じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

司馬遼太郎「戦国の忍び」より

2024-02-29 15:18:12 | Weblog

★ 中学校の学年末テスト2日目終了。あと1日を残すのみ。公立高校中期テストまでは、あと6日だ。いよいよ大詰め。

★ NETFLIXドラマ「忍びの家」を観た。世界でも人気らしいが、確かに面白かった。服部vs風間。アクション、殺陣。そして家族愛のドラマだった。続編もありそうな感じで終わった。

★ 忍者(忍者とは言わず「忍び」と言うらしい)と言えば、サスケ、カムイ、ナルトを思い浮かべるが、その特殊能力を生かし、乱世に貢献するも結局は使い捨てられていく。

★ 忍者にちなんで、司馬遼太郎さんの「戦国の忍び」(PHP文芸文庫)から「下請忍者」を読んだ。忍者にもいろいろな家柄、グループがあるが、今でいうプロダクションのようなものか。元締めが武家から仕事を請け負い、それに応じて下忍を派遣する。そこに介在するのはカネだけで、忍者に敵も味方もないという。

★ 「下請忍者」は、伊賀を出奔した与次郎という男が主人公。抜け人は死罪が掟。とはいえ、忍びの世界でも若い働き手が不足し、このままいけば、もはや働けない老いた忍者の生活もままならない。なんとか穏便に済ませられないかと画策するのだが。

★ 「忍びの家」は、主人公を自らプロデュースに名を連ねる賀来賢人さんが演じる。父親役は江口洋介さん。母親役は木村多江さん。亡くなったと思われていた兄役を高良健吾さんが演じている。

★ 江口さん、家族と言えば、「ひとつ屋根の下」を思い出す。

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小池真理子「一炊の夢」

2024-02-25 15:53:17 | Weblog

★ 社会の学年末テストに時事問題が出題される。期間は1月1日から2月22日までとのこと。予想問題をつくるため、この2か月を振り返ってみた。

★ まず、1月1日の能登半島の地震は外せない。能登半島が何県なのか、あるいは地図中で半島の場所を書かす問題が出るかも。

★ 日本の無人月面探査機も出そうだ。「スリム」という名前を覚えること。GDPがドイツに抜かれて世界で4位になったことも押さえておきたい。新たに「指定野菜」となったブロッコリーはどうだろうか。

★ 人物では、ゴールデングローブ賞を受賞した「君はどう生きるか」の宮崎駿監督。先ごろ亡くなった世界的な指揮者、小澤征爾さんあたりかな。

★ 日経株価がバブル後最高値を更新したことも出るかも。バブルと言っても、今の中学生には実感がないだろうけれど。宇治市立の学校ということでNHK大河ドラマ「光る君へ」に関する問題が出るかも。吉高さんが演じる主人公は誰かのような。

★ さて読書の方は、坂木司さんの「目撃者」(「短劇」光文社文庫所収)、東川篤哉さんの「早業殺人に必要なもの」(「超短編!大どんでん返し」小学館文庫所収)と小池真理子さんの「一炊の夢」(「玉虫と十一の掌編小説」新潮文庫)を読んだ。

★ この中では小池さんの「一炊の夢」が面白かった。主人公の女性は能登半島の海の見える小さな宿に宿泊する。そこでふと初老の男性と再会する。

★ 決して親しいわけではない。かつて列車で乗り合わせただけである。ただその時、男性が持つふろしき包みから邯鄲(カンタン:スズムシとコオロギの仲間)の鳴き声が聞こえてきたので、言葉を交わしたことがある。

★ 偶然の再会とはいえ、女性は失恋の痛みを抱え、男性も何か心に抱えているようで、二人は居酒屋で食事をすることになった。若い女性と初老の男性が居酒屋のカウンターでしんみり飲む様子は川上弘美さんの「センセイの鞄」のようだ。

★ 決して大きな事件が起こるわけではないが、小池真理子さんの文章にしっとり溺れてしまう。

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知念実希人「天久鷹央の推理カルテ」より

2024-02-24 21:43:42 | Weblog

★ とにかく忙しい。体を動かく仕事ではないので肉体的には楽だが、次から次と塾生が来るので、ずっと拘束された感じ。試験が終わればこんな日が懐かしくなるのだが。

★ こんな日は軽い作品。知念実希人さんの「天久鷹央の推理カルテ」(新潮文庫)から「泡」を読んだ。

★ 27歳の診断医。見かけは女子高生のようだが、謎を解く能力は天才的。そんな彼女が、病気の原因と共に事件も解決していく。

★ 「泡」は、小学生の奇怪な体験がきっかけ。少年は暗い沼でカッパを見たというのだ。少年には夜盲症の症状はあるものの、それだけではカッパの正体はわからない。早速、部下の小鳥遊(タカナシと読む)医師と沼に向かう。そこで目撃したのは・・・。

★ 「ドクター・ハウス」というドラマがあったが、病気の治療は、まずは診断から。病気も事件も、データを積み重ね推理していくところは共通しているようだ。

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江戸川乱歩「指」

2024-02-23 19:35:59 | Weblog

★ 3連休の第1日目。とはいえ、相変わらず高校受験対策と学年末テスト対策で1日が終わる。あと12日で、この生活から解放される。

★ さて今日は読了本がなかった。今読書中なのは、

  司馬遼太郎「梟の城」(新潮文庫) なかなか重厚な物語。人物の描写はさすが司馬さんだ。

  中島京子「夢見る帝国図書館」(文春文庫) 帝国図書館をめぐる物語

  村上龍「半島を出よ」(幻冬舎文庫) 近未来、経済危機に陥った日本に北の特殊部隊がやってくる。

  川上未映子「黄色い家」(中央公論新社) 15歳の少女が、母親と同年代の女性と暮らし始める。

  川﨑秋子「ともぐい」(新潮社) 一人、猟をして生きている熊爪。放浪する熊に襲われ腰を痛める。

  篠田節子「聖域」(講談社文庫) 出版社に勤める男が「聖域」という作品を書いた謎の作家を探す。

  永瀬隼介「閃光」(角川文庫) ある死体。それには「3億円事件」がからんでいるようだ。

  堂場瞬一「メビウス」(河出文庫) 学生運動過激派だった男が42年ぶりに東京に帰ってきた。

  米澤穂信「氷菓」(角川文庫) 高校に進学した男性。姉の指示で「古典部」に入る。

  髙村薫「李歐」(講談社文庫) 大阪大学の学生。これから話が広がりそうだ。

★ どれもなかなか面白い。ついでに短い作品、江戸川乱歩の「指」(青空文庫)を読んだ。

★ あるピアニストは何者かに襲われ手首を失った。ピアニストにとっては致命傷だ。親友の主治医はそのことを告げられないままにいた。ピアニストは毛布の上でピアノを弾く指使いをする。すると・・・。

  

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葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」

2024-02-22 16:50:06 | Weblog

★ 公立高校の前期入試の合格発表があった。全日制普通科定員のうち、およそ30%が決まる。今や高校進学率がほぼ100%で、公立高校の競争率もほぼ1.0倍の時代。前期で受からなくても、ほとんどの生徒が中期で合格する。

★ ではなぜ前期をするのかというと、世の中の私学志向に対抗するため。将来、国公立等の難関大学に合格しうる生徒を私学に奪われないようにするための公立の防衛策だ。理念というよりは方便。

★ 私の時代、京都府は高校三原則(小学区制、男女共学、総合制だったかな)で、それでも高レベルを維持していたが、いつの間にか私学に抜かれ、府政が革新から保守に変わる中で諸々の改革は行われてきたが、すっかり理念が失われ、後期中等教育の改革は難しそうだ。

★ 中島京子さんの「夢見る帝国図書館」(文春文庫)、川﨑秋子さんの「ともぐい」が熊文学なら、こちらは図書館文学か。帝国図書館自体が一つの主人公だ。

★ 作品はまだ200ページを過ぎたあたりを読書中。帝国図書館(名称は変遷しているが)は、多くの文豪が利用しているが後のプロレタリア文学者、宮本百合子さんの使用していたようだ。

★ プロレタリア文学は文学史では学ぶが、実際は小林多喜二の「蟹工船」嫌いしか読んだことがない。とはいえ、宮本百合子さんの作品は長いので、今日は葉山嘉樹さんの「セメント樽の中の手紙」(青空文庫)を読んだ。ごく短い作品だが、なかなか良かった。

★ 主人公の松戸与三はセメント工。セメントをミキサーにあける仕事をしている。鼻の穴に詰まったセメント塊を取り出す暇もないような過酷な肉体労働をしていた。近々7人目の子が生まれるとあって、稼がねばならない。

★ そんなある日、セメント樽の中に頑丈に釘付けされた箱を見つける。中を開けてみると手紙が入っていた。その手紙はセメント工業の女工のもので、セメント工場で機会に巻き込まれ、セメントと同化してしまった恋人のことを思い、彼が姿を変えたセメントがどのように使われたのかを知らせてほしいという内容が書かれていた。

★ 彼女の切実な訴えに心を動かされた与三の心の揺れが印象的だ。

☆ 作品は大正15年の作品なので、日本の資本主義がまだ興隆期の時代だ。それからいろいろあって、今日の日経株価はバブル後最高値に達したという。貨幣価値の変遷があるので一概に比べられないが、株価だけを見る限り景気がよさそうだ。しかしまったく実感がない。

☆ 一体、誰がこの恩恵を被っているのだろうか。一方で円安が進行中。石油や小麦などの輸入が高騰するのではと心配だ。

 

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越谷オサム「陽だまりの彼女」

2024-02-21 02:09:15 | Weblog

★ どんよりした朝。陽光を浴びないのでセロトニンが分泌しない。お天気同様、気持ちは晴れないが、午前中は月に1度の健康診断。血圧等の薬をもらってくる。

★ 仕事柄か、午後から少しずつ意欲が高まってきた。高校入試に中学1・2年生の学年末テスト対策。今まで「ぼーっ」としていた塾生たちも、今回は意欲が湧いてきた様子。

★ さて今日は、越谷オサムさんの「陽だまりの彼女」(新潮文庫)を読んだ。

★ 広告代理店に勤める奥田くんはクライアント先で、10数年ぶりに初恋の彼女と再会する。彼女の名前は渡会真緒。中学生の時に転校してきて、勉強が苦手なせいか、クラスのやんちゃな女子たちからいじめられていた。それを見かねて彼女を助けた奥田くん。二人は付き合うことに。

★ ところが、卒業を待たず奥田くんは転校。二人の関係はいったんそれで終わっていた。

★ 再び燃え上がる二人。親の心配もよそに、駆け落ち同然で入籍。新婚生活を始める。ここまではとてもホットな恋愛小説。しかし、真緒にはある秘密があったのだ。

★ 人魚姫を思わせる展開にびっくりする。

★ この作品は2013年に映画化されている。映画では真緒役を上野樹里さん、奥田くんやくを松本潤さんが演じている。そして二人の中学生時代を、葵わかなさんと北村匠海さんが演じている。

★ 上野さんは、あてがきされたのではと思うほどピッタリのキャスティングだった。葵わかなさんもかわいかった。映画のエンディングは心が温まる。

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堂場瞬一「蒼の悔恨」

2024-02-19 18:06:14 | Weblog

★ しとしとと雨降り。少しずつ季節が移り変わっていく。

★ 今日は、堂場瞬一さんの「蒼の悔恨」(PHP文庫)を読み終えた。神奈川県警捜査一課のはみだし刑事、真崎薫。連続殺意犯を追い詰めるが不覚にも負傷し取り逃がしてしまう。

★ 傷は徐々に癒されていくが、本部からは休職のお達し。マスコミの手前、体よく追い払われたのか。

★ 真崎は、同じく負傷した赤澤奈津と犯人を追い詰めていく。

★ オーソドックスな展開だが、ちょっぴり裏の事情があったり、恋バナがあったり、おいしいそうな料理が出てきたり。終盤の格闘シーンは迫力があった。

★ 最近少なくなったが、ワイド劇場を観るような感じだった。

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高橋弘希「送り火」

2024-02-18 16:20:36 | Weblog

★ ドラマ「不適切にもほどがある」は面白いが、だんだん人間関係が複雑になってきた。それにしてもコンプライアンス(とりわけジェンダーについて)ばかり言っていると、昭和の演歌や歌謡曲はほとんどが不適切になってしまうかも知れないなぁ。

★ さて今日は、高橋弘希さんの「送り火」(文藝春秋)を読んだ。

★ 都会から地方に転校した中学生が主人公。風習の違いを実感しながらも、友達ができて、それはそれで楽しい生活を過ごしていた。

★ 前半は児童文学のような、長閑ささえ感じる。

★ ところが100ページを超えたあたり、第4章から空気がガラッと変わる。前半からは想像もつかないような暴力が次から次と描かれる。人間の内奥にある毒々しさが爆発する。

★ 倫理的、道徳的には多くの問題をはらんでいるが、物語としてはこの第4章が迫力があって、一番面白かった。

★ 第159回(2018年)、芥川賞受賞作。

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内田英治「ミッドナイトスワン」

2024-02-17 18:30:05 | Weblog

★ 中学3年生の土日特訓もあと3回。今日は公立高校中期試験の過去問をやった。全員合格点に達している。この調子であと19日頑張ってほしい。

★ さて今日は、内田英治さんの「ミッドナイトスワン」(文春文庫)を読んだ。

★ 凪沙はニューハーフ。男の体ながら心は女。今は歌舞伎町の店で、白鳥のコスチュームを身に着け踊っている。LGBTの時代ながら、まだ「おかま」と物珍しくみられることもたびたび。とはいえ、そんなことを気にしていても仕方がない。手術をして女性の体を得るために必死でお金を稼いでいる。

★ そんなある日、親戚筋から一人の女の子、一果を預けられる。中学1年生だという女の子は母親の虐待で心を閉ざし、それを見かねた親戚たちが話し合って、凪沙に預けることになったのだ。(親戚の人々は凪沙がニューハーフであることを知らない)

★ 短気間とはいえ、心を閉ざした少女を預かることになった凪沙。迷惑この上ない。一果は転校先の学校でも浮いた存在だったが、ただ一つ、彼女はバレエの才能に恵まれていた。

★ バレエの友人にも恵まれ、一果は明るさを取り戻しつつあったが・・・。

★ エンディングは美しくも悲しい。

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芥川龍之介「魔術」

2024-02-16 15:51:38 | Weblog

★ 京都府の公立高校、前期入試が終わった。次は3月7日の中期試験。これで今期の受験対策が終わる。

★ 話題のSFベストセラー「三体」が実写化され、来月ネットフリックスで公開されるという。物理学、哲学、それにミステリーが絡んで面白そうだ。

★ さて今日は、中島京子さんの「夢見る帝国図書館」(文春文庫)で紹介されている芥川龍之介の「魔術」(青空文庫)を読んだ。

★ 主人公「私」はある友人(谷崎潤一郎だという)から紹介されたインド人、マティラム・ミトラ氏の家を訪れる。彼は、バラモンの秘法を学び、その魔術を「私」に見せてくれるという。

★ この魔術、一種の催眠術だというが、「私」は不思議な体験をする。この魔術は誰にでも使えるとミトラ氏は言う。但し条件は欲を捨てること。そこで「私」は教えてもらうことにしたのだが、最後は思わぬどんでん返しが待っている。

★ 欲などそう簡単には捨てられるものではない。

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