ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

永源寺ダム

2024-01-11 08:00:00 | 滋賀県
2016年 3月20日 永源寺ダム
2023年11月25日
 
永源寺ダムは左岸が滋賀県東近江市永源寺相谷町、右岸が同市九居瀬町の一級河川淀川水系愛知川にある滋賀県農政水産部が管理する灌漑・発電目的の重力式コンクリート・フィル複合ダムです。
琵琶湖東岸、近江盆地中央を横断する愛知川沿岸は滋賀県屈指の穀倉地帯となっていますが、水源となる愛知川は集水域が些少かつ天井川となっており洪水と渇水を繰り返し、安定した水源確保は流域農民の永年の悲願となっていました。
流域自治体や農家による陳情の結果、1952年(昭和27年)に農林省(現農水省)による国営土地改良事業愛知川地区が着手され、その灌漑用水源として1972年(昭和47年)に竣工したのが永源寺ダムです。
事業全体も1983年(昭和58年)に完了し約8000ヘクタールにわたる農地への灌漑・排水設備の整備や圃場整備が行われ当地区の農業水利事業は大きく改善しました。
事業完了以降ダムの管理は滋賀県農政水産部が受託し、現在は約6900ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するとともに関西電力永源寺発電所で最大5000キロワットのダム式発電を行っています。
ダムの下流にはダム名の由来となった紅葉の名所永源寺があるほか、ダム湖の永源寺湖周辺は登山や釣りなどが楽しめる自然公園として整備されダム湖百選に選ばれています。

永源寺ダムには2016年(平成28年)3月に初訪、2023年(令和5年)11月に再訪しました。
掲載する写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
 
名神高速八日市インターから国道421号を東に約11キロ、車で15分ほどで永源寺ダムに到着します。
まずはダム下へ。
農業ダムのため洪水吐はクレストラジアルゲート4門だけ。
赤いゲートが鮮やか。
(2023年11月25日)


ダム直下まで立ち入れ堤体にタッチできます。
ダム下から左岸フーチングを見上げる。
(2023年11月25日)

 
左岸ダムサイトから
堤高73.5メートル、堤頂長は392メートルに及びます。
左岸側がわずかに屈曲
フィルダムは右岸側の一部を占めるだけなので、こちらから見るとコンクリートダムにしか見えません。
(2023年11月25日)
 
ダムサイトの水利使用標識
当初8000ヘクタールだった受益農地は6877ヘクタールまで減少しています。
(2023年11月25日)

 
ダム左岸を国道421号線が走り、ダムサイトにはダム名のついたバス停。
(2023年11月25日)

 
同じく左岸ダムサイトのダム湖百選のプレート。
(2023年11月25日)


ダム湖百選に選ばれている永源寺湖
総貯水容量は2274万2000立米と農業用ダムとしては全国屈指のサイズ。
再訪時は灌漑期が終わり、ゲートの改修工事のためダム最低水位まで下げられていました。
(2023年11月25日)

 
左岸管理事務所とインクライン。
インクラインは途中で斜度が変わります。
水位が低いのでかなり長く感じます。
(2023年11月25日)

 
こちらは初訪時の管理事務所とインクライン。
ほぼ満水位。
(2016年3月20日)

天端は徒歩のみ開放
昭和30年代着工ということで設備は何かと大がかり。
下流側のエレベーター棟と上流側の取水設備はつながっています。
(2023年11月25日)


ゲート越しに見下ろす減勢工と発電所。
(2023年11月25日)

 
取水ゲートは多段ゲートと低水取水ゲートの2門があります。
写真は多段ゲート。
(2023年11月25日)

 
ダム下の関西電力永源寺発電所
利水従属で最大出力5000キロワットのダム式発電を行います。
こちらもゲート交換用のガントリーを備えるなど大掛かりな造り。
(2023年11月25日)

 
右岸フィル部から
左岸同様屈曲し、万一の堤体越流に備え重力式コンクリート部よりも天端標高が1メートル高くなっています。
(2023年11月25日)

 
フィルコンバインドダムでは必見、コンクリートとフィルの接続部。
(2023年11月25日)

右岸から
ここから見るとフィルコンバインドダムであること、フィル部の天端標高が高くなっているのがよくわかります。
(2023年11月25日)

こちらは初回訪問時の上流面
ほぼ満水位。
(2016年3月20日)

 
こちらは再訪時
ゲート工事に備え最低水位まで下げられています。
(2023年11月25日)

 
ズームアップ
1番2番ゲートと3番4番ゲートで敷高が異なります。
(2023年11月25日)

管理事務所で確認すると灌漑期が終われば水位は下げるのですが、今回は改修に備え最低水位まで下げたとのこと。
これはこれでレアな光景だそうです。
 
(追記)
永源寺ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1361 永源寺ダム(0258)
左岸 滋賀県東近江市永源寺相谷町
右岸        九居瀬町
淀川水系愛知川
AP
GF
73.5メートル
73.5メートル
392メートル
滋賀県農政水産部
1972年
◎治水協定が締結されたダム

芹川ダム

2024-01-10 09:00:00 | 滋賀県
2016年 3月20日 芹川ダム
2023年11月25日
 
芹川ダムは滋賀県犬神郡多賀町一円の淀川水系芹川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1939年(昭和14年)に着工されますが戦争激化による人員物資不足で事業は中断、戦後、農林省(現農水省)の補助を受けた県営事業で建設が再開され1955年(昭和30年)に竣工しました。
その後2021年(令和3年)にかけて県営農地防災事業芹川地区による耐震改修が実施され現在に至っており管理は芹川地区土地改良区が行っています。
芹川ダムには2016年(平成28年)3月に初訪、改修工事終了を受け2023年(令和5年)11月に再訪しました。

芹川ダムの流域面積38.7平方キロのうち自己流域は1.2平方キロにとどまりその大半は芹川承水路を通じての芹川からの導水に依ります。 

芹川ダムの改修工事では掘削等で生じる掘削土や底泥土をセメント系固化材で固化処理し築堤土として再利用する砕・転圧盛土工法が採用されました。



一円集落入り口の駐車場に車を止め、ダムへの管理道路を200メートルほど進むと芹川ダムが見えてきます。

ダム一帯は害獣防護フェンスで囲まれておりここがダムの入り口。
開けたら必ず閉めましょう。


堤高30メートル、堤頂長129メートル(ため池データベース)
改修ですっかりきれいになりました。


堤体は犬走を挟んだ3段で基部は石積みの擁壁。
ダム下に放流設備があります。

ダムサイトまで上がります。
改修できれいになった天端。


右岸湖岸の斜樋。

 
左岸の越流式洪水吐
洪水吐自体は改修では手付かず。
かつてトラスだった管理橋は一新されています。


洪水吐導流部。


総貯水容量142万6000立米(ため池データベース)の貯水池。
本州の農業用アースフィルダムとしてはかなりのサイズ。
灌漑期が終わったせいか?雨不足なのか?水位はかなり低め。

 
天端からの眺め
ダムの真下には放流設備、右手には墓地があります。
受益農地は正面の集落から下流に至る芹川沿岸。


上流面も改修でコンクリート枠工+中詰工で護岸。


右岸の斜樋機械室
ここは改修以前のまま。


ここからは改修以前、2016年(平成28年)3月の写真となります。
当時もダム一帯は害獣防除フェンスが張り巡らされていました。

 
ダム一帯は野鳥の森公園として整備され湖岸を一周する遊歩道も整備されましたが、訪問時はビジターハウスも撤去され『かつて公園だった場所』化。


洪水吐に架かるトラス橋。

 
天端と下流面。

 
上流面
対岸の左岸ダムサイトにかつて野鳥の森ビジターハウスがありました。
 
1355 芹川ダム(0261)
ため池データベース 254430006
滋賀県犬上郡多賀町一円
淀川水系芹川右支流
27メートル(ため池データベース 30メートル)
135メートル(ため池データベース 129メートル)
1781千㎥(ため池データベース 1426千㎥)/1781千㎥
芹川沿岸土地改良区
1955年

石田川ダム

2022-08-24 16:00:00 | 滋賀県
2022年7月26日 石田川ダム 
 
石田川ダムは滋賀県高島市今津町角川の淀川水系石田川上流部にある滋賀県土木交通部が管理する治水目的のロックフィルダムです。
建設省(現国交省)の補助を受け、石田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水へ補給を目的とした補助治水ダムとして1969年(昭和44年)に竣工しました。
しかしその後の灌漑用水源の整備により、不特定利水容量の配分は残されているものの実際にはの有効貯水容量すべてが洪水調節容量として運用されています。
そのため、平時はダム湖に貯留は行わず流入量はそのまま放流します。
 
国道303号線水坂トンネル手前を右折し石田川沿いの市道を北上すると石田川ダムに到着します。
堤高43.5メートル、堤頂長140.1メートルの小ぶりなロックフィルダム。


ダムサイトの説明板。

天端は徒歩のみ通行可能。


右岸の洪水吐斜水路と減勢工。


減勢工をズームアップ
減勢部には草が茂りまるで湿原のようです。


非常用洪水吐となる2門のローラーゲート
とんがり屋根の操作建屋は1995年(平成7年)の改修で増設されました。
ゲート左は管理事務所、右手は常用洪水吐操作建屋。
有効貯水容量すべてを洪水調節容量として運用しているため、近年非常用ゲートが開かれることはないそうです。


天端からダム下を望む


右手の流路は常用洪水吐からの放流路で平時は流入量はそのまま放流します。


総貯水容量271万立米、有効貯水容量231万立米のダム湖
ダムには非洪水期180万立米、洪水期127万立米の不特定利水容量が配分されていますが、上記のように不特定灌漑用水については灌漑用水源の整備により当ダムからの補給は行われていません。
ダムの目的は『FN』ですが、実際にはダム湖に水は貯留されず有効貯水容量すべてが洪水調節容量の治水専用ダム『F』として運用されています。

上流面。


ちょっと見づらいですが、洪水吐建屋右手に常用洪水吐のゲージが見えます。
その右背後はインクライン。

常用洪水吐のゲージ
事実上の治水専用ダム運用のため、常用洪水吐というよりは放流管という役割。

ダムサイトのモニュメント。
由来はわかりませんが、高島市周辺は古墳が多いので石室をモチーフにしたのかな?


(追記)
石田川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
しかし上記のように実際の運用ではすでに有効貯水容量すべてが洪水調節容量として運用されています。

1359 石田川ダム(1861)
滋賀県高島市今津町角川 
淀川水系石田川 
FN 
 
43.5メートル 
140.1メートル 
2710千㎥/2310千㎥ 
滋賀県土木交通部 
1969年 
◎治水協定が締結されたダム

姉川ダム

2022-08-24 08:00:00 | 滋賀県
2022年7月26日 姉川ダム 
 
姉川ダムは滋賀県米原市曲谷の淀川水系姉川上流部にある滋賀県土木交通部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
姉川と聞けばたいていの人は織田・徳川連合軍が浅井・朝倉軍を破った『姉川の戦い』を想起しますが、まさにあの姉川です。  
建設省(現国交省)の補助を受け、姉川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水へ補給を目的とした補助治水ダムとして2002年(平成14年)に竣工しました。
2017年(平成29年)に河川維持放流を利用して『いぶき水力発電(株)』姉川ダム発電所が完成し、最大900キロワットの小水力発電が開始されています。
利水従属発電になりますが、発電所の稼働により滋賀県ではダムの目的を『FN』から『FNP』に、治水ダムから多目的ダムに変更しダム便覧やダムカードにも多目的ダムと記されています。
姉川ダムは当初支流の高時川(妹川)に水資源機構が事業化を進めていた丹生ダムや姉川下流の河川改修を前提に洪水時最大放流量230㎥/秒として建設が進められました。
しかし嘉田前知事時代の公共事業縮小方針を受け丹生ダムは事業が中止、河川改修も凍結されたことから、当初放流量のままでは下流での洪水リスクが懸念されるため、常用洪水吐にゲートを嵌め込み暫定的に洪水時最大放流量を190㎥/秒に抑えています。

米原市街から姉川沿いに県道40号を北上するとダムの案内板が現れます。
ダム下も『ダム下流公園』として整備され東屋などが設置されています。
洪水吐がダム直下でほぼ直角に屈曲、訪問時は発電所が稼働し発電所から河川維持放流が行われていました。


非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂4門、常用洪水吐として自然調節式オリフィス1門を装備。
訪問時はオリフィスから放流中。
ダム下の建屋は2017年(平成29年)に稼働した『いぶき水力発電(株)』姉川ダム発電所で最大500キロワットの小水力発電を行います。
なお、同社は地元製材企業とイビデン子会社の合弁です。


ダムの下流の転流工。 


ダムサイトに上がります。
左岸にある資料室を備えた管理事務所
駐在された職員さんが話好きで、多々浴びせた質問にも気さくにお答えいただきました。

貯水池『白龍湖』の由来が記されています。
姉川と妹川(高時川)には洪水を防いだ姉妹の白龍伝説がありこれに由来します。
龍神伝説は暴れ川の証左。


ダムサイトのモニュメント
ダムのある曲谷地域はかつては石臼の名産地で、石臼をモチーフとしたそうです。


右岸のインクラインと巡視艇繋留設備。

凝った意匠の親柱。


減勢工はいったん右に屈曲したのちさらに左手に曲がり、所在地の『曲谷』の地名を如実に表しています。
左手は姉川ダム発電所。


オリフィスゲートを真上から
試験湛水用の角落しに、上記放流量を絞るための仮ゲートが嵌め込まれているのがわかります
ゲートの先には巡視艇の転落防止の用のポールがあります。


ダム湖の『白龍湖』は総貯水容量760万立米。


天端は徒歩のみ開放。


下流面
堤頂部が前面にせり出す一方、襟からスロープにかけては緩やかなカーブを描く独特のデザイン。


上流面
取水設備左手はインクライン。


上流から遠望
オリフィスゲートに仮設のゲートが嵌め込まれているのはよくわかります。
ちなみにこのゲートは青土ダムの試験湛水ゲートを転用したそうです。


(追記)
姉川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1365 姉川ダム(1860)
滋賀県米原市曲谷
淀川水系姉川
FNP
80.5メートル
225メートル
7600千㎥/6500千㎥
滋賀県土木交通部
2002年
◎治水協定が締結されたダム

犬上川ダム

2016-03-25 06:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 犬上川ダム
 
犬上川ダムは滋賀県犬上郡多賀町の淀川水系犬上川にある多目的重力式コンクリートダムで犬上川沿岸土地改良区が管理を行っています。
近江盆地は日本屈指の穀倉地帯ですが、河川の多くが天井川で安定した灌漑用水の確保が課題となっていました。
犬上川流域も事情は同じで1932年(昭和7年)には水争いの結果流血事件が起こるほどの騒ぎとなりました。
この事態を受け滋賀県は1934年(昭和9年)に犬上川南谷源流部に犬上川ダムを着工しますが、戦争激化により工事は中断、終戦直後の1946年(昭和21年)にようやくダムは竣工しました。
犬上川ダムは灌漑目的のコンクリートダムとしては日本で最古の部類のダムの一つとなっています。
また1954年(昭和29年)に関西電力犬上発電所が増設され最大1100キロワットの発電を行っています。
 
甲良から県道226号~34号を東進すると犬上川ダムに到着します。
赤いゲートが際立ちます。
 
コンクリートの打継面、越流部の苔やしみ出た骨材の錆色の着色
戦後すぐにできた時代感が伝わってきます。
 
天端とゲート操作室
円形の機械室は戦前の設計ではよくみられるデザインです。 
天端は歩行者と二輪車が通行可能。
 
発電所の取水口。
 
すり鉢状の減勢工。
 
アングルを変えて 
独特のすり鉢に加えて錆び、苔、つぎはぎ…ある意味これがこのダムのエッセンスかも??
現実には物資不足の戦中に建設されたため人間でいえば骨粗しょう症のような状態。
 
上流面
ぎざぎざのゲートは恐竜っぽい。
 
ダム便覧では昭和21年竣工ですがこちらは22年。
 
この辺のデザインは同じ農業用コンクリートダム黎明期の埼玉の間瀬ダムに共通するものがあります。
 
植林を下りなんとか下流から。
 
犬上発電所への水圧鉄管。
 
至る所でオールドダムの魅力を感じることができるダムです。
できれば河原に下りてすり鉢状の減勢工を至近で見てみたいものです。
 
 
追記
犬上川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに85万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1351 犬上川ダム(0260)
滋賀県犬上郡多賀町萱原
淀川水系犬上川
AP
45メートル
135メートル
4500千㎥/3700千㎥
犬上川沿岸土地改良区
1946年
◎治水協定が締結されたダム

宇曽川ダム

2016-03-24 20:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 宇曽川ダム
 
宇曽川ダムは滋賀県東近江市の淀川水系宇曽川にある滋賀県営の治水目的ロックフィルダムで、宇曽川の洪水調節と既得取水権の補給・河川流量の維持を目的に1979年(昭和54年)に竣工しました。
ダム周辺は県立湖東自然公園に指定され、ダム湖上流は景勝地の宇曽川渓谷になっています。またダム付近には湖東三山と呼ばれる名刹もあります。
 
八日市インターから国道307号を北上すると金剛輪寺の手前で宇曽川ダムを示す標識が現れます。これに従い東進すると宇曽川ダムに到着します。
当初は車でダムの上まで上がる予定でしたが、ダムの手前に『ダム下公園』と書かれた分岐がありそちらに向かってみました。
減勢工の手前から洪水吐導流部に沿って階段があるので下から歩いて登ります。
 
堤高56メートルを登り切ると・・・
洪水吐導流部から減勢工を見下ろします。
 
洪水吐。
 
洪水吐と取水棟、管理事務所 
背の高い角ばった洪水吐の越流壁が特徴。
 
洪水吐導流部の脇にモノレールみたいなものがあります。
これは??
 
堤体の下にダム下公園があります。
天端は絶好の展望台で、晴れていれば琵琶湖を挟んで湖西の山まで見えるそうですが・・・
 
天端は車両が通れるっぽい。
 
淡海展望台
淡海とは湖、つまり琵琶湖のことです。
ダム周辺には湖東三山など名刹がありそれをモチーフにした和風のデザイン。
 
上流面。
 
下流面。
ともに黒っぽい石が使われています。
 
追記
宇曽川ダムには235万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに25万立米の洪水調節容量が確保されることになりました
 
1362 宇曽川ダム(0259)
左岸 滋賀県東近江市平柳町
右岸    愛知郡愛荘町松尾寺
淀川水系宇曽川
FN
56メートル
192.8メートル
2900千㎥/2600千㎥
滋賀県土木交通部
1979年
◎治水協定が締結されたダム
 

蔵王ダム

2016-03-24 16:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 蔵王ダム
 
蔵王ダムは滋賀県蒲生郡日野町にある灌漑用ロックフィルダムで、農水省の日野川地区農業水利事業により1990年(平成2年)に建設されました。
近江盆地は日本有数の穀倉地帯ですが、天井川が多く安定した灌漑用水の確保が課題となっていました。
そのため各河川で灌漑専用ダムの建設が進みましたが蔵王ダムもそんなダムの一つです。
運用開始後は日野川流域土地改良区が受託管理を行っています。
 
日野から国道477号を進むと蔵王ダムが見えてきます。
灌漑専用ダムとしては比較的規模の大きなダムで、黒と白の石が混じるリップラップが特徴です。
向かって左に利水放流設備があります。
 
洪水吐をズームアップ
越流しています。
 
左岸の洪水吐。
 
減勢工を見下ろす
晴れていれば琵琶湖まで見えるんですが・・・。
 
上流面も色違いのロックフィル。
 
堤体直下は芝生が張られていますが立入禁止。
 
天端は車両通行止め。
 
右岸の取水設備。
 
余談ですが蔵王ダムのすぐ下には金峰神社があります。
これはもちろん吉野の金峰山寺を勧請したものでしょう、金峰山寺の本尊は蔵王権現です。
さらに下流には熊野神社がありこの地域が吉野の山岳信仰とかかわりが深いことを示唆しています。
ちなみに日野川流域は鎌倉時代の公家日野氏の荘園があった場所です。
日野氏といえば後醍醐天皇の建武の中興の立役者で当初は南朝方でした。
南朝といえば吉野、ダムには全く関係ないけどこういう推理も楽しいものです。
 
 
追記
蔵王ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに7万4000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1366 蔵王ダム(0257)
滋賀県蒲生郡日野町蔵王
淀川水系日野川
56メートル
370メートル
4790千㎥/4600千㎥
日野川流域土地改良区
1990年
◎治水協定が締結されたダム

日野川脇ダム

2016-03-24 14:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 日野川脇ダム
 
日野川脇ダムは滋賀県蒲生郡日野町の日野川ダムのダム湖右岸の低地部に建設されたアース式の副堤です。
堤頂長は本堤の4倍近い388メートルもあり一見するとどっちが本堤かわからないほどです。
 
脇ダム下流面
天端は車道になっています。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
奥に日野川ダム本堤とゲートが見えます。
 
副堤の下は果樹畑。
奥に止まっている車は釣り客のものです。
 
堤体は屈曲しています。
 
3601 日野川脇ダム(0256)
滋賀県蒲生郡日野町村井
淀川水系日野川   
FN
19メートル
388メートル
1388千㎥/1038千㎥
滋賀県土木交通部
1965年

日野川ダム

2016-03-24 12:00:00 | 滋賀県
2016年3月20日 日野川ダム
 
日野川ダムは滋賀県蒲生郡日野町の日野川にある滋賀県土木交通部が管理する治水目的のロックフィルダムで、日野川中流域の洪水調節と既得取水権への補給を目的として1965年(昭和40年)に建設されました。
滋賀県営のダムとしては最小級のダムで洪水調節機能も大きくありません。
日野川ダムはダムを建設する河川の砂礫をロック材に利用したグラベルフィルという珍しい工法のダムです。
また本堤の3倍の長さのアース式の脇ダムがあるのも特徴です。
 
近江商人発祥の地とされる日野町中心部から国道477号を東に向かうと日野ダムへの標識が現れます。
左岸の洪水吐
洪水吐と堤体が離れており、ここだけ見ると重力式コンクリートダムのようです。
 
ゲートをズームアップ。
 
アングルを変えて。
 
洪水吐と堤体
管理事務所のある地山を挟んで離れた場所にあります。
 
天端は車道になっています。
日野川の砂礫を使った丸い石が積まれています。
 
下流面
草が生えているのでアースのようです。
 
脇ダムからゲートを遠望
 
グラベルフィルという珍しいダム、堤体と離れた洪水吐、本堤よりも大きな副堤といろいろ複雑な日野川ダムだが、それゆえ見学して歩いていても楽しいダムです。
ダムカードが貰えなかったのでまたカードをもらいに来るとしよう。
 
追記
青土ダムには92万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに30万2000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1358 日野川ダム(0255)
滋賀県蒲生郡日野町大字村井
淀川水系日野川
FN
25メートル
105メートル
1388千㎥/1038千㎥
滋賀県土木交通部
1965年

野洲川ダム(再)

2016-03-24 10:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 野洲川ダム(再)
 
野洲川ダムは滋賀県甲賀郡土山町の野洲川上流にある灌漑用重力式コンクリートダムで野洲川土地改良区が受託管理を行っています。
近江盆地は全国有数の穀倉地帯ですが、中小河川の多くは天井川で安定した水源の確保が悲願となっていました。
そこで滋賀県は1939年(昭和14年)から野洲川上流部での農業用貯水ダムの建設に着手しますが戦争激化によって事業は中断します。
戦後農林省による『野洲川農業水利事業』がスタートし1951年(昭和26年)に野洲川ダムはようやく完成しました。
2001年(平成13年)から大幅な再開発が行われ2009年(平成21年)にリニューアルしています。
 
青土ダムから県道9号を北上、国道477号線に合流すると野洲川ダムに到着します。
クレストから流下する水紋が美しい。
 
左岸から
6筋の水紋はまるで6尾の魚が遡上しているようです。
 
導流壁に沿ったカスケードを下る水もまた美しい。
 
導流壁上部に庇のような波返しがついています。
 
残念ながら天端は立入禁止。
 
農水省直轄ダムです。
 
上流から
奥に半円形の取水設備があります。
 
堤体直下にはベンチがありますが、手前に防獣ネットが張られてっきり立ち入り禁止かと思っていました。
帰宅後調べたらネットのドアを開けて中に入れたようです。
きれいな水紋が見れただけに残念。
 
追記
野洲川ダム(再)は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1353 野洲川ダム(元)
滋賀県甲賀市土山町大河原
DamMaps
淀川水系野洲川
52.7メートル
142メートル
8500千㎥/7280千㎥
1951年
-------------
3195 野洲川ダム(再)(0254)
滋賀県甲賀市土山町大河原
淀川水系野洲川
54.4メートル
142メートル
8500千㎥/7280千㎥
野洲川土地改良区
2009年再開発事業竣工
◎治水協定が締結されたダム

青土ダム

2016-03-24 08:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 青土ダム
 
青土で『おおづち』と読みます。
青土ダムは滋賀県甲賀市土山町の淀川水系野洲川にある滋賀県営の多目的ロックフィルダムです。
野洲川は琵琶湖に流入する川としては最長で、水源の鈴鹿山脈は花崗岩質で豪雨のたびに洪水被害をもたらし『近江太郎』の別名を持っていました。
野洲川上流には戦後間もなく野洲川ダムが建設されますが灌漑目的で洪水調節機能はなく、洪水調節機能を持つダムが求められました。
一方新幹線や名神高速道路の開通により、湖南地方では工場進出や人口増による水需要の高まりが予想され新たな水源の確保が課題となりました。
そこで1987年(昭和62年)に滋賀県最初の多目的ダムとして建設されたのが青土ダムです。
青土ダムは野洲川中・上流部の洪水被害の軽減、既得取水権の補給と河川流量の維持、甲賀市への上水道の供給、湖南工業地帯への工業用水の供給を目的とするほか河川維持放流を利用して最大250キロワットの管理用電力の発電を行っています。
 
このダムの特徴はなんといってもその特異な形状の洪水吐です。
常用洪水吐は自然越流式が2門とラジアルゲート1門で構成されており、2つの自然越流式洪水吐に水が吸い込まれてゆく様はまるで巨大なアリ地獄の様相です。
 
土山から県道9号を北上すると青土ダムに到着します。
左岸の洪水吐は下から見てもちょっと複雑な形状です。
 
ズームアップ
自然越流式2門の間に縦長のラジアルゲートがあります。
 
右岸から
堤高はさほどありませんが美しいリップラップです。
堤体直下は公園になっています。
 
天端は県道9号線。
 
右岸の取水設備
奥は青土エコーバレーの管理棟です。
 
洪水吐と減勢工
 
これが噂の洪水吐
まるで二つ並んだ巨大なアリ地獄!
 
 
右岸の山は採石場になっておりダンプがひっきりなしに行き交っています。
 
今回の滋賀県のダム巡りの最大の目的と言っても過言ではない青土ダムの洪水吐。
写真では何度も見ていましたが実物を見るとびっくり仰天。
期待通り越流していてよかったよかった!!
 
追記
青土ダムには410万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに250万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1364 青土ダム(0253)
滋賀県甲賀市土山町青土
淀川水系野洲川
FNWI
43.5メートル
360メートル
7300千㎥/6600千㎥
滋賀県土木交通部
1987年
◎治水協定が締結されたダム

大原ダム(再)

2016-03-24 06:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 大原ダム(再)
 
大原ダムは滋賀県甲賀市甲賀町にある灌漑用アースダムで、滋賀県の事業で1962年(昭和37年)に建設され大原貯水池土地改良区が管理を行っています。
2007年(平成19年)から2011年(平成23年)にかけてに耐震補強のための再開発が行われました。
 
国道1号から県道129号に入り新名神をくぐると左手に大原ダムが見えてきます。
右岸には竣工記念碑や座標軸などが設置されていますが天端は立ち入りできません。
 
左岸の取水設備。
 
ダム湖畔には神社が祀られています。
名前は『大原ダム神社』。
 
左岸に回り込みます。
驚くべきは堤体上流面に並ぶ太陽光パネル。
上流面に太陽光パネルはたぶんここだけじゃないでしょうか?
 
左岸の洪水吐
越流しています。
 
洪水吐導流部
杉林の中の長い導流部です。
 
堤体下流面と分水工
ガンダムのホワイトベース!!
 
 
1356 大原ダム(元)
滋賀県甲賀市甲賀町神
淀川水系大原川     
27.4メートル
191.7メートル
2120千㎥/2120千㎥
大原貯水池土地改良区
1962年
---------
3625 大原ダム(再)(0252)
滋賀県甲賀市甲賀町神
淀川水系大原川     
27.4メートル
209.2メートル
2120千㎥/1830千㎥
大原貯水池土地改良区 
2011年再開発竣工

頓宮池

2016-03-23 18:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 頓宮池
 
頓宮池は滋賀県甲賀市土山町にある灌漑用アースダムで1965年(昭和40年)に築造され、周辺の溜池ともども甲蒲地方土地改良区が管理を行っています。
頓宮とは天皇の行幸の際の一時的な仮宮のことで、付近に垂仁天皇の頓宮がおかれたことに由来する地名で国土地理院地形図や道路マップには『頓宮新池』と記載されています。
 
土山から国道41号を北上すると右手に頓宮池が現れます。
右岸から
 
右岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部と下流面。
 
天端には轍があります。
 
上流面
コンクリートで補強されています。
 
左岸の取水設備。
 
3335 頓宮池(0251)
ため池データベース 253640006
滋賀県甲賀市土山町頓宮
淀川水系野洲川右支流  
22メートル
115メートル
320千㎥/320千㎥
甲蒲地方土地改良区
1965年

鎌掛池

2016-03-23 16:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 鎌掛池
 
鎌掛(かいがけ)池は滋賀県蒲生郡日野町鐘掛にある灌漑目的のアースフィルダムで、1954年(昭和29年)に築造され、周辺にある溜池ともども日野川流域土地改良区が管理を行っています。
 
日野から県道41号を南下、県道182号を交差したあと南砂川に沿って林道を東に折れると鎌掛池へ到着します。
天端は車両通行禁止、上流面はコンクリートブロックで護岸されています。
近年整備されたようで柵やブロックは新しいものです。
 
右岸の斜樋。
 
右岸上流側から。
 
あいにくの曇天ですが、深い緑色の湖面が印象的です。
 
左岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部
越流しています。
 
堤体下流面。
 
昨年10月からスタートしたダム巡り、ダム便覧掲載ダム(参考掲載含む)訪問250基目のマイルストーンはこの鎌掛池となりました。
えてして区切りのダムは地味なものが多いのですが今回も・・・
300基目はどこになるんでしょうか??
 
1354 鎌掛池(0250)
ため池データベース 253830096
滋賀県蒲生郡日野町鐘掛
淀川水系日野川
19.4メートル(ため池データベース 18メートル)
96.9メートル(ため池データベース 121メートル)
260千㎥/260千㎥
日野川流域土地改良区
1954年

今郷池

2016-03-23 14:00:00 | 滋賀県
2016年3月19日 今郷池
 
今郷池は滋賀県甲賀市水口町今郷にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1964年(昭和39年)に今郷地区の事業により竣工と記されており、農林省の補助を受けた団体営事業で建設されたものと推察されます。
現在は甲蒲地方土地改良区が管理を行っています。
なおダム便覧では堤高18.4メートルなっていいる一方、滋賀県ため池データベースでは堤高が11.3メートルとなっており両者の数値は大きく乖離ています。
 
野洲川北岸に広がる丘陵地帯の灌漑用水源になっています。
水口から国道1号を東進、県道182号を左折し今郷地区を右折し水田の先の丘陵地を上がると今郷池に到着します。
 
今郷貯水池の竣工記念碑。
 
上流面はコンクリートで補強。
 
天端には車の轍。
 
今郷池
池の背後の丘陵地帯にはお茶畑が広がっています。
 
池の下流は谷間から水田が扇状に広がっています。
右下に円筒型分水工があります。
 
円筒型分水工
改修されたばかり。
 
まだ溜池の見学に慣れていないこともあり、取水設備や洪水吐も確認しないままで終わってしまいました。
 
1357 今郷池(0249)
ため池データベース 253630031
滋賀県甲賀市水口町今郷
淀川水系野洲川
18.4メートル(ため池データベース 11.3メートル
110メートル(ため池データベース 115メートル)
110千㎥/110千㎥
甲蒲地方土地改良区
1964年