★ 18歳は今や「成人」だが、子どもと大人の間の微妙な時期だ。多くが高校3年生で18歳となる。中上健次さんの「十八歳、海へ」(集英社文庫)から「十八歳」を読んだ。
★ 「十八歳」はある若者たちのエピソードを描いている。短い作品ながら、さらに「歌」「川」「断層」「恋」「幸運」「仲間」「十八歳」の章に分かれる。
★ 「歌」では、体は大人だがまだ精神的には幼児性が残っている男子高校生の日常が描かれている。「川」は死を身近に感じたエピソードを回想している。「断層」は家族の問題、「恋」では文字通り恋愛を描いている。
★ 「幸運」は初デートの風景と思いがけず他のグループから暴行を受けたことを、「仲間」はその仕返しに向かった仲間たちが遭遇した事件、そして「十八歳」ではベトナム戦争という世相を背景に、迷える18歳を描いている。
★ 「なにもかも、俺は知ってるんだ。なにやったって駄目さ」という独白が心に響く。
★ 藤田敏八監督の「八月の濡れた砂」をイメージしながら読んだ。藤田監督はこの作品集の「隆男と美津子」を映画化しているという。機会があれば見てみたいと思った。
★ 1965年から70年。高度成長のピークからはや50年以上。世の中がすっかり変わってしまった気がする。一方で科学技術は進歩しても、人間の精神はさほど進化していないようだ。高校の国語教材に載っていた長谷川眞理子さんの「ラップトップを抱えた『石器人』」を思い浮かべる。
★ 「十八歳」はある若者たちのエピソードを描いている。短い作品ながら、さらに「歌」「川」「断層」「恋」「幸運」「仲間」「十八歳」の章に分かれる。
★ 「歌」では、体は大人だがまだ精神的には幼児性が残っている男子高校生の日常が描かれている。「川」は死を身近に感じたエピソードを回想している。「断層」は家族の問題、「恋」では文字通り恋愛を描いている。
★ 「幸運」は初デートの風景と思いがけず他のグループから暴行を受けたことを、「仲間」はその仕返しに向かった仲間たちが遭遇した事件、そして「十八歳」ではベトナム戦争という世相を背景に、迷える18歳を描いている。
★ 「なにもかも、俺は知ってるんだ。なにやったって駄目さ」という独白が心に響く。
★ 藤田敏八監督の「八月の濡れた砂」をイメージしながら読んだ。藤田監督はこの作品集の「隆男と美津子」を映画化しているという。機会があれば見てみたいと思った。
★ 1965年から70年。高度成長のピークからはや50年以上。世の中がすっかり変わってしまった気がする。一方で科学技術は進歩しても、人間の精神はさほど進化していないようだ。高校の国語教材に載っていた長谷川眞理子さんの「ラップトップを抱えた『石器人』」を思い浮かべる。