廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

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サル・サルヴァドールの最高傑作はこれか

2024年01月13日 | Jazz LP

Sal Salvador / Starfingers  ( 米 Bee Hive Records BH 7002 )


サル・サルヴァドールと言えばキャピトルやベツレヘムにレコードが残っていてエサ箱ではお馴染みの人だが、これがどれを聴いてもつまらない。
フィンガリングはなめらかでソツなく上手いギターだが、自身の音楽として確立されているものがなく、聴き処がない。結局持っていてもまったく
聴くことはなく棚の肥やしになるだけなので、レコードが我が家の棚に残ることはなかった。ところがこの「その筋の人的ジャケット」の
レコードを聴いてぶっ飛んだ。これがサイコーにいい。

サルヴァドールが目当てでではなく、私の好きなエディ・バートが参加していること、"Nica's Dream" や "Sometime Ago" など好きな曲が入っている
ことなどから聴いてみたのだが、これが抜群にいい。よく見るとメル・ルイスがドラムを叩いており、このドラミングが凄いことになっている。
デレク・スミスのピアノがこんなにみずみずしいなんて知らなかったし、ペッパー・アダムス直系のブリグノラのバリトンも硬質で音楽をキリっと
引き締める。サム・ジョーンズのベースもブンブンと唸るし、参加メンバー全員が見事な演奏をしながら音楽が1つにまとまっていく。

サルヴァドールの音色が如何にも70年代風のイカしたサウンドで、これが完全に病みつきになる。アップな曲でのカッコよさはもちろんだが、
バラードでもメロウで艶めかしい。ベツレヘム時代の型にはまった退屈さからは抜け出していて、生き生きとした音楽に様変わりしている。
ジャズがアメリカの主流の音楽ではなくなったこの時代に、50年代に活躍していたミュージシャンたちが一皮むけた音楽を展開できるように
なったというのは何とも皮肉なことだ。

レコードとしての風格に欠けることから相手にされない時代の作品だが、中身は超一流。見直されるといいのにと思う。



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