河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1515- ワルキューレ、ローウェルス、プロダクション、沼尻竜典、神奈川フィル&日本センチュリー響2

2013-09-15 23:14:21 | インポート

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2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
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2013.9.15sunキャスト2
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2013年9月15日(日)2:00pm 神奈川県民ホール
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ジョエル・ローウェルス プロダクション
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ワーグナー  ワルキューレ
 第1幕 64分
 第2幕 90分
 第3幕 71分
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ヴォータン、グリア・グリムズレイ
ワルキューレ、8人
フリッカ、加納悦子
ジークムント、望月哲也
ジークリンデ、橋爪ゆか
幼少のジークムント、末本眞央
幼少のジークリンデ、広瀬英恵
フンディング、山下浩司
フンディングの仲間たち、(省略)
(以上第1幕に出ます)
ブリュンヒルデ、エヴァ・ヨハンソン
少女時代のブリュンヒルデ、浅野ユリ雅
 (第2幕で揃います)
以上、in order of appearance
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沼尻竜典 指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
日本センチュリー交響楽団
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まず、演出について、現代感覚でとらえたもので、これはこれで悪くないなと感じました。
上記に書いた出演順番とキャストを見れば、また妙な演出だなと思うに違いない。一番最初に出てくるのがヴォータン、このようなことは昨今、他のワーグナー作品でも見られるのであまり驚きはしないものの、子供たちが出てくるのにはびっくり。現代感覚と幼少時代への憧憬なのか、かなりロマンチックなところもあった。
とにかく第1幕は3人だけという古い固定観念しかもっていなければ、上記のようなキャストが第1幕にあらかた、それも盛り沢山、出てくるというのは本当に驚き。
あと、幕が頻繁に上げ下げされる。コミックのような感じでコマが切られていく。第何幕第何場という感覚はもはや取り払われ、第何場面と言うほうがあっている。幕の上げ下げのたびに風景が変わり、断片化された心象風景のようなものが現われたりする。そこに子供たちが出てくることもあるし、大人から目に見えない透明人間化されたイメージで出てくることもある。
この頻繁な幕の上下の前に、幕そのものに次の場面を暗示する言葉が映し出される。説明過多のような気もしたが、ストーリーを知らない人が、まるで封切の映画でも見るみたいに何の予備知識や予習が無くてもはいってゆける。いろんな遊びや、やることが沢山あって予習なんかしている時間のない人でも、この日この場にプログラムも買わず読まず開演1分前に来ても、何の問題もなく観劇できるのだ。むしろそのほうが、新鮮味があっていい。そんな演出に見受けられました。これは良い悪いではなく現代の感覚によく合ったものというか、むしろ似ている。皮膚感覚でとらえた現代を演出に生かした。
ですから、ワーグナーの劇のえぐりに観点をおいたというよりは、接し方にスポットライトをあてたものであり、違和感があるとすればそのあたりのすれ違い、もしくは肩透かし的なものなのかもしれない。
ただ、頻繁に場面が変わり、次はどうなるんだろう的、な興味のそそられかたになっていくので、ワーグナー特有の場面転換での多彩なモチーフを絡めた音楽への興味が少し希薄になってしまった感は否めない。
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ということで観ている分には全く飽きのこないもの。キャスト表だけ見ていると第1幕などかなりゴチャゴチャしているように思えるが、そんなことはなくなにしろ漫画チックに場面が変わっていくわけで、つまり直列配列で場面が進むので最初から整理整頓されたものなわけです。ストーリーが、これでもかこれでもかと、執拗に迫ってくるリングサイクルのキーポイントの長丁場第2幕はこの整理整頓が効いていてわかりやすかった。ヴォータンの語りもあっという間の出来事。
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キャストでは見た目も歌も最高のヴォータン、コミック風味の効き過ぎ演出の為、フリッカとのやりとりには苦笑させられる場面も頻出、このような苦笑演出ははじめて観るわけでシリアスさと少しかけ離れたヴォータンではありましたが、とにかくはまり役として、これまで観た中でも最高レベルだと思います。この流れでサイクルをしたらどうなるのだろうといったところにも興味がいきますね。
フリッカは歌の妙味もあって圧倒的な存在感。彼女を起点にしてストーリーが回っているのではないかと思うぐらい。なにしろ、第1幕、ジークムント、ジークリンデのやりとり「冬の嵐は過ぎ去り」で何かが入って来た、というあたりでフリッカが透明人間状態ではいってくる。全体の流れからたまたまそう見えただけなのか、不思議な場面ではありました。
その双子の歌唱は安定感があり熱演でした。第1幕見せ場ですからね。フンディングは歌のこれまた安定感、それもさることながら、演技が絶妙、歌と振りが一致しておりまた間延びせずで、取り巻き連中もあれなら従ってくるだろう。
ブリュンヒルでは何度か接しているヨハンソン、彼女はだいたい最初から飛ばす。行けるところまで行こう!そんな感じの絶唱が続きます。安定感を越えた納得の歌でした。
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だいたいこんな感じで、もう2回観劇予定ですのでそのときにまた。
あと、最後の炎の場面は、コミック風味の面白さから少し乖離したあっさりしたものでした。ただ、最後にヴォータンのお城に透明人間のジークムントが現われます。ヴォータンが腕を握るのを拒否する亡霊ですね。
オーケストラについては、ブラスはみぎひだり分かれているせいか、よごれがかなりある。弦はなんだか中抜け状態。一番おいしいところの音が聴こえてこない。プロ同士のオケなのでもうすこし丁寧さが欲しかった。
おわり