最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

よくわからん判決:都立高校は高校ごとに事業所扱い・・・年金減額は妥当

2024-09-19 17:22:16 | 日記
令和4(行ヒ)352  退職共済年金及び老齢厚生年金減額処分無効確認乃至取り消し等請求事件
令和6年9月13日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所
 1 「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生年金保険の保険給付等に関する経過措置に関する政令」(平成27年政令第343号)50条にいう「施行日前から引き続き当該被保険者の資格を有するもの」とは、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)の施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいう
2 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号。令和2年法律第40号による改正前のもの)附則17条2項において準用される同附則15条3項(「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律及び地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律の施行に伴う地方公務員等共済組合法による長期給付等に関する経過措置に関する政令」(平成27年政令第347号。令和3年政令第229号による改正前のもの)36条1項による読替え後のもの)にいう「施行日前から引き続き改正後厚生年金保険法第27条に規定する被保険者…であるもの」とは、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)の施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいう


相変わらず悪文極まりない判決文です。
1 被上告人は、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行日(平成27年10月1日。以下「一元化法施行日」という。)前から、厚生年金保険法附則8条の規定によるいわゆる特別支給の老齢厚生年金及び地方公務員等共済組合法附則19条の規定によるいわゆる特別支給の退職共済年金の支給を受けていたが、厚生労働大臣及び上告人共済組合から、特老厚年金及び特退共年金の各一部につき平成28年5月分から支給停止とする処分を受けた。また、被上告人は、厚生労働大臣及び上告人共済組合から、特老厚年金及び特退共年金を平成29年4月分から減額する各処分を受けた。

公務員が退職して年金をもらうつもりでいたら、老齢年金と特別退職共済年金の両方の減額になったようです。

2 特老厚年金及び特退共年金は、65歳未満の者であっても、60歳以上であることなどの所定の要件を満たす場合に支給されるものである(厚年法附則8条、地方公務員等共済組合法附則19条)が、いずれも、その受給権者が在職して賃金を得ている場合には、その一部又は全部の支給停止がされることがある。

制度上減額ができることになっているようです。

一元化法の施行前は、特退共年金の在職支給停止の要件は特老厚年金の在職支給停止の要件と比べて厳格であったが、一元化法により、前者は後者に合わせることとされ、これに伴い、特退共年金の受給権者につき、在職支給停止による減額幅に上限を定めるなどの配慮措置が設けられた。

年金って税金と一緒で色々ありすぎて、本当によくわかりません。これも社会保険労務士を食わせていくための利権なんでしょうけど、こんなんだから未納率が高まるんだと思います。

事実関係は以下の通り。
1(1)昭和56年4月1日に東京都の教員として採用され、上告人共済組合の組合員資格を取得し、平成24年9月に特退共年金の受給権を取得したが、在職中であったことなどから、同年金は在職支給停止とされた。被上告人は、平成25年3月31日に定年退職したことにより、上記資格を喪失するとともに、特退共年金を同年4月分から受給することとなった。
(2)平成25年4月1日、東京都の日勤講師に任命され、東京都立B高等学校での勤務を開始した。都立高等学校については各校がそれぞれ厚生年金保険の適用事業所であるところ、被上告人は、同日、B高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を取得した。
被上告人は、平成26年4月1日に特老厚年金の受給権を取得し、同年金を同年5月分から受給していた。・・・一元化法施行日(平成27年10月1日)以降、本件配慮措置の適用により、特老厚年金及び特退共年金の全額を受給していた。
(3)平成28年3月31日、B高校での勤務を終了し、同年4月1日、日勤講師として、東京都立C高等学校での勤務を開始した。これにより、被上告人は、同日、B高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、C高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を取得した。


再雇用で年金入り直し、さらに別の高校で?こういうのって都が一元管理じゃないんですか。そっちの方が問題ですよね。

⑷ 厚生労働大臣は、被上告人がB高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失したため特老厚年金に係る本件配慮措置の要件を満たさなくなったとして、平成28年6月7日付けで、被上告人に対し、特老厚年金の一部を同年5月分から在職支給停止とする処分をした。また、厚生労働大臣は、平成29年6月1日付けで、被上告人に対し、物価の下落を理由として、特老厚年金を同年4月分から減額する処分をした。

最高裁の判断は次の通りでした。
(1)本件配慮措置を適用するための要件の一つとして、一元化法施行日の前から引き続き厚生年金保険の被保険者資格を有する者であることを定めているところ、厚年法は、原則として、適用事業所に使用されること又は使用されなくなることを厚生年金保険の被保険者資格の得喪事由とし(6条1項、9条、13条1項、14条2号等)、厚生年金保険の被保険者資格を個々の適用事業所ごとに把握することとしているものと解される。

確かに事業所といえば各高校になりますけど、それであっても都の公務員ですよね。それこそ教育委員会が事業所とすべきじゃないですか?なぜ各高校が事業所であるとすべきなのかの理由は一切述べられていません。その上で、

本件規定1にいう「施行日前から引き続き当該被保険者の資格を有するもの」とは、一元化法施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいうものと解するのが相当である。

論証不足ですね。

(2)本件規定2にいう「施行日前から引き続き改正後厚生年金保険法第27条に規定する被保険者…であるもの」とは、一元化法施行日の前から有していた特定の適用事業所に係る厚生年金保険の被保険者資格を同日以後においても継続して有する者をいうものと解するのが相当である。

一度定年退職して、翌日から働いていますよね。初日は換算せずなんでしょうか?それはさすがに実態と会わないでしょう。

⑶ 前記事実関係等によれば、被上告人は、平成28年4月1日、一元化法施行日の前から有していたB高校を適用事業所とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失したというのであるから、これにより、本件規定1に規定する者及び本件規定2に規定する者に該当しなくなったものというべきであり、被上告人の同年5月分以降の特老厚年金及び特退共年金には本件配慮措置は適用されない。

実態と合わないことをまた言っています。どうなんでしょうか?

第二小法廷 全員一致
裁判長裁判官 岡村和美
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 尾島 明

この理屈から言うと、家裁、地裁を転々としている裁判官は、裁判所ごとに年金入り直しとしないとつじつまが合わなくなります。明らかに論証不足ですね。

街頭演説ヤジ排除訴訟判決文を公開する気がない模様

2024-09-03 10:47:04 | 日記
選挙運動中の街頭演説のヤジについて、最高裁判決が出てから13日経過しましたが、通常であればもっと早く公開されます。ですが、未だに判決文が公開される気配が見られないということは、公開しないのではないかと思われます。

公職選挙法の関わる部分で、安部元首相へのヤジに始まり、選挙妨害としか思えない行為に対して、何故違法性はないとしたのか、判断基準は何なのか、これでは全く分かりません。

それどころかこのような雑極まりない判決文は公開されています。最高裁の見識を疑います。

次回の国民審査の際には最高裁判事全員に×をつけましょう。

速報 街頭演説ヤジ排除訴訟

2024-08-20 17:00:28 | 日記
まだ判決文が公開されていませんので、報道から見ていきます。

安倍首相の街頭演説ヤジ排除訴訟、最高裁が上告退ける…道が女性に55万円賠償の判決確定

判決などによると、2人は19年7月15日、JR札幌駅前での安倍元首相の演説中、「安倍辞めろ」「増税反対」などと叫んだところ、警察官に取り囲まれ、数十メートル移動させられるなどした。
 22年3月の札幌地裁判決は原告らの表現の自由が侵害されたとして、2人に対して計88万円を賠償するよう道に命令。一方、昨年6月の高裁判決は、男性への賠償命令を取り消し、男性と道が上告していた。


北海道警の「やじ」排除、賠償確定 参院選街頭演説中 表現の自由侵害認める 最高裁
2審判決によると、2人は19年7月15日、JR札幌駅前などで演説していた安倍氏に対し「安倍やめろ」「増税反対」などとやじを飛ばし、警察官らに肩や腕などをつかまれて移動させられた。女性はその後、約1時間にわたってつきまとわれるなどした。

資料動画
【HTBニュース】「安倍帰れ!」ヤジの市民を警察が排除 札幌

これを延々と繰り返していたのですよ。これが許されるなら、都知事選のヤジはどうなりますか?

【選挙活動を妨害か】「おい小池ー!」「乙武!」“つばさの党”強制捜査、代表は「弾圧だ」 小池知事「ここ日本ですよね?」

どの裁判官が賛成したのか、まだ判決文がないのでわかりませんが、日本の選挙制度を根幹から揺るがすアホな判決になりそうです。

雑過ぎ判決

2024-08-14 19:21:18 | 日記
令和6(し)462  逮捕状発付の裁判に対する特別抗告事件
令和6年7月17日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  社簡易裁判所

また出ました、1枚判決。しかもこの分量は最短記録かも知れません。なぜこれが最高裁まで争われたのか、なぜこれが判例集としてここの掲載されることになるほど重要なのか、全く分かりません。

主 文
本件抗告を棄却する。
理 由
逮捕に関する裁判が刑訴法429条1項の準抗告の対象とならない趣旨に鑑みると、逮捕に関する裁判に対しては、特別抗告をすることはできないと解されるから、本件抗告の申立ては不適法である。
よって、同法434条426条1項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

裁判長裁判官 宮川美津子
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

全員雑過ぎ。法令上矛盾の有無を書いているだけでしょ。プロならしっかり書けよ。
判決文は法律家の者だけじゃないんですよ

微妙判決 仮想通貨ハッキングされて取引された取引会社を組織犯罪に認定

2024-08-13 19:52:33 | 日記
令和4(あ)1460  組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
令和6年7月16日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
 不正に入手した暗号資産NEMの秘密鍵で署名した上でNEMの移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した行為が刑法246条の2にいう「虚偽の情報」を与えたものとされた事例

報道がないので判決文から書いていきます。

1 原判決が是認する第1審判決の認定及び記録によれば、被告人が収受した暗号資産(仮想通貨)であるNEMは、氏名不詳者が、不正に入手したA株式会社(以下「A社」という。)のNEMの秘密鍵を用いて、A社の管理するNEMアドレスから氏名不詳者らの管理するNEMアドレスに移転させたNEM(以下「本件NEM」という。)の一部であったと認められる(以下、本件NEMの移転行為を「本件移転行為」という。)。そして、NEMの取引においては、取引日時、取引数量、送受信アドレス等の取引に必要な情報(以下「トランザクション情報」という。)を、送信元のNEMアドレスに紐づけられている秘密鍵で署名した上でNEMのネットワークに送信すると、NEMのネットワークを構成するいずれか一つのNISノード(サーバ)が、送信元のNEMアドレスに紐づけられている公開鍵で、署名が秘密鍵によってなされたものであるかを検証し、トランザクション情報の整合性を機械的に確認して、トランザクションを承認し、こうして承認されたトランザクションが、他の承認されたトランザククションとともにまとめて一つのブロックとして生成され、これが順次積み重なりブロックチェーンに組み込まれ、最初のブロックから最新のブロックまで一連のブロックチェーンの情報をNEMのネットワーク全体が共有することで、書換えが事実上困難になり、取引が確定するというのである。

相変わらずダラダラと何が言いたいのかよく分からん糞な文章です。

A社は仮想通貨NEMの取引を扱う会社である。
NEMは所有権の移転をNEMアドレスで管理している。
取引の前後はNEMアドレスで記録される。
送信元のNEMアドレスに紐づけられている公開鍵で検証できる。
取引はNEM全体で記録されるので、書き換えができない。

こう書けばわかりやすいのに、なんでわざわざ長ったらしいことを書くのか分かりません。

訴えの内容は、
2 氏名不詳者が不正に入手した秘密鍵を用いて本件移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した行為は、刑法246条の2にいう「虚偽の情報」を与えたことにならず、本件移転行為は電子計算機使用詐欺罪に該当しないから、本件NEMは、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号にいう「犯罪行為により得た財産」に当たらず、被告人には、令和4年法律第97号による改正前の組織的犯罪処罰法11条違反の罪(以下「犯罪収益等収受罪」という。)は成立しないと主張する。

これもよく分かりません。A社は秘密鍵で空けられたことを知らなかったのか?も書かれていません。おそらく取引はすべて記録に残るから分かるはずだということなんでしょうか。それで、A社は盗まれたNEMをしっかり管理してなかったということで、組織犯罪扱いされたということのようです。

3 NEMのネットワークに参加している者は、自らの管理するNEMアドレスに紐づけられている秘密鍵で署名しなければ、トランザクションがNISノードに承認されることも、ブロックチェーンに組み込まれることもなく、NEMの取引を行うことができないのであるから、秘密鍵で署名した上でトランザクション情報をNEMのネットワークに送信することは、正規に秘密鍵を保有する者によるNEMの取引であることの確認のために求められるものといえる。

どうもそういう事らしいですね。

このような事情の下では、氏名不詳者が、不正に入手したA社のNEMの秘密鍵で署名した上で本件移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した行為は、正規に秘密鍵を保有するA社がNEMの取引をするものであるとの「虚偽の情報」をNEMのネットワークを構成するNISノードに与えたものというべきである。

虚偽の情報を確認することなく送信したのは犯罪に加担したと言っているようです。

刑訴法414条396条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

裁判官今崎幸彦と裁判官今崎幸彦の補足意見
NEM等の暗号資産は、資金決済に関する法律上、不特定の者に対して決済手段として使用でき、かつ不特定の者との間で売買、交換を行うことができるような財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるものと定義されている。本件当時においても、ブロックチェーンや公開鍵暗号等の技術を用いた数多くの暗号資産が発行されており、秘密鍵による排他的支配可能性を前提に、資産等としての利用が急速に拡大し、幅広く取引の対象とされそのための市場が形成されていたということができる。

ピコ秒単位で売り買いがなされるので、人手では無理です。

こうしたNEM等の暗号資産が社会経済において果たしている役割や重要性等に照らし、資金決済に関する法律等は、暗号資産のネットワークに参加している暗号資産交換業者に対し、暗号資産交換業者を介して取引を行う利用者保護のための規制を設け、また、本件後ではあるが、金融商品取引法は、令和元年法律第28号による改正により、暗号資産の不公正取引を規制し、暗号資産のネットワークに参加している者らの権利のより直接的な保護を図っている。正規の秘密鍵保有者でない者が不正に入手した秘密鍵で署名した上で、当該秘密鍵が紐づいているアドレスから他のアドレスにNEM等の暗号資産を移転させた場合、正規の秘密鍵保有者が暗号資産を移転させた者に対し、少なくとも不当利得や不法行為等を理由とした民事上の請求を行うことができることについても大方の異論のないところであろう。

本来の所有者ではない人が売った、しかもNEMをA社が管理していたのだからA社は民事上責任を負うべきだ。としています。この点は納得です。

「虚偽の情報」該当性は、こうしたNEMの利用実態、ひいてはNEM等の暗号資産が社会経済において果たしている役割や重要性等の観点からの考察抜きに判断することはできないのであって、システム単体としての仕組みや働き等からロジカルに演繹されるものではない。

ここなんですよね。虚偽情報かどうかとどうやったら分かるのか?という問題です。

不正に入手したA社の秘密鍵で署名した上で、当該秘密鍵が紐づいているA社の管理するNEMアドレスから氏名不詳者らの管理するNEMアドレスにNEMを移転させる旨の本件移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した。

A社が管理する秘密鍵がとられたとなると重過失になりますね。

NEMのシステムに対する社会の信頼は、正規の秘密鍵保有者が秘密鍵の管理を通じてNEMを排他的に支配することができることによって確保される。正規の秘密鍵保有者以外の者が不正な方法で秘密鍵を入手し、これで署名することは、正規の秘密鍵保有者のNEMに対する排他的支配を害し、NEMのシステムに対する社会の信頼を損なう。こうした観点も踏まえれば、不正に入手した秘密鍵で署名した上で本件移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した行為は、正規の秘密鍵保有者であるという意味での主体を偽ったトランザクション情報をNEMのネットワークを構成するNISノードに与えた行為と評することができるのであり、電子計算機に「虚偽の情報」を与える行為にほかならない。

これも何をいっているのか分かりません。もっとわかりやすく書けよ。
1 秘密鍵は秘密に管理されているから信頼される
2 不正な方法で秘密鍵を手に入れてA社で管理するシステムを使った場合、電子計算機に「虚偽の情報」を与える。

ん?トートロジーじゃないですか。書くなら、「偽鍵でシステムに入り込んで情報を入力され、A社が管理するシステムを経由して取引が成立したことは、犯罪行為を助長した」とでも書けばわかりやすいのに。

裁判長裁判官 林 道晴
裁判官 宇賀克也
裁判官 渡 惠理子
裁判官 今崎幸彦

今回の判決文は分かってないで書いてるんじゃないかなと思わせますね。
ハッキングされたまではA社は被害者だけど、A社のシステムを使って取引された。これはシステムを提供したのと同じだから組織犯罪・・・政策的にはそうでもしないと雑なシステム管理のまま放置されると事件が増えるから、刑事事件にするいうのは分からないでもないですが、組織犯罪の成立要件を満たしているのでしょうか?

統一教会裁判 献金の合意が公序良俗に反する それでいいのか?

2024-08-09 20:49:38 | 日記
令和4(受)2281  損害賠償請求事件
令和6年7月11日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所
1 宗教法人とその信者との間において締結された不起訴の合意が公序良俗に反し無効であるとされた事例 
2 宗教法人の信者らによる献金の勧誘が不法行為法上違法であるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例


産経新聞の報道です。
遺族「長い年月だった」 旧統一教会の念書「無効」判決 「女性に一方的に不利益」と判断
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側の献金勧誘を巡り、元信者の女性の遺族が教団側に損害賠償を求めた訴訟で、11日の最高裁判決は、高齢女性が1億円超に上る献金を続けた状況を「異例」で、女性の生活に「無視しがたい影響を及ぼすもの」と指摘。遺族は判決を評価しつつ、「長い年月だった」と振り返った。
「地裁でもう少しましな判決が出ていれば、母に聞かせることができた」。判決後、会見した女性の長女は、無念さをにじませた。
平成27年8月、女性から教団への献金を打ち明けられた。その年の11月、女性は「献金は自身の意思で行った」「返還請求などを一切行わない」とする念書を作成。認知症と診断されたのは、28年5月のことだ。
女性と長女は教団側を訴えたが、1審東京地裁では念書を理由に門前払いされ、母は控訴審中に死去し、令和4年7月の2審東京高裁でも敗訴。最高裁に望みをかけた。


日経新聞の報道です
旧統一教会の勝訴破棄 「訴訟起こさぬ」念書は無効―献金勧誘で初判断・最高裁
同小法廷は念書の有効性について「趣旨や目的、対象となる権利、当事者が被る不利益の程度などを総合考慮すべきだ」との判断枠組みを初めて示した。その上で、女性が作成時86歳と高齢で、半年後には認知症と診断された点や、見返りもなく1億円超を献金したことなどを挙げ、「一方的に大きな不利益を与える」として、無効と結論付けた。
 宗教団体の献金勧誘行為についても違法性を判断する際の枠組みを初めて提示。献金が自由な意思で行われているか、本人や配偶者の生活に支障が生じていないかなどを総合的に考慮し、「社会通念上相当な範囲を逸脱すると認められる場合、違法と評価される」とした。
 女性は当時、加齢による判断能力低下の可能性が否定できず、自らの土地を売却して献金するなどしており、「献金の態様は異例」「生活の維持に無視し難い影響を及ぼす額だ」と指摘。新たに示した枠組みに基づいて違法性の有無を判断するため高裁に差し戻した。


では、事実確認から見ていきます。
(1)ア 亡Aは、昭和4年生まれの女性であり、昭和28年に亡Bと婚姻し、その後3女をもうけた。亡Aには、昭和22年に妹が11歳で早世する、昭和34年に亡Bの母が自殺する、平成10年に二女が離婚する、亡Bが重病にかかり、平成17年8月以降、入退院を繰り返すなどの不幸な出来事があった。
イ 、平成16年以降、松本信徒会(長野県松本市所在の被上告人家庭連合の松本教会に通う信者らによって構成される組織)が運営する施設に通い始め、・・・その教理の中に
は、病気、事故、離婚等の様々な問題の多くは怨恨を持つ霊によって引き起こされており、そのような霊の影響から脱して幸せに暮らすためには献金をして地獄にいる先祖を解怨することなどが必要であるというものがあった。


世の中にはこれ以上に不幸な事っていっぱい起きているんですよ。嫌な目に合うのは自分だけじゃなくて、いっぱいいます。それを世間に向かって言うか言わないかぐらいの差です。さらに宗教ってそんなもんでしょう。それにすがって少しでも楽になるならそれもよし、ですがそんなもんで解決しませんよ。平成17年の献金のときは76歳ですね。と法相云々には微妙な年齢です。

(2)亡Aは、被上告人家庭連合に対し、平成17年から平成21年までの間、十数回にわたり合計1億0058万円を献金した。これに加えて、亡Aは、平成20年から平成22年までの間、自己の所有する土地を3回にわたり合計約7268万円で売却し、その売得金のうち合計480万円を被上告人家庭連合に献金した。上記の各献金は、被上告人家庭連合の信者らによる献金の勧誘を受けて行われたものであった。
(3)ア 亡Aは、平成21年に亡Bが死亡した後、単身で生活していたところ、平成27年8月、上告人に対し、被上告人家庭連合に献金をしていた事実を話した。その後、亡Aは、被上告人家庭連合の信者に対し、上告人に上記事実を話した旨を伝えた。


Aしか知らない状態が平成27年まであったと。その間に土地建物現金を結構寄進してしまったようです。

イ 被上告人家庭連合の信者であったCは、平成27年11月頃、それまでにCが被上告人家庭連合にした献金につき、将来、Cの娘婿が被上告人家庭連合に返金を求めることを懸念し、松本信徒会の婦人部の部長であった被上告人Y1に相談したところ、公証人役場において上記返金の請求を阻止するための書類を作成する方法があることを伝えられた。亡Aは、Cから上記書類を作成する話を聞き、自身も同様の書類を作成することとした。
ウ 亡Aは、平成27年11月、Cと共に、被上告人家庭連合の信者の運転する自動車で公証人役場へ行き、公証人の面前において、被上告人家庭連合の信者がその文案を作成した「念書」と題する書面に署名押印し、当該書面に公証人の認証を受けた。・・・その際、被上告人家庭連合の信者により、亡Aが被上告人Y1からの質問に答えて上記献金につき返金手続をする意思はないことを肯定する様子がビデオ撮影された。


あくどいですね。公証人役場で念書を書かせて公証人の認証ですか。宗教団体だったら、その後の面倒ぐらい見てやれよという感じですが、丸ごと持って言った感じでしょうか。

(3)ア 亡Aは、平成28年5月、アルツハイマー型認知症により成年後見相当と診断された。
イ 亡Aは、平成29年3月、本件訴えを提起し、令和3年7月、死亡した。


ここが厄介ですね。アルツハイマー発症が平成28年で、献金はその10年前です。

最高裁は
本件不起訴合意の有効性について
ア 特定の権利又は法律関係について裁判所に訴えを提起しないことを約する私人間の合意は、その効力を一律に否定すべきものではないが、裁判を受ける権利(憲法32条)を制約するものであることからすると、その有効性については慎重に判断すべきである。


憲法32条があるならこの念書そのものを無効にすべきじゃないんですか?

イ 亡Aは、本件不起訴合意を締結した当時、86歳という高齢の単身者であり、その約半年後にはアルツハイマー型認知症により成年後見相当と診断されたものである。そして、亡Aは、被上告人家庭連合の教理を学び始めてから上記の締結までの約10年間、その教理に従い、1億円を超える多額の献金を行い、多数回にわたり渡韓して先祖を解怨する儀式等に参加するなど、被上告人家庭連合の心理的な影響の下にあった。そうすると、亡Aは、被上告人家庭連合からの提案の利害得失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状態にあったというべきである。また、被上告人家庭連合の信者らは、亡Aが上告人に献金の事実を明かしたことを知った後に、本件念書の文案を作成し、公証人役場におけるその認証の手続にも同行し、その後、亡Aの意思を確認する様子をビデオ撮影するなどしており、本件不起訴合意は、終始、被上告人家庭連合の信者らの主導の下に締結されたものである。さらに、本件不起訴合意の内容は、亡Aがした1億円を超える多額の献金について、何らの見返りもなく無条件に不法行為に基づく損害賠償請求等に係る訴えを一切提起しないというものであり、本件勧誘行為による損害の回復の手段を封ずる結果を招くものであって、上記献金の額に照らせば、亡Aが被る不利益の程度は大きい。・・・したがって、本件不起訴合意は、公序良俗に反し、無効である。

100歳超えてしっかりしている人もいれば40代で弱先生痴呆症を発する人もいます。Aがどれだけ金持ちだったのか知りませんが、総資産のうちの何%なのかもわかりません。程度の問題とするには無理がある掻き方です。せめて、総資産の70%とか基準を出すべきでしょう。それ以前に憲法32条で裁判をしない旨の念書はすべて無効にすべきでは?

(2)本件勧誘行為の違法性について
ア 宗教団体又はその信者が当該宗教団体に献金をするように他者を勧誘することは、宗教活動の一環として許容されており、直ちに違法と評価されるものではない。・・・それ
に限らず、寄附者の自由な意思を抑圧し、寄附者が献金をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすることや、献金により寄附者又はその配偶者その他の親族の生活の維持を困難にすることがないようにすることについても、十分に配慮することが求められるというべきである(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律3条1号、2号参照)。


よく分からん法律がありますね。恋愛感情が云々とか、これってホストクラブとかキャバクラにも通用するのでしょうか?笑うしかないネタ法律です。しかし成立は令和5年なんですよ。寄付行為は平成17年からですよね。これを根拠条文に使うのには無理がないですか?

イ 本件においては、亡Aは、本件献金当時、80歳前後という高齢であり、種々の身内の不幸を抱えていたことからすると、加齢による判断能力の低下が生じていたり、心情的に不安定になりやすかったりした可能性があることを否定できない。
ウ これらを考慮すると、本件勧誘行為については、勧誘の在り方として社会通念上相当な範囲を逸脱するかどうかにつき、前記アのような多角的な観点から慎重な判断を要するだけの事情があるというべきである。しかるに、原審は、被上告人家庭連合の信者らが本件勧誘行為において具体的な害悪を告知したとは認められず、その一部において害悪の告知があったとしても亡Aの自由な意思決定が阻害されたとは認められない、


すっきりしませんね。高齢だからといって判断能力が劣ったとは言い切れません。ならば80歳以上は行為無能力者として扱うべきでしょう。加えて、不安だから入信したのであって、不安を煽って入信させたのかの立証がないですよね。

原審の判断には、献金勧誘行為の違法性に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の判断枠組みに基づく審理を尽くさなかった違法があるというべきである。

裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 堺 徹
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 宮川美津子

補足意見も何もなしですか。これはどう見ても論旨に無理があります。結論は心情的には不法だとするにはいいのですが、論旨が無茶苦茶。審議を尽くすのは最高裁側です。これは自己責任でしょう。

営業秘密の保護があるからその部分だけ裁判は公開しない

2024-08-07 18:24:58 | 日記
令和4(マ)246  閲覧等制限の申立て事件
令和6年7月8日  最高裁判所第一小法廷  決定  却下
 民事事件の訴訟記録に係る閲覧等の制限の申立てについての却下決定に補足意見が付された事例

これは前回記事の関連裁判のようです。
取締役の背任、退職慰労金大幅減額は当然

本文はたったのこれだけです。
申立人から、最高裁判所令和4年(受)第1780号退職慰労金等請求事件について、秘密保護のための閲覧等の制限の申立てがあったが、当裁判所は、上記申立ては理由がないものと認め、裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定する。主 文
本件申立てを却下する。
申立費用は申立人の負担とする。


なぜそういう結論になったのか少しは理由ぐらいあってもよさそうなのに。これに唯一意見を言ったのが裁判官深山卓也でした。

1 本件は、基本事件の上告人株式会社テレビ宮崎が、基本事件の訴訟記録のうち、上告受理申立て理由補充書の一部の記載につき、民事訴訟法92条1項2号の営業秘密に該当するとして、閲覧等の制限の申立てをした事案である。

以下、深山裁判官が意見を書いた動機がよく分かります。

1 証拠提出された書証の引用部分であり、その内容は、同書証に①基本事件の被上告人が代表取締役在任中にした行為の悪質性、②同行為が申立人に与えた損害の重大性、及び③同行為の存在を理由とする退職慰労金不支給決定の正当性について記載がある旨を述べるものである。・・・不正競争防止法2条6項に規定する営業秘密に該当するものであり、これが「訴訟記録の閲覧等によって外部に知られるところとなると、競合他社によって容易に申立人の事業情報等が利用され、申立人の業界内における地位は相対的に低下するおそれがあり、その場合の申立人の将来にわたる営業令和4年(マ)第246号 閲覧等制限の申立て事件令和6年7月8日 第一小法廷決定上の損失ははかりしれないものとなる。」ことを理由として、閲覧等の制限の必要性があると主張している。

特定秘密が絡んでいるとなると、外部の人に見せられませんね。裁判官で判断するしかないです。

2 民事訴訟法92条が規定する秘密保護のための閲覧等の制限の制度は、憲法上の裁判の公開原則(憲法82条)をより徹底する趣旨から設けられた訴訟記録の公開制度(民事訴訟法91条)の重大な例外であることから、保護されるべき秘密を必要最小限のものに限定しており、同法92条1項2号括弧書きが営業秘密を「不正競争防止法第2条第6項に規定する営業秘密」、すなわち、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」をいうとして概念を明確にしているのもその現れである。

そうなりますよね。こういう文章を意見としてでなく、きちんと本文に書くべきです。

第一小法廷決定 裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 深山卓也 マトモ
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹
裁判官 宮川美津子

取締役の背任、退職慰労金大幅減額は当然

2024-08-04 19:23:21 | 日記
令和4(受)1780  退職慰労金等請求事件
令和6年7月8日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  福岡高等裁判所  宮崎支部
退任取締役の退職慰労金について株主総会決議による委任を受けた取締役会がした、内規の定める基準額から大幅に減額した額を支給する旨の決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないとされた事例

朝日新聞の報道です
テレビ宮崎の退職慰労金、85%減らされた前社長が逆転敗訴 最高裁
退職慰労金を不当に減らされたとして、テレビ宮崎(宮崎市)の渡辺道徳・前社長が、同社側に約2億円の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(深山卓也裁判長)は8日、前社長の請求を退ける判決を言い渡した。同社側に全額の支払いを命じた一、二審判決を破棄し、前社長の逆転敗訴が確定した。
 同社は退職慰労金に関する内規で「在任中に特に重大な損害を与えた場合は減額できる」と定める。同社の取締役会は2018年2月、渡辺氏が在任中に出張宿泊費やCSR(企業の社会的責任)事業などで不適切な支出を繰り返したとして、慰労金を85%減額し、5700万円を支払った。


払ったんですね。全額取り返すどころか、むしろ背任で刑事告発すべき案件かと思いますが。

訴えの内容です。
1 人株式会社テレビ宮崎の代表取締役を退任した被上告人が、上告人会社の株主総会から被上告人の退職慰労金について決定することの委任を受けた取締役会において、代表取締役である上告人Y1の故意又は過失により上記委任の範囲を超える減額をした退職慰労金を支給する旨の決議がされたなどと主張して、上告人Y1に対しては民法709条等に基づき、上告人会社に対しては会社法350条等に基づき、損害賠償等を求める事案である。本件では、上記の取締役会決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるか否かなどが争われている。

続いて事実確認です。
(1)上告人会社においては、退任取締役の退職慰労金の算定基準等を定めた取締役退任慰労金内規が存在する。・・・退任取締役のうち、「在任中特に重大な損害を与えたもの」に対し、基準額を減額することができる旨の定めがあった。なお、本件内規には、減額の範囲ないし限度についての定めは置かれていない。

訴えた元代表取締役は、退職慰労金を貰う事と損害賠償は別物だと思っているようです。

(2)ら平成27年までの間、上告人会社から、社内規程所定の上限額を超過する額の宿泊費等を受領した。同年、上告人会社について実施された税務調査においてこのことが発覚し、当該超過分合計約1610万円が被上告人の報酬と認定され、被上告人は、上告人会社が納付した上記の報酬認定に係る源泉徴収税に相当する額を負担することになった。被上告人は、平成28年7月、上告人会社の取締役会の委任を受けた代表取締役として自らの平成28年度の報酬を決定するに当たり、これを前年度と比べて2308万円増額し、その後は退任するまで増額された報酬を受領した。

せこいですね。家賃補助?のちょろまかした上に、報酬を増額ですか?

交際費として、上記の額を大幅に超過する額(当該超過分は合計約1億0079万円)を上告人会社に支出させた。さらに、被上告人は、上告人会社の海外旅費規程を改定させ、平成24年から平成28年までの間、被上告人の出張に伴う支度金として、上記の改定前の海外旅費規程によるよりも約545万円多い額を上告人会社に支出させるなどした

思いっきり背任じゃないですか。刑事事件にならなかったのでしょうか。というか、退職まで誰も気づかない?公認会計士はこれまで何をやってたんでしょうか。事件は税務調査で分かったようです。

(3)被上告人は、平成29年5月に開催された上告人会社の取締役会において、体調不良を理由に、同年6月に開催される定時株主総会の終結時をもって代表取締役及び取締役を辞任する意向を表明した。
(4)平成29年6月16日に開催された上告人会社の定時株主総会において、被上告人の退職慰労金について、本件内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の決議がされた。


平成29年5月26日の宮崎日日新聞報道があったようなので、その直後ですね。ということは背任の可能性を取締役たちは知っていたことになります。しかもごめんなさいではなく、体調不良で逃亡です。

(5)被上告人と利害関係のない弁護士3名及び公認会計士1名並びに上告人会社の常勤監査役1名で構成される調査委員会が設置され、本件調査委員会により被上告人の退職慰労金に関する事実関係の調査等が実施された。
ア 本件行為1は、特別背任罪の成立要件の充足を否定しきれない悪質な行為である。・・・、その支出のうち約2億0558万円は明らかに過剰なものであった。
イ 上告人会社の取締役会は、本件行為1につき告訴をすると判断した場合、被上告人に退職慰労金を支給しない旨の決議をすべきである。・・・そして、被上告人に退職慰労金を支給する場合、被上告人に係る基準額から上記アの財産上の損害の額の全部又は相当部分を控除して上記退職慰労金の額を算出する方法を採用することには合理性がある。


この金額だと刑務所に入るのもおかしくない金額です。示談があっても退職金全額不支給どころか、刑事告訴すべきですね。甘やかしすぎですよ。

(6)被上告人の退職慰労金に係る基準額として算出した3億7720万円から上記 アの約3億5551万円の約90%相当額を控除した5700万円を退職慰労金として支給するのが相当である旨の上告人Y1の提案が支持され、被上告人に対して上記の額の退職慰労金を支給する旨の決議がされた。

第三者委員会であってもノーギャラってことはあり得ませんからね。なんだかんだ言って1000万ぐらいはかかっていると思われます。

最高裁は次のように判断しました。
(1)上告人会社の株主総会が退任取締役の退職慰労金について本件内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の決議をした場合、取締役会は、退任取締役が本件減額規定にいう「在任中特に重大な損害を与えたもの」に当たるか否か、これに当たる場合に減額をした結果として退職慰労金の額をいくらにするかの点について判断する必要があるところ、上記の本件減額規定の趣旨に鑑みれば、取締役会は、取締役の職務の執行を監督する見地から、当該退任取締役が上告人会社に特に重大な損害を与えたという評価の基礎となった行為の内容や性質、当該行為によって上告人会社が受けた影響、当該退任取締役の上告人会社における地位等の事情を総合考慮して、上記の点についての判断をすべきである。

いつもの意味不明なまで長い文章です。小学校で勉強し直せと言いたくなりますな。
1 退職慰労金は取締役会で一任する旨決議されている
2 取締役会は、取締役の職務の執行を監督する立場にある
この2つを根拠に判断すべきとしました。

取締役会は、上記の点について判断するに当たり広い裁量権を有するというべきであり、取締役会の決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということができるのは、この判断が株主総会の委任の趣旨に照らして不合理である場合に限られると解するのが相当である

広い裁量権?当然の範囲だと思いますけどね。

(2)前記事実関係によれば、上告人会社の取締役会は、被上告人が代表取締役在任中に本件各行為をしたことを考慮して、本件取締役会決議をしたものである。

上告人会社に損害を与えるものであったか否かにかかわらず、被上告人が本件減額規定にいう「在任中特に重大な損害を与えたもの」に当たるとして減額をし、その結果として被上告人の退職慰労金の額を5700万円とした取締役会の判断が株主総会の委任の趣旨に照らして不合理であるということはできない。

全員一致の意見
裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹
裁判官 宮川美津子

全員まとも。
問題はこの会社です、刑事事件にしましょうよ。主要株主は以下の通りです。
関西テレビ放送株式会社(19.5%)
株式会社読売新聞グループ本社(17.2%)
株式会社フジ・メディア・ホールディングス(9.9%)
株式会社宮崎日日新聞社(6.6%)
放送局のコンプラはどうなってるんでしょうね。

トンデモ 労災認定事業所は文句を言うな

2024-08-02 19:01:32 | 日記
令和5(行ヒ)108  療養補償給付支給処分(不支給決定の変更決定)の取消、休業補償給付支給処分の取消請求事件
令和6年7月4日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所
 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(令和2年法律第14号による改正前のもの)12条3項所定の事業の事業主は、当該事業についてされた業務災害に関する保険給付の支給決定の取消訴訟の原告適格を有しない

PSRネットワークの報道です
労災認定 「事業主の不服申し立ては認めない」 最高裁が初判断
令和6年7月4日、労働者の病気やけがを国が労災と認定した際、事業主が不服を申し立てることができるかが争われた訴訟の上告審判決があり、最高裁第一小法廷は、「事業主は不服を申し立てられない」とする初めての判断を示しました。
労災保険制度には、「メリット制」と呼ばれる仕組みがあり、使用する労働者が労災認定されると、事業主が負担する労災保険料が増額される場合があります。
今回の訴訟では、二審の高裁判決で、メリット制の適用を受ける事業主は労災の支給決定によって納付すべき保険料が増額するおそれがあるから、事業主の利益が侵害されるとして、「事業主の不服申立てを認める」としていました。
しかし、最高裁では、「労働者の迅速かつ公平な保護という労災保険法の趣旨を損なう」などとして、「事業主の不服申し立ては認めない」と判断し、二審の高裁判決を破棄しました。


事実認定から見ていきます。
1 処分行政庁は、被上告人に使用されて業務に従事していた上告補助参加人に対し、労働者災害補償保険法(令和2年法律第14号による改正前のもの。以下「労災保険法」という。)に基づき、上告補助参加人が業務に起因して疾病にり患したことを理由として、療養補償給付及び休業補償給付の各支給決定をした。

怪我ではなく疾病というのは困りますね。特に鬱関係だと、家庭問題なのか会社の問題なのか分かりませんからね。

被上告人(会社)が、上告人(国)を相手に、本件各処分の取消しを求める事案であり、被上告人は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(平成28年法律第17号による改正前のもの。以下「徴収法」という。)12条3項の規定によれば、本件各処分により、その納付すべき労働保険料が増額されるおそれがあるなどとして、本件各処分の取消しを求める原告適格を有すると主張している。

制度の概要
(1)政府は、労災保険法による労働者災害補償保険及び雇用保険法による雇用保険の事業に要する費用に充てるため、事業主から労働保険料を徴収する(労災保険法30条、雇用保険法68条1項、徴収法2条1項、10条1項)。
(2)事業主は、保険年度ごとに、まず概算額として徴収法15条1項各号所定の労働保険料の額を申告してこれを納付し、保険年度が終了してから、確定額として同法19条1項各号所定の労働保険料の額を申告し、納付した概算額が申告した確定額に足りないときは、その不足額を納付しなければならず、政府は、上記の各申告に係る申告書の記載に誤りがあると認めるとき等には、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する(同法15条、19条。以下、同法15条3項の規定により概算額を決定する処分及び同法19条4項の規定により確定額を決定する処分を併せて「保険料認定処分」という。)。
(3)労働保険料のうちの一般保険料(徴収法10条2項1号)の額は、賃金総額に一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とされており、一般保険料に係る保険料率は、労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては労災保険率と雇用保険率とを加えた率、労災保険に係る保険関係のみが成立している事業にあっては労災保険率とされている(同法11条、12条1項1号、2号)。・・・厚生労働大臣は、連続する3保険年度中の各保険年度において徴収法12条3項各号のいずれかに該当する事業であって当該連続する3保険年度中の最後の保険年度に属する3月31日において労災保険に係る保険関係が成立した後3年以上経過したもの(以下「特定事業」という。)については、同項所定の割合(以下「メリット収支率」という。)が100分の85を超え、又は100分の75以下である場合には、当該特定事業についての基準労災保険率を基礎として所定
の方法により引き上げ又は引き下げるなどした率を、当該特定事業についての上記の日の属する保険年度の次の次の保険年度の労災保険率とすることができる。


法的にはそうなんですが、例えば土建屋さんだと元請けから仕事を貰う時に、労災を何年以内に何回やったかで制限がかかるのですよ。そういったことは全く無視ですか?それにですね、労災があったと申請する人も本当にそうなのか?という問題があります。ここで疾病とありますが、例えば精神疾患の場合、家庭環境が問題なのか職場が問題なのかどちらが原因なのかはっきりしないこともあります。ですが最高裁は以下の判断をしました。

(1)行政事件訴訟法9条1項にいう処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうところ、本件においては、特定事業についてされた労災支給処分に基づく労災保険給付の額が当然に当該特定事業の事業主の納付すべき労働保険料の額の決定に影響を及ぼすこととなるか否かが問題となる。
(2)ア 被災労働者等の迅速かつ公正な保護という労災保険の目的(1条参照)に照らし、労災保険給付に係る多数の法律関係を早期に確定するとともに、専門の不服審査機関による特別の不服申立ての制度を用意すること(38条1項)によって、被災労働者等の権利利益の実効的な救済を図る趣旨に出たものであって、特定事業の事業主の納付すべき労働保険料の額を決定する際の基礎となる法律関係まで早期に確定しようとするものとは解されない。
イ 徴収法は、労災保険率について、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとした上で、特定事業の労災保険率については、基準労災保険率を基礎としつつ、特定事業ごとの労災保険給付の額に応じ、メリット収支率を介して増減し得るものとしている。


保険料が上がるだけでなく、先ほど書いた元請けからの受注がなくなる制裁が社会では一般化しています。これは建設業だけではありません。もう少し世間を見ましょうよ。

ウ 特定事業について支給された労災保険給付のうち客観的に支給要件を満たさないものの額は、当該特定事業の事業主の納付すべき労働保険料の額を決定する際の基礎とはならないものと解するのが相当である。そうすると、特定事業についてされた労災支給処分に基づく労災保険給付の額が当然に上記の決定に影響を及ぼすものではないから、特定事業の事業主は、その特定事業についてされた労災支給処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということはできない。

これでは異議申し立てができないということになりますよね。
以下実際にあった事例です。交通事故を起こしたトラック運転手の事例ですが、直前に妻から電話がありました。動揺して事故を起こしました。過去に何回か事故を起こしていますが、全て直前に妻からの電話があったとわかりました。
このときは流石に、労災の対象外となりましたが、労基署の調査不足や事実誤認があった場合、雇用主は何もできないことになります。裁判所だって下級審で事実誤認だ、量刑不当だと上訴できますよね。労基署の判断は神レベルなのでしょうか?公務員の無謬性という幻想ならぬ幻覚というか、かなりアホなことを言ってます。

第一小法廷判決 裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 堺 徹
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 宮川美津子

誰も補足意見も反対意見もないというのは驚きです。世間知らずにもほどがあります。

事例とありますが、違いが分からない判決:優生保護法

2024-07-29 20:31:20 | 日記
令和4(受)1411  国家賠償請求事件
令和6年7月3日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例

令和5(オ)1341  国家賠償請求事件
令和6年7月3日  最高裁判所大法廷  判決  破棄差戻  仙台高等裁判所
 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例

令和5(受)1323  国家賠償請求事件
令和6年7月3日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  札幌高等裁判所
 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例

基本的にこれと全部一緒です。
訳わからん判決 優生保護法の国家賠償の根拠 事件が重大だから
わざわざここに掲示する理由が分かりません。

訳わからん判決 優生保護法の国家賠償の根拠 事件が重大だから

2024-07-28 22:36:10 | 日記
令和4(受)1050  損害賠償請求事件
令和6年7月3日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所
民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例

釈然としない 優性保護法判決1 事実認定 - 最高裁判所裁判官の暴走を許さない
と事実認定は同じなので、ここでは取り上げません。

訴えの内容は以下の通りです。
令和5(受)1319国家賠償請求事件令和6年7月3日最高裁判所大法廷判決棄却大阪高等裁判所 1優生保護法中のいわゆる優生規定(同法3条1項1号から3号まで、10条及び13条2項)は、憲法13条及び14条1項に違反する2上記優生規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける3不法行為によって発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができる4同条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた。

優生保護法はすでに廃止されているので、そこだけ見ていきます。

ア 優生保護法は、昭和23年6月28日に成立し、同年7月13日に公布され、同年9月11日に施行された法律である。制定時の優生保護法1条は、この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする旨を定め、同法2条1項は、この法律で優生手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で命令をもって定めるものをいう旨を定めていた。・・・
①本人又は配偶者が遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇形を有しているもの(1号)、
②本人又は配偶者の4親等以内の血族関係にある者が遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇形を有し、かつ子孫にこれが遺伝するおそれのあるもの(2号)、
③本人又は配偶者がらい疾患にかかり、かつ子孫にこれが伝染するおそれのあるもの(3号)等

イ 上記改正後の優生保護法13条2項は、優生手術を行うことが適当である旨の都道府県優生保護審査会の決定があったときは、医師は、優生手術を行うことができる旨を定めていた。


義務じゃないんですよ。申請して、県単位の委員会で認定されたうえでの話です。

ウ 昭和28年次官通知には、審査を要件とする優生手術について、本人の意見に反しても行うことができるものである旨、この場合に許される強制の方法は、手術に当たって必要な最小限度のものでなければならないので、なるべく有形力の行使は慎まなければならないが、それぞれの具体的な場合に応じては、真にやむを得ない限度において身体の拘束、麻酔薬施用又は欺罔等の手段を用いることも許される場合があると解しても差し支えない旨等が記載されていた。

本人の意思確認は必要なく意に反しても行えることになっていました。

(3)ア 昭和▲年生まれの女性であり、昭和▲年に日本脳炎にり患し、その後遺症として知的障害を有するようになった。被上告人X1は、昭和40年又は昭和41年に不妊手術を受けた。同不妊手術は、優生保護法13条2項の規定(昭和27年改正法による改正後のもの)に基づいて行われたものであった。

イ 被上告人X2は、昭和▲年生まれの男性であり、3歳の時に発熱のために聴力を失った。被上告人X3は、昭和▲年生まれの女性であり、出生時から両耳が聞こえなかった。被上告人X2及び同X3は、昭和▲年▲月に婚姻の届出をした。被上告人X3は、昭和48年に妊娠し、昭和49年5月に帝王切開手術により子を出産したが、当該子はその翌日に死亡した。被上告人X3は、上記帝王切開手術の際、不妊手術を受けた。同不妊手術は、優生保護法10条の規定に基づいて行われたものであった。


アはともかくとしてイは随分気楽にやりましたね。アは確かに知的障害になってしまったんで、条文通り条件に該当しますが、イは聴力障碍はこれに該当するんでしょうか。かなり勇み足な気がします。

(4)ア 平成8年4月1日、らい予防法の廃止に関する法律(同年法律第28号)が施行され、同法により優生保護法3条1項3号の規定が削除された。
イ 厚生労働省の保管する資料によれば、昭和24年以降平成8年改正までの間に本件規定に基づいて不妊手術を受けた者の数は約2万5000人であるとされている。


随分な数になりました。

(5)ア 日本弁護士連合会は、平成13年11月、日本政府は、自由権規約委員会から勧告を受けている優生保護法下の強制不妊手術の被害救済に取り組むべきであり、同法の下で強制的な不妊手術を受けた女性に対して、補償する措置を講ずべきである旨の意見を公表した。

法律家ではありますが、意見を言うのは大いに結構ですが、設立目的からすれば何の権限もないと思いますよ。それをここに書きますかねぇ。

イ 日本弁護士連合会は、平成19年12月、上記報告につき、国は、過去に発生した障害を持つ女性に対する強制不妊措置について、政府としての包括的な調査と補償を実施する計画を早急に明らかにすべきである旨の意見を公表した。・・・平成31年4月までの間、本件規定に基づいて不妊手術を受けた者に対し、補償の措置が講じられることはなかった。

そりゃ一つの意見としてであって、弁護士会は何ら法的権限はありませんから、任意で参考すべきくらいしかありません。

(6)平成30年9月28日、被上告人X1が本件訴えを提起し、平成31年1月30日、被上告人X2及び同X3が本件訴えを提起した。

なんでこんなに遅くなったのでしょうか。やるならもっと早くできたと思いますよ。少なくとも弁護士会が言い出した平成13年にはやってよかったのではないかと思います。

(7)平成31年4月24日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」(以下「一時金支給法」という。)が成立し、一部の規定を除いて施行された。

こうして一時金320万円の支給が決まりました。

3 所論は、本件請求権が改正前民法724条後段の期間の経過により消滅したとはいえないとした原審の判断には、同条後段の解釈の誤り及び判例違反があるというものである。

4 (1)改正前民法724条後段の規定は、不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたものであり、同請求権は、除斥期間の経過により法律上当然に消滅するものと解される

(2)ア 本件請求権は、本件規定に基づいて不妊手術が行われたことを理由とする被上告人らの上告人に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権である。しかるところ、本件規定は、憲法13条及び14条1項に違反するものであったというべきであり、本件規定の内容は、国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白であったというべきであるから、本件規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項国家賠償法1条(公権力の行使に基づく賠償責任)の適用上、違法の評価を受けると解するのが相当である(前掲令和6年大法廷判決参照)。


そうなると憲法違反だから時効延長できるとも読めますが、そういう判例は引用されていませんし、それが理由だとも明確にも書いていません。

イ 国会は、立法につき裁量権を有するものではあるが、本件では、国会の立法裁量権の行使によって国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な本件規定が設けられ、これにより多数の者が重大な被害を受けたのであるから、公務員の不法行為により損害を受けた者が国又は公共団体にその賠償を求める権利について定める憲法17条の趣旨をも踏まえれば、本件規定の問題性が認識されて平成8年に本件規定が削除された後、国会において、適切に立法裁量権を行使して速やかに補償の措置を講ずることが強く期待される状況にあったというべきである。

これはその通りですね。

ウ 以上の諸事情に照らすと、本件請求権が改正前民法724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることは、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない。したがって、被上告人らの本件請求権の行使に対して上告人が除斥期間の主張をすることは、信義則に反し、権利の濫用として許されないというべきである。

ここが分からない。重大事件だから時効延長ができる?


裁判官三浦守の意見
判例を変更すべき範囲等に関する私の意見については、最高裁令和5年(受)第1319号同6年7月3日大法廷判決における私の補足意見で述べたとおりである。裁判官草野耕一の補足意見は、次のとおりである。

これのことです。

裁判官草野耕一の各補足意見
同じく過去に述べたと。

裁判官宇賀克也の意見


3人とも過去に書いた意見と同じということですが、全員立法府への越権行為としか思えません。

裁判長裁判官 戸倉三郎 裁判官 深山卓也 裁判官 三浦 守 裁判官草野耕一 裁判官 宇賀克也 裁判官 林 道晴 裁判官 岡村和美 裁判官安浪亮介 裁判官 渡 惠理子 裁判官 岡 正晶 裁判官 堺 徹 裁判官今崎幸彦 裁判官 尾島 明 裁判官 宮川美津子 裁判官 石兼公博

全員論証不十分

釈然としない 優性保護法判決5 裁判官宇賀克也の意見

2024-07-23 17:03:19 | 日記
裁判官宇賀克也の意見

改正前民法724条後段について、期間の経過により請求権が消滅したと判断するには当事者の主張がなければならないと解すべきであり、また、その主張が信義則に反し又は権利濫用として許されない場合があり、本件はまさにかかる場合に当たるので平成元年判決等を変更すべきとする点については、多数意見に賛成である。

国家が請求期間を過ぎているという主張をすべきで、事がことだけにその主張は信義則違反で権利の乱用であるから許されないと言ってますが、その重要であるとする判断基準は何ですの?オレ様が酷いと思ったからそれでいいのだ!でしょうか。悪法と雖も法でしょう?

2 第1に、平成元年判決は、改正前民法724条前段及び同条後段のいずれにおいても時効を規定していると解することは、不法行為をめぐる法律関係の速やかな確定を意図する同条の趣旨にそぐわないと述べているが、同条後段が時効を定めたものと解しても、被害者が損害及び加害者を認識していなくても不法行為の時から時効期間が進行するため、同条後段は同条前段とは別の意味で法律関係の早期確定に資するので、平成元年判決の上記論拠は薄弱と思われる。

その通りなのですが、そもそも壽分に書かれていることもひっくり返すってのがよく分かりません。挙句に

なお、不法行為債権の消滅時効について短期時効と長期時効を定める立法例は、ドイツ法を始めとして、比較法的にも稀ではない。

この文章は立法府が言うのであれば分かります。少なくとも判決文に書くで話ではないです。日本はドイツではないですから。
この他、第3から5まで書いていますが、文語体から口語に替えるときとの表現がおかしいとか、ドイツ法がどうたらと意見というより立法府に物申す系の話何ので無視します。

最高裁令和元年(受)第1287号同3年4月26日第二小法廷判決・民集75巻4号1157頁(以下「B型肝炎九州訴訟最高裁判決」という。)に関しては、除斥期間と消滅時効とでは起算点の考え方が当然に異なるという前提に立つものではなく、損害の性質に鑑みて、起算点を判断していると考えられるので、判例変更は不要と思われる。すなわち、筑豊じん肺訴訟最高裁判決は、「身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害や、一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害のように、当該不法行為により発生する損害の性質上、加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合には、当該損害の全部又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となると解すべきである。」と判示している

だから不法行為を知った時期からなので、時効はもっと後だと言いたいようですが、これもなんかおかしいですね。B型肝炎と言いじん肺は、症状が出る人と出ない人がいますよね。また出て来るにも時間差があります。一方で、この裁判では生殖能力の切除ですから、手術が終わればすぐに分かりますよね。同じ論拠として使います?無理がありすぎるでしょう。どうしてもというならもっとマシな根拠を言うべきです。

とにかく頓珍漢としか言いようがないです。

連れ去りをそそのかした弁護士、懲戒請求される

2024-07-20 19:37:35 | 日記
「弁護士が子の連れ去り助言」児相が懲戒請求 両親の読売社員ら有罪

兵庫県西宮こども家庭センター(児童相談所)に一時保護されていた長女を連れ去ったとして、未成年者略取などの罪に問われた読売新聞社員の30代の父親と、母親に対する判決公判が18日、神戸地裁であった。
 松田道別裁判官は、父親に懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)、母親に懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。事件をめぐっては、センターが県弁護士会に対し、両親に略取を助言したとして、所属弁護士を懲戒請求したことが朝日新聞の取材で判明した。
 センターは懲戒請求の理由について、「このような略取がまかり通ってしまうと一時保護制度そのものがなしくずしになってしまう」と回答した。


全くその通りで、何のための一時保護制度なのでしょうか?連れ去りは誘拐です。過去にさかのぼって懲戒請求をすべきです。

懲戒そのものは弁護士会によって決まりますが、弁護士会はしょせん互助会なので、おそらく懲戒処分にはならないでしょう。これまで離婚裁判となれば必ずどの弁護士も連れ去りをそそのかすからです。むしろ不法行為をそそのかしたとして、犯罪教唆したことで刑事事件にすべきです。

釈然としない 優性保護法判決4 裁判官草野耕一の補足意見

2024-07-20 09:30:59 | 日記
1 最初に改正前民法724条自体の意義について考える。
その第1は、不法行為をしたとされる者が、不法行為をしたと認定される可能性がもたらす心理的・経済的コストを負担し続けることによって人生の善きあり方を構想しその実現を図る自由を妨げられることのない利益(以下「自己実現を妨げられない利益」という。)を保障することである。なぜならば、①改正前民法724条が存在することによって確実に利益を得るのは不法行為をしたとされる者だけであり、一方、②不法行為をしたとされる者といえども、限りある人生をより善きものとすることを構想しその実現を図る自由は尊重されるべきである

「自己実現を妨げられない利益」とは、よく分からん概念を持ち出しましたね。不法行為を許すも許さないも自己実現と何の関係があるのでしょうか?特に②は一般論にすぎませんよね。今回は国家賠償ですよね、国家は自然人ではありません。法人擬制として考えてもですよ、この議論はかなりズレてませんか?

(2)改正前民法724条が保障せんとする第2の中核的利益は、不法行為の存否にかかわる証拠の確保が時の経過とともに困難となることを免れ得る利益(以下「証拠確保の困難性を免れ得る利益」という。)である。証拠確保の困難性を免れ得る利益は、不法行為をしたとされる者が享受し得るのみならず、裁判を受ける権利を有する国民一般の福利にも及ぶものである点において、自己実現を妨げられない利益とは性質を異にしている。けだし、劣化した証拠の下で司法が裁判を行うことを余儀なくされるとすれば、それによって生じるものは正しい裁判を受け得るという国民の期待そのものの低下に他ならないからである。

これもよく分かりません。国家が国家機密において何かやらかしたというのであれば分かります。法律にのっとってやったこと、但し憲法違反だというのが問題なんですよね。自己実現と何の関係があるんです?証拠の保全については、関係書類の公文書の保存期間が定められたのでその前に裁判を起こさないとどうしようもないわけで、それも含めた上での意見なんでしょうか?

2 1項で述べたことを踏まえて改正前民法724条を国家賠償法1条に適用について
(1)その職務を行うについて不法行為をしたとされる、公権力の行使に当たる公務員の自己実現を妨げられない利益を保障することにかかる意義を見出すことはできないという点である。なぜならば、国家賠償法上、不法行為をしたとされる公務員個人は原則として損害賠償責任を負わないと解されるから、同人の自己実現を妨げられない利益を国家賠償法に適用される改正前民法724条が保障する必要はないからである。


改正前724条はこの場合使ったら駄目という意見ですね。となると門前払いということになりますが。

(2)上記に述べた心理的・経済的コストは国家の受益者でもあるところの現在及び将来の国民によって分散して負担されることに鑑みるならば、問題となっている損害の賠償が国家の財政に回復し難いほどの負担をもたらす等の特段の事情がある場合は格別、そうでない限り、上記の可能性が存続することによって国が国家の善きあり方を構想しその実現を図る自由を妨げられることになるとは考え難く、本件においても、上記特段の事情は見出し得ない。

これもよく分かりません。国家の支払い能力?今回の件に限って言えば、数百億円国民1人当たり数百円の税金が投入されるわけですから問題ないと言っているわけです。ですが、今後もこの判例が適用されるのであれば、次々と賠償請求が提起されるでしょう。財政云々ではなく、裁判所は法的に正しいかどうかを判断すべきであって、財政うんぬんするのは筋違いというものです。

(3)証拠確保の困難性を免れ得る利益は国民一般の福利に及ぶものであるから、同利益は国家賠償請求訴訟においても均しく保障されるべきであることは疑いを入れない。しかしながら、本件においては、国会議員の立法行為という公開の場での活動が不法行為を構成しているのであるから、たとえそれが行われたのが半世紀以上前のことであるとしても証拠の確保が困難となる事態に至っているとは考え難い。

証拠の保全があればいつでも裁判OKということでしょうか?おかしいですよね。何十年と訴訟をしてこなかったということは、その状況を受け入れてきたのと同じです。後出しじゃんけんという評価につながりませんか?

3 改正前民法724条の立法趣旨に照らして考える限り本件請求権が除斥期間の経過によって消滅したとすることに積極的意義を見出し得ない
(1)本件規定の違憲性は明白であるにもかかわらず、本件規定を含む優生保護法が衆・参両院ともに全会一致の決議によって成立しているという事実である。これは立憲国家たる我が国にとって由々しき事態であると言わねばならない。


時代を考えて下さい。日本だけでなく、フランスでもスウェーデンでもやっていましたし、アメリカでもやっていました。ましてや戦後の日本で大混乱、飯が食えずに飢え死にする人が続出した状態ですよ。医療機関も医療制度もまともに機能しなかった時代ですから、闇から闇へ葬ることも可能だったはずです。実際にそうだったと推測しますけど。そういう時に一家丸ごと破綻、かといって自治体や国家も面倒見切れなかった時代という背景を考えると、今の基準で判断することはどうなのか疑問です。
(2)ー(4)で何か書いていますが、繰り返しみたいなものなので削除します。

釈然としない 優性保護法判決3 裁判官三浦守の補足意見は

2024-07-19 13:04:12 | 日記
(1)本判決により変更される判例は、改正前民法724条後段の期間が除斥期間であることを理由として、上記期間の経過による請求権消滅の主張が信義則違反又は権利濫用である旨の主張は主張自体失当であると解していたが、上記期間については、最高裁平成20年(受)第804号同21年4月28日第三小法廷判決・民集63巻4号853頁の田原睦夫裁判官の意見のほか、多くの学説がこれを時効期間と解してきた。そして、平成29年法律第44号(以下「民法改正法」という。)による改正後の民法(以下「改正後民法」という。)724条も、20年の期間を時効期間と規定するに至り、平成元年判決が、改正前民法724条後段が長期の時効を規定していると解することは同条の趣旨に沿わない旨を判示していたことの合理性も問題となる。そこで、当裁判所の判例が同条後段の期間を除斥期間とする点についても、これを改めるべきか否かについて検討する。

参考にしている判決もなんだかなぁという感じですね。

(2)改正後民法724条は、20年の期間を時効期間と規定したが、この改正は、上記期間を除斥期間とした場合には、中断や停止の規定の適用がないため、期間の経過による権利の消滅を阻止することができず、また、信義則違反や権利濫用に当たる旨を主張する余地がないことから、長期にわたって加害者に対する損害賠償請求をしなかったことに真にやむを得ない事情があると認められる事案においても、被害者の救済を図ることができないおそれがあると考えられたことによるものと解される(平成29年4月25日及び同年5月9日参議院法務委員会における法務大臣及び法務省民事局長各答弁等参照)。

引用文献で議論されているのはあくまでも刑事事件で殺人のはhなしですよね。民事ではないです。無理がないですか?

停止の規定の適用の点については、改正前民法158条又は160条の法意に照らし、改正前民法724条後段の効果が生じない場合がある。

いやいや法文通り読めば時効成立でしょう。

20年という期間の経過によって法律関係が確定するが、除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用として許されないときは、被害者の救済が図られることになる。

ならば何年なら信義則違反にならないのですか?一言居士は迷惑です。

(3)判例の変更は、法の安定と発展の両面に関わる問題であるが、以上に鑑みると、長期にわたって加害者に対する損害賠償請求をしなかったことに真にやむを得ない事情がある場合にも被害者の救済を図るという改正後民法の趣旨等を踏まえても、本判決による判例変更の点に加え、除斥期間という期間の法的性質の点についてもこれを改めることが相当とまではいえない。

この点は当然ですね。

2 本判決を踏まえた国の対応等
一時金支給法による一時金の支給も、国の損害賠償責任を前提とするものではなく、その額も十分とはいえない。また、これまでにその支給の認定を受けた者は、不妊手術を受けた者の総数に比して極めて低い割合にとどまる。


何を根拠に十分ではないというのでしょうか?しっかり根拠を書いてください。それにそもそも救済策については立法の仕事であり、立法府がこれでいいとなればこれでいいのです。嫌なら有権者が働きかけるべき話であって、最高裁判所ごときが何をいうか、越権行為も甚だしいとしか言いようがありません。

偉大なる感想文であって、公文書であってはいけない内容です。