■Bach「平均律クラヴィーア曲集第1巻」と、この「1巻を源流とする名曲」 アナリーゼ講座の第2期第1回のお知らせ■
~平均律1巻9番 E-Durは、平均律1巻の大構想に深く関連~
2020.3.7 中村洋子
★散歩の途中で、気の早い蕗の薹と土筆を見つけました。
蕗の薹は天婦羅、まだ小さい土筆は10数本を卵とじで、
早春を味わいました。
ほろ苦さは春の味。
★新型コロナウイルスの感染伝播は、次第に激しさを増しています。
遠出もままならず、二年前に観た展覧会《Bührle Collection
ビュールレ コレクション 2018年2~5月 国立新美術館》の、
カタログを眺めています。
★若い頃は「少し甘すぎる」と思っていた Renoir ルノアール
(1841-1919)も、歳を重ねますと、その素晴らしさが
身に沁みてきます。
★有名な≪イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)≫
腰まで長い亜麻色の髪を、フワッと青色のリボンで結び、
水色のドレス、じっと遠くを見つめている当時8歳の少女。
この少女から、素直にその愛おしさが感じられ、伝わってきます。
★Renoirの言葉
「芸術が愛らしいものであって何故いけないのでしょうか?
世の中は不愉快なことだらけじゃないか!」
納得です。
★Bach「平均律クラヴィーア曲集第1巻」と、この「1巻を源流
とする名曲」アナリーゼ講座の第2期(全3回)のお知らせが、
「アカデミアミュージック」ホームページに公開されました。
https://www.academia-music.com/user_data/analyzation_lecture
https://www.academia-music.com/images/pc/images/2020_analyzation_lecture_all.pdf
★第2期・第1回講座案内https://www.academia-music.com/images/pc/images/2020-1_Analyse.pdf
コロナ騒動が早く収まり、予定通り開催できますことを祈っております。
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■日 時:2020年5月16日(土) 14:00 ~ 18:30
■会 場:エッサム本社ビル 4階 こだまホール
東京都千代田区神田須田町1-26-3 JR神田駅北口徒歩3分
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■バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻」と、この「1巻を源泉とする名曲」 アナリーゼ講座第2期(全3回)
第1回 平均律クラヴィーア曲集1巻9番 E-Dur シンフォニア6番 E-dur
<特別講座 > モーツァルト ピアノソナタ KV515 C-Dur 1楽章
●優しく愛らしい平均律第1巻9番は1~8番を総合し、この曲集が
新たな 大海原に漕ぎ出す重要な一里塚
●シンフォニア6番は、この平均律9番を解き明かすカギ、
モーツァルトのピアノソナタ KV515にも繋がる
★1巻1番を源泉とする平均律曲集は、8番で大河となり、
大海原に注ぎ込みました。汽水域に位置する8番の調性、
プレリュード&フーガが異名同音調 (es-Moll、dis-Moll)である
のはこのためです。
8番は受難を思わせる深い悲しみと嘆きを歌いました。
続く9番 E-Dur は、パストラーレの様式。
幼子の誕生を祝うかのような曲想です。
8番と10番をこれ以上ない強力な引力で引き寄せている9番は、
シンプルな外見とは裏腹に、学べば学ぶほど平均律1巻の
大構想に深く関連していきます。この大構想にからみ、
「インヴェンションとシンフォニア」 のシンフォニア6番
E-durについても、お話いたします。
★幼子のコロコロと笑い弾けるかのような、幸福感に
満たされたフーガ。
全24曲の平均律第1巻の3分の2が始まるフーガだからで
しょうか。バッハはあえて、この9番フーガの背後から
1番フーガが浮かび上がるように、作曲しています。
★30分時間延長に伴う「特別講座」は、モーツァルト後期の
万人に愛されるピアノソナタ KV515 C-Dur 1楽章です。
この作品に宿る「バッハ」を、Edwin Fischer
エトヴィン・フィッシャー名校訂から、探ります。
★プレリュード 9番 E-Dur
バッハ自筆譜19頁にありますが、見開き左頁はフーガ8番の
57小節目から最後の87小節まで記載され、右頁はこの
プレリュード9番全曲が書かれています。この左右頁を照らし
合わせますと、フーガ8番がどのように9番へと展開され、
変容していくかがはっきりと分かります。
暖かく愛らしい9番プレリュードの実は、鋼のように強固な
骨組みであることを理解することが、バッハに近づく第一歩
です。
★フーガ9番 E-Dur
曲の冒頭、第1提示部の主題(Subject)ー応答(Answer)ー
主題 (Subject) の提示の仕方は、 フーガ1番をそっくり模して
います。
この9番を、1番と対比させつつ、ここから始まる新しい世界。
バッハの意気込みが伝わってくるようです。
■講師: 作曲家 中村 洋子 東京芸術大学作曲科卒。
・2008~15年、「インヴェンション・アナリーゼ講座」全15回を、
「平均律クラヴィーア曲集1、2巻アナリーゼ講座」全48回を、
東京で開催。
自作品「Suite Nr.1~6 für Violoncello無伴奏チェロ組曲第1~6番」、
「10 Duette fur 2Violoncelli チェロ二重奏のための10の曲集」の楽譜を、
ベルリン、リース&エアラー社 (Ries & Erler Berlin) より出版。
「Regenbogen-Cellotrios 虹のチェロ三重奏曲集」、
「Zehn Phantasien fϋr Celloquartett(Band1,Nr.1-5)
チェロ四重奏のための10のファンタジー(第1巻、1~5番)」をドイツ・
ドルトムントのハウケハック社 Musikverlag Hauke Hack Dortmund
から出版。
・2014年、自作品「Suite Nr. 1~6 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲第1~6番」のSACDを、Wolfgang Boettcher
ヴォルフガング・ベッチャー演奏で発表
(disk UNION : GDRL 1001/1002) 「レコード芸術特選盤」
・2016年、ブログ「音楽の大福帳」を書籍化した
≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜 にあり!≫
~バッハ、ショパンの自筆譜をアナリーゼすれば、曲の構造、
演奏法までも 分かる~ (DU BOOKS社)を出版。
・2016年、ベーレンライター出版社(Bärenreiter-Verlag)が刊行した
バッハ「ゴルトベルク変奏曲」Urtext原典版の「序文」の日本語訳と
「訳者による注釈」を担当。
CD『 Mars 夏日星』(ギター二重奏&ギター独奏)を発表。
(アカデミアミュージック、銀座・山野楽器2Fで販売中)
・2017年「チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6~10番)」を、
ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。
・2017年、ベーレンライター出版(Bärenreiter-Verlag)刊行のバッハ
平均律クラヴィーア曲集第1巻」Urtext原典版の≪「前書き」日本語訳≫
≪「前書き」に対する訳者(中村洋子)注釈≫
≪バッハ自身が書いた「序文」の日本語訳≫
≪バッハ「序文」について訳者(中村洋子)による、詳細な解釈と解説≫を
担当。
・2016~18年、「ゴルトベルク変奏曲・アナリーゼ講座」全10回、
「平均律クラヴィーア曲集第1巻 第1~6番・アナリーゼ講座」全6回を、
東京で開催。
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