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郡山城と柳沢吉保
城とその歴史
/
2007年02月15日 22時52分43秒
大和郡山の城主として明治維新を迎えたのは、将軍綱吉の側用人、赤穂浪士の敵役として有名な柳沢吉保(1658~1714年)の子孫である。
本丸にある柳沢神社と白梅の花
柳沢吉保は上野国館林藩士・柳沢安忠の末子として生まれ、館林藩主をつとめていた綱吉に小姓として仕える。
1680年、将軍徳川家綱の後継として、綱吉が将軍となったとき21歳の柳沢吉保も幕臣となり、小納戸役に任ぜられている。
郡山城天守台西側
吉保は、綱吉の寵愛により頻繁に加増され、1685年に26歳で従五位下出羽守に叙任、1688年、29歳で将軍親政のために新設された側用人に就任し、禄高1万2千石の大名にまで昇っている。
先輩の側用人には、館林藩主であった綱吉の家老で、越後長岡藩牧野家の遠い親戚に当たる24歳年長の牧野成貞(1634~1712年)がいたが、牧野は1695年61歳であっさりと隠居を願い出ている。
本丸から毘沙門郭を望む
この牧野成貞の子孫は、明治維新まで茨城県笠間藩主として続き、最後の大阪城代には最後の笠間藩主であった牧野貞明が就任している。
柳沢吉保は、1694年35歳で7万2千石の川越藩主となり、同年12月には老中格、1698年39歳で大老が任ぜられる左近衛権少将に転任している。
内堀
1704年、綱吉の後継に甲府藩主徳川家宣が決まると、45歳の柳沢吉保は家宣の後任として、それまで徳川直系が就任していた甲府藩(山梨県甲府市)15万石の藩主となっている。
1709年、柳沢吉保50歳の時に徳川綱吉が薨去したことで、自ら幕府の役職を辞するとともに長男の吉里に柳沢家の家督を譲って隠居し、以降は保山と号したという。
本丸にある明治30年に建立された柳沢静山伯爵石碑
実は、新将軍となった徳川家宣と新井白石が権勢を握る時代になっても、綱吉近臣の松平輝貞や荻原重秀らは、なおも地位に残ろうとしたために減封の憂き目にあっているので柳沢吉保は見事な身の処し方だったと後世高く評価されている。
吉保の隠居後は、江戸駒込で過ごし、綱吉が度々訪れた六義園(りくぎえん)の造営などを行い1714年享年56歳で江戸で没している。
天守台の北石垣
正室は、親族の曽雌定盛の女(柳沢定子)、側室は飯塚氏の女(柳沢染子)、公家正親町氏の娘(正親町町子)で、染子との間に長子柳沢吉里が生まれている。
本丸の堀と石垣
吉保の側室の染子は、将軍綱吉から拝領したという経緯があり、吉保のもとに嫁いだときには綱吉の子を既に身籠っていたという風説が当時からあったという。
追手向櫓
従って柳沢吉里は、タイミングさえ良ければ次期将軍になっていたかも知れないので、後の徳川将軍は柳沢家を格別の大名として扱ったらしい。
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