ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

葛野川ダム

2018-12-31 00:54:11 | 山梨県
2018年12月24日 葛野川ダム
 
葛野川ダムは山梨県大月市の相模川水系土室川源流部にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
首都圏への人口集中や東京湾臨海部への工場集積を受け電力需要のピークが急上昇を続けていた東京電力も1980年代より積極的に純揚水発電所建設を進め、同電力4番目の純揚水発電所として1999年(平成11年)に葛野川発電所が建設されました。
葛野川ダムは同発電所の下部調整池として同年竣工し、上部調整池である上日川ダムとの有効落差714メートルを利用して最大120万キロワットの揚水式発電を行っています。
この有効落差は国内水力発電としては最大です、また上日川ダムは富士川水系、葛野川ダムは相模川水系となっており、水系を超えた河川同士での揚水式発電となっています。 
 
かつては国道139号線から葛野川ダム左岸へと通じる管理道路を使い天端の見学が可能でしたが、2014年(平成26年)の松姫トンネル開通により天端へ続く道路は通行禁止となり、葛野川ダムは『到達できないダム』という認識でした。
しかし、その後ダム便覧フォトアーカイブにダム下からの写真が投稿され、調べてみるとダム下へと通じる山梨県営林道葛野川線は徒歩での通行が可能であるとわかり今回訪問することにしました。
 
国道139号線の深城トンネル北出口の先に林道葛野川線のゲートがあります。
路肩に車を止めてゲートから歩くこと約15分で正面に葛野川ダムが現れます。
 
冬枯れのおかげでダムの全景が拝めますが、夏場は視界が遮られるかもしれません。
一方で堤体下半分が影となり、ちょっと露出が難しい写真となりました。 
非常用洪水吐としてクレストに2門のローラーゲート、常用洪水吐としてオリフィスゲートが1門
さらにダム下右岸には河川維持放流を利用した東京電力土室川発電所があり最大350キロワットの小水力発電を行っています。
 
クレストゲートをズームアップ
導流壁が途中から外側にずれる珍しい形です。
 
(追記)
葛野川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
3107 葛野川ダム(1428)
山梨県大月市七保町
相模川水系土室川
105.2メートル
263.5メートル
11500千㎥/8300千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1999年
◎治水協定が締結されたダム

頭佐沢ダム

2018-12-30 10:33:00 | 山梨県
2015年10月24日 頭佐沢ダム
2018年12月24日
 
頭佐沢(ずささわ)ダムは山梨県北杜市白州町にある東京電力リニューアブルパワーが管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
富士川上流部の釜無川流域では大正末期から昭和初期にかけて電源開発が進められ、これらの発電施設は日本発送電による接収を経て1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により東京電力が事業を継承しました。
頭佐沢ダムもそんな発電施設の一つで釜無川第一発電所の調整池として1926年(大正15年)に完成(事業者不明)し、釜無川、中津川、甲六川などで取水された水が一旦ここに貯留されたのち釜無川第一発電所に送られ最大5800キロワットの水路式水力発電を行っています。
 
中央道長坂インターから県道32号を西進、北の杜カントリークラブの標識に従って同クラブへと向かいます。ゴルフ場正面入口をやり過ごしゴルフ場西側を反時計回りに進むと右手に頭佐沢ダムへの分岐が現れ、管理道路を歩くとすぐにダムが見えてきます。
(2018年12月24日)
 
ダム便覧では堤高21.5メートルとなっていますが、堤体直下に盛土が施されているため見えるコンクリートはせいぜい数メートルです。建設残土をダム下に盛り立てたことでこのような形になっていると思われます。
(2018年12月24日)
 
左岸(写真手前側)に小さな洪水吐が見えます。
(2018年12月24日)
 
ダム下の盛土を斜めに横切るように頭佐沢川の水路が流れています。
手前からの水路が頭佐沢川、右手は洪水吐からの水路。
(2018年12月24日)
 
ダム下から
ここから見上げるとまるでアースダムのようです。
(2018年12月24日)
 
再び左岸に戻ります。
左手に釜無川第一発電所への取水口があります。
調整池は4万5000立米と小さなため池程度の大きさ。
(2018年12月24日)
 
取水口のスクリーン(2018年12月24日)
 
釜無川等からの導水路吐口(2018年12月24日)
 
彼方に甲斐駒が見えます。(2018年12月24日)
 
こちらは頭佐沢川からの水路
右上で河川維持放流分が隧道で下流へ流され上から4枚目手前側の水路へと続きます。
残りはダム湖に貯留されます。
(2018年12月24日)
 
2015年(平成27年)10月に訪問しましたが、感度設定を誤りまともな写真が撮れませんでした。
2度目の訪問でようやくちゃんとした写真が揃いました。
 
(追記)
頭佐沢ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0959 頭佐沢ダム(0017)
山梨県北杜市白州町花水
富士川水系頭佐沢川
21.5メートル
75.8メートル
45㎥/39㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1926年
◎治水協定が締結されたダム

道平川ダム

2018-12-08 14:00:00 | 群馬県
2015年12月09日 道平川ダム
2018年11月25日
 
道平川ダムは群馬県甘楽郡下仁田町の利根川水系鏑川右支流道平川にある群馬県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、鏑川の洪水調節・安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給・流域2市2町への上水道用水の供給を目的として1992年(平成4年)に竣工しました。
鏑川本流にダム建設適地がなかったため鏑川右支流道平川でのダム建設が決定しました。しかし同ダムだけでは鏑川本流の洪水対策としては不十分であり、かつ道平川単独での集水能力ではダム湖の貯留を賄えないため、併せて鏑川源流部の三カ所に洪水調節能力を持つ屋敷川取水ダム市野萱川取水ダム相沢川取水ダムを建設しここから導水トンネルで道平川ダムへ貯留することになりました。
またダム建設にあたってはRCD工法が採用され、関東地区では同工法によって建設された最初のダムとなっています。
 
国道254号線に道平川ダムを示す標識がありこれに従って左折するとダム右岸に到着します。
道平川ダムと3基の取水ダムの位置関係。
 
クレストには12門の自由越流式洪水吐が並び、左右両岸には堤趾導流壁。
また対岸(左岸)に管理事務所があります。
(2018年11月25日)
 
右岸から上流面
対岸には艇庫とインクライン。
(2018年11月25日)
 
左岸上流側にある3基の取水ダムからの導流路吐口。
(2018年11月25日)
 
天端は歩行者のみ通行可。
 
減勢工
左岸には河川維持用の放流設備が、右岸には群馬県を象った植栽があります。
(2018年11月25日)
 
荒船湖と命名された貯水池、両岸には西上州特有の奇峰岩峰が並びます。
総貯水容量は510万立米。
(2018年11月25日)
 
左岸に艇庫とインクラインがあり、艇庫の屋上が展望台になっています。
(2018年11月25日)
 
艇庫屋上の展望台からの眺め
(2018年11月25日)
 
左岸上流から(2018年11月25日)
 
左は取水設備、
2門あるオリフィスゲートは高さが異なっており、左手が非洪水期、右手が洪水期のゲートとなります。
(2018年11月25日)
 
(追記)
道平川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0625 道平川ダム(0105)
群馬県甘楽郡下仁田町南野牧
利根川水系道平川
FNW
70メートル
300メートル
5100千㎥/4900千㎥
群馬県県土整備部
1992年
◎治水協定が締結されたダム

相沢川取水ダム

2018-12-07 13:00:00 | 群馬県
2015年12月09日 相沢川取水ダム
2018年11月25日
 
相沢川取水ダムは群馬県甘楽郡下仁田町の利根川水系鏑川右支流相沢川にある群馬県が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
群馬県は県西部の甘楽富岡地区を横断する利根川水系鏑川の治水・利水対策の一環として、同水系への多目的ダム建設を企図しますが、鏑川本流にダム建設適地がなかったため鏑川右支流の道平川にダム建設を決定しました。しかし、同ダムだけでは鏑川本流の洪水対策としては不十分であり、また道平川単独での集水能力ではダム湖の貯留を賄えないため、同時に鏑川源流部の三カ所に洪水調節能力を持つ取水ダムを建設し、導水トンネルで道平川ダムへ送水し貯留することとしました。
市野萱川取水ダムは3箇所の取水ダムの一つで、鏑川の支流である相沢川に道平川ダムと同じく1992年(平成4年)に建設されました。
 
下仁田町中心部から国道254号線を西進、道平川ダムへの標識をやり過ごし次の二股を左に採り旧道を進み、相沢川沿いに進むと相沢川取水ダムに到着します。
写真の緑マルが相沢川取水ダムです。
 
右岸から
(2018年11月25日)
 
右岸より下流から
向かって右手(左岸か)から自由越流式洪水吐が2門、常用洪水吐、
左手(右岸)は道平川ダムへの導水路向け水路
(2018年11月25日)。
 
道平川ダムへの導水路向け水路
(2018年11月25日)。 
 
屋敷川取水ダムの銘板
(2018年11月25日)。
 
左岸から
左岸に非常用洪水吐が2門、その先に常用洪水吐が並びます。
屋敷川取水ダム市野萱川取水ダムとは構造が異なります。
(2018年11月25日)
 
天端から
右手は道平川への導水路向け水路
左手は非常用及び常用洪水吐からの導流路
(2018年11月25日)。
 
道平川への導水路向け水路(2018年11月25日)。
 
非常用及び常用洪水吐からからの導流路
河川維持放流もこの流路が使われています。(2018年11月25日)
 
ダムの上流
ダム湖はなく水量の少ないこの時期は堆砂した砂の下で伏流になっています。
(2018年11月25日)。
 
上流から
向かって右手から道平川への導水路向け取水ゲート、常用洪水吐、自由越流式非常用洪水吐2門と言う並び。
(2018年11月25日)。
 
3222 相沢川取水ダム(0104)
群馬県甘楽郡下仁田町南野牧
利根川水系相沢川
FNW
16.5メートル
64.5メートル
群馬県県土整備部
1992年

市野萱川取水ダム

2018-12-06 01:00:00 | 群馬県
2015年12月09日 市野萱川取水ダム
2018年11月25日
 
市野萱川取水ダムは群馬県甘楽郡下仁田町の利根川水系鏑川源流部の市野萱川にある群馬県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
群馬県は県西部の甘楽富岡地区を横断する利根川水系鏑川の治水・利水対策の一環として、同水系への多目的ダム建設を企図しますが、鏑川本流にダム建設適地がなかったため鏑川右支流の道平川にダム建設を決定しました。しかし、同ダムだけでは鏑川本流の洪水対策としては不十分であり、また道平川単独での集水能力ではダム湖の貯留を賄えないため、同時に鏑川源流部の三カ所に洪水調節能力を持つ取水ダムを建設し、導水トンネルで道平川ダムへ送水し貯留することとしました。
市野萱川取水ダムは3箇所の取水ダムの一つで、鏑川の支流である市野萱川に道平川ダムと同じく1992年(平成4年)に建設されました。
 
下仁田町中心部から国道254号線を西進、道平川の標識をやり過ごし荒船風穴標識に従って左手の旧道に入ります。
次の二股を左に採るとすぐに車両通行止めのバリケードが現れます。ここから100メートルほど歩くと市野萱川取水ダムに到着します。
写真の青マルが市野萱川取水ダム。
 
左岸から
左岸(向かって右手)に自由越流式の非常用洪水吐、その先に常用洪水吐、一番右岸寄り(向かって左手)に取水口から道平川ダムへの導水路へと続く水路が並びます。
写真では分かりませんが、常用洪水吐には屋敷川取水ダム同様チロル式の取水口があります。
(2018年11月25日)
 
市野萱川取水ダムの銘板
(2018年11月25日)
 
天端
(2018年11月25日)
 
左は非常用及び常用洪水吐の減勢工
右手は上流面の取水口および常用洪水吐のチロル式取水口から道平川ダムへの導水路にへの水路
構造は屋敷川ダムとほとんど同じです。
(2018年11月25日)
 
奥の水路橋が道平川ダムへの導水路
左手に屋敷川取水ダム、右手に道平川ダムがあります。
取水口から取水された水は河川維持用水が戻され残りが道平川ダムへと送られます。
 
ダム湖はなく砂が堆積しています
水量が少ないせいか伏流となっているようです、
(2018年11月25日)
 
ダム上流面の取水口
(2018年11月25日)
 
 
上流面
(2018年11月25日)
 
下流面
(2018年11月25日)
 
3221 市野萱川取水ダム(0103)
群馬県甘楽郡下仁田町南野牧
利根川水系市野萱川
FNW
25メートル
91メートル
群馬県県土整備部
1992年

屋敷川取水ダム

2018-12-05 11:00:00 | 群馬県
2015年12月09日 屋敷川取水ダム
2018年11月25日
 
屋敷川取水ダムは群馬県甘楽郡下仁田町の利根川水系鏑川源流部の屋敷川にある群馬県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
群馬県は県西部の甘楽富岡地区を横断する利根川水系鏑川の治水・利水対策の一環として、同水系への多目的ダム建設を企図しますが、鏑川本流にダム建設適地がなかったため鏑川右支流道平川にダム建設を決定しました。しかし、同ダムだけでは鏑川本流の洪水対策としては不十分であり、また道平川単独での集水能力ではダム湖の貯留を賄えないため、同時に鏑川源流部の三カ所に洪水調節能力を持つ取水ダムを建設し、導水トンネルで道平川ダムへ送水し貯留することとしました。
屋敷川取水ダムは3箇所の取水ダムの一つで、鏑川本流の源流である屋敷川に道平川ダムと同じく1992年(平成4年)に建設されました。
屋敷川取水ダムは3基の中でもっとも北に位置し、道平川ダムへの導水路の起点となっています。
 
下仁田町中心部から国道254号線を西進、道平川の標識をやり過ごし荒船風穴標識に従って左手の旧道に入ります。
次の二股を右に採り、国道下を潜ると屋敷川取水ダムに到着します。
写真の赤マルが屋敷川取水ダム。
 
左岸から
(2018年11月25日)
 
屋敷川取水ダムの銘板
(2018年11月25日)
 
天端、ダム入口から車両進入禁止となっています。
(2018年11月25日)
 
左は2門の洪水吐の減勢工で3列のバッフルピアの先にスリットの入ったエンドシルが並びます。
右の細い水路は道平川への導水路向けの水路。
(2018年11月25日)
 
ダムの上流
ダム湖はなく水量の少ないこの時期は堆砂した砂の下で伏流になっています。
すぐ上流には砂防ダムがあります。
(2018年11月25日)
 
ダム上流面
左手が自由越流式の非常用洪水吐
中央が常用洪水吐でチロル式で道平川ダム向けの集水をしています。
右手のゲージも道平川ダム向けの取水口。
(2018年11月25日)
 
下流面
向かって右手(左岸)から自由越流式非常用洪水吐、中央は常用洪水吐、左手(右岸)は道平川ダムへの導水路向け水路
(2018年11月25日)
 
上流面取水口と常用洪水吐でチロル方式で取水されたはこの細い水路から道平川ダムへの導水路へと送られます。
写真には写っていませんが、すぐ手前にゲートがあり、河川維持放流分が下流へと流されます。
(2018年11月25日)
 
常用洪水吐は越流面がチロル式取水口になっており、水の大半は道平川へと送られます。
(2018年11月25日)
 
常用洪水吐をズームアップ
越流面がスノコ状になっておりチロル方式で取水されています。
(2018年11月25日)
 
3222 屋敷川取水ダム(0102)
群馬県甘楽郡下仁田町南野牧
利根川水系屋敷川
FNW
16メートル
49.5メートル
群馬県県土整備部
1992年

坂本ダム(再)

2018-12-04 15:00:00 | 群馬県
2015年12月09日 坂本ダム(再)
2018年11月25日
 
坂本ダム(再)は群馬県安中市松井田町の利根川水系碓氷川にある群馬県県土整備部が管理する不特定利水目的の重力式コンクリートダムです。
もともとは建設省所管の砂防ダムとして1958年(昭和33年)に竣工し、1981年(昭和56年)に河川管理施設として群馬県に移管されました。
その後碓氷川を水源としていた碓氷上水道企業団などの水利権者から河川流量の安定化を求める要望が強まり、群馬県は坂本ダム再開発事業に着手、1994年(平成6年)に同事業が竣工しました。
坂本ダム(再)は碓氷川の安定した河川流量の維持および既得取水権としての上水道用水・灌漑用水への安定した補給を目的としています。
不特定利水単独目的の県営ダムは珍しく、全国でもここと島根県の笹倉ダム(再)くらいしか思い浮かびません。
 
ダム建設当時から環境に配慮した『シビックデザインダム』に指定され、天端は近接する旧信越線鉄道施設をモチーフにしたデザインとなっているほか、堤体や副ダムは化粧型枠を使った石張風となっています。
またダム再開発に合わせてダム湖である妙義湖の環境整備も進められ、駐車場、トイレおよび湖畔を巡る一周1.2キロの遊歩道が整備され、今では安中市の観光名所の一つとなっています。
 
安中市横川から国道18号旧道に入り、霧積温泉へ向かう県道56号を分けるとすぐに左手に碓氷湖の標識が現れます。
これに従って左折すると碓氷湖畔に到着です。
まずはダム下に下りてみます。
クレストに自由越流式洪水吐が3門あり、転波越流しています。
 
クレストをズームアップ
旧信越線のトラス橋をモチーフにしたデザイン。
(2018年11月25日)
 
左岸から下流面
(2018年11月25日)
 
上流面
手前に斜樋があり河川維持放流用水を取水しています。
(2018年11月25日)
 
管理事務所はロッジ風
これもシビックデザインの一環。
 
減勢工と副ダム
側壁や副ダムは化粧型枠による石積み風
左手に放流ゲートがあり河川維持放流が行われています。
(2018年11月25日)
 
ダム湖(碓氷湖)は総貯水容量77万8000立米。
湖畔を一周する遊歩道が整備され、上流にはめがね橋をモチーフにした橋が架けられています。
(2018年11月25日)
 
右岸から
(2018年11月25日)
 
堤体も化粧型枠を使った石積風です。
こうやって見ると鉄道の鉄橋と見紛うようです。
 
ダム湖上流から遠望
(2018年11月25日)
 
せっかく来たので本物のめがね橋も見学。
 
 
追記
坂本ダム(再)には洪水調節容量が配分されていませんが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

3074 坂本ダム(再)(0106)
群馬県安中市松井田町坂本
利根川水系碓氷川
36.3メートル
85メートル
778千㎥/500千㎥
群馬県県土整備部
1994年
◎治水協定が締結されたダム


中木ダム

2018-12-04 01:00:00 | 群馬県
2015年12月09日 中木ダム
2018年11月25日
 
中木ダムは群馬県安中市松井田町の利根川水系碓氷川右支流中木川にある安中市上下水道部が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
もともとは碓氷川流域農地への灌漑用水供給と砂防を目的とした群馬県営ダムとして1959年(昭和34年)に竣工しました。
しかしその後の減反政策や碓氷川左支流霧積川に防災目的の霧積ダムが完成したことなどからダムの存在意義が薄れる一方、安定した上水道水源の確保を模索していた碓氷上水道企業団の利害が一致、1979年(昭和54年)に中木ダムは同企業団に譲渡され、上水道目的のダムに転用されました。
現在は安中市・松井田町の合併により安中市上下水道部が管理運用を行っています。
 
安中市街から国道18号を西進、上信越道を潜り県道51号と合流する五料交差点の先を左折して市道を進むと中木ダムのダム下に到着します。
堤高は41メートル、クレストにローラーゲートが3門装備。
(2018年11月25日)
 
減勢工
左手は河川維持放流、明らかに後付け設備です。
堤体右隅は漏水でしょうか?
 
ダム直下に下りてみました。
(2018年11月25日)
 
ダムの背後には裏妙義の岩峰が聳えます。
(2018年11月25日)
 
下流面(2018年11月25日)
 
天端は立ち入り禁止(2018年11月25日)
 
昭和30年代竣工のダムらしく取水設備は円形。
 
ダム湖は妙義湖で総貯水容量160万立米。
妙義山の岩峰に囲まれています
(2018年11月25日)
 
上流面。
 
さらに上流から
(2018年11月25日)
 
県営ダムが、自治体の上水用ダムに転用された珍しいダムです。
 
(追記)
中木ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0617 中木ダム(0108)
群馬県安中市松井田町五料
利根川水系中木川
41メートル
148.1メートル
1600千㎥/1350千㎥
安中市上下水道部
1959年
◎治水協定が締結されたダム

鹿沢ダム

2018-12-03 12:41:49 | 群馬県
2018年11月24日 鹿沢ダム
 
鹿沢ダムは群馬県吾妻郡嬬恋村の利根川水系吾妻川上流部にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的のアースフィルダムです。
水量豊富で急流が続く吾妻川では戦前から電源開発が進められ多くのダムや発電所が建設されました。
鹿沢ダムもそんなダムの一つで1927年(昭和6年)に吾妻水力電気(株)により田代発電所(現鹿沢発電所)の調整池として建設されました。
1939年(昭和14年)の電力統制令により日本発送電に接収されたのち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により東京電力が事業継承しました。
大沢川・吾妻川・大横川で取水された水が鹿沢ダムに貯留され、1キロ超の導水路で東京電力鹿沢発電所に送られ最大5600キロワットの水路式水力発電を行っています。
日本では数少ないコンクリートコア型式のアースフィルダムで、戦前の貴重な土木建築物であることからCランクの近代土木遺産に選定されています。 
 
嬬恋村田代の国道144号線に田代湖の標識があります。
これに従って北に折れると鹿沢ダムに到着します。現地では田代湖の名称が一般的です。
 
堤頂長981.1メートルの長大なアースフィルダムですが、全面にフェンスが設けられちゃんとした展望ポイントはありません。
 
 
堤体は犬走りを挟んで2段構成。
 
右岸湖岸にある嬬恋かるたの標識
かるた王国群馬ならでは。
 
右岸から
堤体は緩やかにL字状に湾曲しています。
 
貯水池
総貯水容量は536万4000立米。
 
右岸にある大沢川・吾妻川・大横川からの流入口。
 
左岸の鹿沢発電所への取水口。
 
右岸にある小さな洪水吐
湖沼をダム化した調整池で実質河道外貯留のため溢流することはほとんどないと思われます。
 
浅間連峰が一望できる絶好のロケーションで本来ならば高原の湖という風情を満喫できるのでしょうが、悲しいかな貯水池全体がフェンスに囲まれて立ち入ることができません。
発電施設に加えて過去に水死事故があった影響もあるんでしょうがちょっともったいない気もします。

0590 鹿沢ダム (1427)
群馬県吾妻郡嬬恋村田代
利根川水系吾妻川
18.2メートル
981.8メートル
5634千㎥/5536千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1927年
 


大津ダム

2018-12-03 11:04:20 | 群馬県
2016年10月 9日 大津ダム
2018年11月24日
 
大津ダムは群馬県吾妻郡長野原町の利根川水系吾妻川にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
豪雪地帯を水源とし水量豊富で急流が続く吾妻川では戦前から電源開発が進められ多くのダムや発電所が建設されました。
大津ダムもそんなダムの一つで1931年(昭和6年)に建設され(事業者不明)、電力統制令により日本発送電により接収されたのち戦後の電力分割民営化で東京電力が事業継承しました。
大津ダムではダム左岸にある大津発電所で有効落差14.55メートルを利用して最大2000キロワットのダム式発電を行っています。
大津ダムは日本では数少ないローリングゲートを2門備え、石貼りの越流面も含めて竣工当時の姿をそのまま残しているといわれています。
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により大津ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。。
 
JR長野原草津口駅から国道145号線旧道を西進、群馬大津駅手前で左の枝道に入り駅の先で左折して踏切を渡りると大津ダムの変電所が見えてきます。そのまま川の方へ下ると大津ダムが目の前に現れます。
2門のローリングゲート、右岸は自由越流式の余水吐となっています。
 
2度目の訪問では越流はなく、石張りの越流面を愛でることができました。
(2018年11月24日)
 
左側(向かって右)のゲートが開かれ激しく放流されています。
右側のゲート(向かって左)は閉まっていますが、ゲートの上を越流しています。
激しい放流と繊細な越流の対比が素晴らしい。
 
 
ほぼ同じアングルで(2018年11月24日)
 
 
右岸(向かって右)は自由越流式になっており、美しい糸を引いています。
 
(2018年11月24日)
 
ローリングゲートと越流面をズームアップ(2018年11月24日)
 
ローリングゲートをさらにズームアップ(2018年11月24日)
 
水使用標識。
 
 
岐阜県の上麻生堰堤ともどもローリングゲートを擁するオールドダムの双璧と言えるでしょう。
 
(追記)
大津ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0593 大津ダム(0633)
群馬県群馬県吾妻郡長野原町大津
利根川水系吾妻川
19.6メートル
73.9メートル
108千㎥/78千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1931年
◎治水協定が締結されたダム

鍛冶屋沢ダム

2018-12-03 09:53:44 | 群馬県
2018年11月24日 鍛冶屋沢ダム
 
鍛冶屋沢ダムは群馬県吾妻郡東吾妻町の利根川水系吾妻川左支流鍛冶屋沢川にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富で急流が続く吾妻川では戦前から電源開発が進められ多くのダムや発電所が建設されました。
鍛冶屋沢ダムもそんなダムの一つで1929年(昭和4年)に松谷発電所の調整池として建設されました。(事業者不明)。
1939年(昭和14年)の電力統制令により日本発送電に接収されたのち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により東京電力が事業継承しました。
川中発電所の放流水及び白砂川・吾妻川で取水された水が鍛冶屋沢ダムに貯留され、導水路で松谷発電所に送られ最大2万4500キロワットの水路式発電を行っています。
 
中之条から国道145号線を西進し、松谷交差点で左手の旧道に進みます。
松谷発電所を過ぎると右手の枝道に入り北に進むとすぐに国道145号バイパストンネル下で行き止まりとなります。
ここから川沿いに10分ほど歩くと鍛冶屋沢ダムに到着します。
トンネルからの水路は洪水吐斜水路です。
 
ダム下から
左岸に洪水吐越流部があります。
 
除塵機で集められた落ち葉が積もっています。
 
左岸の洪水吐と洪水吐導流部
ここから一番上の写真のトンネル吐口へと向かいます。
 
天端は立ち入り禁止。
 
上流面。
 
堤体本体のほかに、左岸側面にも洪水吐があります。
 
松谷発電所への取水口。
 
主として白砂川からの水が貯留され、硫黄成分の影響で貯水池はエメラルドグリーンになっています。
 
白砂川からの導水路吐口
水がエメラルドグリーンです。
 
人気の八ツ場ダムからわずか2キロ下流にある鍛冶屋沢ダムですが、八ツ場の喧騒とは裏腹に人気はなく貯水池に流れ込む水の音だけが絶えることなくが響いていました。
 
(追記)
鍛冶屋沢ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0592 鍛冶屋沢ダム(1426)
群馬県吾妻郡東吾妻町松谷
利根川水系鍛冶屋沢川
39.2メートル
90.9メートル
257千㎥/188千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1929年
◎治水協定が締結されたダム

赤三調整池

2018-12-03 08:04:01 | 群馬県
2018年11月24日 赤三調整池
 
赤三調整池は群馬県利根郡みなかみ町の利根川水系赤谷川にある東京発電(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
東京発電は1928年(昭和3年)設立の姫川水力を起源とする東京電力の100%出資子会社で、主として中小水力発電やクリーンエネルギーを手掛け中小水力発電においては日本のトップ企業です。
利根川支流の赤谷川では豊富な水量に着目して昭和30年代から電源開発が進められ、源流部では東京発電が、下流では群馬県企業局が発電事業を手がけました。
赤三調整池は赤谷川第三発電所の取水ダムとして1961年(昭和36年)に竣工し、ここで取水された水は約1.7キロの導水路で同発電所に送られ最大2400キロワットの水路式発電を行っています。
 
猿ヶ京温泉から県道270号を北上し川古温泉の標識に従って左折、赤谷川に出るとさらに左折すると赤三調整池に到着します。
ダム下は木々が茂り撮影はこれが精いっぱい。
釣り師がつけたと思われる河原へ下りる赤テープがありましたが、今回は腰痛で下りれる自信がなかったので自重しました。
 
 
天端は立ち入り禁止
立ち入り禁止の警告板の多いこと。
 
上流面
放流設備はローラーゲートが2門。さらに奥に土砂吐があるようです。
 
赤谷川第三発電所への取水口。
 
ダムが国交省と群馬県の河川管理境界になっています。
 
ダムの近くには某アニメでも登場した千葉市民高原千葉村があります。
来年からみなかみ町に移管されるため高原千葉村としての営業は年内いっぱいだそうです。
 
 
3584 赤三調整池(1425)
群馬県利根郡みなかみ町相俣
利根川水系赤谷川
17.1メートル
27.2メートル
26千㎥/24千㎥
東京発電(株)
1961年