く~にゃん雑記帳

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<飛鳥資料館> 春期特別展「文化財を撮る―写真が遺す歴史」

2016年06月28日 | 考古・歴史

【旧江戸城や焼損前の法隆寺金堂壁画の写真など】

 奈良文化財研究所飛鳥資料館(明日香村)で春期特別展「文化財を撮る―写真が遺す歴史」が開かれている(7月3日まで)。文化財を撮影した写真そのものが貴重な歴史資料として文化財的な価値を認められるようになってきた。そこで文化財写真の歴史と技術の展示を通じて、その価値と面白さを紹介するのが狙い。重要文化財に指定されている明治初期の旧江戸城や東大寺南大門などの写真も展示されている。

 

 展示中の旧江戸城の写真は「旧江戸城写真帖」に収録されている「中之門」と「桜田堀から外桜田門」の2枚。この写真帖は1871年(明治4年)に当時太政官の役人だった蜷川武胤(のりたね)が記録のために作成したもので、写真師の横山松三郎が撮影した写真に、油絵師の高橋由一が着色した。「中之門」には腰に刀を差した男性ら10人余が写り、子どもの姿も見える。写真帖は2000年に重文に指定された。高橋由一は明治初期を代表する洋画家で代表作の「鮭」で知られる。

 横山松三郎は明治政府の「古器旧物保存方」という布告に基づいて1872年に行われた社寺宝物検査(壬申検査)の調査団にも同行し、建造物や彫刻、宝物などを撮影した。当時のステレオ写真やガラス原板が2003年に重文に指定されており、今展では「壬申検査関係写真」の中から東大寺南大門と法隆寺金堂・五重塔の白黒写真2点を展示中。そばには1935年に撮影された法隆寺金堂第六壁画の原寸大の写真パネルも展示されている。金堂壁画はその後1949年の火災で焼損してしまっただけに、写真は壁画の正確な姿を今に伝える記録として貴重なもの。写真原板などが昨年重文に指定された。

 明治~大正時代に活躍した写真家・工藤利三郎が奈良で撮影した「猿石」と「長谷寺」、大正時代に「型絵染」の人間国宝・鎌倉芳太郎が撮影した「琉球芸術調査写真」のうち焼失前の「首里城守礼門」と「首里城正殿」の2点も展示中。また奈良文化財研究所が1952年の設立以来発掘調査したものの中から飛鳥寺跡、川原寺跡、大官大寺跡、飛鳥池工房遺跡など飛鳥の遺跡や出土品の写真50点余や、キトラ古墳壁画調査に使われたカメラなどの機材も展示している。


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