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秋のコンサートシーズンがはじまりましたが、それとはあまり関係なく、昔聴いたコンサートより。
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1978年3月12日(日) 7:00pm
神奈川県民ホール
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スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
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マルタン/7つの管楽器、ティンパニ、打楽器、弦楽のための協奏曲
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ベルリオーズ/幻想交響曲
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(アンコール)
あり
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小澤征爾 指揮 ボストン交響楽団
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ボストン交響楽団の最初の来日は1960年。シャルル・ミュンシュとともに来日。そして18年後の1978年、今度は小澤征爾と2回目の来日。このときは国内13回の公演を行った。
河童さんはこの年、国内左遷!で、別のところにいたのだが、仕事よりコンサートのほうが大事なわけで、また日曜ということで翌日の月曜日をさぼるだけで済むのでそうした。
それで演奏はどうだったの?
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アンコールでみせたパガニーニにおけるヴァイオリンの超絶さ。
ヴァイオリン・ソロの曲を第1、第2ヴァイオリン全員が総立ちになって演奏した。そのうまさ。唖然、唖然、唖然、唖然。
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弦の統一されたさまは形容しがたい。コントラバスさえも小鳥のように軽く跳ねて歩く。これはもう最初の曲の出だしを聴けば、明らか。
マルタンにおけるトップ奏者の筆舌に尽くしがたいうまさ。
そして、幻想における疾風怒濤のようなブラス群。しなやかな弦。これにはただ身をまかせるだけでよい。
ブラス・セクションは黒い刃金がありったけの光を放った時のような輝き。強靭で柔らかいブラス。丸みを帯びた強さ。
弦はしっとりしていて、かつブラスに負けない圧力で迫りくる。
幻想の第5楽章を吹いたことがある人間ならこの凄さを目の当たりにしてたぶんのけぞる。
ボストンの実力を知った!!
小澤の実力を知った!!
あのしなやかな手から出る繊細な音。小澤があれほど繊細な音楽をやるとは思わなかった。飛び跳ねるようなリズムの造りも、際立ったものであるが、それ以上に小澤の造る繊細な音楽にびっくりし感心した。
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といった感想だったのですが、アンコールで弦が総立ちで演奏した曲は本当にパガニーニだったのかしら。今となってはあやしい。もしかして熊蜂の飛行だったかもしれない。
おわり