07.12.25
★メリー・クリスマス!!!.
皆様どのようなクリスマスをお過ごしでございましたか。
イブが休日であったため、街も静かで、
往年の賑やかな風景は影を潜めておりました。
私も、家で落ち着いて作曲に励んでおりました。
★モーリス・ラヴェル(1875~1937)のアナリーゼ講座を、
来年(08年)1月に、日本ベーゼンドルファーで開催予定でしたが、
倒産事件の余波で、残念ながら中止となりました。
そこで予定していましたお話を、時々、掲載したいと思います。
★ラヴェルの「ピアノのためのソナチネ」は、1905年の作曲です。
ラヴェルについては、一般的に昔から二つの誤解があります。
一つは、“その作風がスイス製時計のように精緻で正確だが、
冷たく、暖かみに欠ける”
二つめは、“ドビュッシーは、ピアノの名手だったが、
ラヴェルはピアノが下手だった”
★ラヴェルの「ソナチネ」は、
彼自身による演奏により、一楽章と二楽章を聴くことができます。
ペーパーロールに記録された彼の演奏を、CDで聴きますと、
二楽章は、これ以上の演奏は望めないような名演、と私は思います。
それは、ラヴェルがこの二楽章を、
どのような意図で作曲したかが分かるように、
暖かく、憧れに満ちた音色と表現方法で、演奏しているからです。
★最近、ときどき見受けられるゾッとするような冷たい音色と、
この人の感受性は一体どういう質なのか、と考え込んでしまうような
自己顕示に満ちた演奏とは、対極的な世界です。
作曲家の自作自演は、自分の作品との距離の取り方が難しく、得てして
演奏家によるものの方が、優れた場合が多いのですが、これは違います。
このCDは、比較的入手しやすいので、是非、お聴きください。
★二楽章のテンポは、メヌエットに指定されています。
冒頭の和音を、彼はアルペッジオで奏しています。
ラベルは、この二楽章の和音に
一つもアルペッジオ記号を付けていませんが、
多くの箇所でアルペッジオ奏法をしています。
バロック時代は、記譜がなくても
和音をアルペッジオにすることが多くありました。
ということは、この曲は、チェンバロの奏法を意識して、
演奏しなければなりません。
★さらに、彼は、和音の性格によって、
アルペッジオの速度を微妙に変えています。
この速度を勉強すれば、
どの和音が重要か、
どの和音が経過和音の性格を持っているのかが、
よく分かります。
たとえ皆さまが、アルペッジオでなく演奏される場合でも、
表現法の絶好なガイドとなります。
この自演を聴かずして、この二楽章は本当に勉強できない、
演奏することがとても難しい、歯が立たない、とも言えます。
★私は、サンソン・フランソワが大好きです。
ドビュッシーの作品では、
とても素晴らしい演奏をしたフランソワが、
この「ソナチネ」では、どう弾いていいのか、
戸惑いを隠せないような演奏を残しています。
それだけ、手強い曲なのです。
★ラヴェルは、ロベール・カサドシュ(1899~1972)の
演奏を好んでいました。
カサドシュの妻・ギャビーが校訂した「ソナチネ」の楽譜が、
シャーマー社から出版されていますので、ご参考ください。
★ここで気を付けるのは、
ロベール・カサドシュの意見が、ラヴェルの考え方と、
すべて一致しているわけではない、という点、さらに、
ギャビーの考え方が、ロベールとすべて一致している訳でもない、
ということです。
ギャビー版は、ラヴェルの≪孫引き≫ぐらいに位置付け、
勉強してください。
★以前、シューマンの「子供の情景」を例にして、書きましたように、
ロベルト・シューマンの考えが、妻のクララの校訂によって、
間違って、長年伝えられてきた例があるからです。
★“作風が、精緻で正確だが、冷たく暖かみに欠ける”
という誤解については、
一楽章を例にして、次回に書いてみたい、と思います。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★メリー・クリスマス!!!.
皆様どのようなクリスマスをお過ごしでございましたか。
イブが休日であったため、街も静かで、
往年の賑やかな風景は影を潜めておりました。
私も、家で落ち着いて作曲に励んでおりました。
★モーリス・ラヴェル(1875~1937)のアナリーゼ講座を、
来年(08年)1月に、日本ベーゼンドルファーで開催予定でしたが、
倒産事件の余波で、残念ながら中止となりました。
そこで予定していましたお話を、時々、掲載したいと思います。
★ラヴェルの「ピアノのためのソナチネ」は、1905年の作曲です。
ラヴェルについては、一般的に昔から二つの誤解があります。
一つは、“その作風がスイス製時計のように精緻で正確だが、
冷たく、暖かみに欠ける”
二つめは、“ドビュッシーは、ピアノの名手だったが、
ラヴェルはピアノが下手だった”
★ラヴェルの「ソナチネ」は、
彼自身による演奏により、一楽章と二楽章を聴くことができます。
ペーパーロールに記録された彼の演奏を、CDで聴きますと、
二楽章は、これ以上の演奏は望めないような名演、と私は思います。
それは、ラヴェルがこの二楽章を、
どのような意図で作曲したかが分かるように、
暖かく、憧れに満ちた音色と表現方法で、演奏しているからです。
★最近、ときどき見受けられるゾッとするような冷たい音色と、
この人の感受性は一体どういう質なのか、と考え込んでしまうような
自己顕示に満ちた演奏とは、対極的な世界です。
作曲家の自作自演は、自分の作品との距離の取り方が難しく、得てして
演奏家によるものの方が、優れた場合が多いのですが、これは違います。
このCDは、比較的入手しやすいので、是非、お聴きください。
★二楽章のテンポは、メヌエットに指定されています。
冒頭の和音を、彼はアルペッジオで奏しています。
ラベルは、この二楽章の和音に
一つもアルペッジオ記号を付けていませんが、
多くの箇所でアルペッジオ奏法をしています。
バロック時代は、記譜がなくても
和音をアルペッジオにすることが多くありました。
ということは、この曲は、チェンバロの奏法を意識して、
演奏しなければなりません。
★さらに、彼は、和音の性格によって、
アルペッジオの速度を微妙に変えています。
この速度を勉強すれば、
どの和音が重要か、
どの和音が経過和音の性格を持っているのかが、
よく分かります。
たとえ皆さまが、アルペッジオでなく演奏される場合でも、
表現法の絶好なガイドとなります。
この自演を聴かずして、この二楽章は本当に勉強できない、
演奏することがとても難しい、歯が立たない、とも言えます。
★私は、サンソン・フランソワが大好きです。
ドビュッシーの作品では、
とても素晴らしい演奏をしたフランソワが、
この「ソナチネ」では、どう弾いていいのか、
戸惑いを隠せないような演奏を残しています。
それだけ、手強い曲なのです。
★ラヴェルは、ロベール・カサドシュ(1899~1972)の
演奏を好んでいました。
カサドシュの妻・ギャビーが校訂した「ソナチネ」の楽譜が、
シャーマー社から出版されていますので、ご参考ください。
★ここで気を付けるのは、
ロベール・カサドシュの意見が、ラヴェルの考え方と、
すべて一致しているわけではない、という点、さらに、
ギャビーの考え方が、ロベールとすべて一致している訳でもない、
ということです。
ギャビー版は、ラヴェルの≪孫引き≫ぐらいに位置付け、
勉強してください。
★以前、シューマンの「子供の情景」を例にして、書きましたように、
ロベルト・シューマンの考えが、妻のクララの校訂によって、
間違って、長年伝えられてきた例があるからです。
★“作風が、精緻で正確だが、冷たく暖かみに欠ける”
という誤解については、
一楽章を例にして、次回に書いてみたい、と思います。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
●これまでのコメントを集めました。
■■ 伴大納言絵巻を観る ■■ その他のとびきり楽しいお話
2007/11/13(火) 午後 4:18
はじめまして。国宝の「伴大納言絵巻」の特集を先日NHKhiにて見ました。途中からでしたので絵巻の話の流れを掴みきれないところがあったのですが、こちらにお邪魔したお陰で詳しく読むことが出来ました。ありがとうございました。
■■≪ヴォルフガング・ベッチャー 日本を弾く≫が完成■■ 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ parifuwa2525 ]
2007/11/10(土) 午前 9:07
中村様
「ヴォルフガング・ベッチャー 日本を弾く」を拝聴致しました。どの作品も疲れた心に染み入るような優しさ、
美しさに溢れていてとても安らかな気持ちになりました。
中村先生、ベッチャー先生の思い、CD作りに携われた方々の思いが伝わってくるような作品の数々。感謝です。
山崎 香世
■■ エリック・ハイドシェックのピアノ・レッスン ■■ [ trefoglinefan ]
2007/9/2(日) 午前 9:38
はじめまして。ハイドシェックのレッスンの内容は本当に参考になると思います。ペダリングのことは本当にそのとおりですね。私も公開セミナーを聴いたことがあるのですが、爪の長い高校生に対して「これはピアノを弾く手ではない」と言ったり、とかく本番から余りにもかけ離れた練習に対して、戒めているような気がします。あと小学生に言った言葉で「本番で苦労を見せないために練習をするのだ」というのも実に味わい深いと思います。
■■ヴォルフガング・ベッチャー先生との録音 その3 素顔のベッチャー先生■■ 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2007/5/18(金) 午前 1:10
>「僕の名前の“ベッチャー”は、この“樽”という意味ですよ」 その"樽"の中では、ワインの精にかわって、音の精が歌いつづけて らっしゃるのかしら?;-) 素顔のエピソード、興味深く読ませていただきました。 思い浮かんだ言葉は、「純粋」、この方の目を通した 日本の風景,,どんなでしょうね~興味津々♪
■■ イタリア・サルデーニャ島の音楽と踊り ■■ 日本の伝統芸術、世界の民族音楽[ kazu ]
2007/4/22(日) 午後 6:51
はじめまして☆私の島について話してくれて心から感謝します。ではまたね。カズ
■■ 春のフキノトウ・スパゲッティー ■■ その他のとびきり楽しいお話
[ ルナ・エ・ソーレ ]
2007/4/4(水) 午前 11:06
こんにちは!とっても美味しそう! 私は、ふきのとうをはじめ春の山菜が大好きです。山菜のほろ苦味がVIOLAとの相性もとても良いですよね。イタリア人にも食べさせてあげたいと思います。 うちの庭でも採れるのですが、今年はこのパスタにしてみましょう! 素敵なレシピをありがとうございました。 春~。
■■ シューベルトからシューマン、そしてブラームスへ ■■ アナリーゼ(楽曲分析)講座
[ Oku ]2007/3/10(土) 午後 10:16
はじめまして。シューベルトのアルペジョーネソナタで使用した楽器の復元をしています。
■■ 「蝶々雄二の夫婦善哉(めおとぜんざい)」に感動 ■■~テレビや放送と「音楽」とのかかわりについて~ その他のとびきり楽しいお話
[ kemukemu23611 ]2007/2/20(火) 午後 9:26
こんにちは。 大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。 昭和40年前後の雑誌「テレビジョンエイジ」の一覧も とりあげています。 よかったら、寄ってみてください。 http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
■■ 絶対音感について ■■ アナリーゼ(楽曲分析)講座
[ tanone4041 ]
2007/2/3(土) 午前 10:42
私は絶対音感を持っていると言われながらその意味をいまいち把握できていませんでした。勉強になりました。
■ 次回のアナリーゼ講座は、シューベルトです ■ アナリーゼ(楽曲分析)講座
[ 海 ]
2007/2/2(金) 午後 9:20
はじめてコメントさせていただきます。私は茨城県のひたちなか市に住んでいます。「平磯」という言葉に反応し、記事を読ませていただきました。私の父によると、水戸市南町に「つる屋」という本屋さんがあったということです。今でもやっているかはわかりませんが・・・。 音楽のことはよくわかりませんが、とても雰囲気のあるステキなブログですね^^
■■ 「蝶々雄二の夫婦善哉(めおとぜんざい)」に感動 ■■~テレビや放送と「音楽」とのかかわりについて~ その他のとびきり楽しいお話
[ 畔 ]
2007/1/13(土) 午前 1:55
「溝口組」だった依田さんが東映の作品で書かれているって、なんか珍しいですね。亡き親父が松竹時代の「溝口組」にいたもので日々、黒板前にゴテケンに 依田さんが、しごかれていたハナシは、ミミタコなぐらい聞かされてましたけど,,そうか、"オンナもの"ってことで、マキノさんが希望されたのかもしれませんね。「夫婦善哉」は豊田四郎のほうをみてるんですけど、ことあるごとに「なんか、うまいもん、たべにいこ~」って台詞が印象的だったなあ。不思議とカレーの匂いまで甦ってしまう(^^;,
■■ 私のクリスマス休暇とお正月休み ■■ その他のとびきり楽しいお話
[ 畔 ]
2007/1/7(日) 午前 4:12
「いちご」が「雪割り草」の花、12月の神..印象深く記憶にあるのは、やはり12月の神々とともに少女達が囲む「たき火」、目まぐるしく移ろう"季節"。。北の地方の人々の季節~自然に対する想いとか、畏敬とか、共存するバランス感覚とか,現代においてはだいぶ薄れてきている感覚のようではありますけど、化石燃料の争奪に明け暮れる今こそ、胸に手をあて再考する価値のあるテーマが底流に ながれているように思えてなりません;-)
■■ 私のクリスマス休暇とお正月休み ■■ その他のとびきり楽しいお話
[ 畔 ]
2007/1/7(日) 午前 4:10
スロバキアの民話ですか~あたしも、似たような劇を幼少のころに観た記憶があります。たしか、「森は生きている」って邦題だったと。。俳優座あたりの子供向けの企画だったと思います。
■■ ヴィオラ・ダ・ガンバ四重奏「みじか夜」の初演 ■■ 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ nom_50 ]
2006/12/11(月) 午後 10:43
>中村様 古楽器を対象の作曲していらっしゃるんですね!私は楽器屋なので良質の古楽器を手ごろな(なるべく!)値段で提供しようとしています。おっしゃるように古楽器を聴いたあとにモダンな楽器をきくと、とても暴力的な気がします。拙宅でチェンバロを初めて弾きまくったピアノ愛好家の方が、帰宅してピアノを弾いたらうるさくて弾けなかった、とおっしゃっていました。中村様は演奏される素材を創っていらっしゃる。うらやましい!いつか作曲されたものの演奏会があったら聞かせて戴きたいですね。
■■ 「バルトーク・ミクロコスモス」について ■■ その1 アナリーゼ(楽曲分析)講座
[ karumiakalmia ]
2006/10/3(火) 午後 2:21
先日講座を受講したものです。 その中で話題になりました 教本の名前を知りたいのですが、 教えていただけませんでしょうか。 ピシュナーと、もう一つ アンドロプティドワでよろしかったでしょうか 楽譜店へ問い合わせてみたものの、みつからなかったため、 申し訳ありませんがよろしく願い致します。 バルト-クについて知ることができ、 また、漠然とフシギな音使いだなと思っていた曲のこともよくわかりました。有意義な講座をありがとうございました。
■■ 銀座百点 皆川達夫先生 音楽界批判 ■■ その1 その他のとびきり楽しいお話
[ 畔 ]
2006/9/4(月) 午前 0:33
銀座百点。。大抵、レジの横に重ねてあって、表紙を眺めるのが楽しみのひとつでした。親のエゴで喰いたくもない店に連れていかれたりしたときなどなおのことで(^^;,、子供の目からは不可思議な表紙の絵に 首をかしげていたころが懐かしいです;-) 国会図書館に創刊号から、すべて揃ってるってハナシですね。 表紙だけなら、こちらで↓ http://www.hyakuten.or.jp/hyosi/index.html
■■ 緑陰読書・・・and「舞いクッキー」のお話 ■■ その他のとびきり楽しいお話
[ ykinuka ]
2006/8/17(木) 午後 1:44
「謡い本を読む」のは確かに空間が広がりますね。毎日は無理としても、継続ですね。そのほかの示唆も大変ためになりました。キヌ
■東北(とうぼく)への路■ その5 リハーサル 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ ojiriakiko ]
2006/6/13(火) 午前 8:47
はじめてブログというものに投稿しています!私達のことをかいてくださったのですね。ありがとうございます。次号の記事メールで拝見しましたが、何を隠そう私はバックハウスの大FAN!でも大抵の場所で趣味が悪いといわれてしまうんですよ。だからバックハウスが好きな方が見つかると嬉しくなってしまいます。
●テオ・アンゲロプロス監督「ユリシーズの瞳」 私が感動した演奏会や、CD、論文
[ 畔 ]
2006/5/14(日) 午後 4:32
北千住の西口側はひと頃の整備も一段落して駅前は、立体歩道等、異空間のごとく様変わりしましたね;-)旧街道沿いは、劇場とは逆方向、行列のできる老舗居酒屋方面にばかり目がいっていて そんな工事がおこなわれていたことなど、まったく知りませんでした(^^;,旧作などを観るのは、京橋のフィルムセンターあたりが主だったのですが、これを機会に常磐線組や東武線組の映画仲間と親交を密にするきっかけになりそうな予感がいたします。情報の御入力、ありがとうございました。
●テオ・アンゲロプロス監督「ユリシーズの瞳」 私が感動した演奏会や、CD、論文
[ 畔 ]
2006/5/14(日) 午後 4:30
うむ、まるで詩神が 中村さんの目を通し、語られるその指の隅々に宿ったかのような熱さを感じてしまいます;-) 今まで何人かの方々のアンゲロプロス作品の評を読んだりはしたのですが ここまでつきうごかされることはありませんでした。「第三の男」でアリダ・ヴァリ演じる「女優」と同じく?愛憎のやるせなくやりばのない「悲劇」を嫌うあまり、目を背け続けた末の食わず嫌いだったのかもしれませんが、なにやら、苦手だったはずの牛乳が こともなげにノドを潤していった遠い昔の不思議が今再び、甦るかのような心持ちがします(^^;,
■東北(とうぼく)への路■ その4 楽琵琶のお話の続き 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/5/6(土) 午前 8:45
それにしても「今日はなにして遊ぼか?」「カラオケ?」あたりが関の山なあたしにとって、音をもって季節に"遊ぶ"殿上人、楽人の打々発止なやり取りは うらやましくもあり、宮仕えの苦労を想像してみたりと(^^;, 科学機器では解析もできぬような繊細な音にとって めぐまれた時代だったのかもしれませんね;-)
■東北(とうぼく)への路■ その4 楽琵琶のお話の続き 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/5/6(土) 午前 8:40
「玄象」のお話、ただ者ではなさそな主(あるじ)が どこかで印篭でもだしはすまいかとの下衆な好奇心は横において(^^;, ますます調絃、六調子への興味がわいてきます。黄鐘調は、梵鐘の手本?ともなっているようですし、そこからは鐘の「アタリ」「オシ」「オクリ」のような部分が楽器の場合にもあるのだろうか?などといった想像がふくらんでゆきます。
■東北(とうぼく)への路■ その3 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/4/28(金) 午後 10:29
中村さんの思い描く「東北(とうぼく)への路」、ブログも、また、機会があれば夏のコンサートも楽しみにしつつ、乱文にて失礼いたしました。 追伸:「第7天国」の、危険きわまりない道板を渡るジャネット・ゲイナー、大好きです。
■東北(とうぼく)への路■ その3 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/4/28(金) 午後 10:27
また、音楽の演奏者と聴衆の関係を無謀?にも シテとワキに置き換え、 であるなら、そのときに、演奏者と聴衆の間に横たわる『青山』とは、いったいなにをさすのだろうか?などとあらぬ妄想にアタマめぐらせてもおりました。どうも、すみません。中村さんのブログからは、好奇心をそのままにはしておけないような素敵でアブナイ魔力のようなパワーを感じてしまって。。(手前勝手な言い訳です~)
■東北(とうぼく)への路■ その3 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/4/28(金) 午後 10:23
はじめまして、東北→とうぼく,,の検索から寄らせていただきました。 楽琵琶のお話、とても興味深く、四季で異なる調弦には、この国の風土に 思い至ってみたり、また、「経正」のお話では、幼少の頃に観た小林正樹監督の「怪談」,,そのオムニバスのひとつ、「耳無し芳一」を思い起こしてみたりと、たのしいひとときを過ごさせていただきました。
■「ベーゼンドルファー」物語 その1■ 知られざる楽器の特性と歴史
[ シマダ ]
2006/4/14(金) 午前 7:56
いつもありがとうございます。 知人がやはりベーゼンドルファーのピアノを愛用していらっしゃいますので、興味深く読ませていただきました。 177年で4万7千台のピアノ・・・てことは、年に265台ってことですよね。 私自身はピアノのことは詳しく分かりませんが、こういう話を聞くと「良いものは沢山作れないんだな」と実感し、祈りに似た真摯な気持ちで仕事に取り組んでいるのだと感じさせられます。 これだけ数が少ないと、”なんとか”さんという卓越した職人さんがいた時代のものは高く評価されたりしているのでしょうかね。 またお伺いいたします。
ヴォルフガング・ベッチャー&益子明美デュオリサイタル お薦めコンサート
[ ykinuka ]
2006/3/10(金) 午前 6:17
何時の日か「竹生島」の小謡ー魚木に登る気色や、兎も浪を奔るー情景が中村さんの手で曲になるのかと楽しみです。
デザイナー 島田佳幸さん その他のとびきり楽しいお話
[ shimada ]
2006/2/27(月) 午前 5:10
ご紹介ありがとうございました。
NHK・FM放送 名曲リサイタルで“夏日星”が演奏されます。 お薦めコンサート
[ ykinuka ]
2006/2/25(土) 午前 11:18
先刻の放送、家内と共に楽しく拝聴しました。幻想的な調べですね。宮沢賢治や十弦ギター、中村さんの力の思いが素人なりに伝わった気がします。ギタリストの斉藤明子さんも名手なのですね。次は邦楽(能楽?)とのフュージョンを楽しみにします。
NHK・FM放送 名曲リサイタルで“夏日星”が演奏されます。 お薦めコンサート
[ ykinuka ]
2006/2/23(木) 午前 5:03
夏日星の放送予定と解説有難うございました。番組司会の加羽沢美濃さんも貴女と同じ作曲・演奏家ですね。10弦ギターは大弦小弦の青山の琵琶でしょうか。放送がたのしみです。
●ゲストブック
ゲストブック作曲家・中村洋子が日常生活の中で感動した、
①演奏会や演奏家
②CD、DVD、書籍、雑誌、論文
③お薦めコンサート
④アナリーゼ(楽曲分析)講座・・・などの紹介。
さらに、⑤演奏家・芸術家との交流
⑥日本の伝統芸術・世界の民族音楽についての感想
⑦作曲した曲の初演に到るまでの行程と舞台裏の話
⑧意外と知られていない楽器(ピアノ、ギター、雅楽器、チエンバロ等)の特性・歴史の解説
⑨音楽以外の分野での飛び切り素晴らしく楽しいお話・・
投稿数:4件
新規作成
taeko_www2006/3/5(日) 午後 1:59
■洋子さん、ブログ開設おめでとうございます!
洋子さんのコンサートでのお話は楽しいだけでなく、内容的にひとりで聞くのが
もったいない深さと厚みと思っていました。
これからブログで、いろいろなお話、うかがえるのを楽しみにしています。p(^ 。^)q
ps:荒川静香、髪をアップにしていない時の横顔表情を見ていると、洋子さんに似ている!と思うときがあります。
■■ 伴大納言絵巻を観る ■■ その他のとびきり楽しいお話
2007/11/13(火) 午後 4:18
はじめまして。国宝の「伴大納言絵巻」の特集を先日NHKhiにて見ました。途中からでしたので絵巻の話の流れを掴みきれないところがあったのですが、こちらにお邪魔したお陰で詳しく読むことが出来ました。ありがとうございました。
■■≪ヴォルフガング・ベッチャー 日本を弾く≫が完成■■ 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ parifuwa2525 ]
2007/11/10(土) 午前 9:07
中村様
「ヴォルフガング・ベッチャー 日本を弾く」を拝聴致しました。どの作品も疲れた心に染み入るような優しさ、
美しさに溢れていてとても安らかな気持ちになりました。
中村先生、ベッチャー先生の思い、CD作りに携われた方々の思いが伝わってくるような作品の数々。感謝です。
山崎 香世
■■ エリック・ハイドシェックのピアノ・レッスン ■■ [ trefoglinefan ]
2007/9/2(日) 午前 9:38
はじめまして。ハイドシェックのレッスンの内容は本当に参考になると思います。ペダリングのことは本当にそのとおりですね。私も公開セミナーを聴いたことがあるのですが、爪の長い高校生に対して「これはピアノを弾く手ではない」と言ったり、とかく本番から余りにもかけ離れた練習に対して、戒めているような気がします。あと小学生に言った言葉で「本番で苦労を見せないために練習をするのだ」というのも実に味わい深いと思います。
■■ヴォルフガング・ベッチャー先生との録音 その3 素顔のベッチャー先生■■ 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2007/5/18(金) 午前 1:10
>「僕の名前の“ベッチャー”は、この“樽”という意味ですよ」 その"樽"の中では、ワインの精にかわって、音の精が歌いつづけて らっしゃるのかしら?;-) 素顔のエピソード、興味深く読ませていただきました。 思い浮かんだ言葉は、「純粋」、この方の目を通した 日本の風景,,どんなでしょうね~興味津々♪
■■ イタリア・サルデーニャ島の音楽と踊り ■■ 日本の伝統芸術、世界の民族音楽[ kazu ]
2007/4/22(日) 午後 6:51
はじめまして☆私の島について話してくれて心から感謝します。ではまたね。カズ
■■ 春のフキノトウ・スパゲッティー ■■ その他のとびきり楽しいお話
[ ルナ・エ・ソーレ ]
2007/4/4(水) 午前 11:06
こんにちは!とっても美味しそう! 私は、ふきのとうをはじめ春の山菜が大好きです。山菜のほろ苦味がVIOLAとの相性もとても良いですよね。イタリア人にも食べさせてあげたいと思います。 うちの庭でも採れるのですが、今年はこのパスタにしてみましょう! 素敵なレシピをありがとうございました。 春~。
■■ シューベルトからシューマン、そしてブラームスへ ■■ アナリーゼ(楽曲分析)講座
[ Oku ]2007/3/10(土) 午後 10:16
はじめまして。シューベルトのアルペジョーネソナタで使用した楽器の復元をしています。
■■ 「蝶々雄二の夫婦善哉(めおとぜんざい)」に感動 ■■~テレビや放送と「音楽」とのかかわりについて~ その他のとびきり楽しいお話
[ kemukemu23611 ]2007/2/20(火) 午後 9:26
こんにちは。 大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。 昭和40年前後の雑誌「テレビジョンエイジ」の一覧も とりあげています。 よかったら、寄ってみてください。 http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
■■ 絶対音感について ■■ アナリーゼ(楽曲分析)講座
[ tanone4041 ]
2007/2/3(土) 午前 10:42
私は絶対音感を持っていると言われながらその意味をいまいち把握できていませんでした。勉強になりました。
■ 次回のアナリーゼ講座は、シューベルトです ■ アナリーゼ(楽曲分析)講座
[ 海 ]
2007/2/2(金) 午後 9:20
はじめてコメントさせていただきます。私は茨城県のひたちなか市に住んでいます。「平磯」という言葉に反応し、記事を読ませていただきました。私の父によると、水戸市南町に「つる屋」という本屋さんがあったということです。今でもやっているかはわかりませんが・・・。 音楽のことはよくわかりませんが、とても雰囲気のあるステキなブログですね^^
■■ 「蝶々雄二の夫婦善哉(めおとぜんざい)」に感動 ■■~テレビや放送と「音楽」とのかかわりについて~ その他のとびきり楽しいお話
[ 畔 ]
2007/1/13(土) 午前 1:55
「溝口組」だった依田さんが東映の作品で書かれているって、なんか珍しいですね。亡き親父が松竹時代の「溝口組」にいたもので日々、黒板前にゴテケンに 依田さんが、しごかれていたハナシは、ミミタコなぐらい聞かされてましたけど,,そうか、"オンナもの"ってことで、マキノさんが希望されたのかもしれませんね。「夫婦善哉」は豊田四郎のほうをみてるんですけど、ことあるごとに「なんか、うまいもん、たべにいこ~」って台詞が印象的だったなあ。不思議とカレーの匂いまで甦ってしまう(^^;,
■■ 私のクリスマス休暇とお正月休み ■■ その他のとびきり楽しいお話
[ 畔 ]
2007/1/7(日) 午前 4:12
「いちご」が「雪割り草」の花、12月の神..印象深く記憶にあるのは、やはり12月の神々とともに少女達が囲む「たき火」、目まぐるしく移ろう"季節"。。北の地方の人々の季節~自然に対する想いとか、畏敬とか、共存するバランス感覚とか,現代においてはだいぶ薄れてきている感覚のようではありますけど、化石燃料の争奪に明け暮れる今こそ、胸に手をあて再考する価値のあるテーマが底流に ながれているように思えてなりません;-)
■■ 私のクリスマス休暇とお正月休み ■■ その他のとびきり楽しいお話
[ 畔 ]
2007/1/7(日) 午前 4:10
スロバキアの民話ですか~あたしも、似たような劇を幼少のころに観た記憶があります。たしか、「森は生きている」って邦題だったと。。俳優座あたりの子供向けの企画だったと思います。
■■ ヴィオラ・ダ・ガンバ四重奏「みじか夜」の初演 ■■ 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ nom_50 ]
2006/12/11(月) 午後 10:43
>中村様 古楽器を対象の作曲していらっしゃるんですね!私は楽器屋なので良質の古楽器を手ごろな(なるべく!)値段で提供しようとしています。おっしゃるように古楽器を聴いたあとにモダンな楽器をきくと、とても暴力的な気がします。拙宅でチェンバロを初めて弾きまくったピアノ愛好家の方が、帰宅してピアノを弾いたらうるさくて弾けなかった、とおっしゃっていました。中村様は演奏される素材を創っていらっしゃる。うらやましい!いつか作曲されたものの演奏会があったら聞かせて戴きたいですね。
■■ 「バルトーク・ミクロコスモス」について ■■ その1 アナリーゼ(楽曲分析)講座
[ karumiakalmia ]
2006/10/3(火) 午後 2:21
先日講座を受講したものです。 その中で話題になりました 教本の名前を知りたいのですが、 教えていただけませんでしょうか。 ピシュナーと、もう一つ アンドロプティドワでよろしかったでしょうか 楽譜店へ問い合わせてみたものの、みつからなかったため、 申し訳ありませんがよろしく願い致します。 バルト-クについて知ることができ、 また、漠然とフシギな音使いだなと思っていた曲のこともよくわかりました。有意義な講座をありがとうございました。
■■ 銀座百点 皆川達夫先生 音楽界批判 ■■ その1 その他のとびきり楽しいお話
[ 畔 ]
2006/9/4(月) 午前 0:33
銀座百点。。大抵、レジの横に重ねてあって、表紙を眺めるのが楽しみのひとつでした。親のエゴで喰いたくもない店に連れていかれたりしたときなどなおのことで(^^;,、子供の目からは不可思議な表紙の絵に 首をかしげていたころが懐かしいです;-) 国会図書館に創刊号から、すべて揃ってるってハナシですね。 表紙だけなら、こちらで↓ http://www.hyakuten.or.jp/hyosi/index.html
■■ 緑陰読書・・・and「舞いクッキー」のお話 ■■ その他のとびきり楽しいお話
[ ykinuka ]
2006/8/17(木) 午後 1:44
「謡い本を読む」のは確かに空間が広がりますね。毎日は無理としても、継続ですね。そのほかの示唆も大変ためになりました。キヌ
■東北(とうぼく)への路■ その5 リハーサル 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ ojiriakiko ]
2006/6/13(火) 午前 8:47
はじめてブログというものに投稿しています!私達のことをかいてくださったのですね。ありがとうございます。次号の記事メールで拝見しましたが、何を隠そう私はバックハウスの大FAN!でも大抵の場所で趣味が悪いといわれてしまうんですよ。だからバックハウスが好きな方が見つかると嬉しくなってしまいます。
●テオ・アンゲロプロス監督「ユリシーズの瞳」 私が感動した演奏会や、CD、論文
[ 畔 ]
2006/5/14(日) 午後 4:32
北千住の西口側はひと頃の整備も一段落して駅前は、立体歩道等、異空間のごとく様変わりしましたね;-)旧街道沿いは、劇場とは逆方向、行列のできる老舗居酒屋方面にばかり目がいっていて そんな工事がおこなわれていたことなど、まったく知りませんでした(^^;,旧作などを観るのは、京橋のフィルムセンターあたりが主だったのですが、これを機会に常磐線組や東武線組の映画仲間と親交を密にするきっかけになりそうな予感がいたします。情報の御入力、ありがとうございました。
●テオ・アンゲロプロス監督「ユリシーズの瞳」 私が感動した演奏会や、CD、論文
[ 畔 ]
2006/5/14(日) 午後 4:30
うむ、まるで詩神が 中村さんの目を通し、語られるその指の隅々に宿ったかのような熱さを感じてしまいます;-) 今まで何人かの方々のアンゲロプロス作品の評を読んだりはしたのですが ここまでつきうごかされることはありませんでした。「第三の男」でアリダ・ヴァリ演じる「女優」と同じく?愛憎のやるせなくやりばのない「悲劇」を嫌うあまり、目を背け続けた末の食わず嫌いだったのかもしれませんが、なにやら、苦手だったはずの牛乳が こともなげにノドを潤していった遠い昔の不思議が今再び、甦るかのような心持ちがします(^^;,
■東北(とうぼく)への路■ その4 楽琵琶のお話の続き 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/5/6(土) 午前 8:45
それにしても「今日はなにして遊ぼか?」「カラオケ?」あたりが関の山なあたしにとって、音をもって季節に"遊ぶ"殿上人、楽人の打々発止なやり取りは うらやましくもあり、宮仕えの苦労を想像してみたりと(^^;, 科学機器では解析もできぬような繊細な音にとって めぐまれた時代だったのかもしれませんね;-)
■東北(とうぼく)への路■ その4 楽琵琶のお話の続き 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/5/6(土) 午前 8:40
「玄象」のお話、ただ者ではなさそな主(あるじ)が どこかで印篭でもだしはすまいかとの下衆な好奇心は横において(^^;, ますます調絃、六調子への興味がわいてきます。黄鐘調は、梵鐘の手本?ともなっているようですし、そこからは鐘の「アタリ」「オシ」「オクリ」のような部分が楽器の場合にもあるのだろうか?などといった想像がふくらんでゆきます。
■東北(とうぼく)への路■ その3 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/4/28(金) 午後 10:29
中村さんの思い描く「東北(とうぼく)への路」、ブログも、また、機会があれば夏のコンサートも楽しみにしつつ、乱文にて失礼いたしました。 追伸:「第7天国」の、危険きわまりない道板を渡るジャネット・ゲイナー、大好きです。
■東北(とうぼく)への路■ その3 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/4/28(金) 午後 10:27
また、音楽の演奏者と聴衆の関係を無謀?にも シテとワキに置き換え、 であるなら、そのときに、演奏者と聴衆の間に横たわる『青山』とは、いったいなにをさすのだろうか?などとあらぬ妄想にアタマめぐらせてもおりました。どうも、すみません。中村さんのブログからは、好奇心をそのままにはしておけないような素敵でアブナイ魔力のようなパワーを感じてしまって。。(手前勝手な言い訳です~)
■東北(とうぼく)への路■ その3 作曲した曲が初演されるまで・・・
[ 畔 ]
2006/4/28(金) 午後 10:23
はじめまして、東北→とうぼく,,の検索から寄らせていただきました。 楽琵琶のお話、とても興味深く、四季で異なる調弦には、この国の風土に 思い至ってみたり、また、「経正」のお話では、幼少の頃に観た小林正樹監督の「怪談」,,そのオムニバスのひとつ、「耳無し芳一」を思い起こしてみたりと、たのしいひとときを過ごさせていただきました。
■「ベーゼンドルファー」物語 その1■ 知られざる楽器の特性と歴史
[ シマダ ]
2006/4/14(金) 午前 7:56
いつもありがとうございます。 知人がやはりベーゼンドルファーのピアノを愛用していらっしゃいますので、興味深く読ませていただきました。 177年で4万7千台のピアノ・・・てことは、年に265台ってことですよね。 私自身はピアノのことは詳しく分かりませんが、こういう話を聞くと「良いものは沢山作れないんだな」と実感し、祈りに似た真摯な気持ちで仕事に取り組んでいるのだと感じさせられます。 これだけ数が少ないと、”なんとか”さんという卓越した職人さんがいた時代のものは高く評価されたりしているのでしょうかね。 またお伺いいたします。
ヴォルフガング・ベッチャー&益子明美デュオリサイタル お薦めコンサート
[ ykinuka ]
2006/3/10(金) 午前 6:17
何時の日か「竹生島」の小謡ー魚木に登る気色や、兎も浪を奔るー情景が中村さんの手で曲になるのかと楽しみです。
デザイナー 島田佳幸さん その他のとびきり楽しいお話
[ shimada ]
2006/2/27(月) 午前 5:10
ご紹介ありがとうございました。
NHK・FM放送 名曲リサイタルで“夏日星”が演奏されます。 お薦めコンサート
[ ykinuka ]
2006/2/25(土) 午前 11:18
先刻の放送、家内と共に楽しく拝聴しました。幻想的な調べですね。宮沢賢治や十弦ギター、中村さんの力の思いが素人なりに伝わった気がします。ギタリストの斉藤明子さんも名手なのですね。次は邦楽(能楽?)とのフュージョンを楽しみにします。
NHK・FM放送 名曲リサイタルで“夏日星”が演奏されます。 お薦めコンサート
[ ykinuka ]
2006/2/23(木) 午前 5:03
夏日星の放送予定と解説有難うございました。番組司会の加羽沢美濃さんも貴女と同じ作曲・演奏家ですね。10弦ギターは大弦小弦の青山の琵琶でしょうか。放送がたのしみです。
●ゲストブック
ゲストブック作曲家・中村洋子が日常生活の中で感動した、
①演奏会や演奏家
②CD、DVD、書籍、雑誌、論文
③お薦めコンサート
④アナリーゼ(楽曲分析)講座・・・などの紹介。
さらに、⑤演奏家・芸術家との交流
⑥日本の伝統芸術・世界の民族音楽についての感想
⑦作曲した曲の初演に到るまでの行程と舞台裏の話
⑧意外と知られていない楽器(ピアノ、ギター、雅楽器、チエンバロ等)の特性・歴史の解説
⑨音楽以外の分野での飛び切り素晴らしく楽しいお話・・
投稿数:4件
新規作成
taeko_www2006/3/5(日) 午後 1:59
■洋子さん、ブログ開設おめでとうございます!
洋子さんのコンサートでのお話は楽しいだけでなく、内容的にひとりで聞くのが
もったいない深さと厚みと思っていました。
これからブログで、いろいろなお話、うかがえるのを楽しみにしています。p(^ 。^)q
ps:荒川静香、髪をアップにしていない時の横顔表情を見ていると、洋子さんに似ている!と思うときがあります。
2007/11/27(火)
★今月は、作曲に専念していましたので、ブログがお留守になってしまいました。
作曲が進みました日は、フラッと映画を見に行くことがあります。
イギリス映画「ヴィーナス」は、あのピーター・オトゥール(1932年生、75歳)が、
老いた「俳優」を主演しています。
★年老いることの残酷さと、そればかりではない生の輝きを描いた「ヴィーナス」は、
オトゥールが恋する、若いモデル志望の女性(ジョディ・ウィッテカー)を別にして、
すべて、イギリスの燻し銀の俳優による“交響曲”のような、贅沢な映画でした。
特に、オトゥールの別れた妻(ヴァネッサ・レッドグレーヴ、1937年生、70歳)は、
出番は少ないのですが、何日たっても、
彼女の姿が焼き付いて、脳裏から離れません。
見ている私たちが、気付かないだけであって、計算し尽くされた演技の上に、
計算だけでは出てこない即興の豊かな感情表現があったのでしょう。
★ピアフの一生を描いたフランス映画「エディット・ピアフ」は、
マリオン・コティヤールという新進女優(1975年生、32歳)が、
子供時代の役は別として、47歳で没したピアフを演じ切りました。
それ以外は、フランスの老練な、一癖、二癖もある役者が、脇を固めていました。
ピアフの祖母を演じた娼館の女主人(カトリーヌ・アレグレ、
1946年生、61歳、名女優シモーヌ・シニョレの娘)は、ものすごい存在感でした。
その娼館に引き取られた幼いピアフを、心からいとおしむ若い娼婦
(エマニュエル・セニエ、41歳、シャネルのCMにも出た元モデル、ポランスキー監督の妻)
10歳のピアフを、旅芸人として働かせようと、娼館から無理やり連れ出す父親
(ジャン=ポール・ルーヴ、40歳)
このように、重厚な俳優たちが惜しげもなく出演している映画は、私の心のご馳走です。
★音楽の演奏も、彼らのようにあるべきでしょう。
若さの華だけではなく、例えば、ピアニストであるならば、
計算し尽して、練習を重ね、曲の構造も知悉し、その上で、
コンサートの場で、一回性を発揮して欲しいものです。
★いま、「ラヴェル 生涯と作品」アービー・オレンシュタイン著を読んでいます。
以前、ご紹介しましたフランソワ・ルシュール著「伝記 クロード・ドビュッシー」
と比較してみますと、二人の個性の差が興味深いのですが、
音楽に対する真摯な姿勢は、実によく似ている、と感じました。
★おもしろいのは、自作品の演奏に対する二人の反応です。
私も、自分の作品の演奏について、
“こんなはずではない”と思うことが、ありますので、
共感したり、苦笑いしたりして読みました。
★「伝記」によりますと、ドビュッシーは、自分のチェロソナタを演奏した
リール音楽院教授・ルイ・ロゾールについて、
「彼のせいで、ソナタを書いたことを、一瞬後悔し、
自分の書法の確実さを疑いました。
・・・この異常な出来事は、私を徹底的に動揺させました。
その影響は甚大で、私は、自分の哀れな音楽が、
しばしば無理解に出会っても、もう驚きません」と、手紙をしたためているそうです。
★訳が直訳調で、一読しただけでは理解できない日本語ですが、
次のようなことを言っているのでしょう。
『自分の曲を弾いたリール音楽院教授のひどい演奏を聴いて、
“この曲を書かなければよかった”と、一瞬ではあるが後悔してしまった。
“自分のエクリチュール(作曲の様式、書式)が、間違っていたのではないか”、
とさえ、思ってしまった。
しかし、“演奏が悪すぎるのである”、
“これからは、動じないようにしよう”と、気を取り直した』
この教授は、チェロソナタに、イタリア喜劇の登場人物のイメージを重ね合わせ
「月と仲違いしたピエロ」という題を付けるのをためらわなかった、といいます。
★ちなみに、ドビュッシーの生前によく演奏された曲は、
「喜びの島」と「牧神の午後への前奏曲」でした。
ドビュッシーが、自分で気に入っていたと思われるピアノ曲の
「前奏曲集第1巻の“デルフォイの舞姫”」ではありません。
この曲は、日本のピアニストが大好きな「花火」とは、大変に異なります。
この点については、いずれ、お話いたします。
★一方、晩年のラベルは、自作品が満足できない演奏をされた時も、
『自分の音楽は、出版されている楽譜のなかにすべて書いてある』
『本当に分かる人は、楽譜を読んで分かってくれる』
という自信からか、どんな変なおかしな演奏に対しても、
いささかも動じることがなく、無表情を装ったそうです。
現在の私はドビュッシー派かもしれません。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★今月は、作曲に専念していましたので、ブログがお留守になってしまいました。
作曲が進みました日は、フラッと映画を見に行くことがあります。
イギリス映画「ヴィーナス」は、あのピーター・オトゥール(1932年生、75歳)が、
老いた「俳優」を主演しています。
★年老いることの残酷さと、そればかりではない生の輝きを描いた「ヴィーナス」は、
オトゥールが恋する、若いモデル志望の女性(ジョディ・ウィッテカー)を別にして、
すべて、イギリスの燻し銀の俳優による“交響曲”のような、贅沢な映画でした。
特に、オトゥールの別れた妻(ヴァネッサ・レッドグレーヴ、1937年生、70歳)は、
出番は少ないのですが、何日たっても、
彼女の姿が焼き付いて、脳裏から離れません。
見ている私たちが、気付かないだけであって、計算し尽くされた演技の上に、
計算だけでは出てこない即興の豊かな感情表現があったのでしょう。
★ピアフの一生を描いたフランス映画「エディット・ピアフ」は、
マリオン・コティヤールという新進女優(1975年生、32歳)が、
子供時代の役は別として、47歳で没したピアフを演じ切りました。
それ以外は、フランスの老練な、一癖、二癖もある役者が、脇を固めていました。
ピアフの祖母を演じた娼館の女主人(カトリーヌ・アレグレ、
1946年生、61歳、名女優シモーヌ・シニョレの娘)は、ものすごい存在感でした。
その娼館に引き取られた幼いピアフを、心からいとおしむ若い娼婦
(エマニュエル・セニエ、41歳、シャネルのCMにも出た元モデル、ポランスキー監督の妻)
10歳のピアフを、旅芸人として働かせようと、娼館から無理やり連れ出す父親
(ジャン=ポール・ルーヴ、40歳)
このように、重厚な俳優たちが惜しげもなく出演している映画は、私の心のご馳走です。
★音楽の演奏も、彼らのようにあるべきでしょう。
若さの華だけではなく、例えば、ピアニストであるならば、
計算し尽して、練習を重ね、曲の構造も知悉し、その上で、
コンサートの場で、一回性を発揮して欲しいものです。
★いま、「ラヴェル 生涯と作品」アービー・オレンシュタイン著を読んでいます。
以前、ご紹介しましたフランソワ・ルシュール著「伝記 クロード・ドビュッシー」
と比較してみますと、二人の個性の差が興味深いのですが、
音楽に対する真摯な姿勢は、実によく似ている、と感じました。
★おもしろいのは、自作品の演奏に対する二人の反応です。
私も、自分の作品の演奏について、
“こんなはずではない”と思うことが、ありますので、
共感したり、苦笑いしたりして読みました。
★「伝記」によりますと、ドビュッシーは、自分のチェロソナタを演奏した
リール音楽院教授・ルイ・ロゾールについて、
「彼のせいで、ソナタを書いたことを、一瞬後悔し、
自分の書法の確実さを疑いました。
・・・この異常な出来事は、私を徹底的に動揺させました。
その影響は甚大で、私は、自分の哀れな音楽が、
しばしば無理解に出会っても、もう驚きません」と、手紙をしたためているそうです。
★訳が直訳調で、一読しただけでは理解できない日本語ですが、
次のようなことを言っているのでしょう。
『自分の曲を弾いたリール音楽院教授のひどい演奏を聴いて、
“この曲を書かなければよかった”と、一瞬ではあるが後悔してしまった。
“自分のエクリチュール(作曲の様式、書式)が、間違っていたのではないか”、
とさえ、思ってしまった。
しかし、“演奏が悪すぎるのである”、
“これからは、動じないようにしよう”と、気を取り直した』
この教授は、チェロソナタに、イタリア喜劇の登場人物のイメージを重ね合わせ
「月と仲違いしたピエロ」という題を付けるのをためらわなかった、といいます。
★ちなみに、ドビュッシーの生前によく演奏された曲は、
「喜びの島」と「牧神の午後への前奏曲」でした。
ドビュッシーが、自分で気に入っていたと思われるピアノ曲の
「前奏曲集第1巻の“デルフォイの舞姫”」ではありません。
この曲は、日本のピアニストが大好きな「花火」とは、大変に異なります。
この点については、いずれ、お話いたします。
★一方、晩年のラベルは、自作品が満足できない演奏をされた時も、
『自分の音楽は、出版されている楽譜のなかにすべて書いてある』
『本当に分かる人は、楽譜を読んで分かってくれる』
という自信からか、どんな変なおかしな演奏に対しても、
いささかも動じることがなく、無表情を装ったそうです。
現在の私はドビュッシー派かもしれません。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/9/12(水)
★初心者のための「良い連弾曲」を知りたい、という声がよく寄せられます。
そこでお薦めの連弾曲集です。
Jean Francaix ジャン・フランセ作曲「15portraits d'enfants d'Auguste Renoir」
「オーギュスト・ルノワールの15人の子供の顔」
★画家「ルノワール」が描いた可愛らしい子供の肖像画に、フランセが曲をつけました。
私のお気に入りは、第7番の「青い帽子の少女」。
バイエル中程度で、第一、第二ピアノとも弾くことができます。
しかし、内容は大変、奥深く、フレーズの収め方やレガートの奏法、
バスの全音符で和声をどのように感じるか、など
良い先生がご指導されましたら、お子様に素晴らしい栄養となることでしょう。
お子様だけでなく、私自身、いつ弾いても楽しいのです。
日々、成長していく子供の、その一瞬にしかない可愛らしさ、
眼差しを見事にとらえています。
★このようなフランスの上質な音楽を、幼児期に体験していますと、
フォーレの限りなく美しい連弾曲「ドリー」に違和感なく入り込めます。
将来、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルというフランスの大作曲家たちの
マスターピースを学び、演奏する土台となることでしょう。
★第一番「スプーンの赤ちゃん」の第一ピアノは、
「ドレミファソファミレド」と「ドシラソファソラシド」だけで、できていますが、
赤ちゃんのいじらしさを、これだけシンプルに表現した曲は、ないでしょう。
★私が所有するこの楽譜は「Editions Musicales TLANTIQUES Paris」から出版されていますが、
現在は、ひょっとして別の出版社に移っているかもしれません。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★初心者のための「良い連弾曲」を知りたい、という声がよく寄せられます。
そこでお薦めの連弾曲集です。
Jean Francaix ジャン・フランセ作曲「15portraits d'enfants d'Auguste Renoir」
「オーギュスト・ルノワールの15人の子供の顔」
★画家「ルノワール」が描いた可愛らしい子供の肖像画に、フランセが曲をつけました。
私のお気に入りは、第7番の「青い帽子の少女」。
バイエル中程度で、第一、第二ピアノとも弾くことができます。
しかし、内容は大変、奥深く、フレーズの収め方やレガートの奏法、
バスの全音符で和声をどのように感じるか、など
良い先生がご指導されましたら、お子様に素晴らしい栄養となることでしょう。
お子様だけでなく、私自身、いつ弾いても楽しいのです。
日々、成長していく子供の、その一瞬にしかない可愛らしさ、
眼差しを見事にとらえています。
★このようなフランスの上質な音楽を、幼児期に体験していますと、
フォーレの限りなく美しい連弾曲「ドリー」に違和感なく入り込めます。
将来、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルというフランスの大作曲家たちの
マスターピースを学び、演奏する土台となることでしょう。
★第一番「スプーンの赤ちゃん」の第一ピアノは、
「ドレミファソファミレド」と「ドシラソファソラシド」だけで、できていますが、
赤ちゃんのいじらしさを、これだけシンプルに表現した曲は、ないでしょう。
★私が所有するこの楽譜は「Editions Musicales TLANTIQUES Paris」から出版されていますが、
現在は、ひょっとして別の出版社に移っているかもしれません。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/9/7(金)
★前回の続きです。
ブラームス「ピアノ小品集」op.118の3番「バラード」の
39、40、41小節に使われている同一モティーフについて、です。
39小節目の、右手で奏する付点4分音符と8分音符の「ファーレ・ファーレ」を
ハイドシェック先生は、ここは、「オーケストラのホルンの音である」。
「No Pedal !!!」と、おっしゃいました。
★40小節目の、同じモティーフが1オクターブ下がった「ファーレ・ファーレ」は、
「ファゴットの音ですので、指を立ててピアノを弾きなさい」。
帰宅しまして、先生の仰るとおり、指を立てて弾いてみました。
なんとまあ、ピアノの音がファゴットに聴こえるのです。
★39、40小節は、ハ短調の属七でしたが、41小節目は、ロ長調に遠隔転調し、
先ほどのモティーフの変形が、右手で「シーソ♯、シード♯」と奏されます。
「これは、ヴァイオリンである」と、説明されました。
この40から41小節にかけての急激な転調は、
ベートーヴェンのピアノのための変奏曲にもあります。
伴奏を付けずに「ファーレ・ファーレ」から「シーソ♯・シード♯」の
モティーフのみを弾きますと、
「まるで、シェーンベルクの音楽のようですね」と、おっしゃいました。
★シェーンベルクは、ブラームスの作品を大変に愛し、研究し、編曲作品も残しています。
ハイドシェック先生が、直感でおっしゃったことは、正鵠を得ているといえます。
ちなみに、このop.118は、1893年に作曲されていますが、
ブラームスの4つの交響曲のうち、第4番ホ短調op.98は、
ブラームス52歳の1885年に、作曲されています。
亡くなったのは、op.118の4年後の1897年です。
★その第4交響曲第1楽章、第1主題のファゴットは、見事にこの音域、すなわち、
ヘ音記号のほぼ五線のなかに入っています。
このファゴットと、ホルンの関係を耳で聴きますと、
ハイドシェック先生のレッスンの意味がよく分かると、思います。
先生が、いかに、オーケストラ作品も研究されているか、ということです。
皆さまも是非、スコアを見ながら、第4交響曲を聴いてください。
ピアノを弾く上で、とても参考になります。
★ブラームスのピアノ作品には、室内楽やオーケストラの音色を、
イメージして書かれていることが、大変に多く、随所に見受けられます。
一方、ショパンは、ピアノでしか表現できない音色によって、
多くのピアノ曲を書いています。
しかし、ショパンですら、注意深く観察しますと、
オーケストラの楽器の音色を想定しているところが、たくさんあります。
★ブラームス第4交響曲では、18小節にわたる第1テーマのうち、
木管のフルート、クラリネット、ファゴットは、最初から最後まで奏されますが、
オーボエはやっと17小節目になって初めて、千両役者のように、一番目立つ音域で、
第1ヴァイオリンの「シー・シ・シ」をカノンで受け継ぎ、
この長いテーマを、印象深く閉じます。
オーボエが「オーケストラの華」、といわれるのが、実感できます。
★ベルリン・フィルの「オーケストラの華」ローター・コッホの
数少ないCDをまた、偶然、入手することができました。
モーツァルト作曲「オーボエ四重奏曲 K.370」。
共演はブランディス弦楽四重奏団、チェロはもちろん、ベッチャー先生です。
この曲は、モーツァルト室内楽作品集(CD3枚組)に入っています。
CD番号 BRL92874 、外盤ですが、日本語の表紙が付いており、
大手CDショップで購入できると思います。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★前回の続きです。
ブラームス「ピアノ小品集」op.118の3番「バラード」の
39、40、41小節に使われている同一モティーフについて、です。
39小節目の、右手で奏する付点4分音符と8分音符の「ファーレ・ファーレ」を
ハイドシェック先生は、ここは、「オーケストラのホルンの音である」。
「No Pedal !!!」と、おっしゃいました。
★40小節目の、同じモティーフが1オクターブ下がった「ファーレ・ファーレ」は、
「ファゴットの音ですので、指を立ててピアノを弾きなさい」。
帰宅しまして、先生の仰るとおり、指を立てて弾いてみました。
なんとまあ、ピアノの音がファゴットに聴こえるのです。
★39、40小節は、ハ短調の属七でしたが、41小節目は、ロ長調に遠隔転調し、
先ほどのモティーフの変形が、右手で「シーソ♯、シード♯」と奏されます。
「これは、ヴァイオリンである」と、説明されました。
この40から41小節にかけての急激な転調は、
ベートーヴェンのピアノのための変奏曲にもあります。
伴奏を付けずに「ファーレ・ファーレ」から「シーソ♯・シード♯」の
モティーフのみを弾きますと、
「まるで、シェーンベルクの音楽のようですね」と、おっしゃいました。
★シェーンベルクは、ブラームスの作品を大変に愛し、研究し、編曲作品も残しています。
ハイドシェック先生が、直感でおっしゃったことは、正鵠を得ているといえます。
ちなみに、このop.118は、1893年に作曲されていますが、
ブラームスの4つの交響曲のうち、第4番ホ短調op.98は、
ブラームス52歳の1885年に、作曲されています。
亡くなったのは、op.118の4年後の1897年です。
★その第4交響曲第1楽章、第1主題のファゴットは、見事にこの音域、すなわち、
ヘ音記号のほぼ五線のなかに入っています。
このファゴットと、ホルンの関係を耳で聴きますと、
ハイドシェック先生のレッスンの意味がよく分かると、思います。
先生が、いかに、オーケストラ作品も研究されているか、ということです。
皆さまも是非、スコアを見ながら、第4交響曲を聴いてください。
ピアノを弾く上で、とても参考になります。
★ブラームスのピアノ作品には、室内楽やオーケストラの音色を、
イメージして書かれていることが、大変に多く、随所に見受けられます。
一方、ショパンは、ピアノでしか表現できない音色によって、
多くのピアノ曲を書いています。
しかし、ショパンですら、注意深く観察しますと、
オーケストラの楽器の音色を想定しているところが、たくさんあります。
★ブラームス第4交響曲では、18小節にわたる第1テーマのうち、
木管のフルート、クラリネット、ファゴットは、最初から最後まで奏されますが、
オーボエはやっと17小節目になって初めて、千両役者のように、一番目立つ音域で、
第1ヴァイオリンの「シー・シ・シ」をカノンで受け継ぎ、
この長いテーマを、印象深く閉じます。
オーボエが「オーケストラの華」、といわれるのが、実感できます。
★ベルリン・フィルの「オーケストラの華」ローター・コッホの
数少ないCDをまた、偶然、入手することができました。
モーツァルト作曲「オーボエ四重奏曲 K.370」。
共演はブランディス弦楽四重奏団、チェロはもちろん、ベッチャー先生です。
この曲は、モーツァルト室内楽作品集(CD3枚組)に入っています。
CD番号 BRL92874 、外盤ですが、日本語の表紙が付いており、
大手CDショップで購入できると思います。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/9/2(日)
★東京新聞( 07.9.1朝刊)芸術欄「音楽」に
「避暑地の老ピアニスト・ハイドシェック」という記事が、載っていました。
いろいろな意味で考えさせられる記事です。
記事の結論で「いま音楽の世界でビジネス化が進み、一握りのスターが過剰な注目を浴びる。
半面、確かな力を持ちながら過酷なコンサートビジネスの生存競争で、脱落する人や、
そもそもデビュー時から華やかなライトとは無縁の人も多い。」
「スターではなくとも優れた音楽家を招き、音楽と人のつながりを育む
独自のサークルやサロン。
19世紀風のそんな集いが、(略)現代の日本で盛んにならないだろうか。
音楽産業が自らマンネリだと認めつつ『天才』や『巨匠』の演奏会を
量産する現状を変える契機にならないか」とあります。
これは、おおむね的確な現状認識です。
★あえて≪音楽産業≫、≪『天才』≫、≪『巨匠』≫、≪量産≫という言葉を巧みに使い、
【美しい“天才”少女、少年たち、あるいは“巨匠”と称される人たちによる
音楽会の量産、産業化した音楽界】という現状を見事に浮かび上がらせます。
★しかしながら、この記事は冒頭で、エリック・ハイドシェックの演奏を取り上げ、
次のように紹介しています。
★「1936年生まれ、個性派の巨匠だった師匠コルトーの衣鉢を継いで、
楽譜への忠実さより自身の主観を全面に打ち出す。
いわば19世紀風の音楽家で、ベートーヴェンなど独墺系の曲でも
唯一無二の音楽をすることで人気を集める」
★残念ながら、この筆者は、コルトーもハイドシェックも、本当になにも知らないのでしょう。
≪楽譜への忠実さより自身の主観を全面に打ち出す≫。
≪いわば19世紀風の音楽家≫
≪唯一無二の音楽をする≫
この表現にはあきれ果てます。
多分、どこかに書いてあるものを、自己の検証なく、
そのまま孫引きしているのでしょう。
★コルトーにつきましては、ショパンの校訂版が、日本では有名で、
「ショパンの専門家」という誤った認識しかされていないようです。
しかし、日本人が知らないだけで、例えば、ブラームスのピアノ作品への
膨大なコルトー校訂版は、ブラームスの意図を探り尽くそう、という
コルトーの情熱に支えられた楽譜です。
私はブラームスを勉強する際、
必ず、コルトー校訂版を参考にしつつ、原典版に当たります。
★どれだけ楽譜への読みが深く、「恣意的」、「思いつき」とは
無縁のピアニストであるか、大変、よく分かります。
★「コルトーのマスター・クラス」というCDがあります。
バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ショパンの
コルトーの公開レッスン(1954~60、パリ・エコルノルマル)が、
3枚のCDに収録されています。
★このCDを聴けば、校訂楽譜のみならず、レッスンにおいても、
彼がいかに、作曲家の意図を忠実に演奏に反映しよう、と努めていたか、
よく分かります。
★この記事の≪19世紀風≫という言葉の意味が全く、理解できません。
ある種、あざけりの意味を込めているのかもしれません。
感情の赴くまま、テンポルバートをかけたり、単なる思いつきで甘ったるく歌わせる、
そのような自己陶酔する演奏を「19世紀風ロマン派」としているのでしょうか。
★ロマン派とされるショパン、シューマン、ブラームスには、
上記の意味での“ロマン主義”は、ひとかけらもないのです。
いつまでも、このような稚拙な定義の言葉、孫引きの形容詞を使っていますと、
本当の意味での批評は、全く育ちません。
逆に、いい聴衆を育てません。
★私は、ハイドシェックのレッスンを聴講しましたが、
≪作曲家の意図に、どれだけ迫れるか≫、
彼のこれまで71歳のキャリアは、すべてそこに注がれているのです。
偉大な芸術家に対し、たとえ彼らがこの日本語のこの記事を読まないとしても、
決して、決して、発してはいけない言葉なのです。
★この記事は、結果的に、コルトー、ハイドシェックに対し、
根本的に間違った評価を植え付けています。
この記事によって、コルトーやハイドシェックのCDを聴いた人が、
≪自分は、とても素晴らしい演奏だと思うが、
“19世紀風で、楽譜への忠実さより自身の主観を全面に打ち出す”とされている。
しかし、この演奏のどこが、主観的なのか!≫と、戸惑いを覚えることでしょう。
あるいは、素直な人ほど、≪自分の耳がおかしいのかしら?≫と、
自分に対し、自信を失ってしまうことすらありえます。
そして、≪自分にはクラシック音楽は、分からない世界だ≫と
離れていく結果すら生み出します。
★皆さまは、新聞、音楽雑誌の批評や評論を読むより、
まず、楽譜とお友達になってください。
これが、時間を無駄にせず、音楽を真に理解し、愛する最短距離です。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★東京新聞( 07.9.1朝刊)芸術欄「音楽」に
「避暑地の老ピアニスト・ハイドシェック」という記事が、載っていました。
いろいろな意味で考えさせられる記事です。
記事の結論で「いま音楽の世界でビジネス化が進み、一握りのスターが過剰な注目を浴びる。
半面、確かな力を持ちながら過酷なコンサートビジネスの生存競争で、脱落する人や、
そもそもデビュー時から華やかなライトとは無縁の人も多い。」
「スターではなくとも優れた音楽家を招き、音楽と人のつながりを育む
独自のサークルやサロン。
19世紀風のそんな集いが、(略)現代の日本で盛んにならないだろうか。
音楽産業が自らマンネリだと認めつつ『天才』や『巨匠』の演奏会を
量産する現状を変える契機にならないか」とあります。
これは、おおむね的確な現状認識です。
★あえて≪音楽産業≫、≪『天才』≫、≪『巨匠』≫、≪量産≫という言葉を巧みに使い、
【美しい“天才”少女、少年たち、あるいは“巨匠”と称される人たちによる
音楽会の量産、産業化した音楽界】という現状を見事に浮かび上がらせます。
★しかしながら、この記事は冒頭で、エリック・ハイドシェックの演奏を取り上げ、
次のように紹介しています。
★「1936年生まれ、個性派の巨匠だった師匠コルトーの衣鉢を継いで、
楽譜への忠実さより自身の主観を全面に打ち出す。
いわば19世紀風の音楽家で、ベートーヴェンなど独墺系の曲でも
唯一無二の音楽をすることで人気を集める」
★残念ながら、この筆者は、コルトーもハイドシェックも、本当になにも知らないのでしょう。
≪楽譜への忠実さより自身の主観を全面に打ち出す≫。
≪いわば19世紀風の音楽家≫
≪唯一無二の音楽をする≫
この表現にはあきれ果てます。
多分、どこかに書いてあるものを、自己の検証なく、
そのまま孫引きしているのでしょう。
★コルトーにつきましては、ショパンの校訂版が、日本では有名で、
「ショパンの専門家」という誤った認識しかされていないようです。
しかし、日本人が知らないだけで、例えば、ブラームスのピアノ作品への
膨大なコルトー校訂版は、ブラームスの意図を探り尽くそう、という
コルトーの情熱に支えられた楽譜です。
私はブラームスを勉強する際、
必ず、コルトー校訂版を参考にしつつ、原典版に当たります。
★どれだけ楽譜への読みが深く、「恣意的」、「思いつき」とは
無縁のピアニストであるか、大変、よく分かります。
★「コルトーのマスター・クラス」というCDがあります。
バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ショパンの
コルトーの公開レッスン(1954~60、パリ・エコルノルマル)が、
3枚のCDに収録されています。
★このCDを聴けば、校訂楽譜のみならず、レッスンにおいても、
彼がいかに、作曲家の意図を忠実に演奏に反映しよう、と努めていたか、
よく分かります。
★この記事の≪19世紀風≫という言葉の意味が全く、理解できません。
ある種、あざけりの意味を込めているのかもしれません。
感情の赴くまま、テンポルバートをかけたり、単なる思いつきで甘ったるく歌わせる、
そのような自己陶酔する演奏を「19世紀風ロマン派」としているのでしょうか。
★ロマン派とされるショパン、シューマン、ブラームスには、
上記の意味での“ロマン主義”は、ひとかけらもないのです。
いつまでも、このような稚拙な定義の言葉、孫引きの形容詞を使っていますと、
本当の意味での批評は、全く育ちません。
逆に、いい聴衆を育てません。
★私は、ハイドシェックのレッスンを聴講しましたが、
≪作曲家の意図に、どれだけ迫れるか≫、
彼のこれまで71歳のキャリアは、すべてそこに注がれているのです。
偉大な芸術家に対し、たとえ彼らがこの日本語のこの記事を読まないとしても、
決して、決して、発してはいけない言葉なのです。
★この記事は、結果的に、コルトー、ハイドシェックに対し、
根本的に間違った評価を植え付けています。
この記事によって、コルトーやハイドシェックのCDを聴いた人が、
≪自分は、とても素晴らしい演奏だと思うが、
“19世紀風で、楽譜への忠実さより自身の主観を全面に打ち出す”とされている。
しかし、この演奏のどこが、主観的なのか!≫と、戸惑いを覚えることでしょう。
あるいは、素直な人ほど、≪自分の耳がおかしいのかしら?≫と、
自分に対し、自信を失ってしまうことすらありえます。
そして、≪自分にはクラシック音楽は、分からない世界だ≫と
離れていく結果すら生み出します。
★皆さまは、新聞、音楽雑誌の批評や評論を読むより、
まず、楽譜とお友達になってください。
これが、時間を無駄にせず、音楽を真に理解し、愛する最短距離です。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/8/30(木)
★ピアニスト・ERIC HEIDSIECKエリック・ハイドシェックのレッスンを聴講しました。
大変勉強になりました。
心に残った貴重なお話を、お伝えいたします。
★日本のピアニストは、素晴らしい≪指≫を持っている人は多いのですが、
ペダルに問題がある人が多いようです。
ペダルを踏みすぎる傾向があります。
その理由は、「ヨーロッパの演奏会場は、反響がいいのに対し、
日本のレッスン室は、響きが少ないため、ペダルを多用し勝ちなためです」。
★さらに、練習の際の問題点。
通常、日本では、スリッパを履いて練習しています。
しかし、コンサートでは、靴を履いて弾きます。
これでは、練習の時と全く同じ状態では、ペダルを踏むことが出来ません。
スリッパと靴とでは、ペダルに対する足の角度が微妙に異なってしまいます。
「是非、ペダルの下に絨毯を弾き、靴を履いてピアノを練習してください」
「私も絨毯を敷いています。床が靴で、磨り減ってしまうからです」
≪床が磨り減る≫ほど練習を毎日、なさっている、ということですね。
これだけでも感動的なお話です。
★ブラームスのピアノ小品集 OP.118について、
この第一番「インテルメッツォ」最後の、フェルマータ付き和音を弾いたら、
ペダルは踏んだままにして、指は鍵盤から離してください。
ピアノは、ハープを横に倒した形です。
ハープは弾いた後、弦から手を離すと、音がよく響きます。
逆に、響きを止めるには、指を弦に当てます。
最後の和音を響かせるためには、ペダルを踏んだまま、手を鍵盤から離します。
ハンマー(ハープの手に相当)が弦から離れますから、豊な響きが続きます。
★これは、私(中村洋子)の意見ですが、このインテルメッツォは、
ヘ長調の属和音「ド・ミ・ソ」で始まり、イ長調の主和音「ラ・ド・♯ミ」で終わります。
シューベルトが、発見し、好んだ3度の関係の和音です。
★音をクリアーにしたい時は、「梃子」の原理を応用して、
鍵盤の一番手前の部分で打鍵しますと、大変に効果的です。
★OP.118の第3番「バラード」について、スタッカートのお話に説得力がありました。
ドイツ人作曲家の作品のスタッカートは、レガートより重いことがある。
「あのモーツァルトですら、そうです」と、実演をされました。
スタッカートは、楽典では「音を短く切って」と、書いてありますが、
鵜呑みにせず、その作曲家の特性を研究することが大切なようです。
★ブラームスのワルツについても、リズムの取り方を、親切に教えてくださいました。
ワルツの3拍目は、軽いけれども、やや長めです。
「ア~ム=ステル=ダム」、「ア~ム=ステル=ダム」と歌うと、
生き生きとした3拍子のリズムになります。
★その後、外で先生にお会いし、
「アムステルダム」と、歌いながら3拍子をとることを、学ぶことができ、
とても勉強になりました、と感想を述べました。
そして、二人で、「アムステルダム」を何度も合唱し、
私一人のために、熱心に指導していただきました。
先生と一緒に歌うことで、体に3拍子が染み込みました。
「この方法は、私のオリジナルではない。
ある指揮者が、ベートーベンを振る時、使ったものだよ。
これをしないと、弦のパートのリズムが緩み、
生き生きとした3拍子にならない」と、謙虚におっしゃいました。
★ハイドシェック先生は、ノーブルなお顔立ちで、近寄りがたい印象でしたが、大違い。
気さくで親切、音楽への愛情が満ち溢れている方でした。
サインをお願いしましたら、3拍子の音符を書き、さらに説明を続けられ、
肝心なお名前を書き忘れてしまいました。
「先生、お名前を」と申しますと、「オー」とすぐさま、ペンを走らせ、
風のように去っていかれました。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★ピアニスト・ERIC HEIDSIECKエリック・ハイドシェックのレッスンを聴講しました。
大変勉強になりました。
心に残った貴重なお話を、お伝えいたします。
★日本のピアニストは、素晴らしい≪指≫を持っている人は多いのですが、
ペダルに問題がある人が多いようです。
ペダルを踏みすぎる傾向があります。
その理由は、「ヨーロッパの演奏会場は、反響がいいのに対し、
日本のレッスン室は、響きが少ないため、ペダルを多用し勝ちなためです」。
★さらに、練習の際の問題点。
通常、日本では、スリッパを履いて練習しています。
しかし、コンサートでは、靴を履いて弾きます。
これでは、練習の時と全く同じ状態では、ペダルを踏むことが出来ません。
スリッパと靴とでは、ペダルに対する足の角度が微妙に異なってしまいます。
「是非、ペダルの下に絨毯を弾き、靴を履いてピアノを練習してください」
「私も絨毯を敷いています。床が靴で、磨り減ってしまうからです」
≪床が磨り減る≫ほど練習を毎日、なさっている、ということですね。
これだけでも感動的なお話です。
★ブラームスのピアノ小品集 OP.118について、
この第一番「インテルメッツォ」最後の、フェルマータ付き和音を弾いたら、
ペダルは踏んだままにして、指は鍵盤から離してください。
ピアノは、ハープを横に倒した形です。
ハープは弾いた後、弦から手を離すと、音がよく響きます。
逆に、響きを止めるには、指を弦に当てます。
最後の和音を響かせるためには、ペダルを踏んだまま、手を鍵盤から離します。
ハンマー(ハープの手に相当)が弦から離れますから、豊な響きが続きます。
★これは、私(中村洋子)の意見ですが、このインテルメッツォは、
ヘ長調の属和音「ド・ミ・ソ」で始まり、イ長調の主和音「ラ・ド・♯ミ」で終わります。
シューベルトが、発見し、好んだ3度の関係の和音です。
★音をクリアーにしたい時は、「梃子」の原理を応用して、
鍵盤の一番手前の部分で打鍵しますと、大変に効果的です。
★OP.118の第3番「バラード」について、スタッカートのお話に説得力がありました。
ドイツ人作曲家の作品のスタッカートは、レガートより重いことがある。
「あのモーツァルトですら、そうです」と、実演をされました。
スタッカートは、楽典では「音を短く切って」と、書いてありますが、
鵜呑みにせず、その作曲家の特性を研究することが大切なようです。
★ブラームスのワルツについても、リズムの取り方を、親切に教えてくださいました。
ワルツの3拍目は、軽いけれども、やや長めです。
「ア~ム=ステル=ダム」、「ア~ム=ステル=ダム」と歌うと、
生き生きとした3拍子のリズムになります。
★その後、外で先生にお会いし、
「アムステルダム」と、歌いながら3拍子をとることを、学ぶことができ、
とても勉強になりました、と感想を述べました。
そして、二人で、「アムステルダム」を何度も合唱し、
私一人のために、熱心に指導していただきました。
先生と一緒に歌うことで、体に3拍子が染み込みました。
「この方法は、私のオリジナルではない。
ある指揮者が、ベートーベンを振る時、使ったものだよ。
これをしないと、弦のパートのリズムが緩み、
生き生きとした3拍子にならない」と、謙虚におっしゃいました。
★ハイドシェック先生は、ノーブルなお顔立ちで、近寄りがたい印象でしたが、大違い。
気さくで親切、音楽への愛情が満ち溢れている方でした。
サインをお願いしましたら、3拍子の音符を書き、さらに説明を続けられ、
肝心なお名前を書き忘れてしまいました。
「先生、お名前を」と申しますと、「オー」とすぐさま、ペンを走らせ、
風のように去っていかれました。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/8/7(火)
★8月に入り、久しぶりに時間が取れましたので、
たっぷりと名演のCDを聴いております。
1)モーツァルト&ブラームスの「クラリネット五重奏曲」
カール・ライスター≪クラリネット≫、
モーツァルトは、ベルリン・フィルハーモニー・ゾリステンが、
ブラームスは、アマデウス弦楽四重奏団が、共演しています。
(ドイツ・グラモフォン ザ・ベスト1000 UCCG5023 ¥1000)
ベルリン・フィルハーモニー・ゾリステンは、第一ヴァイオリンがトーマス・ブランディス、
チェロはヴォルフガング・ベッチャー先生(ベトヒャーと表記)ほか。
名曲が名匠によって奏されると、こんなにもいいのか、と実感します。
★2)ラフマニノフ&グリンカ歌曲集 ガリーナ・ヴィシネフスカヤ≪ソプラノ≫
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927~2007)≪ピアノ≫
(ロストロポーヴィチ名盤1200 UCCG4254 ¥1200)
ロストロポーヴィチは、ことし亡くなりましたチェロの大家ですが、
ピアノ演奏は、夫人であるヴィシネフスカヤの伴奏でのみ聴くことができます。
ヴィシネフスカヤは、オブラスツォワと並ぶ、20世紀ロシアの大歌手ですが、
日本では、歌曲をCD録音で聴くことがあまり出来ませんので、貴重な一枚です。
★3)ベートーヴェン「弦楽四重奏曲ヘ長調 op18Nr.1」「弦楽四重奏曲ホ短調op59Nr.2」
ブランディス弦楽四重奏団 1998年のライブ録音 (外盤CD25IPPNW-CONCERTS)
ベートーヴェンの弦楽四重奏は、演奏が単調ですと、
一曲聴き通すのが苦痛になることが、往々にしてあります。
このCDは、“ベートーヴェンはなんと楽しいのであろう!”と、心が躍ります。
バッハは、幼稚園の子供が弾いても、大家が弾いても、同じ様に、それなりに
“ああ、バッハだ”と音楽を楽しめますが、ベートーヴェンは、そうはいきません。
その意味で、良い演奏で弦楽四重奏を聴きませんと、
ベートーヴェンをよく理解することはできないのです。
このCDは最良の演奏といえます。
★4)ブラームス「クラリネット・クインテット」「クラリネット・トリオ」
「クラリネット・ソナタ」CD2枚組、(外盤、BRILLANT CLASICS 99800/5)。
クインテットは、ブランディス弦楽四重奏とライスター、
トリオは、ライスターとベッチャー先生、フェレンツ・ボーグナーのピアノ。
トリオのチェロは、第一楽章冒頭の独奏の素晴らしさはもとより、
弦楽器が二人いるのか、と思われるほど、それぞれの音域での音色の変化、
伸びやかな歌に酔います。
弦楽四重奏が、緻密なアンサンブルを求められるのに対し、
トリオは、ソリストが3人いる、といっていいかもしれません。
聞き比べますと、興味深いものがあります。
ちなみに、ベッチャー先生は、この夏、ベートーヴェンの「大公トリオ」を
リヒテンシュタインのバドゥズで、演奏されるそうです。
★室内楽を聴くことは、オペラ(モーツァルトのオペラは別として)の
大袈裟なアリアに興奮して、“ブラボー”を叫ぶのとは対極的な、
音楽の奥深い魅力を、奏者と一体になって探り、楽しむ知的な営みです。
この暑い夏休み、これらのCDをお聴きになり、
室内楽の魅力を、どうぞ、味わってください。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★8月に入り、久しぶりに時間が取れましたので、
たっぷりと名演のCDを聴いております。
1)モーツァルト&ブラームスの「クラリネット五重奏曲」
カール・ライスター≪クラリネット≫、
モーツァルトは、ベルリン・フィルハーモニー・ゾリステンが、
ブラームスは、アマデウス弦楽四重奏団が、共演しています。
(ドイツ・グラモフォン ザ・ベスト1000 UCCG5023 ¥1000)
ベルリン・フィルハーモニー・ゾリステンは、第一ヴァイオリンがトーマス・ブランディス、
チェロはヴォルフガング・ベッチャー先生(ベトヒャーと表記)ほか。
名曲が名匠によって奏されると、こんなにもいいのか、と実感します。
★2)ラフマニノフ&グリンカ歌曲集 ガリーナ・ヴィシネフスカヤ≪ソプラノ≫
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927~2007)≪ピアノ≫
(ロストロポーヴィチ名盤1200 UCCG4254 ¥1200)
ロストロポーヴィチは、ことし亡くなりましたチェロの大家ですが、
ピアノ演奏は、夫人であるヴィシネフスカヤの伴奏でのみ聴くことができます。
ヴィシネフスカヤは、オブラスツォワと並ぶ、20世紀ロシアの大歌手ですが、
日本では、歌曲をCD録音で聴くことがあまり出来ませんので、貴重な一枚です。
★3)ベートーヴェン「弦楽四重奏曲ヘ長調 op18Nr.1」「弦楽四重奏曲ホ短調op59Nr.2」
ブランディス弦楽四重奏団 1998年のライブ録音 (外盤CD25IPPNW-CONCERTS)
ベートーヴェンの弦楽四重奏は、演奏が単調ですと、
一曲聴き通すのが苦痛になることが、往々にしてあります。
このCDは、“ベートーヴェンはなんと楽しいのであろう!”と、心が躍ります。
バッハは、幼稚園の子供が弾いても、大家が弾いても、同じ様に、それなりに
“ああ、バッハだ”と音楽を楽しめますが、ベートーヴェンは、そうはいきません。
その意味で、良い演奏で弦楽四重奏を聴きませんと、
ベートーヴェンをよく理解することはできないのです。
このCDは最良の演奏といえます。
★4)ブラームス「クラリネット・クインテット」「クラリネット・トリオ」
「クラリネット・ソナタ」CD2枚組、(外盤、BRILLANT CLASICS 99800/5)。
クインテットは、ブランディス弦楽四重奏とライスター、
トリオは、ライスターとベッチャー先生、フェレンツ・ボーグナーのピアノ。
トリオのチェロは、第一楽章冒頭の独奏の素晴らしさはもとより、
弦楽器が二人いるのか、と思われるほど、それぞれの音域での音色の変化、
伸びやかな歌に酔います。
弦楽四重奏が、緻密なアンサンブルを求められるのに対し、
トリオは、ソリストが3人いる、といっていいかもしれません。
聞き比べますと、興味深いものがあります。
ちなみに、ベッチャー先生は、この夏、ベートーヴェンの「大公トリオ」を
リヒテンシュタインのバドゥズで、演奏されるそうです。
★室内楽を聴くことは、オペラ(モーツァルトのオペラは別として)の
大袈裟なアリアに興奮して、“ブラボー”を叫ぶのとは対極的な、
音楽の奥深い魅力を、奏者と一体になって探り、楽しむ知的な営みです。
この暑い夏休み、これらのCDをお聴きになり、
室内楽の魅力を、どうぞ、味わってください。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/7/31(火)
★この弦楽五重奏曲は、1828年9月ごろ、
シューベルトの死(同年11月)の直前に書かれました。
通常の弦楽四重奏にチェロがもう一人加わり、五重奏になっています。
第一チェロをバウマンが担当し、第二チェロをベッチャー先生が演奏されています。
低い順に、第二チェロ、第一チェロ、ヴィオラ、第二ヴァイオリン、第一ヴァイオリンです。
第一チェロは内声を担当し、時に、第二チェロと、ユニゾンでバスを弾きます。
第二チェロは、この五重奏の土台となるバスを渾身の力で支えるのです。
★特に第一楽章の81小節目以降、第二チェロは、ピッチカートで、他の4声を支えます。
一見コントラバス的でもありますが、チェロでなければ出来ない音色と、
音高です。
ベッチャー先生の演奏は、他の4人の奏者が演奏を止めてしまっても、
そのバスのみを聴くことで、シューベルトが意図した他の4声の和声が想像できるほどです。
★第2楽章アダージョの第二チェロも、ピッチカートバスで、同じことが言えます。
ピアニストは是非、スコアーを見ながら、バスだけに注目してこのCDをお聴きください。
それを何度か、なさいますと、シューベルトのピアノソナタを弾く際、
バスの弾き方が変わってくると思います。
また、生きたリズムの取り方も学べます。
★ちなみに、第一楽章49小節目からの3連譜で刻まれた和音の伴奏
(第一、第二ヴァオリン、第二チェロ)と、旋律(ヴィオラ、第一チェロ)は、
シューベルト最後のピアノソナタ・D960の第一楽章・第2テーマを弾く際、
おおいに、参考になります。
★音響やムード、思いつきだけでピアノソナタを弾く演奏の問題点は、
バスの認識が、あまりにも浅すぎるということです。
勉強不足と片付けてしまえば、それまでですが、
聴くほうも、ヨーロッパのクラッシック音楽の根幹を理解せず、
妙に興奮を煽るドラマチックな演奏をもてはやす、という
悪循環に陥っているのではないでしょうか。
これは、シューベルトの世界からは、最も遠いものです。
★和声の「ドッペルドミナントの5音下行変質音」について、よくお尋ねがあります。
第一楽章の最後から20小節前の「426小節」で、第一チェロ、第二チェロが
同時に奏する「ラ♭」のトリルをお聴きください。
この第5音の意味と弾き方が、はっきりと分かるはずです。
5音が、強烈に2度下行する方向性をもったものである、ことが
お分かりになると思います。
★ベッチャー先生に「素晴らしいピッチカートバスですね」と、お話しましたところ、
「モーツァルトの“弦楽五重奏・K515”も合わせて勉強しなさい。
これは、なんという傑作だろう」とおっしゃていました。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
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■■シューベルト作曲弦楽五重奏曲D.956の素晴らしいCD■■~2つのヴァイオリン、ヴィオラ、2つのチェロのための~ 傑作(0)
2007/7/24(火) 午前 11:05私が感動した演奏会や、CD、論文その他音楽 Yahoo!ブックマークに登録 ★7月21日(土)の小石川・傳通院での「フルートとハープのための演奏会」、
22日(日)の日本ベーゼンドルファー東京ショールームでの、
「アナリーゼ講座」(ショパン)が、無事終わり、ホットしております。
これから、8月初演の室内楽を作曲したい、と思います。
★7月16日(月)にも、ピアニストの皆さまを対象とする
シューベルト、ショパン、ブラームスについての「アナリーゼ講座」を開きました。
共通する「ショパン」を考える時、シューベルトの存在の大きさを思わざるをえません。
CDの日本語解説には、よく「シューベルトは構成が弱い」などと書いてありますが、
これは、巨大な象を手のひらで触った小さな人間が、
「この動物には形がない」と、言っているのに等しいと思います。
このシューベルト、という大天才に対し、どうぞ、心より謙虚に
その緻密な構成を自分で研究し発見してください。
日本の評論家の文章を信用しないでください。
★上記の両講座で、シューベルトの最後のピアノソナタ「変ロ長調D・960」について、
お話いたしましたが、この曲は次の2点について、画期的な作品です。
1)ショパンは、(それほど指摘されていませんが)、
シューベルトを大変に尊敬し、随分詳しく研究していました。
ピアノソナタ「変ロ長調D・960」は、1828年(シューベルトの没年)に作曲され、
出版されたのは、なんと10年後の1838年です。
その3年後に発表されたショパンの「バラード第3番」は、
シューベルトのこのソナタの構成から、大変大きな影響を受けています。
おそらく、ショパンは、出版楽譜を研究したはずです。
それが、ショパンの最後の大きな作品「幻想ポロネーズ」に繋がっていくのです。
★2)シューベルトのこのソナタは、ピアノという楽器を超越し、
弦楽四重奏、あるいはオーケストラのような響きや発想で作曲されています。
ピアニストは、同時期のシューベルトの室内楽曲を研究すると、
ピアノでどのように対位法、リズム、音色を表現したらいいか、参考になるはずです。
★というわけで、シューベルト最後の大きな室内楽作品である
「弦楽五重奏曲D.956」を聴きたくなり、CDショップに出掛けました。
そこで、なんという出会いでしょう。
「ベルリン・ブランディス弦楽四重奏団」と
チェロのイェルク・バウマンによるこの曲のCDを見つけてしまいました。
★正直申し上げまして、いままで、あまりきちんと理解していなかったのですが、
この名演を聴くことにより、霧が晴れるように、この曲とシューベルト晩年の作風、
それがいかに、シューマン、ショパン、ブラームスを通し、
ドイツとフランス音楽の滋養の根幹となっていったか、よく分かりました。
★このCDは、まだ絶版になっておりませんので、是非お聴きください。
CD番号:≪WPCS22047テレフンケン・トレジャーズ ワーナーミュージック・ジャパン≫。
「ブランディス弦楽四重奏団」は、
ベルリンフィルの第1コンサートマスターのトーマス・ブランディス(第1ヴァイオリン)、
ペーター・ブレム(第2ヴァイオリン)、
ヴィルフリート・シュトレーレ(ヴィオラ)、
ヴォルフガング・ベッチャー(チェロ)の名匠ぞろいです。
ベッチャー先生は、誤って「ベットヒャー」と記述されています。
さらに、チェロのイェルク・バウマンが加わっての五重奏です。
バウマンは、ベッチャー先生の後を継いで、ベルリンフィルの首席チェリストに
なられた方ですが、惜しくも既にお亡くなりになっています。
このCDの素晴らしい内容については、後ほど、ブログでお知らせいたします。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★この弦楽五重奏曲は、1828年9月ごろ、
シューベルトの死(同年11月)の直前に書かれました。
通常の弦楽四重奏にチェロがもう一人加わり、五重奏になっています。
第一チェロをバウマンが担当し、第二チェロをベッチャー先生が演奏されています。
低い順に、第二チェロ、第一チェロ、ヴィオラ、第二ヴァイオリン、第一ヴァイオリンです。
第一チェロは内声を担当し、時に、第二チェロと、ユニゾンでバスを弾きます。
第二チェロは、この五重奏の土台となるバスを渾身の力で支えるのです。
★特に第一楽章の81小節目以降、第二チェロは、ピッチカートで、他の4声を支えます。
一見コントラバス的でもありますが、チェロでなければ出来ない音色と、
音高です。
ベッチャー先生の演奏は、他の4人の奏者が演奏を止めてしまっても、
そのバスのみを聴くことで、シューベルトが意図した他の4声の和声が想像できるほどです。
★第2楽章アダージョの第二チェロも、ピッチカートバスで、同じことが言えます。
ピアニストは是非、スコアーを見ながら、バスだけに注目してこのCDをお聴きください。
それを何度か、なさいますと、シューベルトのピアノソナタを弾く際、
バスの弾き方が変わってくると思います。
また、生きたリズムの取り方も学べます。
★ちなみに、第一楽章49小節目からの3連譜で刻まれた和音の伴奏
(第一、第二ヴァオリン、第二チェロ)と、旋律(ヴィオラ、第一チェロ)は、
シューベルト最後のピアノソナタ・D960の第一楽章・第2テーマを弾く際、
おおいに、参考になります。
★音響やムード、思いつきだけでピアノソナタを弾く演奏の問題点は、
バスの認識が、あまりにも浅すぎるということです。
勉強不足と片付けてしまえば、それまでですが、
聴くほうも、ヨーロッパのクラッシック音楽の根幹を理解せず、
妙に興奮を煽るドラマチックな演奏をもてはやす、という
悪循環に陥っているのではないでしょうか。
これは、シューベルトの世界からは、最も遠いものです。
★和声の「ドッペルドミナントの5音下行変質音」について、よくお尋ねがあります。
第一楽章の最後から20小節前の「426小節」で、第一チェロ、第二チェロが
同時に奏する「ラ♭」のトリルをお聴きください。
この第5音の意味と弾き方が、はっきりと分かるはずです。
5音が、強烈に2度下行する方向性をもったものである、ことが
お分かりになると思います。
★ベッチャー先生に「素晴らしいピッチカートバスですね」と、お話しましたところ、
「モーツァルトの“弦楽五重奏・K515”も合わせて勉強しなさい。
これは、なんという傑作だろう」とおっしゃていました。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
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■■シューベルト作曲弦楽五重奏曲D.956の素晴らしいCD■■~2つのヴァイオリン、ヴィオラ、2つのチェロのための~ 傑作(0)
2007/7/24(火) 午前 11:05私が感動した演奏会や、CD、論文その他音楽 Yahoo!ブックマークに登録 ★7月21日(土)の小石川・傳通院での「フルートとハープのための演奏会」、
22日(日)の日本ベーゼンドルファー東京ショールームでの、
「アナリーゼ講座」(ショパン)が、無事終わり、ホットしております。
これから、8月初演の室内楽を作曲したい、と思います。
★7月16日(月)にも、ピアニストの皆さまを対象とする
シューベルト、ショパン、ブラームスについての「アナリーゼ講座」を開きました。
共通する「ショパン」を考える時、シューベルトの存在の大きさを思わざるをえません。
CDの日本語解説には、よく「シューベルトは構成が弱い」などと書いてありますが、
これは、巨大な象を手のひらで触った小さな人間が、
「この動物には形がない」と、言っているのに等しいと思います。
このシューベルト、という大天才に対し、どうぞ、心より謙虚に
その緻密な構成を自分で研究し発見してください。
日本の評論家の文章を信用しないでください。
★上記の両講座で、シューベルトの最後のピアノソナタ「変ロ長調D・960」について、
お話いたしましたが、この曲は次の2点について、画期的な作品です。
1)ショパンは、(それほど指摘されていませんが)、
シューベルトを大変に尊敬し、随分詳しく研究していました。
ピアノソナタ「変ロ長調D・960」は、1828年(シューベルトの没年)に作曲され、
出版されたのは、なんと10年後の1838年です。
その3年後に発表されたショパンの「バラード第3番」は、
シューベルトのこのソナタの構成から、大変大きな影響を受けています。
おそらく、ショパンは、出版楽譜を研究したはずです。
それが、ショパンの最後の大きな作品「幻想ポロネーズ」に繋がっていくのです。
★2)シューベルトのこのソナタは、ピアノという楽器を超越し、
弦楽四重奏、あるいはオーケストラのような響きや発想で作曲されています。
ピアニストは、同時期のシューベルトの室内楽曲を研究すると、
ピアノでどのように対位法、リズム、音色を表現したらいいか、参考になるはずです。
★というわけで、シューベルト最後の大きな室内楽作品である
「弦楽五重奏曲D.956」を聴きたくなり、CDショップに出掛けました。
そこで、なんという出会いでしょう。
「ベルリン・ブランディス弦楽四重奏団」と
チェロのイェルク・バウマンによるこの曲のCDを見つけてしまいました。
★正直申し上げまして、いままで、あまりきちんと理解していなかったのですが、
この名演を聴くことにより、霧が晴れるように、この曲とシューベルト晩年の作風、
それがいかに、シューマン、ショパン、ブラームスを通し、
ドイツとフランス音楽の滋養の根幹となっていったか、よく分かりました。
★このCDは、まだ絶版になっておりませんので、是非お聴きください。
CD番号:≪WPCS22047テレフンケン・トレジャーズ ワーナーミュージック・ジャパン≫。
「ブランディス弦楽四重奏団」は、
ベルリンフィルの第1コンサートマスターのトーマス・ブランディス(第1ヴァイオリン)、
ペーター・ブレム(第2ヴァイオリン)、
ヴィルフリート・シュトレーレ(ヴィオラ)、
ヴォルフガング・ベッチャー(チェロ)の名匠ぞろいです。
ベッチャー先生は、誤って「ベットヒャー」と記述されています。
さらに、チェロのイェルク・バウマンが加わっての五重奏です。
バウマンは、ベッチャー先生の後を継いで、ベルリンフィルの首席チェリストに
なられた方ですが、惜しくも既にお亡くなりになっています。
このCDの素晴らしい内容については、後ほど、ブログでお知らせいたします。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/6/29(金)
★シューマンの「チェロ協奏曲」が聴きたくなり、
NAXOS・HISTORICALのGREAT CELLISTシリーズから、ピアティゴルスキーの
「協奏曲&アンコール集」(ADD 8-11069)を購入しました。
(シューマンの協奏曲は、1934年にバルビローリ指揮ロンドンフィルで録音)
すべてが、飛び切りの名演集です。
CDを聴き終わりますと、もう一度、最初から聴き直したくなります。
このようなことは、本当に久しぶりです。
シュナイダーハンとケンプのべートーベン「スプリング・ソナタ」以来です。
本人へのインタビューを基にした英文の解説が秀逸ですので、ご紹介します。
(それに比べ、一般論ですが、日本のCDの解説は、中身が薄いですね。)
★ピアティゴルスキーは、残念なことに、あまり日本では、知られていません。
レコーディングもあまりなされていないようです。
しかし「間違いなく、カザルス以来、私が聴いた最高のチェリスト」と、
ルービンシュタインが評したことが、すべてを語っています。
★1903年4月、グレゴール・ピアティゴルスキーは、ウクライナで生まれました。
バイオリニストの父から、最初はピアノとバイオリンを習いました。
1910年、ヴィクトール・クバツキーのチェロを聴き、殴られるような感動を覚えました。
(ショスタコービッチは後年、クバツキーのためにチェロソナタを書いています)
7歳の誕生日、チェロをプレゼントされ、急速に技法を習得します。
モスクワ音楽院などで勉強した後、16歳の1919年、
ボリショイ・オペラ・オーケストラの首席演奏者となります。
そこで、シャリアピンなど名歌手とも共演します。
シャリアピンは「グリーシャ!、君はチェロで大変うまく“歌う”が、
もっと“語る”ことをチェロでやったほうがいい」と言ったそうです。
★ソ連では、チェロをさらに学ぶことも、海外公演も許されなかったため、
1921年、ポーランドへ逃げます。
チェロを肩に担ぎ、家畜のトラックを乗り継ぎ、国境線を歩いて渡ろうとしました。
その時、二人の兵隊が、バン、バン、バンと、いきなり鉄砲を撃ってきました。
彼は、恐ろしく肥った(awfully fat)女性のオペラ歌手と、一緒に逃げていました。
バン、バンという銃声を聞いた途端、「彼女は、飛び上がって私の背中に抱きつき、
太い腕を首にキュッと巻き付けました・・・“ my cello is no more ”」。
★ワルシャワのホテルでチェロを弾くことから始め、
ライプチッヒで、ユリウス・クレンゲルに学びます。
(ベッチャー先生は、バッハのチェロ組曲を勉強する場合、原典以外に、
クレンゲル版も参照するように、とおっしゃています)
しかし、彼のライバルである「エマヌエル・フォイヤーマン」の演奏を聴くことで、
もっと、たくさんのことを、学んだそうです。
(フォイヤーマンは、斉藤秀雄の先生です)
1923年、ベルリンで、シュナーベルに助けられ、シェーンベルク「Piero lunaire」を演奏します。
★1924年、フルトヴェングラーによって、ベルリンフィルの首席チェリストに任命されます。
≪フルトヴェングラーは興奮すると、唾を飛ばすので、首席チェロの上に降ってくる。
ピアティゴルスキーは、さっと傘を広げた≫とは、ベッチャー先生の楽しいご冗談。
1929年まで首席を務め、その後、シュナーベル、フレッシュとトリオを組みます。
その他にも、ミルシュティン、ホロビッツともトリオを。
1931年、ルービンシュタインと出会い、「カザルス以来、最高のチェリスト」と評されます。
1930年代を通じて、彼の名声が高まります。
1940年代は、アメリカを本拠とし、42年に市民権を取得します。
1949年、ルービンシュタイン、ハイフェッツ、ピアティゴルスキーのよる
いわゆる≪100万ドルトリオ≫が結成されます。
教育の面でも、カーティス音楽院や南カリフォルニア大で教えます。
1962、66年には、チャイコフスキーコンクールの審査員として、モスクワに里帰りしています。
1976年8月、ロサンジェルス近郊で永眠、73歳。
彼が保有していたストラディバリのうち、「ロード・アイレスフォード」という名器は、
現在、ヤーノシュ・シュタルケルに引き継がれています。
★シューマンのチェロ協奏曲は、ピアティゴルスキーが、戦前に録音した
唯一の協奏曲で、カデンツァも、彼の作です。
音の輝き、技巧が縦横に発揮されています。
録音器がまだ回っている時、オーケストラのオーボエ奏者が、感動して
“ブラボー”と叫んでしまったそうです。
★アンコール集は、名人芸より、音色やフレージングを聴かせるよう選曲されています。
ラフマニノフの「ヴォカリーズ」は、かつてヴォリショイ・オペラで同僚だった
アントニーナ・ネズドノーヴァのために書かれた曲です。
★アンコール集のなかに、シューベルトの「楽興の時」D.780ヘ短調Op94の3が、あります。
この原曲は、有名なピアノ曲です。
ピアティゴルスキーは、思わず踊りだしたくなるような舞曲として、演奏しています。
このように見事なリズムで、この曲が演奏されるのを聴くのは、初めてです。
ピアノを弾く上で大変、参考になります。
シューベルトは、バイオリンや弦楽器を知り尽くしており、家族で弦楽合奏をしていました。
案外、このピアノ曲は弦楽器的な発想も、含まれているかもしれませんね。
是非、お聴きになることをお薦めします。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★シューマンの「チェロ協奏曲」が聴きたくなり、
NAXOS・HISTORICALのGREAT CELLISTシリーズから、ピアティゴルスキーの
「協奏曲&アンコール集」(ADD 8-11069)を購入しました。
(シューマンの協奏曲は、1934年にバルビローリ指揮ロンドンフィルで録音)
すべてが、飛び切りの名演集です。
CDを聴き終わりますと、もう一度、最初から聴き直したくなります。
このようなことは、本当に久しぶりです。
シュナイダーハンとケンプのべートーベン「スプリング・ソナタ」以来です。
本人へのインタビューを基にした英文の解説が秀逸ですので、ご紹介します。
(それに比べ、一般論ですが、日本のCDの解説は、中身が薄いですね。)
★ピアティゴルスキーは、残念なことに、あまり日本では、知られていません。
レコーディングもあまりなされていないようです。
しかし「間違いなく、カザルス以来、私が聴いた最高のチェリスト」と、
ルービンシュタインが評したことが、すべてを語っています。
★1903年4月、グレゴール・ピアティゴルスキーは、ウクライナで生まれました。
バイオリニストの父から、最初はピアノとバイオリンを習いました。
1910年、ヴィクトール・クバツキーのチェロを聴き、殴られるような感動を覚えました。
(ショスタコービッチは後年、クバツキーのためにチェロソナタを書いています)
7歳の誕生日、チェロをプレゼントされ、急速に技法を習得します。
モスクワ音楽院などで勉強した後、16歳の1919年、
ボリショイ・オペラ・オーケストラの首席演奏者となります。
そこで、シャリアピンなど名歌手とも共演します。
シャリアピンは「グリーシャ!、君はチェロで大変うまく“歌う”が、
もっと“語る”ことをチェロでやったほうがいい」と言ったそうです。
★ソ連では、チェロをさらに学ぶことも、海外公演も許されなかったため、
1921年、ポーランドへ逃げます。
チェロを肩に担ぎ、家畜のトラックを乗り継ぎ、国境線を歩いて渡ろうとしました。
その時、二人の兵隊が、バン、バン、バンと、いきなり鉄砲を撃ってきました。
彼は、恐ろしく肥った(awfully fat)女性のオペラ歌手と、一緒に逃げていました。
バン、バンという銃声を聞いた途端、「彼女は、飛び上がって私の背中に抱きつき、
太い腕を首にキュッと巻き付けました・・・“ my cello is no more ”」。
★ワルシャワのホテルでチェロを弾くことから始め、
ライプチッヒで、ユリウス・クレンゲルに学びます。
(ベッチャー先生は、バッハのチェロ組曲を勉強する場合、原典以外に、
クレンゲル版も参照するように、とおっしゃています)
しかし、彼のライバルである「エマヌエル・フォイヤーマン」の演奏を聴くことで、
もっと、たくさんのことを、学んだそうです。
(フォイヤーマンは、斉藤秀雄の先生です)
1923年、ベルリンで、シュナーベルに助けられ、シェーンベルク「Piero lunaire」を演奏します。
★1924年、フルトヴェングラーによって、ベルリンフィルの首席チェリストに任命されます。
≪フルトヴェングラーは興奮すると、唾を飛ばすので、首席チェロの上に降ってくる。
ピアティゴルスキーは、さっと傘を広げた≫とは、ベッチャー先生の楽しいご冗談。
1929年まで首席を務め、その後、シュナーベル、フレッシュとトリオを組みます。
その他にも、ミルシュティン、ホロビッツともトリオを。
1931年、ルービンシュタインと出会い、「カザルス以来、最高のチェリスト」と評されます。
1930年代を通じて、彼の名声が高まります。
1940年代は、アメリカを本拠とし、42年に市民権を取得します。
1949年、ルービンシュタイン、ハイフェッツ、ピアティゴルスキーのよる
いわゆる≪100万ドルトリオ≫が結成されます。
教育の面でも、カーティス音楽院や南カリフォルニア大で教えます。
1962、66年には、チャイコフスキーコンクールの審査員として、モスクワに里帰りしています。
1976年8月、ロサンジェルス近郊で永眠、73歳。
彼が保有していたストラディバリのうち、「ロード・アイレスフォード」という名器は、
現在、ヤーノシュ・シュタルケルに引き継がれています。
★シューマンのチェロ協奏曲は、ピアティゴルスキーが、戦前に録音した
唯一の協奏曲で、カデンツァも、彼の作です。
音の輝き、技巧が縦横に発揮されています。
録音器がまだ回っている時、オーケストラのオーボエ奏者が、感動して
“ブラボー”と叫んでしまったそうです。
★アンコール集は、名人芸より、音色やフレージングを聴かせるよう選曲されています。
ラフマニノフの「ヴォカリーズ」は、かつてヴォリショイ・オペラで同僚だった
アントニーナ・ネズドノーヴァのために書かれた曲です。
★アンコール集のなかに、シューベルトの「楽興の時」D.780ヘ短調Op94の3が、あります。
この原曲は、有名なピアノ曲です。
ピアティゴルスキーは、思わず踊りだしたくなるような舞曲として、演奏しています。
このように見事なリズムで、この曲が演奏されるのを聴くのは、初めてです。
ピアノを弾く上で大変、参考になります。
シューベルトは、バイオリンや弦楽器を知り尽くしており、家族で弦楽合奏をしていました。
案外、このピアノ曲は弦楽器的な発想も、含まれているかもしれませんね。
是非、お聴きになることをお薦めします。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/3/15(木)
★ピアノのルービンシュタイン、バイオリンのハイフェッツ、チェロのピアティゴルスキーの演奏を録画した
EMIクラッシック・アーカイブシリーズを観ました。
「100万ドルトリオの名演奏」と日本語で宣伝してありますが、3人でのトリオの演奏は一曲もなく、
収録曲は、ベートーベンのピアノ協奏曲第4番、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲、
ウォルトンのチェロ協奏曲、あとは小品です。
★ピアノ協奏曲は、アルトゥール・ルービンシュタイン(1887~1982)が75歳の1967年、
ロンドン・ロイヤルフェスティバルホールでの録音です。
“年齢を全く感じさせない”という陳腐な表現だけでなく、
“人間として最も美しい歳のとりかた”が伝わる演奏でした。
彼が、自分で鍛え抜いた「手」の美しさに惚れ惚れとしました。
指の付け根の関節は、筋肉で大きく盛り上がっていますが、決して、
ゴツゴツした感じではなく、優雅ですらあります。
私がいままで拝見しました手で、一番美しいと思ったのは、ショパンの手ですが、
これは、ピアニストというより、創作する作曲家の手、というイメージが強いです。
ピアニストの手では、断然、ルービンシュタインです。
★以前、尊敬する歌舞伎の中村富十郎さんの腕の筋肉を、直接、触らせていただいたことがあります。
硬さは全くなく、柔らかく弾力がありました。
日本舞踊などで、瞬間的に強い力を出すために鍛え上げられた筋肉は、
普段は柔らかいものだと、分かりました。
おそらく、ルービンシュタインもそうだと思います。
また、顔の表情も興味深いものがありました。
舞台袖から、オーケストラの団員の間を縫って、ピアノに辿り着くまでの、
緊張して引き締まった顔。
背筋をすっくと伸ばし、鍵盤に向かう表情、
弾き終わった後の、大きな仕事を成し終えた安堵感。
まさに千両役者です。
残念ながら、ルービンシュタインの実演は見たことがなく、
想像するだけでしたが、映像で体験でき、とても幸せです。
★文楽の名人・故吉田玉男さんも、人形の動きとは全く関係なく、
いつも背筋をシャンと伸ばし、
どんな場面でも、顔色ひとつ変えていらっしゃいませんでした。
彼の遣う大星由良之助の人間的な奥行きの深さ、と一脈通じるかもしれません。
晩年、玉男さんの「忠臣蔵」全幕を、通しで観ることができたのはとても幸運でした。
★ベートーベンの4番は、コンチェルトのなかでは、私も最も好きな曲ですが、
「アポロ的」などとレッテルを貼られ、なんだか肩の凝る縮こまった演奏があるようです。
ルービンシュタインは、こだわることなく、おおらかに大きく羽ばたいております。
皆様もこの演奏をお聴きになりますと、
“音楽とはなんと楽しいものでしょう”とお感じになることと思います。
★このDVDには、ボーナスとして、ショパン・ポロネーズ変イ長調「英雄」が入っております。
これは、1年後の1968年に、同じホールでの録画です。
これだけでも、このDVDを購入する価値があります。
あまりに有名で、通俗的なイメージが定着しておりますが、
演奏によって、かくも変わるものか、と思いました。
軍馬のどよめきがヒタヒタと押し寄せ、眼前に迫るようです。
兵隊たちの高揚した感情まで伝わってきます。
ショパンの醍醐味です。
ドラクロアの絵画でも見ているかのようです。
ルービンシュタインには、ブラームスのピアノ五重奏の歴史的な超名演がありますが、
室内楽の抽象的な世界も、ショパンの活き活きとした絵画的世界も、難なく描き出せます。
本当にオールマイティなピアニストです。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★ピアノのルービンシュタイン、バイオリンのハイフェッツ、チェロのピアティゴルスキーの演奏を録画した
EMIクラッシック・アーカイブシリーズを観ました。
「100万ドルトリオの名演奏」と日本語で宣伝してありますが、3人でのトリオの演奏は一曲もなく、
収録曲は、ベートーベンのピアノ協奏曲第4番、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲、
ウォルトンのチェロ協奏曲、あとは小品です。
★ピアノ協奏曲は、アルトゥール・ルービンシュタイン(1887~1982)が75歳の1967年、
ロンドン・ロイヤルフェスティバルホールでの録音です。
“年齢を全く感じさせない”という陳腐な表現だけでなく、
“人間として最も美しい歳のとりかた”が伝わる演奏でした。
彼が、自分で鍛え抜いた「手」の美しさに惚れ惚れとしました。
指の付け根の関節は、筋肉で大きく盛り上がっていますが、決して、
ゴツゴツした感じではなく、優雅ですらあります。
私がいままで拝見しました手で、一番美しいと思ったのは、ショパンの手ですが、
これは、ピアニストというより、創作する作曲家の手、というイメージが強いです。
ピアニストの手では、断然、ルービンシュタインです。
★以前、尊敬する歌舞伎の中村富十郎さんの腕の筋肉を、直接、触らせていただいたことがあります。
硬さは全くなく、柔らかく弾力がありました。
日本舞踊などで、瞬間的に強い力を出すために鍛え上げられた筋肉は、
普段は柔らかいものだと、分かりました。
おそらく、ルービンシュタインもそうだと思います。
また、顔の表情も興味深いものがありました。
舞台袖から、オーケストラの団員の間を縫って、ピアノに辿り着くまでの、
緊張して引き締まった顔。
背筋をすっくと伸ばし、鍵盤に向かう表情、
弾き終わった後の、大きな仕事を成し終えた安堵感。
まさに千両役者です。
残念ながら、ルービンシュタインの実演は見たことがなく、
想像するだけでしたが、映像で体験でき、とても幸せです。
★文楽の名人・故吉田玉男さんも、人形の動きとは全く関係なく、
いつも背筋をシャンと伸ばし、
どんな場面でも、顔色ひとつ変えていらっしゃいませんでした。
彼の遣う大星由良之助の人間的な奥行きの深さ、と一脈通じるかもしれません。
晩年、玉男さんの「忠臣蔵」全幕を、通しで観ることができたのはとても幸運でした。
★ベートーベンの4番は、コンチェルトのなかでは、私も最も好きな曲ですが、
「アポロ的」などとレッテルを貼られ、なんだか肩の凝る縮こまった演奏があるようです。
ルービンシュタインは、こだわることなく、おおらかに大きく羽ばたいております。
皆様もこの演奏をお聴きになりますと、
“音楽とはなんと楽しいものでしょう”とお感じになることと思います。
★このDVDには、ボーナスとして、ショパン・ポロネーズ変イ長調「英雄」が入っております。
これは、1年後の1968年に、同じホールでの録画です。
これだけでも、このDVDを購入する価値があります。
あまりに有名で、通俗的なイメージが定着しておりますが、
演奏によって、かくも変わるものか、と思いました。
軍馬のどよめきがヒタヒタと押し寄せ、眼前に迫るようです。
兵隊たちの高揚した感情まで伝わってきます。
ショパンの醍醐味です。
ドラクロアの絵画でも見ているかのようです。
ルービンシュタインには、ブラームスのピアノ五重奏の歴史的な超名演がありますが、
室内楽の抽象的な世界も、ショパンの活き活きとした絵画的世界も、難なく描き出せます。
本当にオールマイティなピアニストです。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2007/2/23(金)
★昨日は作曲をしなければいけないのに、一日中、シューベルトを弾いて楽しんでしまいました。
音楽の楽しみは、聴くだけでなく、ピアノを自分で味わいながら演奏することにもあるのですね。
(ピアノを弾けない方は、ごめんなさい)
特にピアノ曲ではないオーケストラなどの名曲を、
ピアノ独奏や連弾に編曲したものを弾くのは、もう一つの楽しみでもあります。
★アメリカのシャーマー(Schirmer)社から出版されているチャイコフスキー(1840~1893)の
バレー組曲「くるみ割り人形」、Stepan Esipoff編曲のピアノ独奏版は、とてもいい編曲です。
難しい技巧を必要とせず、初見で気楽に弾けるわりには、
ピアノの音が無理なく響きます。
このブログでは、大作曲家が編曲した名曲について、何回か書きました。
大作曲家の編曲は、過去の名曲を自分の栄養にしようとする、強い意志を感じます。
さらに、作曲家の個性が色濃くにじんでいます。
バッハの編曲したマルチェッロや、シェーンベルク編曲のヨハン・シュトラウスがそのいい例です。
Esipoff版は、質は落とさず、だれでも名曲を気楽に弾いて楽しめるよう編曲されています。
大作曲家は自分のために、このEsipoffさんは、音楽愛好家のために編曲したのだ、と思います。
★Esipoff版は、有名な「金平糖の踊り」「ロシアの踊りTrepak」「中国の踊り」
「葦笛の踊り」「花のワルツ」など全8曲から成ります。
「くるみ割り人形」のピアノ編曲はこれまで、いくつか見たことがありますが、
どれも、妙に難し過ぎたり、あるいは、単純過ぎたり、
オーケストラの音の要約が、うまくいっていなかったりで、
すべて、いまひとつでした。
そういう訳で、この編曲がお薦めです。
お値段も1400円前後と、お手頃です。
★ピアノのレッスンで、映画音楽や甘ったるい流行曲に手を染めるより、
このような曲をお使いになることを、強くお薦めいたします。
生徒さんが、オーケストラやバレーにも興味を示すきっかけにもなることでしょう。
どこかで聴いた美しいメロディーを、自分で表現できることは、大変にうれしいことです。
是非、発表会でもお使いください。
★私は、小さい頃、樫山文枝さんの朗読が入った「くるみ割り人形」のレコードが大好きでした。
昔の横長のステレオを前に、母は針仕事、私は桑の木でできた裁縫箱を開け、
色とりどりのマチ針を並べ替えたり、余ったボタンでオハジキ遊びをしながら、
チャイコフスキーを聴いていたのを、懐かしく思い出します。
私のコンサートで、朗読を挿入するのも、そんな幼児体験があったからかもしれませんね。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★昨日は作曲をしなければいけないのに、一日中、シューベルトを弾いて楽しんでしまいました。
音楽の楽しみは、聴くだけでなく、ピアノを自分で味わいながら演奏することにもあるのですね。
(ピアノを弾けない方は、ごめんなさい)
特にピアノ曲ではないオーケストラなどの名曲を、
ピアノ独奏や連弾に編曲したものを弾くのは、もう一つの楽しみでもあります。
★アメリカのシャーマー(Schirmer)社から出版されているチャイコフスキー(1840~1893)の
バレー組曲「くるみ割り人形」、Stepan Esipoff編曲のピアノ独奏版は、とてもいい編曲です。
難しい技巧を必要とせず、初見で気楽に弾けるわりには、
ピアノの音が無理なく響きます。
このブログでは、大作曲家が編曲した名曲について、何回か書きました。
大作曲家の編曲は、過去の名曲を自分の栄養にしようとする、強い意志を感じます。
さらに、作曲家の個性が色濃くにじんでいます。
バッハの編曲したマルチェッロや、シェーンベルク編曲のヨハン・シュトラウスがそのいい例です。
Esipoff版は、質は落とさず、だれでも名曲を気楽に弾いて楽しめるよう編曲されています。
大作曲家は自分のために、このEsipoffさんは、音楽愛好家のために編曲したのだ、と思います。
★Esipoff版は、有名な「金平糖の踊り」「ロシアの踊りTrepak」「中国の踊り」
「葦笛の踊り」「花のワルツ」など全8曲から成ります。
「くるみ割り人形」のピアノ編曲はこれまで、いくつか見たことがありますが、
どれも、妙に難し過ぎたり、あるいは、単純過ぎたり、
オーケストラの音の要約が、うまくいっていなかったりで、
すべて、いまひとつでした。
そういう訳で、この編曲がお薦めです。
お値段も1400円前後と、お手頃です。
★ピアノのレッスンで、映画音楽や甘ったるい流行曲に手を染めるより、
このような曲をお使いになることを、強くお薦めいたします。
生徒さんが、オーケストラやバレーにも興味を示すきっかけにもなることでしょう。
どこかで聴いた美しいメロディーを、自分で表現できることは、大変にうれしいことです。
是非、発表会でもお使いください。
★私は、小さい頃、樫山文枝さんの朗読が入った「くるみ割り人形」のレコードが大好きでした。
昔の横長のステレオを前に、母は針仕事、私は桑の木でできた裁縫箱を開け、
色とりどりのマチ針を並べ替えたり、余ったボタンでオハジキ遊びをしながら、
チャイコフスキーを聴いていたのを、懐かしく思い出します。
私のコンサートで、朗読を挿入するのも、そんな幼児体験があったからかもしれませんね。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
2006/11/30(木)
★こどものピアノ連弾曲集≪ふたりのピアノ≫は、私の恩師の故内田勝人先生が作曲されました。
全5巻で、しばらく品切れになっておりましたが、今回、1、2巻からの選集が、
一冊の曲集として再刊されました。
イラストは、お嬢さんの内田芳野さんです。
★バイエルを習い始めたお子さんは、ピアノの先生に伴奏していただきながら、
きれいな曲を弾くことが大好きです。
この曲集では、すべて指くぐりをすることがなく、弾くことができます。
バイエルの前半の生徒さんの併用曲として最適です。
「きりんさん」「あのね」「ジュース」「そよふくかぜさん」「ロケット」
「こねこと ねずみの ひるさがり」などの題名で、メロディーには、
かわいらしい歌詞もついており、弾きながら歌うことも楽しめます。
正確なテンポを取ることは、大切なことです。
先生の正しいテンポに、子供が無理なく合わせられるので、ソルフェージュの導入にもなります。
お稽古を始めて間もないお子さまに、おいしいオヤツのようなこのすばらしい曲集をお使いください。
★こどものピアノ連弾曲集 ≪ふたりのピアノ≫ 内田勝人(まさと)作曲、内田芳野・絵
音楽之友社刊 ¥1600+税
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★こどものピアノ連弾曲集≪ふたりのピアノ≫は、私の恩師の故内田勝人先生が作曲されました。
全5巻で、しばらく品切れになっておりましたが、今回、1、2巻からの選集が、
一冊の曲集として再刊されました。
イラストは、お嬢さんの内田芳野さんです。
★バイエルを習い始めたお子さんは、ピアノの先生に伴奏していただきながら、
きれいな曲を弾くことが大好きです。
この曲集では、すべて指くぐりをすることがなく、弾くことができます。
バイエルの前半の生徒さんの併用曲として最適です。
「きりんさん」「あのね」「ジュース」「そよふくかぜさん」「ロケット」
「こねこと ねずみの ひるさがり」などの題名で、メロディーには、
かわいらしい歌詞もついており、弾きながら歌うことも楽しめます。
正確なテンポを取ることは、大切なことです。
先生の正しいテンポに、子供が無理なく合わせられるので、ソルフェージュの導入にもなります。
お稽古を始めて間もないお子さまに、おいしいオヤツのようなこのすばらしい曲集をお使いください。
★こどものピアノ連弾曲集 ≪ふたりのピアノ≫ 内田勝人(まさと)作曲、内田芳野・絵
音楽之友社刊 ¥1600+税
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲