ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大洞ダム

2022-03-15 18:07:32 | 埼玉県
2022年3月13日 大洞ダム
 
大洞ダムは埼玉県秩父市大滝の荒川水系大洞川にある東京発電(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
都心に近く急流が続く荒川上流部では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は日本発送電の接収を経て東京電力が引き継ぎました。
一方で戦後、荒川上流部の水利権は公営発電である埼玉県企業局が獲得、大洞ダムは同局によって1960年(昭和35年)に建設されました。
ここで取水された水は大洞第一発電所(最大出力1万1900キロワット)に送られダム水路式発電に供されます。
2008年(平成20年)に埼玉県企業局は発電事業から撤退し、同局が管理する発電施設はすべて東京発電(株)に移管されました。
同社は1928年(昭和3年)設立の姫川電力を起源とする東京電力の100%出資子会社で、主として中小水力発電やクリーンエネルギーを手掛け中小水力発電においては日本のトップ企業です。
また1995年(平成7年)に建設省(現国交省)により『荒川上流ダム再開発事業』が採択され、直轄事業により当ダム直下に堤高155メートル、総貯水容量3300万立米の大洞ダム(再)建設計画が着手されますが、こちらは2010年(平成22年)に検討対象となり2012年(平成24年)に中止が決定しました。

今回は、まず下流から大洞川を遡上しダム下に至る計画を立てましたが、大洞川の水量が予想以上に多く約2キロほどでギブアップ。
通常ルートでのアプローチとなりました。
二瀬ダムから三峰神社方面に進み、右手の雲取林道に入ると3キロほどで車止めのゲートとなります。


ゲートから1キロほど歩くとダムへの下降点。
荷揚げ用の簡易モノレールに沿った山道を標高差120メートルほど下ります。


10分ほどで眼下に大洞ダムが現れます。
ダム直下の斜面が大きく地滑りしています。
左手の取水設備からゴミ運搬用のベルトコンベアが伸びており、排出されたごみは簡易モノレールで林道まで荷揚げされます。


水利使用標識。


右岸高台のコンクリート構造物。
クレーンの台座でしょうか?


右岸取水口裏手に転がる巡視艇。
あんまり使われてなさそう。


河川維持放流。
ダム便覧の写真を見るとゲートに放流用の穴が開いています。


主ゲートは2段式ローラーゲートで上部にフラッシュボードがついています。


総貯水容量11万立米のダム湖と取水口。
この日は気温20度のぽかぽか陽気でしたが、ダム湖は半分程度凍結。
冬場は全面凍結しそう。


これは水位観測施設。
このデータは下流の二瀬ダムの運用に使われます。


ダム下の様子
地滑りの影響で巨岩が転がっています。
仮にダム下まで遡上できても、この巨岩群で立ち往生しそう。


左岸から。


ゲートを挟んで左右に2門ずつ自由越流頂があります。

0636 大洞ダム(1774)
埼玉県秩父市大滝
荒川水系大洞川
24.7メートル
45メートルメートル
110千㎥/55千㎥
東京発電(株)
1960年

鎌北湖

2019-11-30 11:00:00 | 埼玉県
2016年 3月12日 鎌北湖
2019年11月25日
 
鎌北湖は埼玉県入間郡毛呂山町大谷木の荒川水系大谷木川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば埼玉県の事業により1935年(昭和10年)に竣工、戦前は山根溜池が正式名称でしたが、戦後毛呂山町観光協会が観光促進のために『かまきた湖』と命名し、現在は鎌北湖が正式名称となっています。
ダムの管理は入間第一用水土地改良区が行い、管内126ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
高度成長期には近郊型観光地として賑わいましたが、関越道の完成などにより衰退し湖畔にあった2軒の宿泊施設はすでに廃業しています。
現在はヘラブナ釣りスポットや桜の所として認知されていますが、廃墟化したかつての宿泊施設は痛々しくかつての喧噪に比べれば衰退感は否めません。
 
毛呂山町内の県道30号鎌北湖入口交差点を西に折れ県道186号を西進すると鎌北湖に到着します。
堤体をハイキングコースを兼ねた歩道が斜行しておりダム下へと下りてみます。
右岸(向かって左手)堤体沿いを洪水吐導流部が流下、ダム下で底樋からの水路と合流します。
 
ダム下が大谷木川起点となります。
写真は起点標石(2019年11月25日)。
 
天端右岸に建つ鎌北湖の説明板(2019年11月25日)。
 
天端は車道
春には桜並木となります(2019年11月25日)。
 
右岸の斜樋と管理事務所を兼ねた操作室
洋館風のしゃれた建屋でここで喫茶店でも開業したい気分。(2019年11月25日)。
 
総貯水容量は30万立米(2019年11月25日)。
 
左岸にある『鎌北湖』の銅板
武者小路実篤の揮毫です(2019年11月25日)。
 
上流面は石張りで護岸
観光用のボートとヘラブナ釣り用のボートが係留されています(2019年11月25日)。
 
右岸の横越流式洪水吐
越流壁はラビリンスのように凸型になっています。
ラビリンス同様、越流面を大きくすることによる放流量の増大が目的かと思われます。
(2019年11月25日)
 
初回訪問時はほぼ満水
僅かに越流していました。
 
なんともユニークな越流壁
ここだけ切り取るととてもダムの洪水吐とは思えません(2019年11月25日)。
 
アングルを変えて
越流した水は右手のトンネル導水路を経てダム下へと流下します。
 
0632 鎌北湖(0245) 
ため池コード
埼玉県入間郡毛呂山町大谷木
荒川水系大谷木川
22.6メートル
84メートル
300千㎥/236千㎥
入間第一用水土地改良区
1935年

間瀬ダム

2019-04-20 08:00:00 | 埼玉県
2015年12月09日 間瀬ダム
2019年 4月13日
 
間瀬(まぜ)ダムは埼玉県本庄市児玉町小平の利根川水系神流川右支流間瀬川上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
戦前埼玉県の事業により建設されましたが、竣工年度についてはダム便覧では1936年(昭和11年)、ダム親柱の銘版では1937年(昭和12)と1年のずれがあります。
管理は美児沢用水土地改良区が管理を行っています。
ダム便覧では『日本最古の農業用コンクリートダムか?』と書かれていますが、兵庫県の上田池ダム山田池、香川県の豊稔池ダムなどが先に竣工しておりこれは誤りです。
正確には東日本最古の農業用コンクリートダムであり、型枠によって建設された農業用コンクリートダムとしては日本最古という表現が正しいものになります。
いずれにしても土木建築物としては貴重なダムであることは間違いなく、2000年(平成12年)に国の有形文化財に登録された、近代土木遺産、日本100ダムに選定されています。
貯水池の間瀬湖は関東有数のヘラブナ釣りスポットとなっており季節を問わず多くの釣師が訪れるほか、桜の名所としても知られています。
 
本庄児玉インターから国道462号を南下し、旧児玉町中心街から県道44号に入りさらに県道287号を南下すると間瀬ダムに到着します。
初回訪問時は晩秋、2度目は桜満開の時期での訪問となりました。
黒く着色したコンクリートが歴史を感じさせます。
 
浮き出た打継面、落ち葉と白糸のような細い流水が何とも言えない哀愁を漂わせ晩秋の景色とマッチしています。
 
2度目の訪問は春爛漫、桜満開の時期となりました。
(2019年4月13日)
 
苔むした導流壁
 
洪水吐の扶壁の配置や高欄のデザインも凝っています。
 
取水設備からの樋門(2019年4月13日)
 
天端と親柱 天端は車両通行可能です。(2019年4月13日)
 
昭和拾二年竣工の銘板、ダム便覧の竣工年度とは1年ずれています。
 
銘板では間瀬堰堤となっています。(2019年4月13日)
 
手が込んだ天端高欄。
 
ぱっと見ると本物の木の幹が使われているよう。
 
 
取水設備建屋はどこかの文豪の別荘みたいな雰囲気
(2019年4月13日)
 
導流壁と減勢工、桜満開です。(2019年4月13日)
 
天端から見下ろした減勢工と水路(2019年4月13日)
 
貯水池の間瀬湖は総貯水容量53万立米
間瀬湖は管理釣場となっており関東有数のヘラブナ釣りスポットとして知られています。
(2019年4月13日)
 
取水設備は戦前のダムらしく半円形
釣り用の貸しボートが並びます。
 
下流の管理橋
堰堤ともども有形文化財に登録されています。
左側は灌漑用水路へのゲートになります。(2019年4月13日)
 
登録有形文化財のプレート(2019年4月13日)
 
晩秋と春爛漫、全く雰囲気の異なる季節に訪問しましたが、どの季節も似合う古い名堤です。

(追記)
間瀬ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0633 間瀬ダム(0098)
埼玉県本庄市児玉町小平
利根川水系間瀬川
27.5メートル
126メートル
美児沢用水土地改良区
1936年
◎治水協定が締結されたダム


有間ダム

2016-04-21 07:00:00 | 埼玉県
2015年11月14日 有間ダム
2016年  4月17日
 
有間ダムは埼玉県飯能市下名栗の荒川水系入間川右支流有間川にある埼玉県県土整備部が管理する多目的ロックフィルダムです。
入間川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、上水道用水の供給を目的としおり1985年(昭和60年)に埼玉県の補助多目的ダム第1号として竣工しました。
ダム湖の名栗湖はカヌーのメッカとして知られるほか、ダムサイトや湖畔は周辺の登山起点となるなどアウトドアレジャーの拠点となっています。
 
2015年(平成27年)のダム見学会に訪問、翌年4月に再訪しました。
ロックフィル下流面
当初は重力式コンクリートダムとして計画されましたが、地質の脆弱地点があったためロックフィルに変更されました。
 
上流面
堤体は緩やかに湾曲しています。
 
左岸の大きな竣工記念碑。
 
右岸の取水設備
ブルーの塗装が鮮やか
自動除塵機がついた発電ダムの様な取水設備です。
 
ダム下には放流設備や洪水吐導流トンネル吐口などがありますが、立入禁止のため見ることはできません。
 
下流面。
上部はロックフィルですが、下部は盛土が施され草付きになっています。
 
天端は車両の通行が可能です。
 
対岸の白い建屋が管理事務所。
 
 洪水吐はダム湖右岸上流側にあります。
 
再訪時は満水で越流が見られました。
 
アングルを変えて
常用・非常用一帯のバスタブ型
導流部は隧道で『ダム穴風』洪水吐。
 
こちらは満水時。
 
追記
有間ダムには440万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに57万3000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0640 有間ダム(0053)
埼玉県飯能市下名栗
荒川水系有間川
FNW
83.5メートル
260メートル
7600千㎥/7250千㎥
埼玉県県土整備部
1985年
◎治水協定が締結されたダム

浦山ダム

2016-04-21 07:00:00 | 埼玉県
2015年12月05日 浦山ダム
2016年  4月17日
 
浦山ダムは荒川の治水に加え、利根川水系に続く首都圏の水源確保の必要性から建設された水資源機構の多目的重力式コンクリートダムです。
堤高156メートルは重力式コンクリートダムとしては日本第2位の高さを誇り日本屈指の巨大ダムとなっています。
浦山ダムは非常に開放的で堤体エレベーターおよび監査廊の一部、堤体左岸側の階段が一般に開放されています。
 
2016年4月17日開催の見学会についてはこちらを参照ください。
 
秩父市街から国道140号を三峰方面に走ると浦山口の先で左手に浦山ダムの標識が現れます。
まずは堤体直下へ向かってみます。
堤高156メートルの堤体を見上げると、車の大きさと比較すればダムの巨大さがわかるでしょう。
 
左岸から
堤頂部は橋梁をイメージしたデザインになっています。
 
左岸上流から
対岸に管理事務所があります。
 
右岸から
中央は選択取水設備。
 
減勢工と浦山発電所。
駐車場に止めた車が米粒ほどに見えます。
 
天端は秩父市街地を一望できる展望台になっており、この日は遠く赤城山まで見ることができました。
 
ダム湖(秩父さくら湖)。
 
今回は左岸フーチング沿いの階段で堤頂部まで登ってみました。
左は堤体エレベーターの入り口。
 
階段は500段。
 
まだ中間点
登山で鍛えていますが1段あたり30センチちょいの階段は歩幅が合いません。
 
だいぶ上がってきました。
 
ようやく天端に到着
気温は3度ですが汗びっちょり。
 
管理事務所の裏側は猿の惑星。
 
下りはエレベーター。
 
いったん階段で登ります。
 
監査廊は展示室になっています。
 
ようやく駐車場に帰還。
 
他のダムでは見学会じゃないと入れない堤体エレベーターや堤体の階段、監査廊が一般に開放されておりいい体験ができました。
しかしダム周辺のサルの群れのすごさには驚かされるばかり。
 
追記
浦山ダムには2300万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに292万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0642 浦山ダム(0091)
左岸 埼玉県秩父市荒川上田野
右岸     同市荒川久那
荒川水系浦山川
FNWP
156メートル
372メートル
58000千㎥/56000千㎥
水資源機構
1998年
◎治水協定が締結されたダム

荒川調節池

2016-03-15 06:00:00 | 埼玉県
2016年3月12日 荒川調節池
 
荒川調整池は、埼玉県さいたま市南区から和光市、戸田市にまたがる調節池で国交省関東地方整備局荒川上流河川事務所が管理を行っています。
第一調節池から第五調節池まで計画されており現在第一調節池が完成しています。
第一調節池は荒川中流域の治水を目的とした河川改修事業と、利水を目的とした荒川調節池総合開発事業の共同作業で建設され、このうち利水目的の貯水池『彩湖』は1997年(平成9年)に竣工、治水目的の荒川第一調節池も2004年(平成16年)に完成しました。
彩湖は都市用水の水源として利用される一方、荒川第一調節池は荒川の洪水の際に一時的に水を貯留し下流の洪水を調節する目的を持っています。
調節池は荒川の広大な河川敷となっており公園や各種レクリエーション施設が整備されています市民の憩いの場となっています。
 
ダムカードが配布される彩湖自然学習センター。
 
彩湖の上を外環道『幸魂大橋』が横切っている。
 
調整池排水門
洪水時にはこの門を閉めて貯水を行い下流の洪水被害を防ぎます。
 
 
 
 
水位調節堰
彩湖の水位を調節しています。
 
洪水時にはここで貯水を行います。
 
0644 荒川調節池(0246)
埼玉県戸田市・さいたま市・和光市
荒川水系荒川
FW
FG
国交省関東地方整備局
1996年

玉淀ダム

2016-02-16 17:00:00 | 埼玉県
2015年12月09日 玉淀ダム
2016年  2月13日
 
玉淀ダムは荒川中流にある灌漑・発電目的の重力式コンクリートダムで埼玉県企業局により1964年(昭和39年)に建設されました。
ここで取水された水は荒川中部土地改良区の灌漑用水として供給され、また東京発電玉淀発電所でダム式発電がおこなわれています。
 
花園インターから国道140号線を秩父方面に西進、皆野寄居道路を分けると左手に玉淀ダムが見えてきます。 
緑色のゲートとゲートビアと皆野寄居バイパスの末野大橋の赤い橋脚のコントラストは玉淀ダム撮影の定番です。
 
同じ場所からワイドで
ダムの左岸(向かって右手)に玉淀発電所があります。
 
緑色のゲートビアが特徴。
 
天端は歩行者、自転車が通行可能
現在はすぐ下流に橋がありますが、かつては生活道路として重宝されていたようです。
奥に発電所の取水口が、右手に発電所があります。
 
下流の眺め
奥の折原橋と手前の末野大橋の二つの橋脚が交差する眺めは玉淀オリジナル。
 
寄居町では玉淀ダム撤去促進期成同盟会が結成されてダムの撤去を求める運動があります。
ただこれは環境や自然保護の観点ではなく、ダム湖をなくせば上流の長瀞同様観光客が呼べるという経済的な観点からの運動です。
現実には撤去に巨額の費用がかかることから運動自体が大きく広がる気配はありません。
 
2016年2月13日 玉淀ダム②
 
メジャーじゃないけどダムと末野大橋や折原橋との組み合わせ見たくて再訪しました。
前回と同じ写真ですが、前回が早朝だったのに対して今回は午後、時間が違っても緑のゲートピアやゲートがよく目立ちます。
 
右岸のゲートは補修中。
 
 
末野大橋と玉淀ダムとの組み合わせはいつ見ても素晴らしい。
 
0638 玉淀ダム(0096)
左岸 埼玉県大里郡寄居町末野
右岸        同町折原
荒川水系荒川
AP
32メートル
110メートル
3501㎥/280㎥
東京発電(株)
1964年

合角ダム

2016-02-16 12:00:00 | 埼玉県
2015年12月05日 合角ダム
2016年  2月13日
 
合角ダムは埼玉県秩父市上吉田の荒川水系吉田川にある埼玉県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリート
ダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、吉田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、埼玉県営水道への上水道用水の供給を目的として2001年(平成13年)に竣工しました。
『合角』は『ごうかく』と読めることから、ダムカードを受験生の合格祈願の縁起物としてPRするほか、五角形の『ごうかくダムカレー』を売り出すなどダムと地域が連携した観光推進が進められています。
なお写真は日付記載がないもの以外はすべて2016年2月13日のものです。
 
下流から
放流設備はクレスト自由越流頂8門、オリフィスローラーゲート1門
ジェットフローゲート2条を装備。
よく見るとクレストのうち中央2門だけ越流頂が低くなっています。
 
減勢工には副ダムが2基
オリフィス横からの漏水が凍結してまるで越流してるかのようです。
 
オリフィスをズームアップ
一見自然調節式のようですが奥にゲートが見えます。目ます。
 
両岸には堤趾導流壁。
 
左岸展望台から俯瞰
手前に管理事務所、対岸に艇庫とインクラインがあります。
 
 
上流面には大きな取水設備
右手は艇庫とインクライン。
 
天端は徒歩のみ開放(2015年12月5日)。
 
減勢工には副ダムが2基
左手の建屋は放流設備。
 
西秩父桃湖と命名されたダム湖は総貯水容量1025万立米
ダム湖を跨ぐ斜張橋(合角漣大橋)
(2015年12月5日)。
 
上流面。
 
合角漣大橋から
(2015年12月5日)。
 
追記
合角ダムには560万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに92万6000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0641合角ダム(0092)
埼玉県秩父市上吉田
荒川水系吉田川
FNW
60.9メートル
195メートル
10250千㎥/9250千㎥
埼玉県県土整備部
2001年
◎治水協定が締結されたダム

滝沢ダム

2016-02-16 08:00:00 | 埼玉県
2015年12月05日 滝沢ダム
2016年  2月13日
 
滝沢ダムは埼玉県秩父市の荒川の支流中津川にある水資源機構の重力式コンクリートダムです。
荒川水系では1961年(昭和36年)に建設省により二瀬ダムが建設されますが、首都圏の急激な人口増による水需要の増加は止まらず、一方で1967年(昭和42年)の水害により荒川水系に新たな治水・利水ダムの建設を求める機運が高まりました。
ところが補償交渉が長引き、計画発表から補償交渉妥結までに23年の年月を費やし1999年(平成11年)にようやくダム本体が着工、2007年(平成19年)に竣工しました。
ダムは荒川水系の洪水調節のほか、不特定利水、東京都・埼玉県への上水道の供給、東京発電浦山発電所での発電を目的としています。
 
秩父市街から国道140号を西進、道の駅『大滝温泉』を過ぎると巨大なループ橋の先に滝沢ダムが見えてきます。
ループ橋から
堤高は浦山ダムに及びませんが規模としては埼玉県最大のダムです。
 
広い天端は歩行者のみ立ち入り可能。
 
ダムの正面には国道140号の雷電廿六木橋があります。
 
減勢工。
 
右岸から。
 
ゲートと発電用の選択取水設備。
 
ダム湖(奥秩父もみじ湖)。
 
堤体直下からゲートをズームアップ。
クレストはラジアルゲートが3門。
 
堤体直下から。
 
減勢工。
 
滝沢ダムは堤体エレベーターと監査廊の一部が開放されています。
 
エレベーターに乗り込みます。
 
監査廊は資料室や展示スペースになっています。
 
階段を登り返すと。
 
堤体直下に出ます。
 
堤体に飛びつく嫁さん
 
2016年2月13日 滝沢ダム②
 
12月5日以来2度目の訪問です。
今回は雷電廿六木橋との組み合わせにこだわって撮影してみました。
ループ橋とダム、巨大コンクリート構造物同士がここまでマッチする組み合わせは他では見れないでしょう。
 
ループ橋から。
 
 
 
雪が残る眺めもいいものです。
 
減勢工は凍ったまま。
 
追記
滝沢ダムには3300万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに268万5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0643 滝沢ダム(0093)
埼玉県秩父市大滝
荒川水系中津川
FNWP
132メートル
42.4メートル
63000千㎥/58000千㎥
水資源機構
2007年
◎治水協定が締結されたダム

権現堂調節池

2016-02-05 12:00:00 | 埼玉県
2016年2月4日 権現堂調節池
 
権現堂調節池は埼玉県幸手市権現堂にある埼玉県県土整備部が管理する多目的平地ダムです。
利根川水系の一級河川中川は大雨のたびに流域に洪水被害をもたらしましたが、戦後流域が急激に宅地化されたため抜本的な洪水対策が取れない状態でした。
そこで河川改修で廃川となっていたかつての権現堂川に着目、1991年(平成3年9)中川と権現堂川の合流点に堰を建設しました。
中川が洪水の際にはここにいったん貯留して中川の洪水調節を行うほか、中川の既得取水権への補給と河川流量の維持、埼玉県営水道を通じた上水道と工業用水の供給を目的としています。
堤高14.5メートルと河川法上のダムの要件を満たしていませんが、建設省(現国交省の)の補助を受けた補助多目的ダムとして法的にダムとされ、ダム便覧にも正式掲載されています。
 
中川と権現堂川の合流点に堰をつくり権現堂川を調節池としています。
 
中川下流から。
 
天端は車道となっています。
 
調節池(行幸湖)。
水質汚染が防ぐため噴水塔があるが4時過ぎということで噴水は見れませんでした。
 
排水機場
中川の水位が上がるとここから権現堂調節池に水を貯留します。
 
今回は予習不足に加えて日没間際の訪問となり駆け足での見学となってしまいました。
改めて再訪してじっくり見学したいと思います。
 
0639 権現堂調節池(0223)
埼玉県幸手市権現堂
利根川水系中川
FNWI
FG
14.5メートル
89メートル
4113千㎥/3702千㎥
埼玉県県土整備部
1991年

円良田湖

2015-12-10 06:00:00 | 埼玉県
2015年12月09日 円良田湖
 
円良田湖は埼玉県大里郡寄居町末野の荒川水系逆川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
埼玉県内では1935年(昭和10年)の鎌北湖建設を契機に荒川中流北岸地域でも農業用貯水池建設機運が高まり、1942年(昭和17年)に県の補助を受け寄居町他9ヶ村溜池新設事業が着手されました。
しかし、戦況悪化に伴う人員物資不足等によりに事業は一時中断、戦後の食糧増産機運を受けて1949年(昭和24年)に事業が再開され1954年(昭和29年)に竣工したのが円良田湖です。
管理は北武蔵用水土地改良区が行っています。
その後関越道開通に合わせて寄居町観光協会管理が管理釣り場の運営を開始、現在ではヘラブナ、ワカサギを目当てに首都圏屈指の人気釣りスポットとなっています。
 
ダム下から
右岸の洪水吐斜水路
周辺には桜が植えられています。春もいいでしょうね。
 
湖面には管理釣り場として浮桟橋が設けられています。
また湖畔には釣り宿や貸しボート屋が軒を連ねます。
 
緩やかにカーブを描く右岸の横越流式洪水吐
放流した魚が流されないよう、ネットが張られています
ちょうど朝日が差し込み素晴らしい景色となりました。
 
上流面。
 
洪水吐導流部。
 
おしゃれな取水棟。

0635 円良田湖(0097)
埼玉県大里郡寄居町末野 
荒川水系逆川
21メートル
138メートル
650㎥/650㎥
北武蔵用水土地改良区
1954年

二瀬ダム

2015-12-08 12:00:00 | 埼玉県
2015年12月05日 二瀬ダム
 
二瀬ダムは埼玉県秩父市大滝の一級河川荒川本流上流部にある国交省関東地方整備局が管理する重力式アーチダムです
荒川はその名が示すように古来よりの暴れ川で、家康による江戸開府以来その治水は施政者の至上命題となっていました。
終戦直後の1947年(昭和22年)に襲来したカスリン台風により関東各地で滅的被害が発生、これを契機に主要河川で建設省直轄事業による多目的ダム建設を軸とした河川総合開発が企図されます。
荒川においては『荒川総合開発事業』が採択され、その中核施設として1961年(昭和36年)に竣工したのが二瀬ダムです。
二瀬ダムは建設省(現国交省)が直轄事業で建設した特定多目的ダムで、ダムの型式は現在日本で10基しかない重力式アーチを採用し、洪水期(7月1日~9月30日)での最大700立米/秒の洪水調節、荒川下流域約8500ヘクタールの農地への不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、東京発電(株)二瀬発電所(2008年に埼玉県企業局から移管)での最大5200キロワットのダム式発電を目的としています。

その後、1974年(昭和49年)の『利根川・荒川水資源基本計画水』により荒川水系での河川開発は水資源開発公団(現水資源機構)に移管され、1998年(平成10年)に浦山ダム、2007年(平成19年)に滝沢ダムが完成しました。
現在は荒川上流ダム群として、洪水時には3ダム合計最大3140立米/秒の洪水調節を行います。
また3ダムともに日本ダム協会により日本100ダムに選ばれています。
 
秩父市街から国道140号線を西進、道の駅『大滝温泉』の先で三峰山方面に向かうと二瀬ダムのダムサイトに到着します。
左岸展望台から
天端は三峰山に向かう県道278号線が通っており、信号による交互通行になっています。
 
ゲートの補修工事が行われています。
 
天端左岸は国道と県道の交差点。
 
ゲート。
 
ダム下流面。
 
クレストはラジアルゲートが4門
改修によりピカピカの緑色。
 
洪水吐導流部は重力式アーチ特有のジャンプ台式になっていますが、逆光のためいい写真が撮れませんでした。
 
二瀬ダムのダムカード。
 
秩父4ダムカードでもらえる二瀬ダムの特製カード。
 
今回はゲートの補修工事中ということで交通量も多く天端を歩くのは自粛しました。
ダムの特徴であるジャンプ台式の減勢工をうまく撮影できなかったので工事が終了したら改めて訪問したいと思います。
 
追記
二瀬ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。    

 
0637 二瀬ダム(0094) 
埼玉県秩父市大滝 
荒川水系荒川
FNP
GA
95メートル
288.5メートル
26900千㎥/21800千㎥
国交省関東地方整備局
1961年
◎治水協定が締結されたダム

宮沢溜池

2015-12-08 06:00:00 | 埼玉県
2015年12月05日 宮沢溜池
 
宮沢溜池は埼玉県飯能市宮沢の荒川水系小畔川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
飯能周辺では農地の大半は丘陵地や台地にあるため水利に乏しく多くの農家は苦難を強いられていました。
しかし1929年(昭和4年)に毛呂山での鎌北湖建設着手を契機に飯能でも溜池建設機運が高まり10年の歳月をかけ1941年(昭和16年)に宮沢溜池が完成しました。
池は小畔川だけでは十分な集水ができないため入間川から導水し、併せて建設された延長50キロ以上の用水路により水田への用水補給が開始されました。
現在池の管理は飯能市が行い入間第二用水土地改良区の水田に灌漑用水を供給しています。

昭和30年代に西武鉄道が池に隣接して遊園地を建設し、人気スポットとなりましたが西武の経営悪化を受け2008年(平成20年)に閉園。
変わって2018年(令和元年)に『メッツァビレッジ・ムーミンバレーパーク』が開業し新たな観光スポットとして人気を博しています。
 
訪問したのはまだムーミンパーク開園以前、早朝の訪問にもかかわらずワカサギ釣りを楽しむ人たちで駐車場はいっぱい。
ダム湖上流面はコンクリートで護岸されています。
 
総貯水容量は87万9000立米
湖岸だけではなく湖の中程まで釣り用の桟橋が設置されています。
 
天端を含め湖岸には遊歩道が整備されています。
 
天端から
真下が入間第二用水。
 
左岸の洪水吐。
 
ばたばたとした見学で、取水設備や底樋も確認しないまま。
いずれ再訪しなければいけません。

0634 宮沢溜池(0090)
埼玉県飯能市宮沢 
荒川水系小畔川
18.5メートル(ため池データベース19メートル)
240メートル
879㎥/879㎥
飯能市
1941年