?意味が分かりません。他の法律の改正に伴っても関係ないでしょう。

行政機関個人情報保護法には,診療関係事項に係る保有個人情報を開示請求の対象から除外する旨の規定は設けられなかった。その趣旨は,行政機関が保有する個人情報の開示を受ける国民の利益の重要性に鑑み,開示の範囲を可能な限り広げる観点から,医療行為に関するインフォームド・コンセントの理念等の浸透を背景とする国民の意見,要望等を踏まえ,診療関係事項に係る保有個人情報一般を開示請求の対象とすることにあると解される。そして,同法45条1項を新たに設けるに当たっては,社会一般において提供される診療と性質の異なるものではない被収容者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報について,同法第4章の規定を適用しないものとすることが具体的に検討されたことはうかがわれず,その他,これが同項所定の保有個人情報に含まれると解すべき根拠は見当たらない。

おいおい、裁判所が何を言いますか。これこそ立法への越権行為でしょう。旧法を持ち出して、本来その趣旨じゃないからと勝手に解釈ですか?

以上によれば,被収容者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は,行政機関個人情報保護法45条1項所定の保有個人情報に当たらないと解するのが相当である。

裁判官宇賀克也の補足意見
医療はインフォームド・コンセントが基本であり,医療法1条の4第2項も,「医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療の担い手は,医療を提供するに当たり,適切な説明を行い,医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。」と定めており,最高裁平成10年(オ)第576号同13年11月27日第三小法廷判決・民集55巻6号1154頁も,医師の説明義務を認めている。そして,医療における自己決定権が人格権の一内容として尊重されなければならない。・・・刑事施設における診療に関する情報であっても,インフォームド・コンセントの重要性は異ならない。

もう馬鹿も休み休み言えと言いたくなりますね。国費丸抱えでのちりょうですよね。未決囚の治療は裁判に対応できればそれで十分なんですよ。本人の自己決定権を議論すべきではないと思いませんか。お花畑というかなんというか。

裁判長裁判官 宇賀克也  特にお花畑
裁判官 戸倉三郎  トンデモ
裁判官 宮崎裕子  トンデモ
裁判官 林 道晴 トンデモ

トンデモ判決:犯人による犯人蔵匿・隠避罪の教唆犯の成立する

2021-08-02 16:59:31 | 日記
令和3(あ)54  強盗致傷,犯人隠避教唆,犯人蔵匿教唆被告事件
令和3年6月9日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所
犯人が他人を教唆して自己を蔵匿させ又は隠避させる行為と刑法103条の罪の教唆犯の成否

前回に続き超短い判決文、3枚、実質1枚半の判決文です。

いきなりこの文章です、経緯も何もありません。
犯人が他人を教唆して自己を蔵匿させ又は隠避させたときは,刑法103条の罪の教唆犯が成立すると解するのが相当である(最高裁昭和35年(あ)第98号同年7月18日第二小法廷決定・刑集14巻9号1189頁参照)。

裁判官山口厚の反対意見
刑訴法414条386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条を根拠に反対意見です。

刑法103条は,罰金以上の刑に当たる罪を犯した者(以下「犯人」という。)が自ら行う蔵匿・隠避行為を処罰の対象としていない。それは,犯人が自ら逃げ隠れしても「蔵匿」したとはいわないし,「隠避させた」という要件は犯人隠避罪に該当する行為を行う者が犯人以外の者であることを前提としていると理解できるからである。

ってことは、犯人が逃亡しただけ?それじゃ隠匿にはなりませんよね。

犯人が他人を教唆して,自らを蔵匿・隠避させた場合は,処罰を限定する上記立法政策の射程外であり,教唆犯として処罰の対象となるとしてきた。それを支える根拠・理由として幾つかのことが指摘されているが,犯人が一人で逃げ隠れするより,他人を巻き込んだ方が法益侵害性が高まるとの指摘がされることがある。このこと自体には理由があると考えられるが,他人の関与により高められた法益侵害性は,教唆された正犯者を処罰することによって対応し得るものであり,法益侵害性の高まりから犯人を教唆犯として処罰すべきことが直ちに導かれるわけではない。・・・・犯人による犯人蔵匿・隠避罪の教唆犯の成立は否定されるべきだと考えるものである。

そりゃそうですよ。なんですかのこの裁判は。

第一小法廷決定
裁判長裁判官 小池 裕 トンデモ
裁判官 池上政幸 トンデモ
裁判官 木澤克之 トンデモ
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也トンデモ

この裁判無茶苦茶ですね。

精神障碍者による他害発生、強制入院は憲法違反ではない

2021-08-01 13:51:52 | 日記
令和3(医へ)5  入院を継続すべきことを確認する旨の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件
令和3年6月9日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所

1枚判決です。経緯も何もありません。

以下全文です。

本件抗告の趣意のうち,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下「医療観察法」という。)による処遇制度に関し,憲法14条31条34条違反をいう点は,医療観察法による処遇制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは,当裁判所の判例(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁)の趣旨に徴して明らかであるから,理由がなく(最高裁平成29年(医へ)第16号同年12月18日第三小法廷決定・刑集71巻10号570頁参照),憲法18条後段,36条違反をいう点は,医療観察法による処遇は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し,同行為を行った際の精神障害を改善し,これに伴って同様の行為を行うことなく,社会に復帰することを促進するために,医療等を行うものであるから,前提を欠き,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる
法令違反の主張であって,医療観察法70条1項の抗告理由に当たらない。
よって,医療観察法71条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。


こういうのたまに聞きますよね。心神喪失であれば、刑法第39条で刑の減免が認められています。
wikiの解説では
精神の障礙は、精神病や意識障害、知的障害などに分けられた。精神病には、「統合失調症」等があり、これらに関し、判例は、被告人が統合失調症に罹患していただけで直ちに心神喪失の状態にあったとはしていないこともあり、これらの障礙があることにより、無条件に責任無能力とすべきとしていないことが分かる。

責任能力がないから刑に処さないと言われていますが、私は納得できません。心神喪失で何をするか分からないからこそ排除すべきだと思います。しかも統合失調は薬で寛解することはあっても治癒はありません。さらに検察は、心神喪失と勝手に判断して最近不起訴処分にすることが多々ありますが、それを判断すのは裁判所ですから、検察の越権行為だと思っています。病気であろうが何だろうが、心神喪失であろうが故意であろうが同じに扱うべきだと思っています。

さて、今回の件を見ると
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った。
とあります。この法律は、法の下の平等、不当な抑留・拘禁からの自由、法の適正執行から言って、強制入院は憲法違反であると訴えたようです。
実にふざけた訴えで、要するに精神障碍者で他害を行った人は刑務所にもいかず強制入院も人権違反だというものです。

医療観察法第七十条 
検察官、指定入院医療機関の管理者若しくは保護観察所の長又は対象者、保護者若しくは付添人は、憲法に違反し、若しくは憲法の解釈に誤りがあること、又は最高裁判所若しくは上訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由とする場合に限り、抗告裁判所のした第六十八条の決定に対し、二週間以内に、最高裁判所に特に抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。


第三小法廷全員一致です
裁判長裁判官 宮崎裕子
裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政

この判断は当たり前すぎます。おそらく人権は弁護士とやらが焚きつけて最高裁まで言ったのだと思いますが、最高裁で進路受理した時点で驚きです。
殺されかけた人は、こんな糞な弁護士どものせいでさらにつらい目に遭ったことでしょう。