足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1682 ~ クロナガアリが運ぶもの(玄倉)~

2019年11月25日 | 昆虫

観察月日  2019 11.10.晴 18℃

観察場所  山北町 玄倉

 「大きな種を、アリが運んでいるわ」Rさんの声がして、一緒に歩

いていた仲間が立ち止まり、しゃがみ込み、私も首を伸ばして覗

き込んだ。

 「細長い大きな種ね」「アリって力持ち!」見つめた人達が、それ

ぞれ口走った。

 ここは秦野林道、舗装された道路だ。種子は羽状の背に硬い筋

が通り、アリが大顎で捉えている辺りはやや膨らみ、子房なのだろう。

ここまで観察すると、ユリノキとも思えるが、この地域にある筈がなく、

とすればカエデの仲間の翼果なのだろう。

 「アリは夏の頃には働いていたけど、この頃は・・・」「アリは種を餌

にするの?」

 アリの暮らしを思う時、つい子供の頃読んだイソップ物語「アリとキ

リギリス」が頭にちらつく。しかし、秋になると巣穴から出て、イネの

仲間の種を、冬に掛けて集めるアリもいる。そのアリの大きさはクロ

ヤマアリ程で、体形は細く、肢は長めだ。とすれば、目の前にいる

アリは、クロナガアリにぴったりと合う。

 種子を加える大顎を見ると、3本の鋸歯があり、容易に離れる事は

ない。だが、路面の凹凸や、歩き形によって、種の翼は立ち上がった

り、傾いたり、まるでウインド・サーフィンを楽しんでいる様に見える。

が、クロナガアリは持つ力と、感覚を注ぎこんで、巣穴に向かってい

る途中なのだ。

 ことわっておくが、アリにだって間違う事もあれば、その時の都合も

あるだろう。

 今、懸命に運んでいるが、カエデの種子で良かったのか、どうかは、

巣穴に到着した時、巣で待っているアリ達の歓迎の行動で、判明す

る事だろう。

「大きなたねを アリがはこんでいるっは」 秦野の林道。

大きなたねを運ぶ。

大顎で確りつかむ。

まるで ウインド・サ~フィンだ!

今日の 仲間です。