最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

根拠が雑:固定資産の算定方法

2022-09-29 19:37:04 | 日記
令和3(行ヒ)283  固定資産評価審査決定取消等請求事件
令和4年9月8日  最高裁判所第一小法廷  判決  その他  大阪高等裁判所

マスコミでは報道されていないようなので、事実確認を見ていきます。
1 ゴルフ場の用に供されている兵庫県丹波市所在の一団の土地に係る固定資産税の納税義務者である上告人が、土地課税台帳に登録された本件各土地の平成30年度の価格を不服として丹波市固定資産評価審査委員会に審査の申出をした。
これを棄却する旨の審査の決定を受けたことから、上記価格の適否に関する本件決定の判断に誤りがあるなどと主張して、被上告人を相手に、本件決定のうち上告人が適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づいて請求した。

2 ア 地方税法349条1項は、土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は、当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されたものとする旨規定し、同法403条1項は、市町村長は、同法388条1項の固定資産評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない旨規定する。平成30年度は上記の基準年度であり、これに係る賦課期日は平成30年1月1日である。
イ ①当該ゴルフ場を開設するに当たり要した当該ゴルフ場用地の取得価額に当該ゴルフ場用地の造成費を加算した価額を基準とし、当該ゴルフ場の位置、利用状況等を考慮してその価額を求める方法によるものとするとし、②この場合において、取得価額及び造成費は、当該ゴルフ場用地の取得後若しくは造成後において価格事情に変動があるとき、又はその取得価額若しくは造成費が不明のときは、附近の土地の価額又は最近における造成費から評定した価額によるものとすると定めている。

3 ア 本件各土地及びその周辺の土地は、昭和20年頃まで滑空機の訓練場として利用されており、山間にありながら傾斜の緩やかな土地となっている。そのうち本件各土地は、同45年頃には谷がなく平坦な地形であったところ、同49年頃、見通しの良い平らなゴルフ場に造成された。


造成した金額も周辺の土地も参考にならなかったわけですね。

イ 丹波市長は、本件各土地につき、山林比準方式を用いて取得価額を評定するとともに、丘陵コースの平均的造成費(840円/㎡)を用いて造成費を評定した上で、平成30年1月1日における価格を合計2億0930万8435円と決定し、土地課税台帳に登録した。

えいやーで決めないとどうしようもないのは分かりますが、ここでなぜ840円/㎡なのかの根拠を書かないと駄目でしょう。

4(1)その登録価格の決定は違法となるところ(最高裁平成24年(行ヒ)第79号同25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)、当該登録価格について審査の申出を受けた固定資産評価審査委員会が、評価基準の解釈適用を誤り、過大な登録価格を是認する審査の決定をしたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、上記委員会が上記審査の決定をする上において、これを構成する委員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と判断したと認め得るような事情がある場合に限り、上記評価を受けるものと解するのが相当である(最高裁平成元年(オ)第930号、第1093号同5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁参照)。

最高裁平成24年(行ヒ)第79号では、「適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうと解される。」とありますが、景気の状態によっては再調達価格といってもわずか半年で10%以上値動きしますからね。これ自体がかなり無理がある判決です。この判例でも十分漫然としていると言っていいレベルです。

イ 本件定めにおいては、評価の対象となるゴルフ場用地の造成費は、実際に要する造成費の額が不明であるなどの場合には、代替的に、最近における造成費から評定した価額によるべきものとされており、その趣旨に照らせば、平均的ないし類型的にであっても、必要な工事の程度に応じた評定が予定されているものと解すべきことは明らかである。

だったら計算方法をきちんと提示すべきじゃないですかね。これじゃ漫然として決めたようにしか見えません。

したがって、上記アの見解に立脚して評価基準の解釈適用を誤ったことについて、本件委員会の委員に職務上の注意義務違反が認められないとした原審の判断には、国家賠償法1条1項の解釈適用を誤った違法がある。

微妙だなぁという印象です。もっと丁寧に書けよと思いますね。この判決文が将来の判決に影響するのですから。

更に審理を尽くさせるため、同部分につき、本件を原審に差し戻すこととする。

この部分は当然だと思います。

第一小法廷判決裁判官全員一致の意見

裁判長裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

全員雑過ぎますよ。この裁判官は源泉徴収で自動的に税金を支払うのでしょうけど、会社経営者はこの税金で会社が成り立つかどうかが決まるのです。ここの根拠をしっかりしてくれないと、投資もできないんですよ。先ほども書きましたが、どのような根拠でその金額が決まったのか、しっかり書いてもらわないと、今後の判例に関わるのでしっかり根拠を書いてもらわないと困ります。

トンデモ判決 判決刑務所内での作業報奨金は差し押さえできない

2022-09-15 21:52:51 | 日記
令和4(許)6  債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
令和4年8月16日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  広島高等裁判所

 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対して強制執行をすることはできない

たった1枚の判決文です。

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条は、作業を行った受刑者に対する作業報奨金の支給について定めている。

(作業報奨金)
第九十八条 刑事施設の長は、作業を行った受刑者に対しては、釈放の際(その者が受刑者以外の被収容者となったときは、その際)に、その時における報奨金計算額に相当する金額の作業報奨金を支給するものとする。
2 刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、毎月、その月の前月において受刑者が行った作業に対応する金額として、法務大臣が定める基準に従い、その作業の成績その他就業に関する事項を考慮して算出した金額を報奨金計算額に加算するものとする。ただし、釈放の日の属する月における作業に係る加算は、釈放の時に行う。
3 前項の基準は、作業の種類及び内容、作業に要する知識及び技能の程度等を考慮して定める。
4 刑事施設の長は、受刑者がその釈放前に作業報奨金の支給を受けたい旨の申出をした場合において、その使用の目的が、自弁物品等の購入、親族の生計の援助、被害者に対する損害賠償への充当等相当なものであると認めるときは、第一項の規定にかかわらず、法務省令で定めるところにより、その支給の時における報奨金計算額に相当する金額の範囲内で、申出の額の全部又は一部の金額を支給することができる。この場合には、その支給額に相当する金額を報奨金計算額から減額する。
5 受刑者が次の各号のいずれかに該当する場合において、当該各号に定める日から起算して六月を経過する日までに刑事施設に収容されなかったときは、その者の報奨金計算額は、零とする。
一 逃走したとき 逃走した日
二 第八十三条第二項の規定により解放された場合において、同条第三項に規定する避難を必要とする状況がなくなった後速やかに同項に規定する場所に出頭しなかったとき 避難を必要とする状況がなくなった日
三 外部通勤作業又は第百六条第一項の規定による外出若しくは外泊の場合において、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかったとき その日

このように書いてありますが、その報奨金はどういう目的かは記載されていません。なお通常第1条でその法律の目的が書かれるものですが、被収容者、被留置者及び海上保安被留置者の人権を尊重しつつ、これらの者の状況に応じた適切な処遇を行うことを目的とする。としかありません。

同条は、作業を奨励して受刑者の勤労意欲を高めるとともに受刑者の釈放後の当座の生活費等に充てる資金を確保すること等を通じて、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に資することを目的とするものであると解されるところ

どうしてそのように解せるのか、根拠がありません。

そうすると、同条の定める作業報奨金の支給を受ける権利は、その性質上、他に譲渡することが許されず、強制執行の対象にもならないと解するのが相当である。

無理矢理感満載な論証ですね。

裁判官全員一致
裁判長裁判官 渡 惠理子
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政

全員今ひとつです。
これは日本の民事裁判の糞なところがもろに出ています。
これは勝手な想像ですが、多分刑事事件でも起こして服役中なのでしょう。被害者は、治療も慰謝料もまともに払ってもらえず、民事裁判を起こしたのだと思います。すると、持ってないものは払えないとしらばっくれられることになります。服役中でほんのいくらかでも、治療費を払えというのは当然のことです。ところがこの裁判官たちは、殴られ損でも泣き寝入りしろと言っているのです。
犯罪被害者をさらに追い詰める判決としか言いようがありません。

ここではきっちり述べられていませんが、おそらく刑期を終えて出てくるときに完全に一文無しでは再び犯罪を起こす可能性がある、更生してからきっちり払えという所なんでしょうが、そんなこと可能ですか?・・・と解されるなんて何の根拠もないことをいうべきではありません。法務省は統計を取っているはずです。それを根拠に出して論証すべきです。