ルーツな日記

ルーツっぽい音楽についてルーズに綴ります。

フジロック 予習 ウィルコ

2016-06-24 07:33:40 | フジロック
WILCO / STAR WARS

今年のフジロックで最も楽しみなロック・バンド、それはウィルコ!!

シカゴが誇る怪物インディー・ロック・バンド、初期の頃はメンバー・チェンジが激しい印象があったものの、過去最強と言われる現在のメンバーが揃って以降は、およそ10年もの間に渡って不動のメンバーとなっております。すなわちジェフ・トゥイーディー(vo,g)を中心に、ジョン・スティラット(b)、パット・サンソン(key,g)、マイケル・ヨルゲンセン(key)、グレン・コッチェ(ds)、そしてネルス・クライン(g)の6人。

ジェフ・トゥイーディーとはアンクル・テュペロ時代からの盟友であるジョン・スティラット、そのジョン・スティラットとジ・オータム・ディフェンスを組むパット・サンソン、さらにはジム・オルーク人脈からウィルコ入りしたグレン・コッチェ、アヴァンギャルドなジャズ・ギタリストとして圧倒的な存在感を放つ鬼才ネルス・クライン、そんな多士済々なメンバー達が繰り広げるウィルコという名のアメリカン・ロック。最新作は、昨年突如リリースされ、フリー・ダウンロードも話題となった「STAR WARS」。1st作から数えて通算9作目。ちなみにこのタイトル、某有名映画とは何の関係もないそうです。そしてジャケ写の猫は、彼らのスタジオ、ロフトのキッチンにかけてある絵だとか。

いきなりアヴァンギャルドなギターが切り裂く小品「EKG」から始まり、その鋭利さを引き継ぎつつも大らかなフィーリングがウィルコらしい「More...」と続く。ポップ且ついびつなギター・リフに胸躍る「Random Name Generator」、ガレージなブルース臭を感じさせる「The Joke Explained」、さらに圧巻なのはヴェルベッツやニューヨーク・パンク的な内向グルーヴをオルタナ・カントリーな視点で捉えたようなウィルコ流のポスト・ロックが5分強に渡って繰り広げられる「You Satellite」、そしてその緊張感の先に開ける穏やかなオーガニック・ナンバー「Taste the Ceiling」などなど。ヴァラエティに富みながらもその大きな流れが編み上げるウィルコの王道。これぞウィルコですよ!!そして特筆すべきは、全編に渡って七色の音色で絡み合うギター・サウンド。その緻密且つフリーキーな響きは、ウィルコのこれまでの冒険が成せる一つの境地と言えるでしょう。

もうかれこれ結成から20年以上が経つウィルコ。その長い道のりだけではなく、ジェフ・トゥイーディーのプロデュース業や、ネルス・クラインの活発な課外活動など、外からのリターンをも貪欲に飲み込みながら、ますます太く大きくなるその王道。それでいて散漫にならず、一層ウィルコらしさそは研ぎ澄まされていく。そんな現在のウィルコをグリーン・ステージの爆音で観れるという幸せ!ライヴ・バンドとしても折り紙付きの彼ら、どんなステージを観せてくれるのでしょうか。自らが主宰するフェス「SOLID SOUND FESTIVAL」では、オール・カヴァーのセットや、ブルーグラス・タイプ編成のセットなど、サプライズなステージを見せてくれているそうですが、もちろんそれはそれでとてもそそられますけどね、でもフジではおそらくウィルコど真ん中なライヴを繰り広げてくれることでしょう。

2011年以来、5年振りのウィルコのフジロック。楽しみですね〜!
(ネルス・クラインは2014年にプラスティック・オノ・バンドのメンバーとして出演していますけどね。)






最後に、ウィルコのこれまでの歩みをざっとおさらい。



UNKLE TUPELO / 89/93-AN ANTHOLOGY
ジェフ・トゥイーディが参加していたアンクル・テュペロのアンソロジー盤。カントリー・ロックです。このアンクル・テュペロからフェイ・ファーラーが脱退しサン・ヴォルトを結成、残されたジェフがウィルコを立ち上げたのでした。元々、フェイ・ファーラーとジェフはパンク・バンドを組んでいたそうで、パンクからカントリーへ接近してアンクル・テュペロが生まれ、それが現在のウィルコに繋がっていると言うのはなかなか興味深い話ですね。



WILCO / A.M.
1995年、記念すべきウィルコのデビュー作。スカッとしたカントリー・ロックを聴かせてくれます。どっちが好きかと聴かれれば、もちろん現在のウィルコの方が好きですか、こちらには現在のウィルコにはない気持ち良さがあるのも事実。ですがここから長い歩みを経た上に今のウィルコがある訳で、その研鑽の積み重ねこそが現在のウィルコが唯一無比のアメリカン・ロック・バンドとなった所以でもある訳ですよね。そう考えるとなかなか感慨深いのです。



BILLY BRAGG & WILCO / MERMAID AVENUE
ビリー・ブラッグと共にウィルコが伝説のフォーク・シンガー、ウディ・ガスリーの未発表詩に曲を付けた作品。ウィルコがこういう作品に手を染めている事実も特筆ものですが、英国の個性派ビリー・ブラッグとの共同作業と言うのがまた深い。この1998年の名盤に続いて、2000年には「MERMAID AVENUE Vol. II」もリリースされています。



WILCO / YANKEE HOTEL FOXTROT
ジム・オルークを招いて製作されたインディー・ロック史に残る記念碑的傑作。2001年の4th作。もともとオルタナ・カントリーの枠に収まるようなバンドではなかったウィルコが、ジムの助力を得て自我を突き詰めた作品。音響的な広がりと内省的な深みがいびつに絡み合うような、ある種、混沌としながらも、優しく暖かい音空間が素晴らしい。もはやカントリー・ロックではないポスト・ロック。ですがシングル・ヒットを欲するレコード会社に契約を切られ、ホームページでの無料ダウンロードに踏み切った後に、ノンサッチへ移籍し無事発売されたという、そういう経緯もなんか格好良い!



WILCO / SKY BLUE SKY
2007年の6作目。これも名盤ですよ!なんだかんだで個人的にはこのアルバムが一番好きかも。ウィルコにはビートルズ的なポップ・センスの影響も感じるんですが、このアルバムは特に「ホワイト・アルバム」期のソウルっぽい感性に通じる雰囲気があるんですよね~。ジム・オルークとの共同作業も既に円熟味を感じさせ、独特の緊張感を伴いながらも穏やかな曲の流れが心地良い。ウィルコ史上最もメロディアスな作品であり、ジェフがシンガーとしての感受性豊かな資質を開花させた作品ともいえるでしょう。また、このアルバムからネルス・クライン(g)とパット・サンソン(key)が参加し、現メンバーの6人が揃っています。



WILCO / WILCO (THE ALBUM)
通算7作目となる09年の作品「WILCO (THE ALBUM)」。タイトルに「WILCO」と付けるぐらいですから、まさにこれまでの集大性的な作品。既にオルタナ・カントリーとは別次元の境地に達したウィルコによる、どうだ!というばかりの横綱相撲的作品。音響や前衛を血肉としつつ、それらをあくまでもポップ且つ情緒的に、ウィルコという名のアメリカン・ロックに集約させた圧巻の1枚。このアルバムで王道を確立した印象。なんとなくオルタナ・カントリーへの揺り戻しも感じられるところがまた嬉しい!
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フジロック第10弾!

2016-06-17 22:52:39 | フジロック
フジロックの出演アーティスト第10弾が、オフィシャルサイトにて発表になりました。今回は12組。

ALEX PATERSON (THE ORB)
J.A.M
KENTA HAYASHI
Kodäma
VANT
トミー富岡
中村佳穂
アトミック・カフェ 遠藤ミチロウ
アトミック・カフェ 加藤登紀子 meets 大友良英 with Love Farmers
アトミック・カフェ トーク 【津田大介・奥田愛基(SEALDs)・吉田明子(FOE JAPAN)】
アトミック・カフェ トーク 【津田大介・木村真三】
アトミック・カフェ トーク 【津田大介・加藤登紀子・大友良英】


アレックス・パターソンですか!しかも夜のピラミッド・ガーデンでアンビエント・セットなんて、素敵な感じですね。とは言え私、ピラミッド・ガーデンには行ったことないんですけどね。今年はデイ・ドリーミングでオービタルのフィル・ハートノルのDJセットもありますし、意外なところで豪華ですよね。ま、「ルーツな日記」的にはあれですけど…。


あと、UKからの期待のニュー・フェイス、VANTも気になりますね。


VANT - FLY-BY ALIEN (Live on BT Sport Football Tonight)

こちらはそのVANTのスタジオ・ライヴ映像。こういうフレッシュ且つ分かり易いロックは気持ちいいですね。



そして日曜のアヴァロンに追加されたKodämaというフランスのデュオも気になります。

Keys Zuna - Kizuna (Live Studio)

残念ながらKodämaの映像は見つけられなかったのですが、そこで歌う女性シンガーって、このKeys Zunaなるグループで歌っているKiala Ogawaという人ですよね? パリ生まれだそうですが、お父さんはコンゴの人で、お母さんは日本人だとか。いや〜、ニューソウル的な良い歌、歌いますね〜。これはぜひ生で観てみたい! ですが、日曜日は厳しいかな…。
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2015年 ベスト・アルバム 30選(後編)

2016-06-12 23:34:31 | 2015年総括
第1位

KAMASI WASHINGTON / THE EPIC
1位はカマシ・ワシントン!! これぞ最新LAジャズの現在。サンダーキャット、ブランドン・コールマン他、ストリングスも含め総勢60名を超えるミュージシャンが参加し、CD3枚組、収録時間170分超となる大作「THE EPIC」。フライング・ロータス総指揮によりブレインフィーダーからリリース。これは2015年、最大の衝撃でしたね。その得体の知れない黒々とした音塊に、一聴してとりつかれ、聴けば聴くほどにのめりこんでいきました。スピリチュアル・ジャズというのかもしれませんが、ここにはソウルも、ファンクも、アフロも、ブラックミュージックの全てが詰まっています。これを引っ提げての来日公演も凄まじかった! 2015年のジャズ界、いやブラックッミュージック界を代表する1枚。フジロックでの来日も決まっていますから、そちらも楽しみです!!


第2位

WATKINS FAMILY HOUR / WATKINS FAMILY HOUR
ニッケルクリークのサラ・ワトキンス(fiddle,vo)とショーン・ワトキンス(vo,guitar,bass)を中心に、ベンモント・テンチ(piano,organ,vo)、グレッグ・リーズ(pedal steel,dobro,vo)、セバスチャン・ステインバーグ(bass,vo)、ドン・ヘフィントン(drums,vo)という、その界隈における錚々たるメンバーにフィオナ・アップル(vo)まで加わるという、強力プロジェクト。元々、ワトキンス兄弟がホストとなって行われているライヴから形になったそうで、作品中でも様々なカヴァーが麗しのカントリー・テイストで繰り広げられています。中でも、およそ半分の曲でリードを取るサラ・ワトキンスの歌声が良いんですよ!あと、元ローン・ジャスティスのドン・ヘフィントンが参加しているところもミソ。モダンですが、オルタナ感は薄目。そこもまた良い!


第3位

POPS STAPLES / DON'T LOSE THIS
2000年12月19日に亡くなられたステイプル・シンガーズの生みの親ローバック"ポップス"ステイプルズ 。彼が生前に残した録音を、娘メイヴィス・ステイプルズから託されたウィルコのジェフ・トゥイーディが完成させた、奇跡のラスト・アルバム。ローバックの滋味あふれる歌声とビヤビヤと鳴るギターが醸すブルージーなゴスペル・フィーリング、素晴らしいの一言!。ステイプルズ姉妹も参加。


第4位

DONNIE FRITTS / OH MY GOODNESS
アラバマ州フローレンスで録音されたドニー・フリッツ、7年振りのソロ・アルバム。デヴィッド・フッド、スプーナー・オールダム、レジー・ヤングといった往年の南部ミュージシャンに加え、アラバマ・シェイクスのベン・ターナーや元ドライヴ・バイ・トラッカーズのジェイソン・イズベルなど現行のルーツ系ミュージシャンも加わった、渾身の一枚。これぞ本物のスワンプ・ロック!


最5位

JON CLEARY / GOGO JUICE
今やニューオーリンズを代表するピアニスト、ジョン・クリアリー。彼がテレンス・ヒギンス(ds)、ダーウィン・パーキンス(g)、シェイン・テリオット(g)など、名うてのメンバーを集めて作りあげた、ニューオーリンズらしい弾力抜群のファンキー・ソウル。グラミー賞『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』部門を受賞するなど、2015年のニューオーリンズを代表する1枚になると同時に、自身のキャリアにおいても最高傑作に数えられるであろう快作。


第6位

SOULFINGER / LIFE, LOVE & PASSION
リーラ・ジェイムス、アンジェラ・ジョンソン、アンソニー・デイヴィッド、シリーナ・ジョンソンなど、ゲスト・シンガーに惹かれて試聴したところ、その歌以上に、古き良きモータウン・マナーなサウンド/グルーヴにすっかりやられ、即買いの即愛聴盤となった逸品。恥ずかしながら私、DJ Eric Moral、Chris Hofbauerの二人から成るヨーロッパのプロジェクト・チームというこのSOULFINGERについては、この作品に出会うまでよく知らなかったんですけどね…。マニア心をくすぐるソウル愛と、それを古く感じさせないモダンな感覚のブレンド具合が絶妙です。


第7位

NINA REVISITED: A TRIBUTE TO NINA SIMONE
ロバート・グラスパーがプロデュースを手掛けたことも話題になったニーナ・シモンのトリビュート作ですが、何と言ってもローリン・ヒルですよ。彼女の新録がこれだけ纏めて聴けたというだけでも嬉しい限り。しかも内容も最高なんですから!!そしてこの2015年、ローリンはまさかの来日もしてくれましね。そのライヴも本当に素晴らしかった!さて、単独の新作はいつでしょうか?


第8位

ALABAMA SHAKES / SOUND & COLOR
アラバマ・シェイクスの2枚目。1st作は、内なる野心とエネルギーをまだコントロールしきれていないような印象を私は受けたんですけど、この2nd作は違います!それらを南部指向とオルタナ感の中に、ミニマル且つクールな感性でギュギュッと凝縮させ、唯一無比のロック表現に昇華させている。グラミー賞も複数部門で受賞し、2枚目にして名実共にロックのトップ・ランナーに!


第9位

WILLIE NELSON & MERLE HAGGARD / DJANGO AND JIMMIE
格好良いですね~。ウィリー・ネルソン&マール・ハガード。レジェンド2人によるいぶし銀のアウトロー・カントリー。こういうカントリーが聴きたかった!と言う見本のような作品。ですが残念ながら、マール・ハガードにとってこれが遺作となってしまいました。


第10位

THE WEEKND / BEAUTY BEHIND THE MADNESS
私にとって、R&Bと呼ぶにはあまりにも先鋭過ぎるウィーケンドでしたが、BET Awardsでのアリシア・キーズとの共演を観て、大好きになりました。この人、シンガーとしてもとんでもない資質の持ち主ですね。声に宿る緊張感が半端ない。オルタナ的なサウンドも、前作より大分聴き易くなったというか、一皮剥けた印象で、これは素直に格好良い!!





11位から30位はこちら↓

2016-05-30  2015年 ベスト・アルバム 30選(前編)
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ブルーノート・ジャズ・フェスティヴァル 第2弾!

2016-06-11 23:50:21 | フェス、イベント
Andra Day / Cheers To The Fall

9月に横浜赤レンガパークにて開催される「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2016」、第2弾アーティストがオフィシャルサイトにて発表されました。追加は2組。

ANDRA DAY
GOGO PENGUIN

さすがブルーノートですね!!アンドラ・デイが生で見れるのは嬉しい!そしてゴーゴー・ペンギンも!昨年もそうでしたが、新進気鋭のアーティストを呼んでくれるのが、このフェスの良いところですよね。第1弾で発表された、アース・ウインド&ファイアーとジョージ・ベンソンはメイン・ステージでしょうけど、今回発表されたこの2組はどうでしょう?もし両者とも2ndステージなら、今回は私、スタンディングで行こうかな~?ちなみに昨年は気合入れてS席で行ったんですけど、なんて言いますか、かなりエクスペンシヴなので、今回は庶民らしくスタンディングを狙っております。




Andra Day - Mamma Knows Best [Jessie J Cover]

サンディエゴ生まれのアンドラ・デイ。CMでのスティーヴィー・ワンダーとの共演や、グラミー賞へのノミネートなど、新人ながらその存在感は既にメジャー級。こちらはジェシー・J のカヴァーを歌うアンドラ・デイ。抜群の歌唱力ですね!



GoGo Penguin - Garden Dog Barbecue Live Session

マンチェスター出身の若手ピアノ・トリオ。ジャズをベースに、冒険心豊か且つ洗練されたエレクトロニカ的なアプローチが秀逸。この曲のリズムはドラムンベースからの影響が伺えて、格好良い!!ちょっと上原ひろみ・トリオにも似てるかも。
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フィリップ・グラス&パティ・スミス @すみだトリフォニーホール

2016-06-10 22:40:21 | ルーツ・ロック
6月4日、すみだトリフォニーホールにて、フィリップ・グラス&パティ・スミスによる『THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ』を観て参りました。こちらはビート文学を代表する詩人アレン・ギンズバーグの生誕90周年を記念して行われたもので、フィリップ・グラスのピアノをバックに、パティ・スミスがギンズバーグの詩を朗読するという、スペシャルなコンサートでした。

フィリップ・グラスは、ミニマル・ミュージックの大家として知られ、現代音楽最高の巨匠とも賞される作曲家でありピアニスト。そしてパティ・スミスはニューヨーク・パンクの女王と呼ばれる、言わずと知れた生きる伝説。



私、こう見えてパティ・スミス、大好きなんですよ!ライヴは97年の初来日以来、来日する度に欠かさず観に行っています。いつ観てもパティは素晴らしかったです。パティのライヴに外れなしです!ですが、詩の朗読となると、なかなか生で聴くことができなかったんです。唯一聴けたのは02年のフジロック、アヴァロンでサプライズ的にやったアコースティック・ライヴぐらいですかね。もちろん他にもイベントなどで、散発的に詩を読んでくれたことはあったかもしれませんが。もちろん私はパティの歌、特にパンキッシュなものが好きなんですが、彼女の原点ともいえる詩の朗読も大好きなんです。ですがなかなか日本では見れない。08年にケヴィン・シールズとの「THE CORAL SEA」がリリースされた時、こういうのを何とかして日本で見れないものかと悔しい思いもしたものです。ですがついに、今回の『THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ』ですよ!こういうスペシャルな企画は海外でしかやらないものと思っていましたが、よくぞ日本でやってくれました!!

私が観たのはこの日の14時の回で、日本での初演。前から3列目、パティの正面という素晴らしい席で堪能させていただきました!

コンサートは、まずオープニング・アクトのジェシー・パリス・スミス&テンジン・チョーギャルのパフォーマンスに始まりました。

ジェシー・パリス・スミスはパティ・スミスの娘さん。父上はもちろん今は亡きMC5のフレッド・スミス。ジェシーはピアノを弾き、詩の朗読もする。とても物静かな雰囲気で。そこにテンジン・チョーギャルの歌が乗る。この方はチベット人の歌手だそうですが、まるでヒマラヤの山にこだまする様な素晴らしい歌声に圧倒されましたね。その民族的な響きと、ジェシーのピアノや朗読との不思議な調和が醸す、何とも言えないオルタナ的な空間に引き込まれました。

二人が3曲ほど披露したあと、いよいよフィリップ・グラスとパティ・スミスが登場。舞台にはフィリップとパティの2人だけ。後ろには大きなヴィジョンにアレン・ギンズバーグの写真が映し出されている。そしてフィリップのピアノをバックにパティが詩を朗読する。まずパティの作で「LAND」に収められていた「Notes To The Future」から始まり、ギンズバーグの「Wichita Vortex Sutra」、パティの「The Blue Thangka」、そしてギンズバーグの「Sunflower Sutra」、という合わせて4編。

美しさの中にどこか不安感を掻き立てられるようなフィリップのピアノ、ゆっくりと、言葉に魂を宿していくようなパティの声。パティの紡ぐ言葉はいつしか生き物のように脈打っていく。時に優しく、時に激しく。

圧巻は「Wichita Vortex Sutra」。中盤から徐々に荒々しく抑揚していくパティ・スミスの声。それはまるでギンズバーグの言葉とパティの衝動がシンクロするかのようであり、フィリップ・グラスの反復するピアノ・フレーズがパティの内なる宇宙を引き出していくかのようでもある。パティは腕を上げ「The end of the War!」「The end of the War!」と繰り返し、おもむろに、ぺっと唾を吐く。

この「Wichita Vortex Sutra」とか「Sunflower Sutra」などは、フィリップのピアノもパティの朗読も躍動感に溢れていてゾクゾクしましたね。これはパンクですよ!バックがピアノだけにデビュー・シングルの「Piss Factory」のような雰囲気も感じられたり。年輪を重ねた含蓄の深さを感じさせつつ、研ぎすまされた緊張感によるリアルな詩表現に痺れました。


4編の熱演を終え、一旦ステージを後にしたフィリップ・グラスとパティ・スミス。そして再びパティが、今度はジェシー・パリス・スミスとレニー・ケイを伴って登場。パティ・スミスのアコースティック・ライヴも数曲あるとは聞いてましたが、まさかレニー・ケイも来てくれるとは!これは嬉しいサプライズ。盟友レニーのアコギと、愛娘ジェシーのピアノをバックにパティが歌う。曲は「Dnacing Barefoot」、「Wing」、「Pissing In A River」の3曲。ポエトリー・リーディングに比べると、大分リラックスした雰囲気で、パティの人懐っこい柔らかい笑顔も印象的。「Wing」では珍しくパティが展開を間違え、照れ臭そうに観客に謝る場面もあったり、その仕草と笑顔がちょっと可愛かったです。

鳴りやまない拍手の中、パティがフィリップ・グラスを紹介し、続いてフィリップによるピアノ・ソロ。フィリップの曲、ピアノには独特の陶酔感があり、先のポエトリー・リーディングでも、フィリップのピアノが果たした役割というのは相当大きかったということを、ソロを聴いて改めて実感させられましたね。反復フレーズが流れるように紡がれる、もの悲しくも抒情的な音世界は、まるで大河のような1曲に聞こえましたが、後から発表されたセットリストによりますと、「Metamorphosis」と「Closing」の2曲とのことでした。


最後は再びフィリップ・グラスとパティ・スミス、2人によるパフォーマス。「On Cremation of Chogyam Trungpa,Vidyadhara」、「Magic Psalm」、「Footnotes To Howl」というギンズバーグの3編。語り掛けるようであり、歌うようでもあるパティの朗読。身振りを交え、何かを演じるようでもある。そのパティの声と、フィリップのピアノにただただ耳を傾ける。アレン・ギンズバーグの詩情とニューヨークの臭いを感じながら。

そしてラストを飾った「Footnotes To Howl」の高揚感は半端なかったですね!「Holy!Holy!Holy!Holy!Holy!Holy!…」と”聖なる”ものを繰り替えすこの詩。足でリズムをとりながら畳みかけるように、叩き付けるように言葉を発していくパティ・スミス。途中、ニューヨークやサンフランシスコが出てくるところへ、東京!と加えて盛り上がったり。いや~、格好良かった! この詩はパティのファンにとってもお馴染みの詩ですしね。1997年の「PEACE AND NOISE」に収録された「Spell」は、パティがこの詩に曲をつけたものでしたから。ちなみに1997年はアレン・ギンズバーグが亡くなった年でもありました。いやはや、生で聴けて良かった!!


さらにアンコールは出演者総出で「People Have The Power」。観客も手拍子したり、サビを一緒に歌ったりの一体感で盛り上がりました。やっぱりこれをやらないとね。



盛り沢山のおよそ2時間でしたが、やはりパティのポエトリー・リーディングの素晴らしさに打ちのめされました。そしてそれはフィリップ・グラスのピアノの素晴らしさでもありました。あと今回は、パティの朗読と同時に、村上春樹さんと柴田元幸さんによる和訳がヴィジョンに映し出されたのですが、それも英語が分からない私にとって、とてもありがたかったです。日本語を読むことで、パティが次々に言葉を畳み掛けるスリルを一層感じることが出来ました。(際どい言葉をそのまま訳されてるところも雰囲気が伝わって良かったです)。

とにもかくにも、フィリップ・グラスとパティ・スミス、お二人の共演をここ日本で観れたことに感謝します!




終演後、会場出口付近に張り出されたセットリストは以下の通り。残念ながらジェシー・パリス・スミス&テンジン・チョーギャルのリストはありませんでした。

01. Notes To The Future
02. Wichita Vortex Sutra
03. The Blue Thangka
04. Sunflower Sutra
05. Dancing Barefoot
06. Wing
07. Pissing In A River
08. Metamorphosis
09. Closing
10. On Cremation Of Chogyam Trungpa,Vidyadhara
11. Magic Psalm
12. Footnotes To Howl
13. People Have The Power






この後パティ・スミスは、ビルボードライヴにて、ジェシー・パリス・スミスとレニー・ケイを伴ったプレミアムなライヴも行ったんですよね。私は残念ながら行けませんでしたけど…。嗚呼、ビルボードにも行きたかった!
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@ZEPP東京

2016-06-09 22:55:12 | 邦アーティスト
今日は、妻と一緒にZEPP東京にて森山直太朗さんのスペシャ収録ライヴでした。ヴァイオリンがASA-CHANG&巡礼の須原杏さんでした!
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東京JAZZにハービー・ハンコック!

2016-06-08 21:43:00 | フェス、イベント
HERBIE HANCOCK / SUNLIGHT

東京ジャズにハービー・ハンコックの出演が決まりましたね。第1回目から出演し、初期の頃は音楽プロデューサーも務めていたハービーですから、なんとなく”東京ジャズの顔”的イメージもありますよね。近年も2014年から今回で3年連続出演になりますね。昨年はウェイン・ショーターとのデュオでしたが、今年はどんな編成で来てくれるのか。後日発表されるというバンドメンバーにも期待です。

それにしても、セルジオ・メンデス、パット・メセニー&クリスチャン・マクブライド、上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト、そしてハービー・ハンコックと、今年も豪華ですね。でもこれがいっぺんに観れれば嬉しいんですけど、全て別プログラムに分かれてしまってますからね~。まあ、全部チケット買えば良いってことですけど、なかなかね…。


*写真は、ハービー・ハンコックの78年作品。レイ・パーカー・ジュニア、ワー・ワー・ワトソン、ビル・サマーズ、ハーヴィー・メイソン、ジャコ・パストリアス、などが参加したファンキーな作品。
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サマーソニック第9弾

2016-06-07 23:56:10 | フェス、イベント
サマーソニックの出演アーティスト第9弾がオフィシャルサイトにて発表になりました。今回は8組。(東京のみ、大阪のみ、が入り交じっているようですので要注意です)

MISIA
flumpool
Joy Opposites
SHADOWS
あゆみくりかまき
CHiCO with HoneyWorks
FAKY
WHITE ASH


流石にこの時期になると邦楽勢ばかりですね~。サマソニもそろそろ打ち止めが近いかな?
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Peter Barakan's LIVE MAGIC! 第2弾!

2016-06-06 23:33:10 | フェス、イベント
JOE BATAAN / SALSOUL

先日、「Peter Barakan's LIVE MAGIC!」の出演アーティスト第2弾がオフィシャルサイトにて発表されました。今回は以下の3組。

Joe Bataan
ミッキー吉野スペシャルユニット
ZabaDuo


来ましたね~。ジョー・バターンですよ!!キング・オブ・ラテン・ソウルですよ!これは楽しみですね!まあ、近年、何度か来日してますけど、LIVE MAGICのようなフェスで見れるというのがまたいいじゃないですか!ぜひ、自身のバンドを引き連れて来てもらいたいものです。

そしてもう一組気になるのが、ZabaDuoです。ザバデュオと読むのでしょうか? ブラジル人パンデイロ奏者と、ルイジアナ出身のベーシストによるデュオだそうで、どんなリズムが繰り出されるのか、これは楽しみですね~。で、このベーシストというのが、シリル・ネヴィルのロイヤル・ザザン・ブラザーフッドの低音を支えてきたチャーリー・ウットンなんですよ。彼は1st作からのメンバーで、昨年の最新作「DON'T LOOK BACK」にも参加していましたが、最近脱退してしまったようですね。そして現在はニューオーリンズ・サスペクツに加入しているようで。このニューオーリンズ・サスペクツも、まだ日本では有名ではないかもしれませんが、マニアの間でジワジワと話題になっているバンドで、ロイヤルサザンにしろ、サスペクツにしろ、ニューオーリンズ界隈をベースにした強者揃いのスーパーバンドですから、この両者に絡むチャーリー・ウットン、ただ者じゃありませんね~。

さて、「Peter Barakan's LIVE MAGIC!」、俄然、面白くなってきました!!




Joe Bataan Performs "Gypsy Woman" At Central Park SummerStage (Official Video)




Peja | ZabaDuo | Charlie Wooton and Rafael Pereira




*トップの写真はジョー・パターンがファニアから離れ、メリカーナからリリースし、サルソウル・レコーズ誕生のきっかけとなった73年の名作「SALSOUL」。サルサとソウルを融合した、ジョー・バターン流ラテン・ソウルの誕生。
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LARRY GOLDINGS, PETER BERNSTEIN & BILL STEWART @COTTON CLUB

2016-06-05 23:14:59 | ジャズ
6月2日、丸の内のコットンクラブにて、ラリー・ゴールディングスのオルガン・トリオを観てまいりました。私が観たのはこの日の2ndショー。

私、ラリー・ゴールディングスは、メイシオ・パーカーの「MO' ROOTS」で初めてそのオルガンを聴いて以来、ずっとファンだったんです。ですがなかなか生で観る機会がなくて。近年もスティーブ・ガットのバンド・メンバー等で何度か来日してたんですけどね~。ですが今回は自身のオルガン・トリオでの来日ですから、やはりこれは見逃せないなと。

メンバーは、ラリー・ゴールディングス(org)、ピーター・バーンスタイン (g)、ビル・スチュアート (ds) というトリオ編成。90年代初頭から折あるごとに一緒にやってきた鉄壁のトリオです。色々な持ち味を持っている方達ですから、案外ムーディな感じだったら嫌だな~なんて思ったりもしていたのですが、「Don't Ever Call Me Again」、「Dragonfly 」、「Acrbat」等、アップ・テンポな曲を中心にグルーヴィーな展開。とは言えあくまでもジャズであり、大人のスウィング感。でもこれが堪らなく格好良い!

そのスウィング感の源はステージ中央奥に構えた、ドラムスのビル・スチュアート。この方は、メイシオ・パーカー、フレッド・ウェスリーなどJB卒業生のリズムを支えた後、ジョン・スコフィールドを始め、パット・メセニー、マイケル・ブレッカーなど蒼々たるジャス・ジャイアンツ達と共演を重ねてきた名手。絶妙にハネながら転がるようにスウィングするそのリズムに思わず体が揺れてしまいます。さらにステージ右側、ハモンド・オルガンに鎮座したラリー・ゴールディングスが、オルガン・ジャズらしいファンキーなグルーヴを注入。やっぱりハモンド・オルガン×回転式のレスリースピーカーの音色のふくよかさというのは、こういう編成で聴くと堪らないものがありますね。もちろん各曲で魅せるグルーヴしながら低音から高音まで縦横無尽なオルガンソロも最高に格好良かったです!

そしてリード楽器としてラリー以上に存在感を発揮したのは、ステージ向かって左側に、洒落た感じに座ったギタリストのピーター・バーンスタイン。この方は、ジム・ホールの愛弟子だそうで、自身のリーダー作はもちろん、ルー・ドナルドソン、ロニー・スミス、ジョシュア・レッドマン、ソニー・ロリンズ等々、名だたるアーティストのバックを務めて来た名プレイヤー。独特の音使いとタイム感による、えも言えぬジャズ感に痺れましたね。やっぱりこういう繊細なフィーリングって言うのは生で聴いてみないと分からないものですね。そしてギターソロの後をラリーのオルガンが受け継いだり、ビルのドラムが割って入ったり、さらにピーターのギターが呼応したりというのを、いたってジェントル且つモダンな感覚でキメていく。そんな生きの合ったプレイも最高!

例えば、「Acrbat 」でラリーのオルガン・ソロがぐんぐん盛り上がっていき、それが最高潮に達した瞬間、ビルのスネアがとんでもない切れ味でフィルインして来た刹那、一瞬のブレイクにピーターのギターが切れ込んでくる。その鮮やかなこと!思わず観客からも拍手がわき起こる。こういう瞬間にはこのトリオのファンキーさを感じさせられずには居られませんでしたね。

しかし、この日のハイライトは案外、唯一のスロー・ナンバー「I Surrender, Dear」だったかもしれません。有名なスタンダードですが、私、ルイ・アームストロングが歌うこの曲大好きなんですよ!果たしてこのトリオはこの曲をどう演奏するのか? いやはや、とにかくピーター・バーンスタインのギターがロマンチックで素敵でしたね~。もうホントにうっとりと聴き惚れてしまいました。旋律の崩し方がスウィートなんですよ。そしてそのギターの後ろにうっすらと靄をかけるようなラリーのオルガンがまた堪らないものがありましたね。もちろんその後のオルガン・ソロも良かった!


いや~、ホント良いライヴでした! 全体を通じて主旋律を紡ぎ、イマジネーション豊かなソロで魅了してくれたピーター・バーンスタイン、多彩なリズムで縦横無尽にスウィングさせたビル・スチュアート、足技込みの低音も含めオルガン・ジャズらしいグルーヴとスピード感たっぷりのソロを極上の音色で聴かせてくれたラリー・ゴールディングス、3人の卓越した技量と、その極上の絡み合いをたっぷり堪能させて頂きました。

この日のセットリストは以下のような感じ。


01. ? ? ?
02. Don't Ever Call Me Again
03. I Surrender, Dear
04. Dragonfly
05. Acrbat
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06. Night Mist Blues


すいません、いきなり1曲目の曲名がよく分かりませんでした…。アップテンポな曲でしたけど…。そしてアンコールはアーマッド・ジャマルの「Night Mist Blues」。ピーターとラリーのブルージーなプレイがまた最高でしたね。そのアンコールを含めて、およそ1時間15分程のステージでした。

終演後はお楽しみのサイン会。私もトリオのライヴ盤を購入し、3人からサインを頂きました。ラリーとビルは物静かな感じでしたが、ピーターはとてもフレンドリーな方で、サイン会の間も終始とても楽しそうでした。英語がしゃべれない私とも、会話が通じないなりに色々とコミュニケーションをとってくれました。







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2016-06-01  ラリー・ゴールディングスの仕事
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