廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

OJCのビル・エヴァンス(6)

2020年12月24日 | Jazz LP (Riverside)

Bill Evans / Sunday At The Village Vanguard  ( 米 Fantasy Original Jazz Classics OJC-140 )


人気盤ということなのか、1984年、1987年、2002年、2008年、2015年、2020年、と頻繁にプレスされている。
手許には2枚あり、まずは1984年もの。

A面 OJC 140 B A1 C P GH1
B面 OJC 140 B2 C P GH T

ジャケットが国内盤のような厚紙仕様。最初はそれなりにコストをかけて作っていたようだ。

OJCに共通するベース音のクリアさと音圧の高さはここでも健在だ。音に輪郭があって、フレーズがよくわかる。
モチアンのブラシ音も粉を吹いているような粒の細かさで、1歩下がったような鳴り方だ。ただ、スネアの音が小さく、
あまりよく聴こえない。ピアノの音色は優しく美しく、不自然な着色も見られないが、少し音圧が低いのが気になる。

でも、トリオのサウンド感は全体のバランスがよく、聴いていて心地好い。個々の楽器にフォーカスするよりも、
全体のバランスを優先したようなマスタリングがされたようだ。




Bill Evans / Sunday At The Village Vanguard  ( 米 Fantasy Original Jazz Classics OJC-140 )

こちらは、おそらく1987年もの。

A面 OJC 140 B A1 D5 P GH
B面 OJC 140 B2 A1 P GH T

こちらのジャケットは紙質が薄く、表面に艶加工が施されている。

84年ものと比べると、音が違うことがわかる。こちらはピアノの音が薄皮が1枚剥がれたような感じで、
よりクリアで明るく、音圧も上がっている。ピアノの音色はこちらの方がいい。
ドラムのスネアの音もクッキリとしていて、全体的に音像の見晴らしがよくなっている。

マニアの感覚だと厚紙ジャケットの方が何だか有難い気がして、そちらの方を探したくなるかもしれないけれど、
音質に関してはこの薄紙ジャケットの方が直感的にはいい音だと感じるはずなので、買う場合はよく吟味した方がいいだろう。
OJC盤にもマスタリングの違いで音質に差異がある、ということは頭の中に入れておくといい。





オリジナルのステレオ盤とOJCの87年ものとを聴き比べると、音質の差がまったくないことがわかる。これには驚かされる。
このタイトルについては、わざわざ高いオリジナルのステレオ盤を買う意味はない、と言い切ってもいいだろう。

OJC盤は優れているのである。



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