ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

美和ダム(元)

2017-08-09 12:00:00 | 長野県
2015年11月3日 美和ダム(元)
2017年  8月5日
 
美和ダムは長野県伊那市高遠町勝間の天竜川水系三峰川中流部にある国交省中部地方整備局天竜川ダム統合管理事務所が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
南アルプスの仙丈ヶ岳に源を発し南アルプス西側を大きく蛇行したのち北上、伊那市で天竜川に注ぐ三峰川は、全長56.8キロ、流域面積481.4平方キロの一級河川で天竜川最大規模の支流です。
源流部は糸魚川静岡構造線、上中流域は中央構造線と重なる土砂崩落常襲地帯となっているうえ、集水域は年間降水量が2000ミリ前後の多雨地帯となっています。そのため古来より大量の土砂流出を伴った洪水被害が頻発、ときにはその災禍が天竜川本流に及ぶことも多々ありました。
1941年(昭和16年)に長野県により『三峰川河水統制事業』が計画されるも戦争激化により中断しますが、1947年(昭和22年)に襲来したカスリン台風により三峰川流域で壊滅的な洪水被害が発生したことで、県は三峰川河水統制事業再開に向けて動き出しました。
その後1950年(昭和25年)の国土総合開発法成立により、天竜川流域は治水・灌漑・電源開発を中心とした『天竜奥三河特定地域総合開発計画』に指定されたことで、三峰川の河川開発は県から建設省に移管されることになりました。
建設省は新たに『第1次三峰川総合開発事業』を採択し三峰川中流域への多目的ダム建設を決め、1952年(昭和27年)に着工され1959年(昭和34年)に竣工したのが美和ダムです。
しかし美和ダム完成2年後の1961年(昭和36年)6月のいわゆる三六水害では長時間による豪雨継続でダムの洪水調節容量を超える水が流入し長時間にわたり洪水調節機能を喪失しました。
さらに上流からの大量の土砂流入により計画を越える堆砂が進み、洪水調節機能に深刻な影響を与え始めました。
そこで建設省は三峰川において新たな多目的ダム『戸草ダム』の建設と美和ダムの堆砂を掘削して貯水容量を確保する『第2次三峰川総合開発事業』および天竜川支流小渋川への多目的ダム建設を軸とする『小渋川総合開発事業』を採択します。
このうち小渋ダムは1969年(昭和44年)に竣工しますが、戸草ダム建設は2012年(平成24年)の検証により事業中止が決定しました。
一方美和ダムの貯水容量拡大を目的とする『美和ダム再開発事業』は2000年(平成12年)からスタートし、洪水時の排砂目的のバイパストンネル(三峰川トンネル)やバイパストンネルに土砂を誘導させる分派堰(三峰堰)など施設の大半はすでに完成しています。
再開発事業は2023年(令和5年)の竣工に向けて最終段階に差し掛かっています。
美和ダムには16020万立米の洪水調節容量が設定されていますが、近年頻発する豪雨災害に備えて2020年(令和2年)より豪雨の際に事前放流を行う治水協定が締結され、基準降雨量330ミリの雨が予想される場合には事前放流によりさらに218万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
美和ダムは三峰川および小渋ダムと連携しての天竜川の洪水調節、伊那市三峰川両岸の農地2512ヘクタールへの灌漑用水の供給、長野県企業局美和発電所での最大出力1万2200キロワットのダム式発電を目的としており、国交省中部地方整備局天竜川ダム統合管理事務所によって小渋ダムと一体管理されています。
また美和ダム下流では美和ダム建設に合わせて長野県企業局が高遠ダムを建設、美和発電所の逆調整池としての機能を果たすほか、灌漑用水の供給と春近発電所での水力発電を行っています。
 
美和ダムには2015年(平成27年)11月に初めて訪問、2017年(平成29年)に再訪しました。 
高遠から国道152号を南下すると正面に美和ダムが見えてきます。
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲート1門、常用洪水吐としてオリフィスにラジアルゲート2門を装備しています。
(2017年8月5日)
 
バイパストンネル吐口。
 
堤体直下は園地になっています。
 
天端
左岸高台のプラント跡地はかつて展望台として開放されていましたが現在は立ち入りできません。
(2017年8月5日)
 
ゲート操作室。(2017年8月5日)
 
ダム湖(美和湖)は総貯水容量2995万2000立米。
ダム湖百選に選ばれています。
(2017年8月5日)
 
減勢工と長野県企業局美和発電所。(2017年8月5日)
 
左岸のインクラインの遺構。
現在は右岸に新しい艇庫が設置されこれは使われていません。(2017年8月5日)
 
下流面
左岸側が緩やかに湾曲しています。(2017年8月5日)
 
右岸から。
堆砂が進み湖岸はビーチ。
 
ゲートをズームアップ
左側のオリフィスだけ予備ゲートが見えます。
ゲート左側は取水設備。
 
ダム湖上流の吊橋。(2017年8月5日)
 
分派堰の三峰堰
対岸にバイパストンネル呑口があります。(2017年8月5日)
 
上流から三峰堰。(2017年8月5日)
 
バイパストンネルゲート。(2017年8月5日)
 
現在ストックヤード(湖内堆砂対策施設)が建設中。(2017年8月5日)
 
バイパストンネル入り口の魚道。(2017年8月5日)
 
追記
美和ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1010 美和ダム(元)(0038)
長野県伊那市高遠町勝間
天竜川水系三峰川
FAP
69.1メートル
367.5メートル
29952千㎥/20745千㎥
国交省中部地方整備局
1959年竣工
◎治水協定が締結されたダム
--------------
2963 美和ダム(再)
長野県伊那市高遠町勝間
天竜川水系三峰川
FAP
69.1メートル
367.5メートル
29952千㎥/20745千㎥
国交省中部地方整備局
1987年~
2023年再開発事業竣工予定

高遠ダム

2017-08-09 10:00:00 | 長野県
2015年11月3日 高遠ダム
2017年  8月5日
 
高遠ダムは長野県伊那市高遠町勝間の天竜川水系三峰川中流部にある長野県企業局が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
三峰川は流路延長56.8キロ、流域面積481.4平方キロの一級河川で天竜川最大の支流です。源流部は糸魚川静岡構造線、上中流域は中央構造線と重なる土砂崩落常襲地帯となっているうえ、集水域は年間降水量が2000ミリ前後の多雨地帯となっています。そのため古来より大量の土砂流出を伴った洪水被害が頻発、ときにはその災禍が天竜川本流に及ぶこともありました。
戦後、建設省により『第1次三峰川総合開発事業』が採択され、その中核して多目的ダムである美和ダムの建設が決定しました。
これに合わせて長野県が美和ダム下流に建設を進めたのが高遠ダムで、美和ダムと同じ1952年(昭和27年)に本体工事に入り、美和ダムに先駆け1958年(昭和33年)に竣工しました。
高遠ダムは美和ダム直下の長野県企業局美和発電所の放流水の逆調整池として三峰川下流の河川流量を安定させるほか、下流2500ヘクタールへの灌漑用水の供給、長野県企業局春近発電所での最大出力2万3600キロワットの発電を目的としています。
さらに2017年(平成29年)に河川維持放流を利用して最大199キロワットの発電を行う高遠さくら発電所が増設されました。
ダム湖の高遠湖はダム湖百選に選ばれ、桜や紅葉の名所として高遠観光の人気スポットの一つになっています。
 
高遠ダムには2015年(平成27年)11月に初めて訪問、2017年(平成29年)に再訪しました。
国道152号線高遠橋北交差線から県道211号を南に向かうと高遠ダムに到着します。
ダム管理事務所は高遠歴史博物館や絵島囲屋敷に隣接しています。
ダムのすぐ下流にある白山橋からダムと正対できます。
 
再訪時に再び白山橋から
向かって左(ダム右岸)に高遠さくら発電所が増設されました。
(2017年8月5日)
 
高遠さくら発電所をズームアップ。(2017年8月5日)
 
右岸から。(2017年8月5日)
 
左岸から
対岸は管理事務所。
 
春近発電所への取水ゲートと沈砂池。(2017年8月5日)
 
左岸上流から
上流側に歩廊があります。(2017年8月5日)
 
高遠湖上流から
背後の白山橋とのバランスが素晴らしい。(2017年8月5日)
 
1011 高遠ダム(0037)
長野県伊那市高遠町勝間
天竜川水系三峰川
AP
30.9メートル
76.1メートル
2310千㎥/500千㎥
長野県企業局
1958年

大沼池

2017-08-08 20:00:00 | 長野県
2015年11月23日 大沼池
2017年 8月 5日
 
大沼池は長野県東筑摩郡麻績村聖の信濃川水系宮川源流部にあるアースダムです。
1960年代より聖高原一帯の山林を別荘地として開発分譲する聖高原総合開発事業が着手され、その水源の確保のために宮川をせき止めて1963年(昭和38年)に竣工したのが大沼池です。
ダム湖は公募によって『すずらん湖』と命名され、現地では『すずらん湖』の呼び名の方がよく知られています。
運用開始後は麻績村が管理を行っており、上水道用水と灌漑用水の水源となっています。
大沼池には2015年(平成27年)11月に初めて訪問し、2017年(平成29年)8月に再訪しました。
 
国道403号線沿いにある観光名所の聖湖から別荘地内を走る県道501号線を西進し、最初の分岐を左に取ると大沼池に到着します。
大沼池の案内板。
ハイドロック・カーテンクラウトという特殊工法で建設されたとありますが、ネットで検索すると他には見当たらずどういう工法かは不明です。(2017年8月5日)
 
右岸から
手前の橋が洪水吐で天端を村道が通っています。(2017年8月5日)
 
右岸の洪水吐。(2017年8月5日)
 
左岸に取水設備があります。(2017年8月5日)
 
すずらん湖
総貯水容量は6万立米。(2017年8月5日)
 
取水設備。(2017年8月5日)
 
わかりにくいんですがこれが堤体になります。
下流面は草ボウボウ、天端を村道が通過します。(2017年8月5日)
 
取水設備。(2017年8月5日)
 
上流面
左側の草木が茂っているところが堤体になります。(2017年8月5日)
 
上流から洪水吐。(2017年8月5日)
 
3433 大沼池(0067)
ため池データベース
長野県東筑摩郡筑麻績村聖
信濃川水系宮川
AW
15.60メートル
60メートル
60千㎥/60千㎥
麻績村
1963年

北山ダム

2017-08-08 15:00:00 | 長野県
2015年11月23日 北山ダム
2017年 8月 5日
 
北山ダムは長野県東筑摩郡麻績村の信濃川水系麻績川右支流宮川の源流部に建設された長野県営の多目的重力式コンクリートダムです。
宮川は急流河川のため豪雨のたびに流域に洪水被害をもたらす一方、麻績村のある筑摩地方は内陸性気候のため年間降水量が少なく渇水による干ばつや取水制限が頻発していました。加えて長野道の開通や聖高原のリゾート開発などに伴い上水道需要の高まりが予想され新たな水源の確保が課題となっていました。
そこで長野県は宮川総合開発事業を策定し2000年(平成12年)に竣工したのが北山ダムです。
北山ダムは宮川の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水への補給と安定した河川流量の保持、麻績村への上水道用水の供給を目的としています。
ダム湖の総貯水容量は21万3000立米と溜池サイズで、建設省の補助を受けた生活貯水池ダムとして建設されました。
北山ダムには2015年(平成27年)11月に初めて訪問、2017年(平成29年)8月に再訪しました。
 
長野道の麻績インターから国道403号線を北上すると北山ダムの標識が現れます。これに従って左折すると北山ダムの下流に到着します。
ダム下は親水公園として整備されています。
オリフィスから越流。
 
同じ場所から
夏は葉が茂りダムの大半は隠れてしまいます。(2017年8月5日)
 
ダム湖は地元の公募で『カタクリの湖』
近くにカタクリの自生地があることにちなんでいます。(2017年8月5日)
 
天端高覧にはカタクリの陶板。(2017年8月5日)
 
減勢工。(2017年8月5日)
 
ダム湖(カタクリの湖)は総貯水容量21万3000立米と溜池サイズ
北山ダム建設以前にあった大沢ダムという砂防ダムがそのまま残り、貯砂ダムとなっています。
(2017年8月5日)
 
右岸管理事務所と浮き桟橋
周辺が別荘地ということで管理事務所もロッジ風。(2017年8月5日)
 
天端は歩行者のみ通行可能。(2017年8月5日)
 
ダム下流面。(2017年8月5日)
 
上流から見ると二つのダムが重なる不思議な眺め。(2017年8月5日)
 
ズームアップ。(2017年8月5日)
 
追記
北山ダムには9万4000万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに1万5000万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3040 北山ダム(0066)
長野県東筑摩郡麻績村北山
信濃川水系宮川
FNW
43メートル
109メートル
213千㎥/186千㎥
長野県建設部
1999年
◎治水協定が締結されたダム

上組溜池

2017-08-07 19:03:43 | 長野県
2017年8月5日 上組溜池
 
上組溜池は長野県飯山市蓮の信濃川支流皿川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
竣工記念碑によれば1924年(大正13年)に飯山鉄道(現JR飯山線)の鉄道敷設により既存の溜池を現在地に移設して上組溜池としました。
ダム便覧では竣工が1918年(大正7年)となっていますが、ここでは竣工記念碑に記された1924年を採用します。
(上組溜池は地図の赤マル)。
 
飯山市を貫流する千曲川沿岸は河岸段丘が続き、灌漑用水源は小河川を堰き止めた溜池や天水に頼らざるを得ず農業も畑作が中心となっていました。
17世紀に飯山藩の川除普請奉行となった野田喜左衛門は領内各所に灌漑用水路を開削『用水の神様』と評されました。
蓮堰も彼が開削した用水路の一つで千曲川の支流である斑尾川から千曲川左岸河岸段丘上に約13キロの用水を建設し、これにより蓮地区の段丘上で大規模な新田開発が可能となりました。
上組溜池は蓮堰からの補給を受けており、調整池の役割を果たす溜池と思われます。
(緑マルは蓮堰の開削により開発された上組の新田)
 
上組溜池の天端と上流面。
 
左岸上流から。
 
左岸の取水設備
木栓を差し込むタイプの池栓です。
 
下流面
右岸に沿って小さな溝のような余水吐導流部があります。
 
堤体下流面真ん中の底樋樋門。
 
総貯水容量は9000立米と非常に小さな溜池です。
それでも周辺の農地にとっては貴重な水源となっています。
 
右岸から天端と下流面。
 
溜池左岸を流れる蓮堰
斑尾川から千曲川左岸に沿って灌漑用水を運んでいます。
 
堰から溜池への小さな水門。
上組溜池も蓮堰からの用水補給を受けています。
 
蓮堰から見た千曲川
揚水技術のない時代、人々は目の前の大河の水をただ指を咥えて見るのみでした。
 
上組溜池の竣工記念碑。
 
上組溜池の訪問により蓮堰を知り、さらに野田喜左衛門という地方巧者の功績や江戸時代の土木技術の成果を知ることができました。
これだから溜池は侮れません。
 
0980 上組溜池(1097)
ため池コード
長野県飯山市蓮
信濃川水系皿川
15メートル
61メートル
9千㎥/9千㎥
蓮地区
1918年(便覧)
1924年(記念碑)


里島発電所取水堰

2017-08-05 17:20:00 | 長野県
2015年11月7日 里島発電所取水堰
2017年7月30日
 
里島発電所は長野市広瀬の信濃川水系犀川支流裾花川にある中部電力(株)が管理する発電目的の取水堰堤です。
ここで取水された水は約2.8キロの導水路で里島発電所(最大出力3500キロワット)に送られ水路式水力発電を行います。
1936年(昭和11年)に長野電燈(のちに長野電気)により建設され、中部配電の接収を経て1951年(昭和26年)の電力事業再編令により中部電力(株)が事業を継承しました。
 
湯の瀬ダムを見学する途中で偶々発見、帰宅後調べると里島発電所の取水堰だと分かりました。
右岸がゴム引布製起伏堰いわゆるラバー 左岸はコンクリートの固定堰になっています。
 
 
2017年に再訪した際は水量が多く、ラバー、固定堰ともに越流していました。
(2017年7月30日)
 
右岸の取水口
200メートルほど下流の沈砂池を経て里島発電所に送られます。
(2017年7月30日)

里島発電所取水堰
左岸 長野県長野市広瀬
右岸     同市小鍋
信濃川水系裾花川
重力式コンクリート ゴム引布製起伏堰
中部電力(株)
1936年

湯の瀬ダム

2017-08-05 12:30:00 | 長野県
2015年11月 7日 湯の瀬ダム
2017年 7月30日
 
湯の瀬ダムは左岸が長野県長野市入山、右岸が同市小鍋の一級河川信濃川水系犀川支流裾花川にある長野県企業局が管理する上水・発電目的の重力式コンクリートダムです。
長野県の裾花川上流総合開発事業の一環として裾花ダム(元)及び裾花発電所とともに1969年(昭和44年)に竣工しまし た。
ピーク発電を行う裾花発電所の出力調整に伴う水位変動を平準化するための発電逆調整池として機能するほか、長野市上下水道局の上水取水ダムになっています。
湯の瀬ダムには2015年(平成27年11月)に初めて訪問、2017年(平成29年)7月に裾花ダム・裾花発電所の見学会に合わせて再訪しました。
再訪時はダムを管理する長野県企業局様のご厚意により、普段は立ち入りできないダム敷地内を見学させていただくことができました
なお日付のない写真はすべて再訪時のものです。

企業局の職員さんに常用洪水吐減勢工に架かる管理橋の鍵を開けていただき、これまで見ることができなかったゲートと対面。
主ゲートはラジアルゲート3門、塗装をし直したばかりで青が鮮やか。
 
主ゲート右手(左岸側)の細いゲートが利水放流ゲート。
 
利水放流ゲートの減勢工に長野市上下水道局の取水ゲートがあります。
 
左岸から
普段はこの位置からしか見ることができません。
手前の建屋は上水用の調圧水槽。
 
堤体下流面
地上高は4~5メートル程度にしか見えませんが、基礎地盤からは18メートルとなります。
 
上流面。
 
天端
ここも通常は立ち入り禁止ですが特別に見せていただきました。
 
利水ゲートの減勢工
副ダムの奥に長野市上下水道局の上水取水ゲートがあります。
 
上水取水後の余水は河川維持放流として裾花川に戻されます。
 
右岸から。
 
右岸にある国道406号線から。
 
発電所見学会の折に、企業局の職員さんにダメモトで湯の瀬ダムが見たいと申し上げたら、見学会の対応で忙しいにもかかわらず特別のご配慮で見せていただくことができました。
長野県企業局様には厚く御礼申し上げます。

1016 湯の瀬ダム(0043)
左岸 長野県長野市入山
右岸     同市小鍋
信濃川水系裾花川
WP
18メートル
140メートル
330千㎥/290千㎥
長野県企業局
1969年

裾花ダム見学会

2017-08-04 22:37:02 | ダム見学会
2017年7月30日 裾花ダム見学会
 
朝一の奥裾花ダムの見学会に続いて裾花ダムへ。
移動途中の国道406号線裾花大橋からパチリ!
 
駐車場には数台の車で懸念したような滅茶混みという感じではなさそう
奥裾花ダム同様見学者の到着に合わせて職員さんが手分けして案内してくれます。
取水塔と上流面。取水塔内にゲートが見えます。
 
ラジアルゲートの手前はコンジットの予備ゲート。
 
取水塔をアングルを変えて。
 
右岸のインクラインと艇庫。
 
アーチの堤体。
今回は天端からの説明のみでキャットウォークの歩行などはありません。
 
農業用水補給のための放流。いわゆる河川維持放流です。
 
減勢工
副ダム手前に上記農業用水の取水口があるようです。
 
左岸から
奥が管理事務所。
 
制御室の見学
ダムマイスターのピンクのうさぎさんとご一緒できました。
 
ダムコン。
 
試験湛水時の放流
裾花ダムでは洪水調節のためのクレスト放流はまだ一度もないそうです。
 
次に企業局が主催する発電所の見学のためダム下へ移動
ダム直下の左岸には高さ100メートル近い大岸壁が!!
安山岩と角礫凝灰岩が織りなす地層と斜行する断層は地質マニアもよだれをたらしそう!
 
ガードが厳しい裾花ダムをダム下から見れるのは本当に貴重な体験です。
 
 
長野県企業局が運営する裾花発電所は地下発電所となっています。
 
発電機
最大出力1万4600キロワットの発電を行います。
 
水車ライナー。
 
クレーン。
 
無理なお願いと知りつつ湯の瀬ダムの見学をお願いすると快諾していただきました。
ピーク発電を行う裾花発電所の逆調整池として建設されました。
一昨年に塗装されたばかりの青いラジアルゲートが鮮やかです。
 
これが利水放流ゲート。
 
利水放流ゲートの減勢工にある小さなゲート
長野市上下水道局の取水ゲートです。
 
天端も開放していただきました。
 
天端から減勢工
左手は水道局の施設。
 
キャットウォークの開放というような派手なイベントはありませんでしたが、普段ガードの固い裾花ダムをじっくり見ることができ満足の見学会となりました。
さらにさらに、こちらのわがままなお願いにもかかわらず湯の瀬ダムまで見学させていただき、長野県企業局様には厚く厚く御礼申し上げます。

裾花ダム(元)

2017-08-04 18:30:00 | 長野県
2015年11月 7日 裾花ダム(元)
2017年 7月30日
 
裾花ダム(元)は左岸が長野県長野市入山、右岸が同市小鍋の一級河川信濃川水系犀川支流の裾花川にある長野県建設部が管理する多目的アーチ式コンクリートダムです。
裾花川は土砂流出量が多い上に急流河川のため犀川との合流地点を中心に洪水被害が絶えず、特に1949年(昭和24年)のキティ台風では長野市街の大半が水没する未曽有の災害となりました。
一方、長野市では戦後の発展を受け上水需要が急拡大し安定した水源確保が急がれていました。
これを受け1962年(昭和37年)に長野県は目的ダム建設を軸とした裾花川上流総合開発事業に着手、これに発電事業者として県企業部が事業参加し1969年(昭和44年)に竣工したのが裾花ダム(元)です。
裾花ダム(元)は建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、裾花川の洪水調節(最大毎秒660立米の洪水カット)、長野市水道局への上水道用水の供給、長野県企業局裾花発電所(最大出力1万4600キロワット)でのダム式水力発電を目的としています。
1979年(昭和54年)には裾花川源流部に奥裾花ダムが完成したことで、裾花川の治水能力は格段に向上し、長野県各所で甚大な水害が発生した1995年(平成7年)7月豪雨2019年(令和2年)台風19号の際にも裾花川流域での洪水被害は軽微にとどまっています。
一方で、両ダムではは計画を上回る堆砂が進行しており、貯水池内への土砂流入抑止策や治水計画の見直し等により2020年(令和2年)に『裾花川流域ダム再生事業』が採択され、裾花、奥裾花両ダムの再開発が着手されました。
2062年(令和44年)竣工をめどに、裾花ダム(元)では土砂バイパスの新設と貯水池掘削、奥裾花ダムではダムの嵩上げ、バイパス水路の新設、貯水池掘削が実施される予定です。
 
 裾花ダム(元)には2015年(平成27年)11月に初めて訪問、2017年7月にダム見学会に合わせて再訪しました。
2017年(平成29年)の再訪時は見学会に参加し、普段は立ち入ることができない堤体直下からダムを望むことができました。
(2017年7月30日)
 
クレストには2門のラジアルゲート、下段にはコンジットゲートが2門あります。
竣工以来洪水調節のためクレスト放流が行われたことがないそうです。
(2017年7月30日)
 
国道406号線の小鍋1号トンネルを抜けた先にダムの入口があり、目の前にダムの上流面と取水塔が現れます。
コンジットゲートの予備のコースターゲートが見えます。
(2017年7月30日)
 
初回訪問時、右手の予備ゲートは降ろされたままでした。
 
独特の風貌の取水塔。(2017年7月30日)
 
右岸上流側のインクライン、奥は国道のスノーシェッド。
(2017年7月30日)
 
左岸から
天端は平日のみ開放されています。今回は見学会ということで職員さんの解説付きでした。
(2017年7月30日)
 
コンジットゲートの下から放流されている水は不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給です。
裾花ダムには不特定利水容量の配分はなく、あくまでも流入量の範囲で既得灌漑用水へ用水補給を行っています。
(2017年7月30日)
 
副ダムの手前に灌漑用水の取水口があるようです
一方副ダムの右手の地下に裾花発電所があります。
(2017年7月30日)
 
ラジアルゲート。(2017年7月30日)
 
国道406号線裾花大橋から
ラジアルゲートと両端にコンジットゲートの予備ゲート
実は裾花ダム(元)はここから見た姿が一番恰好よかったりします。
(2017年7月30日)
 
通常は土日は天端に入ることもできず見学スポットが限られる裾花ダム(元)ですが、見学会ということで天端はもちろん、直下の発電所からもアーチの雄姿を眺めることができました。
なお見学会のついては裾花ダム見学会に詳細を記してあります。
 
(追記)
裾花ダム(元)には洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1017 裾花ダム(元)(0044)
左岸 長野県長野市入山
右岸     同市小鍋 
信濃川水系裾花川
FWP
83メートル
211.2メートル
15000千㎥/10000千㎥
長野県建設部
1969年
◎治水協定が締結されたダム
-------------
3713 裾花ダム(再)
左岸 長野県長野市入山
右岸     同市小鍋 
信濃川水系裾花川
FWP
83メートル
211.2メートル
15000千㎥/10000千㎥
長野県建設部
2020年~

奥裾花ダム見学会

2017-08-04 12:58:45 | ダム見学会
2017年7月30日 奥裾花ダム見学会
 
前日の浅川ダム見学会に続いて7月30日は奥裾花ダム(元)裾花ダム(元の見学会に参加させていただきました。
浅川ダムの出足が早かったので、見学会開始予定の10時よりもかなり早く9時前に奥裾花ダムに到着したのですが・・・
 
駐車場にはすでに数台の車が駐車、そしてありがたいことに職員さんたちは予定の10時を待たず来場者を順次ダムに案内してくれていました。
受付を済ませて参加賞の缶バッジを~
5種類もあるので迷っちゃう!
 
管理事務所一階が監査廊入口になっています。
 
気温は10度、水が溜まっている分昨日の浅川ダムよりも温度が低くなります。
 
オリフィスゲートの操作室。
 
オリフィスゲートを真上から。
 
アングルを変えて
オリフィスは融雪放流などかなり頻繁に放流が行われているようです。
 
オリフィスゲート直上から
左手に第1第2発電所があります。
 
オリフィスの予備ゲートの巻き上げ機。
 
予備ゲートのプレート
田原製作所です。
 
階段を上ると。
 
クレストのラジアルゲートの上に出ました。
運用開始以来洪水調節のためクレストゲートを開けたのは1995年(平成7年)7月豪雨の時一回だけだそうです。
 
 
 
オリフィスの予備ゲート。
 
ダムの見学の後は制御室に移ります。
ダムコンへの移行はまだで昔ながらの制御盤が使われています。
 
 
制御室の見学で奥裾花ダムの見学会は終了
今度はダム下に向かい県企業局の発電所の見学へ。
 
こちらは今年増設されたばかりの第2発電所
最大出力980キロワットでFIT電力として新電力に売電されています。
 
発電機。
 
うれしいことに普段立ち入れないダム下からダムを見ることができます。
 
 
ゲートをズームアップ
見学会参加者が見えます。上から8番目の写真はあの位置から撮ったものです。
 
奥裾花ダムは、普段は天端も立ち入り禁止で見れる場所が限られているダムですが、今回は見せられるところはほぼすべて見せていただくことができ、非常に有意義な見学会となりました。
このあとは下流の裾花ダム(元へと向かいました。

奥裾花ダム(元)

2017-08-04 06:00:00 | 長野県
2015年11月 7日 奥裾花ダム(元)
2017年 7月30日
 
奥裾花ダム(元)は左岸が長野市鬼無里、右岸が同市鬼無里日影の一級河川信濃川水系裾花川上流部にある長野県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1969年(昭和44年)の裾花ダム(元)の完成により裾花川中下流部の治水能力は大きく向上しますが、上流部については依然脆弱な状態が続いていました。
さらに増加する長野市の上水需要や鬼無里村への上水供給から新たな上水用水源の確保が求められました。
そこで長野県は裾花ダム(元)竣工直後の1969年(昭和44年)に裾花川上流部での新たな多目的ダム建設に着手、1979年(昭和64年)に竣工したのが奥裾花ダム(元)です。
奥裾花ダム(元)は建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、裾花川の洪水調節(最大毎秒220立米の洪水カット)、長野市及び鬼無里への上水道用水の供給、長野県企業局奥裾花第1第2発電所合わせて最大2680キロワットのダム式水力発電を目的としています。

両ダムの完成により裾花川の治水能力は格段に向上し、長野県各所で甚大な水害が発生した1995年(平成7年)7月豪雨2019年(令和2年)台風19号の際にも裾花川流域での洪水被害は軽微にとどまっています。
一方で、両ダムでは計画を上回る堆砂が進行しており、貯水池内への土砂流入抑止策や治水計画の見直し等により2020年(令和2年)に『裾花川流域ダム再生事業』が採択され、両ダムの再開発事業が着手されました。
2062年(令和44年)竣工をめどに、裾花ダム(元)では土砂バイパスの新設と貯水池掘削、奥裾花ダム(元)ではダムの嵩上げによる貯水容量の増大、バイパス水路の新設、貯水池掘削が実施される予定です。

奥裾花ダム(元)には2015年(平成27年)11月に初訪、2017年7月にもりみず旬間のダム見学会に合わせて再訪しました。
日付のない写真はすべて再訪時のものです。

ダム手前の樹間から。普段はここから眺めるのみ。
(2015年11月7日) 
 
2017年7月30日の見学会ではダム下の発電所まで入ることができました。
非常用洪水吐としてクレストラジアルゲートを2門、常用洪水吐としてオリフィス高圧ラジアルゲートを1門装備。
向って右手に第1第2発電所があり、放流水が流下しています。
 
ゲートをズームアップ
オリフィスゲート上に見学者が見えます。
 
下流面。
堤体から発電用水圧鉄管が突き出ています。
 
上流面
中央に取水設備、対岸にはインクラインと艇庫。
(2015年11月7日) 
 
初回訪問時は第二発電所はまだ建設中。
(2015年11月7日) 
 
再訪時。
 
オリフィスゲート直上から
奥から増設された第2発電所、手前に第1発電所、一番手前の小さな建屋は利水放流設備。
 
ラジアルゲート下流側。
 
ラジアルゲート上流側。
 
天端。
 
右岸から上流面
対岸は管理事務所、奥はダム湖に架かる奥裾花大橋。
 
2017年7月30日の見学会では監査廊やゲート操作室などを見せていただけました。
なおダム見学会の詳細は奥裾花ダム見学会に記してあります。 

(追記)
奥裾花ダム(元)には洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1028 奥裾花ダム(元)(0045)
左岸 長野県長野市鬼無里
右岸     同市鬼無里日影
信濃川水系裾花川
FWP
59メートル
170メートル
5400千㎥/3300千㎥
長野県建設部
1979年
◎治水協定が締結されたダム
---------------
3714 奥裾花ダム(再)
左岸 長野県長野市鬼無里
右岸     同市鬼無里日影
長野県長野市鬼無里
信濃川水系裾花川
FWP
75.4メートル
255メートル
10750千㎥/8650千㎥
長野県建設部
2020年~

浅川ダム見学会

2017-08-04 02:24:41 | ダム見学会
2017年7月29日 浅川ダム見学会
 
全国各地のダムが一斉に見学会等のイベントを実施する『森と湖に親しむ旬間』、国交省から各ダムのスケジュールが発表されると『どこに行こうか?』例年頭を悩ませるのですが、今年は『7月29日 浅川ダム』を見てここしかない!と即決。
田中元知事の『脱ダム宣言』に翻弄され、一時は事業中止の憂き目にあいながら今年ようやく運用開始に漕ぎ着けた浅川ダム初の公式な見学会ですからこれを見逃す手はありません。
ということで7月29日は浅川ダムの見学会に参加してきました。
 
朝の8時からスタートする『浅川ダム祭り』の一環として、10時から見学会がスタートするんですがちょっと早めの8時半に到着したら、あいにくの雨にもかかわらずすでに結構な人出、見学会の受付をすると11時の組となりました。
時間があるのでひと通りダムを見学して時間をつぶしたんですが、その間も続々と来場者が到来、なんと10時過ぎには午後の最終組まで定員がいっぱいになってしまう盛況ぶりで、遠方から見学会を目当てに来たダム愛好家の多くががっくり首をうなだれる姿もあちこちで見られました。
 
さて、見学会は1組16名で約1時間の予定、まずは天端に向かってダムの概要説明からスタートです。
浅川ダムは日本で3例目となる流水型治水専用ダムです。
 
上流面に常用洪水吐と流木除けのゲージ(鳥籠)が見えます。
 
堤体は左岸側が屈曲しています。
 
天端
中央の建物はエレベーター棟
職員さんの話では長野市内の絶好の夜景展望スポットだそうです。
 
治水専用のため普段はダム湖には水がありません
洪水の際はここに110万立米の水を貯め込んで下流の洪水被害を抑えます。
 
湖岸を保護するため階段状の流路が作られています
向かって左にはジグザグの魚道。
 
中央のゲートは建設工事の際の転流のためのゲートで、運用開始後は大きな流木や岩石を止める役割をするそうです。
 
真下のゲージの下に常用洪水吐があり、平時は浅川の水はここから堤体を潜ってそのまま下流に流下します。
 
減勢工
洪水の際クレストを越流した水は堤趾導流壁の内側の減勢工へ流れます
左手は常用洪水吐からの流路。
 
エレベーターで地下6階の監査廊へ。
 
監査廊の気温は17度。
 
監査廊内の水を揚水する施設。
 
揚圧力計
新しいダムなのでコンクリートの壁も計器も新品です。
 
水位低下設備のプレート。
 
水位低下設備。
 
右岸から堤体直下に出ます。
 
こんなアングルで堤趾導流壁を見れます。
 
下流から。
 
ゲートを開けて立ち入り禁止ゾーンへ。
 
複雑な構造の減勢工
中央が常用洪水吐からの水路、つまり流水路です。
 
流水型ダムの肝はもちろん流水路。
いよいよそこに進入します。
 
この奥が常用洪水吐になります
平時は浅川の水はダムという巨大な壁の下を潜り、自然な形で流下してゆきます
右手は魚道。
 
流路を抜けた水はそのまま浅川を流下します。
 
たまたま同じ組になった地元にお住まいの高齢のご夫婦と懇意になり、1949年(昭和24年)の裾花川の大洪水の話や脱ダム宣言以降のごたごた話などいろいろお話を伺うことができました。
もちろん地元でも賛否両論はあったでしょうが、少なくとも浅川流域の皆さんにとっては長年の悲願がかなった浅川ダムの完成だということは確信できました。

浅川ダム

2017-08-04 00:00:26 | 長野県
2017年7月29日 浅川ダム
 
浅川ダムは長野市真光寺の信濃川水系千曲川左支流浅川上流部にある長野県建設部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
飯綱山に源を発し長野市街北部を東西に横断して千曲川に注ぐ浅川は全長約17キロ、流域面積73平方キロの一級河川ですが、上流域は急流河川、中流域は天井川を形成しほぼ毎年のように洪水が発生していました。
1977年(昭和52年)に長野県は浅川上流部への多目的ダム実施計画が採択され、多目的ダムによる治水・利水事業を図り2000年(平成12年)には本体工事契約の締結まで漕ぎ着けました。
ところが同年就任した田中知事は『脱ダム宣言』を発表、浅川ダムについても工事契約を解約し本体工事は事業中止、ダムに依らない治水対策が検討されました。
しかし田中知事の後を継いだ村井知事はダムを含めた治水計画を再検討し、新たに流水型治水専用ダムの建設という形で浅川ダム事業が再採択されました。そして2010年(平成22年)に本体工事に着手し2016年(平成28年)に竣工したのが浅川ダムです。
ダムは同年3月より浅川の洪水調節を目的とする治水専用ダムとして運用が開始されました。
浅川ダムは全国でも数少ない流水型の治水専用ダムで、通常はダム湖には水を貯めず浅川の水はそのままダムを潜り下流へと流下します。一方洪水時は貯水池に110万立米まで貯水して下流の洪水を食い止め、100年に一度の規模の洪水まで対応できる設計となっています。
 
今回は『森と湖に親しむ旬間』に併せて実施される『浅川ダム祭り』のダム見学会に参加させていただきました。
長野市街中心部から県道37号を北上すると、浅川東条交差点に『浅川ダム』を示す標識が出ています。これに従って左折し真光寺ループを超えると浅川ダム左岸ダムサイトに到着します。
 
上流から
非常用洪水吐としてクレストには6門の自由越流式洪水吐があります。
一方堤体は左岸が屈曲しているのが特徴です。
 
下流から
中央の建物はエレベーター棟
クレスト放流に備え背の高い堤趾導流壁が設置されています。
 
治水専用ダムのため普段はダム湖には水はありませんが洪水時には110万立米の水が貯留されます。
手前のゲートは建設工事期間中の転流用のゲートで、運用開始後は流木や土石除けの役目を果たします。
 
ズームアップ
ダム湖上流部は湖岸保護のため階段状の流路が作られ、流路右岸側(向かって左手)にはジグザグの魚道が設置されています。
 
堤体直上の眺め
水がない治水専用ダム独特の眺めです。
平時は、浅川の水は真下見える流木除けのゲージ(鳥籠)の下にある常用洪水吐から堤体を潜って流下します。
 
天端から見た減勢工
洪水時、クレストを越流した水は堤趾導流壁内の減勢工へ向かいます
平時は常用洪水吐から流下した水は左手の減勢工から下流に流下します。
 
天端は24時間開放されています
長野市街の絶好の夜景展望ポイントだそうです。
 
下流から。
 
減勢工をズームアップ
向かって左手は洪水時クレストを越流した際の減勢工
中央は常用洪水吐からの水路
一番右手の細い水路は魚道。
 
複雑な構造ですが、見れば見れるほど『実に面白い』。
 
今回は見学会ということで常用洪水吐の中も見せていただけました。
向かって左が水路、右は魚道。
 
政治に翻弄されながら、今年無事に運用が開始された浅川ダム。
関心の高さを示すように見学会も大盛況、午前10時過ぎには午後の部も含めてすべての定員がいっぱいになってしまいました。
ダム周辺も整備され、24時間開放される天端は長野夜景の展望スポットとして観光名所になればいいですね。
 
1036 浅川ダム(1095)
長野県長野市真光寺
信濃川水系浅川
53メートル
165メートル
1100千㎥/1060千㎥
長野県建設部
2016年

後谷ダム

2017-08-03 15:00:00 | 新潟県
2016年5月22日 後谷ダム
2017年7月22日
 
新潟県には後谷ダムという全く同姓同名のダムが2基ありややこしいのですが、こちらの後谷ダムは柏崎市西山町別山にある灌漑用ーアースダムです。
農水省の柏崎周辺土地改良事業の中核施設として2008年(平成20年)に竣工し、運用開始後は柏崎土地改良区が受託管理を行っています。
後谷ダムには2016年(平成28年)5月に初めて訪問し、翌年7月に柏崎ダムスタンプラリーの一環として再訪しました。
 
国道116号バイパスから県道48号を西に進むと後谷ダムに到着しますが、ダム敷地内は立ち入り禁止のため道路からの見学となります。
2008年(平成20年)竣工と比較的新しいダムです。
堤高27メートルに対して堤頂長が277メートルもあり、手前が広場になっていることもあり開放感あふれるダムです。でも実際には立ち入りできませんけど・・・。
(2017年7月22日)
 
左岸洪水吐と利水放流設備。(2017年7月22日)
 
洪水吐をズームアップ。
 
右岸の県道から
上流面はロック材が敷かれており、右奥に管理事務所が見えます。
こちらも立ち入り禁止のためこれが精一杯。
 
ダム湖に架かる県道48号線別山大橋から。(2017年7月22日)
 
右岸洪水吐と斜樋。
 
斜樋をズームアップ。(2017年7月22日)
 
ダム湖は総貯水容量115万立米。
 
広々として開放感あふれるダムですが、敷地内に立ち入りできないのが残念です。
現在建設中の市野新田ダムが完成すれば農水省の柏崎周辺土地改良事業も一段落を迎えます。

3247 後谷ダム(0406)
新潟県柏崎市西山町別山
鯖石川水系後谷川
27メートル
288メートル
1150千㎥/1100千㎥
柏崎土地改良区
2008年

谷根ダム

2017-08-03 07:57:56 | 新潟県
2016年7月20日 谷根ダム
2017年7月22日
 
谷根で『たんね』と読みます。
谷根ダムは新潟県柏崎市鯨波の谷根川上流域にある柏崎市上下水道局が管理する上水道目的の重力式コンクリートダムです。
柏崎市には上水道施設として1938年(昭和13年)に建設された川内ダムと川内浄水場がありましたが、人口増や生活様式の変化を受けて水道の需要は大きく増加し、川内ダム1基では水道需要を賄いきれなくなってきました。
そこで柏崎市は、市内西部を南北に貫流する谷根川に着目し1973年(昭和48年)に竣工したのが谷根ダムです。
谷根ダムで取水された水は延長8200メートルの谷根導水ルートで市内赤坂山浄水場に送られます。
しかしその後も水需要の増加は続いたため、1989年(平成2年)に谷根ダム直上の谷根川源流部に赤岩ダムが建設されました。
現在は川内ダム赤岩ダムとともに、地方自治体レベルでは非常に珍しい上水道水源ダム3基体制で新潟県随一と言われる柏崎の水道を支えています。
 
柏崎市の上水道概略図(赤岩ダムの説明板より)
 
谷根ダムには2016年7月に初めて訪問、翌年7月には柏崎ダムスタンプラリーの一環として再訪しました。
川内ダムから市道を西進して大野トンネルを抜け、谷根集落の南で県道257号線を跨いでそのまま進むと谷根ダムに到着します。
右岸下流から何とかダムを伺うことができます。
自由越流式洪水吐が1門のいわゆる坊主ダムです。
 
ダム直下にある機場。
ここから赤坂山浄水場へ送水されます。
 
ダム右岸の管理事務所。
11月~5月まではここでゲートアウト。
 
右岸から。
 
天端は歩行者のみ立ち入り可能。
 
減勢工、河川維持放流が行われています。
 
ダム湖、
上流に赤岩ダムが垣間見えます。
2つのダム周辺は市有地となっており、手つかずの自然が残っています。
 
インクラインはなく右岸に桟橋があります
ひだりてはていこ船着き場が設置されています。
 
上流面。
 
さらに上流から。(2017年7月22日)

0765 谷根ダム(0490)
新潟県柏崎市谷根
谷根川水系谷根川
54メートル
161メートル
1575千㎥/1300千㎥
柏崎市上下水道局
1973年