音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■斎藤明子・ギターリサイタル バッハと中村洋子の無伴奏チェロ組曲を演奏■

2010-07-24 18:28:13 | ■ お薦めのコンサート ■

■斎藤明子・ギターリサイタル バッハと中村洋子の無伴奏チェロ組曲を演奏■
                             2010・7・24 中村洋子

★炎暑です。

大地も空気も焦げ、息も、思考も止まりそうです。
 
こんな時こそ、 “ ナガラ ”で聞く、安易な音楽ではなく、

バッハの音楽を、

音の建造物、大伽藍であるバッハの曲に、

耳と頭を、集中して、

聴いていただきたいものです。


★ギタリスト「 斎藤明子 」さんが、都内で 8月 28日、

バッハの 「 無伴奏チェロ組曲 第 1番 と 第 2番 」、それに、

私の 「 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」を、演奏されます。


★このプログラムは、W.ベッチャー先生が、ドイツで開かれました

演奏会と、同じ構成です。


★斎藤さんは、バッハの組曲 を、
 
バッハの「 手稿譜 」 ( アンナ・マグダレーナ・バッハの写譜 )、

 に基づいて、演奏します。

その後、私の 「 無伴奏チェロ組曲第 3番 」を、

チェロの楽譜通りに、演奏されます。


★斎藤さんのギターは、6弦に 低弦を増やした 

「10弦ギター 」ですので、

チェロの楽譜を、無理なく、

ギターでそのまま、演奏できます。


★バッハの「 無伴奏チェロ組曲  1番 、2番 」は、この春、

既に、演奏会で発表され、そのポリフォニックな構造を、

見事に弾き分け、感動的な名演でした。



★この斎藤さんのプログラムを、ドイツのベッチャー先生に、

お知らせしましたところ、お手紙が来て、

「 nice information 」と、喜んでいらっしゃいました。


★ドイツの 「 Maestro 」と、日本の 「 Maestra 」 に、

私の曲を、弾いていただけることは、

とても、幸せです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ Café Largo カフェ・ラルゴ  サロンコンサート
■ 日 時:'10年 8月 28日(土) 開 演:14:00
           ¥2,500-(コーヒー付き)

■ バッハ:無伴奏チェロ組曲第一番 BWV1007
■ バッハ:無伴奏チェロ組曲第二番 BWV1008
■ 中村洋子:無伴奏チェロ組曲第三番
 
■ 会 場:東京都練馬区田柄 「 カフェ・ラルゴ 」
   有楽町線・副都心線「地下鉄赤塚」駅すぐ近く。

★ お問合せ:カフェ・ラルゴ 電話:03-3930-9898
         http://www.cafe-largo.jp/

★ 斎藤明子ホームページ http://www.akikosaito.jp/
                               

 

                                      ( 白粉花 )

 ▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■■ 斎藤明子さんの ≪ バッハ演奏会 ≫ のご案内 ■■

2010-04-17 00:37:49 | ■ お薦めのコンサート ■
■■ 斎藤明子さんの ≪ バッハ演奏会 ≫ のご案内 ■■
       ~ 無伴奏チェロ組曲1、2、3番を 10弦ギターで~
                    10.4.17 中村洋子


★私が、心から信頼しています、

数少ない日本の音楽家のうちの一人、

斎藤明子さんの 10弦ギターによる

「 バッハ無伴奏チェロ組曲 1、 2、3番 」 の演奏会を、

ご紹介いたします。


★演奏会: ≪ 斎藤明子の 10弦ギターで聴くバッハ ≫

日時: 明4月18日(日曜日)午後 3時 15分から、

会場: 池袋・自由学園明日館講堂 ( ℡ 03-3971-7535 )
    JR池袋・メトロポリタン出口から、徒歩5分
    フランク・ロイド・ライト設計の明日館と、向かい合わせの建物

チケット:3000円 ( 当日 )
前売りは2700円= ℡03-3937-2608 ( 緑の街ミュージックフレンズ )


★斎藤さんは、昨年9月、軽井沢・大賀ホールで、

ヴォルフガング・ベッチャー先生が、私のチェロ組曲 2、3番を

録音してくださった際、わざわざホールまで、訪ねていらっしゃり、

ベッチャー先生の演奏を、集中して聴き、たくさんのことを学び、

吸収されました。


★その美しい結実が、今回の「バッハリサイタル」となり、

さらに、6月6日には、

ベッチャー先生が録音された私の 「 無伴奏チェロ組曲3番 」 を、

10弦ギターで、日本初演されます。


★斎藤さんの略歴です

東京都出身。4歳よりギターを始める。
当時日本のギター界は、幼児教育の可能性を探り始めたばかりで、
その第1号として育てられる。
15才でデビューリサイタル開催。
翌年、スペインの世界的ギタリストである
ホセ・ルイス・ゴンサレス氏に認められ、スペインへ1年間留学。
慶応義塾中等部、女子高等学校卒業後、
大東音楽アカデミーに入学、中村洋子にソルフェージュ、
和声学、アナリーゼを学ぶ。
その後、1988年キジアナ音楽院にて特別ディプロマを得る。
スイス政府支給の留学金を得てスイス・バーゼル音楽院に留学、
オスカー・ギリヤ氏に師事。
1987年第30回東京国際ギターコンクール第1位、
1989年ミュンヘン国際音楽コンクールギター部門
ファイナリストとなり奨学金を授与されるほか、
国内外の数々のコンクールで優勝・入賞を果たす。
アイルランド、ギリシャ、ウィーン、
ニューヨークのカーネギー・リサイタルホールなどでリサイタルを行ない、
国際的な評価を得る。
ソニーレコードより、スペインの楽曲を集めた“スペイン”(1992年)、
中南米の作品を集めた“アール・ソヴァージュ”(1993年)、
自身のアレンジによる、クラシックの名曲を集めた
“ギターロマンティック”(1995年)を発表。
1997年に軽井沢に移住。
自然の中での生活で、日本人本来の生活観や感性に触れる。
そんな折に中村洋子氏の作品と出会い深く共感し、
大切なレパートリーとなっている。
現在は通常のギターよりも低い音域を広げた、
10弦ギターを使用している。

★以下は、音楽雑誌 「 現代ギター」の 09年 10月号に

掲載されました、私と濱田滋郎さんとの対談です。

ここで、斎藤さんの音楽について、詳しく述べられています。



■斎藤明子さんと ≪ 星の林に月の船 ≫

濱田 このたび、お作品のCD を2 枚、お聴かせくださ
いましたが、どちらもたいへん興味深く味わせていただ
きました。初めに、ソプラノの五十嵐郁子さん、ギター
の斎藤明子さんの演奏された〈星の林に月の船〉という
作品、全体で50 分近くもかかる〈日本の十二ヶ月〉と
いう作品、これはソプラノ独唱とギターですが、ソプラ
ノは歌詞なしのヴォカリーズになっているのが、ある意
味で、ギターをより良く生かすことにもなり、傾聴いた
しました。ヴォカリーズにされた、ということの意図は
どのへんにおありだったのでしょう。

中村 歌の部分を、フルート、ヴァイオリン、1 オクタ
ーヴ下げたチェロなど、ギターと器楽による二重奏でも
演奏できることを、作曲当初から意図していました。日
本語の詩を伴なった歌曲集ですと、残念ながら、日本人
以外には、なかなか理解しづらい面があるからです。音
楽の基本はやはり人の声によるものですので、このCD
を聴いて、他の楽器による演奏もしていただくのが私の
希望です。

濱田 斎藤さんのソロでは、〈十三夜〉という曲が、微
妙にテンポを変えた2 つのヴァージョンで、聴かれます。
これも興味深く、明子さん(まだ、ほんの少女でいらし
た頃から知っているので、ついこう呼んでしまいます)
の演奏も、素晴らしいセンスを示されていると、思いま
す。明子さんとは、どのように知り合われ、作品をいくつ
も彼女に書かれるほど親交を重ねられてこられたのでし
ょうか。彼女について、アーティストとして、また人と
して、中村さんがどのように見ていらっしゃるか、プロ
フィールを交えて、お聞かせください。


■音楽理論を、完璧に身につけたギタリストが斎藤さん

中村 彼女が、慶應女子高を卒業した19 歳頃からの師
弟関係です。その頃、故 寺西春男・桐朋学園大教授が、
「大東音楽アカデミー」という音楽の専門学校を開設されて
いました。そこは普通の音大では別々の教科として、無
味乾燥な授業が行なわれているソルフェージュ、楽曲分
析、和声、対位法を、その人が取り組んでいる曲を通じて、
総合的に教えることを目指していました。明子さんは、
そこの第一期生でした。

 彼女は大東アカデミーに限らず、私の教えた生徒の中で
最も優れた音楽家でした。彼女は、ギタリストに欠けている
音楽理論を真摯に学び、ピアノやヴァイオリンなどの
素晴らしい演奏家と比べて、同等か同等以上に完璧に
生きた理論を身につけました。
日本のギタリストに最も欠けている理論面を、
彼女はデビュー当時から、完全に克服していたのです。

 彼女は現在軽井沢に住み、夫の尾尻雅弘さんと、3 人
のお子様に囲まれ豊かな自然に親しみながら、着実に音
楽活動をされています。

濱田 もう1 枚のCD ですが、これは、私もかねがね演
奏ぶりに敬服の念を抱いているドイツのベテラン・チェ
リスト、ヴォルフガング・ベッチャーさんの純然たるソ
ロですね。タイトルは『ベッチャー、日本を弾く』とあ
りますが、すべて中村洋子作曲。殊に〈無伴奏チェロ組
曲1 番〉は、8 章からなる力作で、日本の山国の、私た
ちもつい忘れがちな田園生活にちなむ小品が並んでおり
ますね。ベッチャーさんが作品に込められたものを、じ
っくり読み込んで素晴らしく弾かれていると感じました
が、そもそもこの大家と知り合われた経緯、ベッチャー
さんに関してなど、少しお話しいただけましたら……。


■ベッチャー先生のこと

中村 ベッチャー先生は、はっきり言いまして、日本で
はあまり知られた方ではありません。最近の風潮として、
若手をもてはやすコマーシャリズムのせいで、本当の芸
術家が人口に膾炙することは、残念ながらほとんどあり
ません。しかし、現在のヨーロッパではベッチャー先生
は、最も力を持った最高のチェリストという評価が定ま
っているようです。10 年ほど前、先生が日本で公演をな
さるに当たり、「アンコール用に、〈荒城の月〉を弾く予
定であるが、ピアノ伴奏のチェロ用に編曲されたもので
なかなかいいものがない、新しく編曲をお願いしたい」
という依頼がきました。それがそもそもの馴れ初めです。

 それ以来、先生とはとても親しくお付き合いをしていた
だいております。私の〈チェロ組曲第1 番〉も喜んで録
音してくださいました。また、2 台チェロ、3 台チェロ、
12 人チェロの新作やピアノトリオなどもヨーロッパで初
演していただき、折にふれ再演されています。またこの
9 月には、私の〈無伴奏チェロ組曲第2 番〉と〈3 番〉を、
新たに録音していただきます。とても楽しみです。

 ベッチャー先生は、1935 年ベルリン生まれ、現在の
ベルリン芸術大学で、ブラッヒャー、ペッピングに作曲
理論、クレムにチェロを学び、カラヤン時代のベルリン
フィルで、1976 年まで、首席チェロ奏者を務めました。
その後、ベルリン芸大の教授に就任すると共に、同フィ
ルのコンサートマスターだったブランディスさんなど
と「ブランディス弦楽四重奏団」を結成しました。また、
ソリストとしても世界各国で活躍されています。先生の
楽器は、ヴェネチアのマッテオ・ゴフリラー(1722 年)
という名器です。故 パブロ・カザルスも、このゴフリラ
ーでした。


■神経を逆なでするような現代音楽は、求められているか?

濱田 中村さんは「作曲とは聴き手との心の交流でなけ
ればならない」と思っていらっしゃるのではないでしょ
うか。芸大で学ばれた頃といいますと1970 年代ですか、
「その頃は、前衛に非ずば、現代音楽に非ず」というよ
うな風潮が強く、聴いてわかりやすい音楽を書くことは、
むしろ蔑まれました。この点は、どのように感じていら
っしゃいますか。

中村 日本の「前衛」作品は、ほとんど欧米の作品のパ
ッチワークでしたので、たとえば、ブーレーズが新作を
発表しますと、すぐに日本の有名な作曲家がそれを模倣
した作品を書く。そして驚くべきことに、それを誰も気
が付かず、オリジナルと見て高く評価している。という
風潮を実に興味深く眺めていました。

 私は、それよりも西洋音楽の根幹を成す和声、対位法、
フーガを徹底的に身につければ、本物の何かが見つかる
のではないかと思い、黙々と勉強を続けていました。
奇抜なアイディアや、威嚇するような汚い音、
悲鳴のように神経を逆なでする騒音で作られた音楽を
人は本当に必要とするのでしょうか。

 そのような音楽ばかりですと、そういう音楽は衰退
するばかりで、本当の音楽を愛する方にも見放されてい
く運命だと思います。音楽は作曲家の恣意的な自己主張
のためにあるというより、むしろ聴く人と弾く人のため
のものです。私の〈無伴奏チェロ組曲第1 番〉は、音楽
の専門家からはほとんど反応がありませんが、音楽を心
から愛する、普通のたくさんの皆さまから「毎日、必ず
聴きます」「これは、私のための音楽です」などの反応を、
日本とドイツの双方からいただいております。

 ベッチャー先生も作品についてのそのような評価を、
心から喜んでくださり、ドイツで、何度も弾いて
くださっています。
「この作品は、これから世界でたくさんのチェリストが
弾きます」と、おっしゃっています。この曲の楽譜が近々
ドイツの歴史ある出版社から出版される予定です。


■ギター二重奏の曲≪もがみ川≫も、斎藤さんご夫妻で演奏

濱田 ここに「山形新聞」(2008 年9 月9 日付)の記事
コピーがあり、松尾芭蕉の『奥の細道』にちなんで、山
形民謡〈最上川船唄〉に基づくギター二重奏の曲〈もが
み川〉を書かれ、斎藤明子さんと尾尻雅弘さんとのデュ
オで初演されたことが載っています。実は私、父母が山
形県出身で、父親が〈最上川船唄〉を口ずさんだりして
いたものですから、とても親近感があります。この作品
について、また、民謡を作品に使われることの意味、お
もしろさ、あるいは難しさなどについてお話ください。

中村 あまり知られていませんが、コダーイやバルトー
クに限らず、ベートーヴェンやブラームス、チャイコフ
スキーなどの作曲家も、民謡を研究し、そこからテーマ
を紡ぎだしています。ベートーヴェンは、40 代で、スコ
ットランド、アイルランド、ウェールズなどの歌曲を編
曲しています。大作曲家が、なぜ、そのような仕事をし
たか? これは、自分の滋養とするためであることは、
間違いありません。ブラームスは、「鉄道が通るような
ところの民謡は、もう駄目だ」と言いながらも、膨大な
民謡を収集していました。チャイコフスキーとストラビ
ンスキーが、同じ民謡の旋律を使って有名な作曲をして
いることはご存知の通りです。

 民謡とは、人々が長い間にわたって伝唱してきた旋律で、
無駄がなく展開に耐えうる力強いものが多いのです。
しかし、安易に媚びて編曲したものとは
峻別しなければなりません。


■バッハの前奏曲のような、斎藤さんの≪十三夜≫

 CD『星の林に月の船』には、ギターソロの〈十三夜〉
という曲も入っています。明子さんの〈十三夜〉は、録
音する際、試みとして彼女に2 つのテンポで弾いていた
だきました。
 まるで、バッハの前奏曲を聴いているような、
構成のしっかりした高潔な演奏でした。バッハの前奏曲も、
いろいろな奏者が異なるテンポで弾かれているのですが、
1 人の奏者が2 つの異なるテンポで演奏した
美しい例として記録したいと思い、この2 つを曲集『日
本の十二ヶ月』前後に収録しました。この曲は、1 月~
12 月まで、チャイコフスキーの〈四季〉のように書いた
曲です。作曲後、どうしてもギターソロ曲を書きたくな
ったのです。2 つのテンポを収録することで、前奏曲と
コーダに似た構成となりました。

 8 月18 日、来日中に急逝されました世界的なソプラ
ノ歌手、ヒルデガルト・ベーレンス先生に、去年音楽祭
でお会いした時、先生のほうから「あなたの曲が入った
CD が欲しい」とおっしゃいました。そのCD を贈呈さ
せていただきましたので、今年ご感想をお聴きしたいと
思っておりましたが、とても悲しく残念でなりません。


■相性がたいへん良い、ギターとチェンバロ

濱田 ところで、最近ある演奏会で中村さんがチェンバ
ロを弾かれたと伺いました。ギターとチェンバロの相性
は、いかがでしょう? 例えば、ポンセにもこの取り合
わせの曲がありますが……。

中村 ギターとチェンバロの相性はたいへんいいと思い
ます。その演奏会は、2 台のギターとチェンバロ、フル
ートの編成でしたが、ベッチャー先生が、冗談で「3 つ
のピチカートとフルートだね」とおっしゃっていました。
 弦を弾はじくという点では、ギターとチェンバロはよく似
ており、特に、チェンバロのリュートストップとギター
の組み合わせが美しく感じられました。以前、ミーント
ーン調律したチェンバロのための曲を書いたことがあり
ます。これからの計画として、斎藤さんとチェンバロと
ギター二重奏、ピアノとギター二重奏の仕事も考えてお
ります。

濱田 ギターはフレットが入っていてどうしても平均律
ですが、それでも名手たちの中には、押さえた指で弦を
微妙にずらし、ミーントーンかは知らず微妙な音程を作
り出せる人がいます。音程感覚にはそのように敏感であ
りたいですね。

中村 同感です。ミーントーン調律の曲は〈Wolf in the
sky〉という名前で、うなりの少ない美しい3 度と、耳
障りなうなり(wolf )が出る4 度の音程を効果的に使
いました。この調律で現出する和音の性格は、現代の和
声法とは違う体系となると思いますが、“宇宙的な響き”
がしたかもしれませんね。
 
 ミーントーン調律で作曲された古い作品を研究します
と、現代の平均律で調律された長三和音、短三和音、減
三和音、増三和音、属七の和音、減七の和音のカテゴリ
ー分けが、まったく異なってくることがわかります。当
時の人々は、テレビも拡声器も電子音もない静かな静粛
な環境で、この響きの差をじっくりと聴き分け楽しんで
いたのでしょう。騒音にさらされている現代人の耳は、
かなり大雑把になっています。
 日本のお箏についてですが、お箏はフレットがないの
で、古典的調弦をすれば、耳のいい奏者はうなりの少な
い美しい音程を、瞬時につくりながら演奏できるはずで


■優れた演奏家と“ 共同創作 ”、その結果が私のギター曲

濱田 ところで、中村さんにとって「ギター曲を書く」
というのは何か特別なことでしょうか。例えば、ベルリ
オーズなども「ギターはまことに特殊な楽器で、これの
ために作曲することは、ギター奏者でなければできない」
と、述べているのですが……。

中村 私の場合、どういう楽器を選択するかは、優れた
演奏家と“共同創作”できるかどうかにかかっています。
現代の進歩したギター奏法であれば、ベルリオーズの考
えは杞憂でしょう。

濱田 それにちなんでナルシソ・イエペスは、言ってい
ました。「私のために書いてくれる作曲家は、けっして
ギターのことをあれこれ調べてくれるな。ただ純粋に“音
楽”を書いてくれさえすれば、実際に弾くことはこちら
で考えるから」と。つまり、ギターに馴れすぎるとルー
チン・ワークになりやすい。それが嫌だ、というんです
ね。中村さんの場合、ギターという楽器のメカニズムが、
すっかり頭に入っておられるのでしょうか。

中村 私はまず、書きたい曲想があり、その奏法が可能
かどうかを斎藤さんと検討するという方法をとります。
しかし、イエペス流の考えを極端に推し進め、作曲家が
奏者に無理強いをするような作曲法は好みません。反対
です。
 有名な日本の現代曲の作品で、ある楽器の音域を越え
た音が書かれており、作曲家が奏者に「それならば、自
分で弾いてごらんなさいよ」と言われたという笑い話も
あります。


■10弦ギターのもつ、大きな可能性

濱田 斎藤明子さんの場合、10 弦ギターを使われていま
すが、彼女のための作曲に当たっては、当然このことも
考慮されるのでしょうか。

中村 作曲家にとって、10 弦により低音をより多く使
えるのは、非常に作曲しやすいと思います。西洋クラシ
ック音楽は、「バス」を基本に、その上に和声をつくり、
対位法を構築していきますので、私にとって、バスの音
域が広がるということは、たいへんに大きな自由を得た
ような気がします。一番いい例がオルガンです。バッハ
のオルガン作品を聴きますと、ヨーロッパの音楽がいか
に、バスを土台として構築する音楽であるか、如実にわ
かります。

 しかし、10 弦ギターで作曲する場合でも、一般的なギ
ターが6 弦であるため、6 弦ギターでも演奏できるよう、
常に、OSSIA(あるいは、この奏法も可、の意味)を意
識して書いております。尾尻さんは、7 弦ギターをお使
いで、これもかなり融通の効く楽器です。

濱田 お作品は、室内楽、器楽が主のようにお見受けし
ますが、今後「このような作品をぜひ書きたい」という
構想をお持ちですか? また、ギター曲の畑では? 2
枚のCD を聴いた上で、もし、ベッチャー先生と明子さ
んのデュオを念頭に、チェロとギターの曲など生まれた
ら……と夢想しますが……。


■チェロの曲は、すべてギターで演奏可能

中村 ギターとチェロの組み合わせは、とても、美しい
と思います。また、斎藤さん、尾尻さんご夫妻のデュオ
の計画も進めていきたいと思っております。ベッチャー
先生のために、既に〈10 曲のチェロデュオ〉という曲も
書いていますので、それらをギター用に直して、弾いて
いただくことも可能です。これは、平易な演奏法で作曲
し、当初は先生とお孫さんの二重奏用でしたが、先生が
コンサートでも演奏されるようになった曲です。教会旋
法で書いたり、バロックの舞曲であったり、楽しいワル
ツなど、誰でも楽しみながらチェロを学習できるような
曲で構成しています。そして、最後の曲は、一転して、
12 音技法の楽しい曲で、その名前は〈ドデカフォニック・
ダンス〉です。

濱田 それでは、今日は本当にありがとうございました。
これからも、素晴らしい作品をお聴かせくださいますよ
う願っております。

         
                      ( 斎藤さんとベッチャー先生:大賀ホール )
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
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■■ 「2009年伝通院・納涼コンサート」を終えて ■■

2009-07-19 19:00:14 | ■ お薦めのコンサート ■
■■ 「2009年伝通院・納涼コンサート」を終えて ■■
              09.7.19 中村洋子


★昨夜は、伝通院の本堂が満員となる、約200名の皆さまに、

お集まりいただき、「納涼コンサート」を、

楽しく、開催することができました。

浴衣をお召しになった若い女性や、お孫さんを連れたおばあ様、

さらに、私のカワイ・アナリーゼ講座に、

参加されていらっしゃる方も、たくさん、お見かけしました。

今回が、5回目となります私の企画ですが、

毎回、必ずおいでくださる方々にも、

ご挨拶をすることが、できました。


★私が着用しましたのは、デザイナーの昼神佳代さんが、

古い着物生地を使って、制作したドレスですが、

「それを見るのが、毎年、楽しみ」と、おっしゃる方も、

いらっしゃいました。

ことしは、紫の地に、漆を染み込ませた糸を織り込んだ、

夏の衣装でした。


★コンサート後にいただきました花束を、昨夜は、寝室に飾りました。

芳香に満ち、今朝は、爽やかな目覚めでした。


★コンサートの曲の間には、チェンバロがどのような楽器であるか、

実際に、二段鍵盤の、上の鍵盤だけ、下の鍵盤だけ、

リュートストップ(フェルトを弦に押し当て、リュートに似た音を出す)、

カプラー(上下鍵盤の同時演奏)で、それぞれ、

バッハの「インヴェンション1番」を弾き、ご紹介いたしました。

バッハを弾きますと、チェンバロが、“うれしそうに歌いだす”

ような、感じがいたします。


★リュートストップでの演奏は、実に、小さな音量なのですが、

会場の音響が、優れているためでしょうか、

本堂の最も遠い隅まで、しっかりと、

音が飛んで、届いていることにも、驚きました。

チェンバロの秘密を、これから、自分なりに解き明かし、

作曲に、活かしていきたいと、思います。


★チェンバロは、温度や湿度にとても敏感で、

リハーサルが終了してからも、再度調律する必要があり、

会場に、お客様がお入りになってからも、

コンサート直前まで、調律を続けました。

チェンバロも珍しい楽器ですが、その調律を見ることも、

あまりございませんので、お客様には、

いい機会だったと、思われます。

「モモセハープシコード(株)」の川上幸和さんが、熱意を込めて、

調律を、担当されました。


★斎藤明子さんの10弦ギターに対し、

尾尻雅弘さんは、7弦ギターです。

通常の6弦ギターの最低音「ミ」の、完全5度下の「ラ」を、

7弦目の解放弦として、加えています。

今回は、その最低音の弦を、さらに短3度低い「嬰へ」に、

調律して、演奏されました。


★お二人のギター二重奏は、なかなかの迫力で、

また、新しい作品を、書いてみたくなりました。


★フルートの大保麗香さんも、

故郷である、宮崎の民謡をテーマとした、

「刈干し切り唄による主題と変奏」を、熱演されました。

この曲は、20分ほどの長い曲ですが、

今回は、主題に第1、第2変奏、フィナーレを

組み合わせた版で、演奏しました。


★日ごろは、作曲で、ピアノ室にこもる毎日ですが、

今回のように時には、“演奏家”として、舞台に立つのも、

いろいろと、得るものが多く、お客さまの反応を、

直接感じることも、とても、大きな喜びです。


                     (納涼コンサートの出演者4人)
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
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■■ 伝通院・納涼コンサートの聴きどころ ■■

2009-07-18 00:04:11 | ■ お薦めのコンサート ■

■■ 伝通院・納涼コンサートの聴きどころ ■■
                  09.7.18 中村洋子


★本日は、私が企画、出演いたします

「伝通院・納涼コンサート」の日です。

ご参考までに、聴きどころを、お知らせいたします。


★第1曲目の、バッハ作曲「シチリアーノ」は、最初、

「フルートと10弦ギターの伴奏」により、演奏されます。

その後、オリジナルの「フルートとチェンバロ伴奏」で、

お聴きいただきます。

ギター伴奏と、チェンバロ伴奏との聴き比べを、

お楽しみください。


★10弦ギターは、6弦の通常ギターの最低音「ミ」の下に、

「レ、ド、シ、ラ」と、4本の弦が、加えられています。

豊かな充実したバスの音が、特徴です。

http://saitoakiko.seesaa.net/category/6228015-1.html

↑ここで、少しですが、私の作品を、斎藤さんが、

10弦ギターで演奏されているのを、試聴できます。


★第2曲目は、ビゼーのよく知られた曲を5曲、

演奏いたします。

斎藤明子、尾尻雅弘ご夫妻の2重奏は、「ハバネラ」、

「セギディーリャ」、「前奏曲」の3曲。

フルートとチェンバロの2重奏は、「アルルの女」、

「間奏曲」で、ギター、フルートと交互に、演奏されます。


★チェンバロは、William Dowd ウイリアム ダウド

Paris パリ 1982年製です。

チェンバロは、2段鍵盤がそれぞれ異なる音色をもち、

そこに、リュートストップや、カプラーなどを、

組み合わせることにより、万華鏡のように、

多彩な音色を、響かせることができます。


★「アルルの女」では、途中の華やかな曲想の場面で、

カプラーにします。

カプラーとは、2段の鍵盤を、同時に鳴らす装置です。

カプラーを使う部分の前後は、

カプラーの効果を、際立たせるため、

音色の柔らかい上段の鍵盤で、演奏します。


★私の作品が、2曲続きますが、「荒城の月幻想」は、

チェロ2重奏や、ピアノトリオ版があり、

今回は、フルート、チェンバロ、2台ギターの4重奏版を、

新しく、作りました。


★チェンバロのリュートストップは、弦にフェルトを、

接触させることで、響きの拡散を押さえ、

弦楽器のリュートのような、典雅な音色を出す装置です。

日本人にとっては、お箏の音色ように、

聴こえるかもしれません。

中間部で、そのリュートストップのチェンバロと、

2台ギターによる、3重奏が出てきます。


★伝通院・本堂の、檜張りの素晴らしい舞台で、

どのように、鳴り響くことでしょうか。


★コンサートの最後は、2台ギターの「もがみ川」です。

この曲が初演されましたのは、この伝通院の本堂です。

斎藤さんご夫妻により、日本の各地で、この曲を、

演奏していただていますが、

再び、初演の地、源流に、戻ってまいりました。


                     (五色蔦の新芽)
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■ 伝通院・納涼コンサートのお知らせ ■

2009-06-26 13:49:38 | ■ お薦めのコンサート ■
■ 伝通院・納涼コンサートのお知らせ ■
                 09.6.26    中村洋子


★ことしも、文京区小石川・「伝通院」で開催しております

≪伝通院・納涼コンサート≫ の季節となりました。

毎年、私が企画、出演させていただいております。

桜の古木が立ち並ぶ境内は、朝顔やほうずきの市が立ち、

浴衣姿のご家族連れで、昭和の時代に立ち返ったような、

和やかな雰囲気に、満たされます。


★伝通院は、家康の生母「於大(おだい)の方」の、

菩提寺で、由緒ある名刹です。

納涼コンサートは、本堂で開催いたします。

檜張りの床で、能舞台並みの、美しい音響が得られます。


★1時間少々の演奏会で、ギターの斎藤明子さん、

尾尻雅弘さんご夫妻、フルートの大保麗香さん、そして、

私が、チェンバロ演奏と解説をいたします。


★曲目は、バッハ「シチリアーノ」、ビゼー「カルメン組曲」、

ロドリーゴ「アランフェス協奏曲より」そして、

私の作品「刈り干し切り唄による主題と変奏」、

「荒城の月幻想」、「もがみ川」です。


★午後6時開演、午後5時より、入場整理券(無料)を、

先着順に、お配りいたします。

お近くにお住まいで、お時間がございましたら、

夕涼みのついでに、どうぞお出でかけください。

伝通院:東京都文京区小石川3丁目14-6


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■ 伝通院の観桜会とハープ・リサイタル ■

2009-03-29 23:24:16 | ■ お薦めのコンサート ■
■ 伝通院の観桜会とハープ・リサイタル ■
            09.3.29  中村洋子


★本日29日午後、東京・小石川の「伝通院」に参りました。

檀家の皆さまが集われる「観桜会」で、

コンサートの企画を、

担当させて、いただきました。


★伝通院の境内に、一歩足を踏み入れますと、

街の喧騒が消え、静謐な空気に包まれます。

掃き清められた参道には、巨木の桜が立ち並んでいます。

咲き初めた、白く淡い花びらを、弾き飛ばすように、

薄桃色の蕾が、たわわに付いています。

春の漲った英気のようです。


★伝通院も、戦災で丸焼けになりました。

戦後間もなく、檀家の方が持ち寄り、植えられた桜が、

いまの巨木に、成長しています。

メジロの集団が、可愛い鳴き声を上げて、

花から花へ、枝から枝へと、

蜜を求め、乱舞していました。


★コンサートは、

ハーピストの千田悦子さんの独奏会でした。

ハープは、間近で拝見いたしますと、

金の装飾が映え、とても豪華です。

舞台に置かれた、ボンボリの灯りや桜の枝に、よく映えます。


★千田さんは、2003年第15回日本ハープコンクール・

プロフェッショナル部門第2位、

2006年第16回イスラエル国際ハープコンテスト第3位。

ことし1月、東京文化会館で個人リサイタルを、

開催されるなど、大変に活躍されています。


★曲目は、グリーンスリーブスなどの有名な曲のほか、

リストのピアノ作品のハープ編曲「夜鳴き鶯」Le Rossignol、

「さくらさくら」などの編曲作品と、

自身がハーピストでもあった、ベルギーの作曲家、

ゴドフロア F・Godofroid の

「シルフの踊り」La Danse des Sylphes などです。

シルフは、空気の精という意味です。

どれも、春のこの季節にふさわしく、

シルフが大気に舞っているようでした。

皆さまは、聴き惚れていらっしゃいました。


★伝通院の麻生貫主様は「日本人はずいぶんと、

個人主義になってまいりましたが、

数珠のように玉と玉を、つまり、

人と人とを結ぶものが、必要であり、

音楽もその一つです」と、おっしゃていました。


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■伝通院納涼コンサートが、記事になりました■

2008-07-29 23:44:34 | ■ お薦めのコンサート ■
■伝通院納涼コンサートが、記事になりました■
        08.7.29   中村洋子


★7月19日に開催されました「伝通院納涼コンサート」が

新聞の記事として、掲載されました。

『中外日報』という、仏教関係専門紙の7月26日付けです。

とても大きな扱いです。


★写真も2枚添付され、

一枚は、私とヴィオラのシッケタンツさんが

一緒に曲の解説をしている写真。

もう一枚は、演奏会が終わった後、

私たちとソプラノの五十嵐郁子さん、

それに、文京区と姉妹都市を結んでいる

ドイツ・カイザースラウテルン市から訪問されていた

若いお二人のドイツ人女性の、計5人で撮った写真です。


★文京区の成澤廣修区長の談話も載っていました。

「ヨーロッパでは、教会でよくコンサートが行われてますが、

日本では、お寺での演奏会はまだまだ珍しい。

このような会が、ますます発展することを、期待します」。


★確かに、お寺の本堂での演奏会はめったに、ございません。

立派な檜作りの本堂は、音響面からみて、

能舞台にも匹敵する素晴らしさです。

読経が美しく聞こえるよう、何百年もの歴史的積み重ねで、

現在の伽藍建築が、出来上がっているのです。


★伝通院様のように、たくさんのお寺様が、

もっともっと、本堂などの施設を公開され、

ヨーロッパでの教会のように、音楽会が、

日常的に、お寺様で開催されるといいですね。



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■伝通院納涼コンサートは、大成功でした■

2008-07-21 20:35:31 | ■ お薦めのコンサート ■
■伝通院納涼コンサートは、大成功でした■
              08.7.21   中村洋子


★伝通院でのコンサート(08.7.19)は、盛況のうちに終りました。

予定の時間も大幅に伸び、シッケタンツさんの楽しいお話もあり、

満員のお客様は、心から楽しんでいらっしゃいました。


★本日(21日)の東京新聞「わが街、わが友」というコラムに、

女優・野際陽子さんが、伝通院について次のように書かれています。

「この辺りは、そこら中に歴史や文学ゆかりの場所がある。

後楽園と茗荷谷の中間というちょっとした不便さが、

いまひとつあか抜けない、ひなびた都会という風情を与えている」。


★演奏会場の本堂は、ご本尊様の安置されている壇上に、

金色に輝く装飾が、たくさん吊り下げられています。

チェンバロの漆黒の本体が、ご本尊様やその飾りと、

見事に溶け合い、全く違和感なく、調和していました。

チェンバロの蓋を開けると、木目のきれいな響板が見えます。

そこには、美しい花の絵が、色とりどりに描かれています。

花の絵が黒い蓋に写り、まるで“極楽”のようです。


★バッハ「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」の

チェンバロの舞曲を、今回、ヴィオラとチェンバロ用に、

私が編曲して、演奏しました。

シッケタンツさんは、バロック用の弓を用い、いかにも、

バッハが、家庭で楽しんだ音楽会という雰囲気が出ていました。

「ピアノでいま練習している曲を聴けて、嬉しかった」

というお子さまも、いらっしゃいました。


★この5月に録音しました「万葉の歌」の歌曲も、

その一部を、今回、初演いたしました。

CDでは、ソプラノだけ独唱でしたが、

今回は、チェンバロで伴奏を入れました。

五十嵐さんのハミングがとても、柔らかい響きで、

万葉の春の雰囲気が、醸しだされ、皆さまウットリ。

バロック時代のレチタティーヴォのような感じも出て、

万葉、バロック、仏教寺院という

前代未聞の取り合わせでしたが、

心地よく馴染んでおりました。


★私が、ソプラノ、ヴィオラ、チェンバロ用に編曲しました

「赤とんぼ」も、好評でした。

アンコールの「浜辺の歌」は、シッケタンツさんが、

「Am Strand」という訳までつけていただき、

浜辺の“波音”が、ご本堂に響き渡りました。


★チェンバロ独奏は、ガルッピのイタリアらしい

明るい澄み渡った響きのソナタから、始まりました。

プログラムを一部追加し、「2声のインヴェンション」1番を、

私がチェンバロで、独奏しました。

当日、最も怖く、難しいのがこの曲でした。

いまさらながら、この曲の偉大さ、凄さを感じました。

特に、単純極まりない、ハ長調の音階をどう処理するか、

大きな宿題を貰った様な気がします。


★26日の「カワイ・インヴェンション講座」では、

今回の経験も、お話したいと思います。


★シッケタンツさんは「バロック舞踊をバッハの舞曲にどう生かすか」、

というお話と、メヌエットのステップを実演していだき、

とても喜ばれました。


★さらに「日本では、炊飯器、洗濯機などの終了音として、

このバッハのメヌエットなどが組み込まれ、流れてくる。

それは機械的な電子音でしかなく、断じて音楽ではない。

音楽もどきであって、falsch=wrongです」と、辟易した様子で、

指摘されました。


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■7月19日に、伝通院で音楽会を開きます■

2008-05-18 00:48:37 | ■ お薦めのコンサート ■
■7月19日に、伝通院で音楽会を開きます■

           08.5.18 中村洋子


★伝通院(文京区小石川)と、文京区共催による「朝顔ほおずき市」の

≪納涼コンサート≫を、ことしも企画、出演することになりました。

ことしで4回目です。


★CD製作の為、この夏は、私主催の「個展コンサート」をお休みします。

納涼コンサートは、入場無料(※要 整理券)ですので、

夕涼みかたがた、お気楽にお出かけください。


★日時は、7月19日の午後6時に開演予定。

出演者は、一流の演奏者です。

ソプラノの五十嵐郁子さん、

ヴィオラのダヴィット・シッケタンツさん、それに

私のチェンバロです。


★チェンバロを真近で見る機会は、あまりないかと思います。

昨年のコンサートは、ハープとフルートでしたが、

優雅で、美しい音色が、伝通院の本堂に響き渡り、

とても好評でした。


★チェンバロは、音が小さく、痩せているという

間違ったイメージを、おもちかもしれません。

それは、往々にして、会場と楽器と、それに調律が

うまくかみ合わないための現象です。


★今回は、百瀬ハープシコード様から、素晴らしい楽器を

お借りしますので、いい結果が生まれると思います。


★昨日、我が家で、シッケタンツさんと

私のピアノで、二重奏を楽しみました。

彼はライプチッヒ出身のドイツ人です。

シッケタンツさんの、暖かい音色と音楽性が、

ヴィオラによく合い、彼も私の演奏を気に入ってくださいました。


★ヴィオラは、ヴァイオリンより一回り大きく、オーケストラでは

ヴァイオリンとチェロの間にはさまれ、和音を充填する役割が多いです。

そのため、独奏楽器としては、ヴァイオリンなどのようにそれほど

活躍しませんが、近年、この暖かい音色に魅せられ、

独奏楽器として、脚光を浴びつつあります。

今回、シッケタンツさんと共演でき、とても光栄です。


★詳細は、また、お知らせいたします。



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