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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

扇子

2009-11-17 13:26:06 | Weblog
NHKのテレビ番組に「将棋の時間」ってのあるんだが(昔からあるんだよね)、これをよく観ている(欠かさず見るようになったのは、ここ数年)。
放送時間の日曜日10時~12時ってのは、一般には休日だからって設定だと思うんだけど、私は仕事あるんで、録画して観てる(だから、毎回見るようになったのは、ハードディスク付きのDVDレコーダー買ってからだから、ここ3,4年の話)。
で、講座の最後に詰将棋の出題があるんだが、気が向くと(正確にいうと、解くことができて、気が向くと)応募したりする。
これが、番組のなかでは、ハガキの送り先と締切は放送してるんだが、送ると何がどうなるかはご案内していないという不思議なものなんだが。
(長年の視聴者には自明の理ということか?)
で、結論からいうと、正解者のなかから、扇子が当たるんである。
なんで知ってるかっていうと、当たったからである。

扇子は、将棋講座の講師のものかと思いきや、前年のNHK杯優勝者のものである。今回は、羽生善治名人。
ところで、さすがNHKは、棋士の肩書にもこだわって、扇子にも「NHK杯選手権者」って書いてある。番組でも「羽生エヌエイチケイセンシュケンシャ、持ち時間を使い切りましたので、これよりの…」とか、記録係が律儀に言わされてるし。
肩書はともかく、今回の揮毫は「青山常運歩」。訓読みというか、読み下しかたは知らない、「せいざんじょううんぽ」でいいんだろうか。
意味は、禅の方の言葉らしく、よくわからないんだけど、まあ「山は(動かないもののようだけど)常に歩いてる(だから動かないと思い込むなかれ)」くらいの感じらしい。自信ないけど。
実は、扇子当たったの、2回目で、2年前にももらったことがある。

↑ 佐藤康光「坐忘」 (あ、扇子の文字は、ふつう右から左ね。前に島朗九段が「感性」って書いて誤解されそうになったという逸話ありますが。)
坐忘(ざぼう)は、gooの辞書で検索しても意味書いてある、「雑念を去り、身心・物我の区別を忘れて現実を超越すること。」
どうでもいいけど、NHKから送られてくる扇子は、縦長の封筒に入って郵便で来るんだけど、なかに入ってるお手紙が丁寧です。
無断引用しちゃうと、  >この度は、「将棋の時間」(○月○日)の詰将棋出題にご応募いただき、ありがとうございました。正解者多数の中から厳正に抽選しました結果、貴方様が、めでたく当選なさいました。記念の扇子をお送りいたしますのでお納めください。今後とも末永く「将棋の時間」をご視聴くださいますようお願い申し上げます。NHK「将棋の時間」係 ときたもんだ。“貴方様がめでたく当選なさいました”なんて、なかなか言えないよ。
NHKといえば、集金人(って呼んでいいのか?)に良い感情を持ってない私だが、こういうのもらえば末永く視聴してもいいかなって気になる。(どうでもいいけど、NHKの懸賞に応募したら、やっぱ住所氏名は受信料払ってるか調べるのに使うのかな?)
閑話休題。
扇子は、プレゼント当たるのを待ってるだけぢゃなくて、ちゃんと自分でも買ってはいます。
でも、最近買ってないな、よく買ってたのは2001年から2005年くらいの間か。将棋よく指してたころだ。
ふだんからバタバタ使ってると、使い方荒いんで、だいだい一年くらいでボロくなっちゃう。
将棋指すだけぢゃなくて、私はどこ行くんでも、上着の内ポケットか、ズボンの左後ろポケットに扇子さして歩ってる。
ちなみに、将棋指すときは、目の前でパタパタやるとウザイ(自分が相手にやられると嫌だ)ので、閉じて膝の上でジーッと持ってます。
で、将棋連盟の出してる人気棋士の扇子ってのは、だいたい一年に一回揮毫が更新されて新しいのが出るんで、年に一本くらいは買います、買ってました。
「どこで売ってんの?」とかよく聞かれましたが、東京だと千駄ヶ谷の将棋会館いけば一階の売店で売ってます。値段は1800円くらい、たしか。まあ、直筆とかぢゃなくて、プリントのものですから。

↑いまの普段使い 谷川浩司「竜驤虎視」
基本的に谷川九段ファンなんで、扇子は谷川九段のものをよく使います。
でも、これは3年くらい使ってるから、かなりボロボロになってきた。(いま調べたら、谷川「棋王」だったのは2003年だ。ただ、買ってすぐ使い始めないことも多いけど。)
竜驤虎視(りゅうじょうこし)は、goo四字熟語にいわく、『竜やとらのように意気が盛んで、権力をもち世の中を威圧すること。▽「驤」は躍り上がること。「虎視」はとらが鋭い目つきで獲物をにらむこと。「竜」は「りょう」とも読む。』
こういうの開くと「何て書いてあるの?何て意味?」って聞かれるんだが、説明が難しいのはウケないね。驤の字なんて、私だって、この扇子もつまで見たことなかった。

↑これは、現在のよそいき 羽生善治「修養」
よそいきってのは、上の竜驤虎視がちょっとボロボロなんで、もうちょっとキレイなのを持ったほうがよい席に持ってくもの。ただ、こうやって2本を使いわけると、寿命は延びますね。
「修養」は、普通の熟語ですね。あまり日常会話ぢゃ使わないけど。
羽生の肩書、「名人」になってるけど、これは現在ぢゃなくて、前に名人だったときのもののはず。調べたら2003年か、これも。
これは買ったんぢゃなくて、何かで当たったんだと記憶してる。(もしかすると懸賞のついでに、「将棋世界」の間違いを指摘したのに対して送ってくれたんだったか。)

↑一代前の普段づかい 佐藤康光「道在近」
2007年くらいまで愛用してた。使い古してボロボロになると捨てちゃうんだけど、これは気に入ってるので捨ててない。
買った時は、なんか在庫入れ替えの時期だかに、安売りしてたから買ったんだったかな。まあ、当時佐藤康光の序盤戦術に魅せられてたのは確かですが。
「道在近」は「道は近きに在り」と読んで、ほんとは下の句の「しかるにこれを遠きに求む」とセットですね。
道ってのは、「人の道」のことなんで、まあだいたいの意味としては、「人間として、より良く生きるための道は、身近なとこにあるんだけど、人ってのは背伸びして遠く手の届かないことばっかしようとするんだよね、まずは今できることからしようよ」って感じですか。
これは、よく「何て書いてあるの?どういう意味?」って聞かれた一本。
ちなみに、康光先生の落款(向かって右上のハンコ)11月19日修正:「落款」は左下、右上は「遊印」は、「緻密」って書いてあります、緻密流。谷川九段は「棋道」、羽生名人は「雲鶴」。

↑フェイバリットの一本 谷川浩司「月下推敲」
「げっかすいこう」、意味は「推敲」と同じなんでしょうが、「月下」の文字が入ると俄然カッコいいですな。
「僧は推す 月下の門」と「僧は敲く 月下の門」のどっちが詩としていいか考えたのが推敲のいわれ(だっけ?)。

↑もう一本、お気に入り 谷川浩司「自我作古」
これは「じが、さくこォ?」とか音読みしないでいただきたい。
「われよりいにしえをなす」と読む。
「前例にとらわれず、手本になるような事を自分から作り出す意味」(扇子の袋の説明文から)
人真似のコピー将棋なんか指さないで、自らが新しい定跡となるようなものを作り出す、って感じがカッコいいですね。
以上の二本は、前に一年ずつくらい実用に使っててボロボロにしちゃって捨てたんだけど、新しいの買い直してコレクションとして持っている二代目のもの。

↑谷川浩司「光速」
光速流なんで、光速。基本の一品だけど、あんまりヒネリがないんで、私的には「自我作古」とかのほうが気に入ってます。

↑公式戦1000勝達成記念 谷川浩司「千里飛翔」
2002年のものですね、たしか限定生産だったんで、つい買っちゃいました。(当時、滋賀に住んでて、大阪で買った。)
これは、ホネの色とか違うように、ちょっと特製で高いやつ。

↑渡辺明「大望」 2005年のものかな、渡辺竜王の扇子。
これは買ったんぢゃなくて、たしか将棋盤買ったときのオマケでもらったやつ。
それにしても、渡辺竜王って、年々字がうまくなってきたと思います。
ということで、いろいろ持ってますが、新しい扇子って、イイ香りがするのが魅力的です。
仰がないで、閉じて先端をハナの頭に当ててるだけで、落ち着いていい気分になるんで、やめられないなー。

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