経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

北朝鮮情勢に関して

2018-05-16 18:50:58 | Weblog
  北朝鮮情勢に関して
 周知のように北朝鮮をめぐって北東アジアの情勢は緊迫している。6月12日にトランプアメリカ大統領と北朝鮮の指導者金正恩氏が会談する。ここで関係各国の取るべきあるいは取りうるべき態度・方法を考察してみたい。
 まずロシアは無視していい。ロシアの経済力は弱く軍事技術のレベルは低い。ロシアにはその体面をつぶさぬ程度に接し、敬して遠ざけておけばいい。それでなくともロシアは中東情勢で手がいっぱいであろう。
 北朝鮮自身に自浄能力はない。史上最悪と言われる独裁体制がその内部から改革されることはあり得ない。もっとも崩壊することはありうるが。金氏の戦略は核ミサイルを開発し、それでもって周囲の国を脅し、妥協と見返りに経済援助を引き出す、この虚偽の繰り返ししかない。
 問題はシナである。しかしシナの力量を過大に評価しないほうがいい。経済発展はとうに盛りを過ぎている。内需は増えず、外資頼みは変わらない。軍事力がよく云々されるがこと海軍力に関して少なくとも量においては我が国のそれを少し上回るほどであり、到底米海空軍には対抗できない。シナは北朝鮮の現状維持を欲しつつ同時にそれを欲しないという矛盾に追い込まれている。現状維持は近未来における北朝鮮の崩壊を意味する。これはシナが一番欲しない状況だ。北が崩壊した場合シナは北朝鮮の治安と経済の維持に努めなければならなくなる。シナの経済力がそれに耐えられるかどうか疑問である。加えて北の崩壊は大量難民のシナ国内への流入を意味する。この事態はシナ国内の民族問題に火をつけるであろう。シナにとっては悪夢である。また北が生き延びて核ミサイルを開発し続ける事態が続けばシナは米国と危険な緊張状態に突入する。核ミサイル自体がシナに対する脅威でもありうるのだ。いずれにせよシナは動けない。
 韓国は無視していい。今回の米朝会談は韓国のとりなしであるが、韓国も余計な分不相応な事をしたものだ。仮に念願の南北統一が実現したとして韓国は北朝鮮の復興を為しうるのであろうか。韓国の経済力では無理である。韓国と北朝鮮の国民一人当たりの所得にはほぼ100対1の差がある。経済力だけではない。治安とモラルの問題もあり韓国は北を平和裏に合併する事はできない。念の為に言えば朝鮮半島が形式的にでも独立しえたのは日本統監時代の10年間のみである。他の時代韓国は歴代のシナの王朝の属国でしかなかった。朝鮮民族に自国統治の力量はない。
 アメリカは北朝鮮に対して完全かつ検証可能かつ不可逆の非核化(CVID)を求めている。北朝鮮は非核化という言辞には一応賛意を示しつつ、同時に南の非核化、つまり米軍の韓国日本からの撤退を求めている。そういう北の要求の実現はあり得ない。北朝鮮の核ミサイル開発の進展という脅しに対して厳しい経済制裁を行い、非核化OKという言辞のみでアメリカが日韓から撤退すればアメリカの超大国としての面目は丸つぶれになる。これが北朝鮮のみならず、シナの一番希望する事態であろう。従ってアメリカは米朝会談でCVIDが誠実に履行される展望が開けない場合は、経済制裁を強化し軍事圧力をかけ続ける一方、状況によっては軍事作戦に踏み切るべきであろう。この作戦には小型核の使用も含まれる。軍事力の使用によって叩いておいて、北朝鮮内での政権交代(金王朝の崩壊)を促し、ともかくしがらみのない誠実な交渉相手を作るべきである。同時にアメリカとシナは北朝鮮に政治的に介入し、治安を安定させた上で統治権の一部を占有し経済援助を為すのがいい。
 日本にとって最悪の事態はアメリカが北朝鮮のペテンに欺かれてその戦線を日本の後方にまでしりぞける事態である。その時は日本は海空軍力を増強し、核兵器を開発所持して独立自衛しシナと北朝鮮の脅威に備えるべきである。その間は北朝鮮への経済制裁をより強化して事態の推移を見守っておればいい。新聞報道によると北朝鮮への密輸が絶えず、海上保安庁や海上自衛隊は現行装備では手が回りかねているとかいう。200トンから300トンの小型船舶を急増し密輸制裁専用に使用すべきである。この程度の装備なら多分1から2カ月で可能であろう。。
 トランプ氏はシリアを攻撃し、イランとの核合意を破棄し、エルサレムに米国大使館を移転させた。事態は刻々と深刻化しつつある。