ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

都田川ダム

2022-02-28 13:49:51 | 静岡県
2015年12月27日 都田川ダム
2022年 2月26日
 
都田川ダムは左岸が静岡県浜松市北区引佐町東久留女木、右岸が同町川名の二級河川都田川本流にある静岡県農業振興部が管理する多目的ロックフィルダムです。
当初は県による農地防災ダムとして計画されましたが、のちに農水省の国営浜名湖北部農業水利事業及び静岡県企業局遠州広域水道用水事業の水源地として計画が変更され、農水省と静岡県企業局の共同事業で1984年(昭和59年)に竣工しました。
完成後は静岡県農業振興部が管理を受託しています。
都田川の洪水調節のほか、浜名湖北部に広がるみかんを中心とした樹園地への灌漑用水の供給、浜名湖周辺2市4町への上水道用水の供給を目的としています。
ダムの目的はFAWですが、農水省と静岡県企業局の共同事業によるダムのため補助多目的ダムとはなりません。
当ダムには2015年(平成27年)12月に初訪、2022年(令和4年)2月に再訪しました。
日付の記載のない写真は初訪のものです。
 
ダム直下を県道68号が通っています。
こちらはダム右岸にある洪水吐導流部。
 
洪水吐の左手(右岸側)に取水設備からの放流口があり利水放流が行われています。
利水放流を活用した小水力発電所の建設工事が進められています。
(2022年2月26日)
 
ロックフィル堤体と洪水吐導流部は地山を挟んでいます。
リップラップには『みやこだがわ』という植栽が作られていますが、下流から『みやこ』しか見えません。
(2022年2月26日)
 
ダムサイトに上がります。
左岸の石碑。このほか諸元や説明板など多くの案内板が置かれています。
(2022年2月26日)
 
下流面
洪水吐は奥の茂みの向こう側にあります。
(2022年2月26日)
 
上流面
対岸に管理事務所、横越流式洪水吐、取水設備が並びます。
 
ダム湖は『いなさ湖』
総貯水容量1202万立米と本州の農業用ダムとしてはかなりのスケール
中央の標識が洪水期の満水位となります。
 
右岸の取水設備
ゲートがインクラインで昇降するタイプの斜樋。
(2022年2月26日)
 
取水設備のさらに上流にある艇庫とインクライン。
(2022年2月26日)
 
天端は許可車両のみ通行可能
建物は管理事務所でオーバーハングしたちょっと洒落たデザイン。
職員の常駐はなく巡回のみ。
(2022年2月26日)
 
右が常用洪水吐となるラジアルゲート
左に非常用洪水吐となる横越流式洪水吐
ラジアルゲートと横越流式洪水吐が並列に並ぶ洪水吐は珍しい。
(2022年2月26日)
 
ゲートをズームアップ
(2022年2月26日)
 
横越流式洪水吐の越流部には切欠きがあり、切欠き部分にはシュートブロックが置かれています。
(2022年2月26日)
 
洪水吐導流部と減勢工
左手の細い水路がラジアルゲートからのライン
写真では見えませんが減勢工の右手に取水設備からの放流口があり、利水放流を利用した小水力発電所が建設される予定です。
(2022年2月26日)
 
(追記)
都田川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1175 都田川ダム(0141)
左岸 静岡県浜松市北区引佐町東久留女木
右岸          同町川名
都田川水系都田川
FAW
55メートル
170メートル
12020千㎥/10340千㎥
静岡県農業振興部
1984年
◎治水協定が締結されたダム