じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

東野圭吾「十年目のバレンタインデー」

2021-11-30 16:54:58 | Weblog
★ 昔、ドラマ「古畑任三郎」で若手の人気落語家(それも師匠筋の息子で「若旦那」ともてはやされていた)が陰気な先輩落語家(落語は面白くないが創作の才能はある)のネタを盗むというエピソードがあった。

★ 東野圭吾さんの「十年目のバレンタインデー」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 プロポーズ」講談社文庫所収)を読んだ。この作品の主人公は今や人気の作家。この作家に10年前、突然別れを告げられた元彼女から連絡があった。10年目のバレンタインデーを一緒に過ごさないかという。彼女に未練が残っている作家は、約束のレストランに喜び勇んで出かけて行った。そこで明かにされる10年前の突然の別れの真相。そして作家は・・・。

★ 派手さはないが、作品に引き入れられる。ベストセラー作家のオーラなのか。

★ ランチのお供はドラマ「時効警察」第1シーズン(2006年)。以前1度見ているはずなのに、15年もたつとストーリーを忘れているものだ。当然ながら役者さんはみんな若い。第6話で高校生役の吉高由里子さんはそのままな感じだし、第5話の東幹久さんは熱い男を演じられていた。長渕剛さんのパロディーだね。

★ ふと何の脈絡もないが、アデランスの古いCMが浮かんできた。「カツラは誰でしょう」というやつ。新庄さん、山口さんと東さんがダンスを踊っていたなぁ。

★ おまけに立憲民主党の代表選。自民党の代表選と関心度は雲泥の差だ。絶対多数の第1党と第2党とはいえ自民党の派閥に毛の生えたような弱い野党では仕方がないか。早晩、路線変更し、共産党との選挙協力は白紙に、一方で国民民主党と接近していきそうな気がする。(改めて弱小グループの寄せ集めということが露呈した)

★ 政権奪取はまだ当分先のこと(自民党が分裂でもしないと無理かな。「反対」政党から脱却して、目指すべき国家像や政権構想を明確にしないとね)。それまでは自民党内の疑似政権交代が続くのかな。維新と公明の力比べはこれから面白くなりそうだけれど。
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芦沢央「許されようとは思いません」

2021-11-28 23:28:13 | Weblog
★ 日曜特訓無事終了。中学生の期末テストが終わり、今は高校の期末テスト対策。そのせいか、高校生の問い合わせが増えてきた。それにしても高校の勉強は難しい。数学や化学が難しいのは昔からだが、ここ数十年で生物の難化が著しいように思う。

★ さて、今日は芦沢央さんの「許されようとは思いません」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 プロポーズ」講談社文庫所収)を読んだ。

★ 祖母が殺人を犯したことで、結婚に踏み切れない男を追いながら、なぜ祖母が殺人を犯さねばならなかったのかに迫っていく。今なお残っているのだろうか、ムラ社会。閉鎖性ゆえに、よそ者への差別があり、村八分の慣習があった時代の話。

★ ムラ社会の陰湿な一面は、スクールカーストが存在する「学校」という社会に居座っているようだ。

★ 「許されようとは思いません」、これは法廷で祖母が語った言葉だという。この意味するところは・・・。森鷗外の「最後の一句」のように心を刺す。

★ 夜はドラマ「日本沈没」を観る。いよいよ終盤に向かう。日本人は流浪の民となってしまうのか。
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下村敦史「死は朝、羽ばたく」

2021-11-27 14:17:12 | Weblog
★ 土曜特訓、日曜特訓、今日からは各自の志望校に合わせて過去問にチャレンジしている。実際の問題と対面して、どう感じてくれるやら。

★ 下村敦史さんの「死は朝、羽ばたく」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 アクロバティック」講談社文庫所収)を読んだ。札幌刑務所から出てきた男。彼を待ち構えていたかのように若者3人が声をかける。どうやら「前科者」をネタに強請る気らしい。

★ 物語は二転三転する。ストーリーの構成がうまい。「死刑制度」という重いテーマを扱っているが、ムダな修飾がなく、淡々と語っているので読みやすい。下村さんの長編作品も読んでみたいと思った。

★ 南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が見つかったという。ヨーロッパの再拡大も深刻だ。日本の第6波は1月中頃か。新たな変異株の出現でワクチンの効果が薄れるとも。WHOは変異株にオミクロンと命名。ネット上では「尾身クローン」などと早くも賑やかだ。洒落てるうちは良いのだが。

★ 原油をはじめとしてジワジワとインフレが始まっている。国債残高は1000兆円と天文学的になってきた。緊縮財政か、ハイーパーインフレか。どっちに転んでもまずは弱者からたおれそう。訳のわからないバラマキをやっている場合ではないのだが。「いのち」か「経済」か。ドラマ「日本沈没」のセリフのような日々が続く。
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加納朋子「座敷童と兎と亀と」

2021-11-26 21:13:01 | Weblog
★ 中学校の期末テストが終わって、束の間の休息。今日の教室は生徒も少なく嘘のように静かだ。しかし、期末テストが終われば次は冬期講座。早速「ちらし」を仕上げ、配布を始めた。12月24日から1月6日まで。世間ではクリスマス、お正月とハッピー気分だが、この業界はここが勝負。さすがに生徒が来ない元旦と2日は休みにしたが、3日から授業だ。

★ 気合を入れ直し、今日は加納朋子さんの「座敷童と兎と亀と」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選 アクロバティック」講談社文庫所収)。ミステリー小説というとどうも殺人だと何だのと悲惨なものが多いけれど、この作品はスリリングながらほっこりするものだった。

★ 若奥さん(といってももはや長男は大学生、次男は高校生だが)が接骨院で出会った亀井のおばあちゃん。ご主人が脳梗塞で入院中に亡くなったという。残されたおじいさん。ある日突然に、若奥さんの家を訪ねてきた。「座敷童がでるから、一度家に来てほしい」というのだ。お化けが苦手な若奥さん。身長180センチの次男を連れておじいさんの家を訪ねてみれば・・・。

★ 脳梗塞の後遺症で片方の知覚を失ったおじいさん。それを助ける「ババーズ」の活躍が温かい。何より若奥さんの奮闘ぶりに感動する。個人主義の世知辛い時代だけれど、こんなネットワークがあったらいいなぁと思った。

★ 加納さんの文体はとても優しい。他の作品も読んでみたいと思った。

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映画「居眠り磐音」

2021-11-25 00:43:20 | Weblog
★ 期末テスト前日。愛知県の中学生の事件は驚いた。生徒たちの間で既に話題になっていた。類似事件が誘発されないことを祈りたい。それにしても、ここ数日血生臭い事件が多い。いったいどうしてしまったのか。

★ 夜、映画「居眠り磐音」(2019年)を観た。先日読んだ北方謙三さんの対談記事で佐伯泰英さんの話題が上がっていた。今では時代小説のシリーズを何冊も出されているが、若い頃は随分と苦労をされていたようだ。引退勧告とも受け取れる時代物への転向が、ベストセラー作家への門を開けたのだから、人生は面白い。

★ 幼なじみの若いサムライ3人が、3年間の江戸勤務を終え、国許(九州の小藩)へ帰る。藩政改革に、そして愛する女性へと心は踊る。しかし、理不尽にも陰謀に操られ、3人は切り合うことに。義理の兄になるはずであった友を切った磐音は、藩を離れ江戸で浪人暮らし。そこでの出来事が主なストーリーになっていた。

★ フィクションとはいえ切ない物語だった。磐音役の松坂桃李さんが良い感じだ。結ばれなかった許嫁役の芳根京子さんは可愛い。柄本明さんの憎々しい演技も忘れられない。

★ さて、期末テスト対策はあと1日。それが終われば中学3年生はいよいよ受験に向けてラストスパートだ。気を抜かずに、気合を入れて頑張りたい。
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梶井基次郎「路上」

2021-11-23 22:55:38 | Weblog
★ 先日の京都産業大学公募制推薦「国語」の問題、飯田隆さんのエッセイとともに出題されていたのが梶井基次郎の「路上」の一部。ということで、梶井基次郎「檸檬」(新潮文庫)から「路上」を読んだ。

★ 友人の家に行くのに見つけた近道。それは道とはいえないような赤土の土手。その日もいつものようにこの「道」を通っていたが、赤土がぬかるんでいて、坂道を転げ落ちてしまった。このままでは崖の下まで落ちるのではと慌てる自分と意外と冷静な自分。結局、事なきを得たのだが、何かしら夢のような出来事だったという。ただ、どういうわけか鞄に入った泥の塊だけが現実の出来事であることを教えてくれている、という話。

★ 作者が坂道を滑り落ちている光景を想像するとおかしかった。その光景を誰かが見たのではないかとあたりを見回すところはさらに面白かった。

★ あと、鈴木輝一郎さんの「裏切りの遁走曲」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選41」講談社文庫所収)を読んだ。葬儀をめぐる人間模様。タクシー会社の特殊自動車部(霊安車で病院から遺体を運ぶ)を取り仕切る男が遭遇した出来事。葬儀で引き起こされる愛憎劇。普段知ることのない仕事が興味深かった。

★ さて、今日も10時~10時で期末テスト対策。期末テストまであと2日。ヨーロッパ、特にドイツやオーストリアで新型コロナが再拡大らしい。遠からず日本にも広がってくるだろうなぁ。



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ヘミングウェイ「老人と海」

2021-11-22 11:11:38 | Weblog
★ 土曜、日曜と2日連続で期末テスト対策。さすがに疲れて昨日は早寝をした。近隣の中学校の期末テストは25日と26日。あと4日間はこの生活が続く。

★ 夜、まずは「日本沈没」第6話を観た。第2部のスタート。関東沈没が小規模に終わって、政府そして日本未来推進会議の面々は復興に重点を移す。しかしそんな中、日本列島に異変が・・・。だんだん原作に近づいていくのかな。

★ その後で、録りだめしてあったNHK「100分de名著」でヘミングウェイの「老人と海」を観る。原作は読んでいたが、改めて本棚から取り出し、パラパラとめくっていると、とても魅力的な文体だ。「かれは年をとっていた。」(福田恆存訳)で始まる。名著はやはり書き出しだ。「きょう、ママンが死んだ。」(カミュ「異邦人」窪田啓作訳)。「メロスは激怒した。」(太宰治「走れメロス」)、「山椒魚は悲しんだ。」(井伏鱒二「山椒魚」)など。

★ 自然は時に厳しく、時に温かい。老人はカジキとそしてサメと戦いながら、苦痛とともに恍惚を感じているようだ。自然との格闘、それが老人にとって「生きる」ということだったのだろう。

★ ヘミングウェイを想うとき、北方謙三さんをイメージしてしまう。講談社のホームページ、「現代ビジネス」のページに、北方謙三さんと島地勝彦さんの対談記事が載っている。読むととても面白かった。北方さんの文学の魅力が会話の中からあふれ出ているように感じた。

★ 塾生が京都産業大学の公募制推薦を受験し、その問題用紙を持ってきた。哲学者、飯田隆さんの「哲学と『哲学の言葉』」からの出題だった。哲学とどう向き合うか、といった入門的な文章だが、出題された部分は少々難解だった。著者はかみ砕いて説明されているのだが、読者がなかなかそのレベルまで到達できない。まして、試験問題なので設問が課される。解釈など本来は人それぞれなのだが、それでは客観テストには適さない。結局、出題者の「読み」に合致したものが正解となるのだが、それだけで終わるのはもったいないように感じた。

★ 論稿の最後に掲載されている「哲学的言語分析の三原則」、①漢字熟語を分析の対象としてはならない。②語を単独で考えてはならない。③定義を目指してはならない。興味深いが、このテーゼの意味するところを考えるでもなく、ぼんやり眺める。私にはまだ基礎学力が不足しているようだ。

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冨士本由紀「氷砂糖」

2021-11-20 19:06:10 | Weblog
★ 今日は朝の10時から期末テスト対策。これから夜の10時まで、まだまだ授業は続きます。

★ 授業の合間に冨士本由紀さんの「氷砂糖」(日本推理作家協会編「ミステリー41」講談社文庫所収)を読んだ。夫と幼い息子と3人家族。妻は30代も半ばを越え、家事と子育てに嫌気がしていた。雨に追われるようにしてふと入った喫茶店。そこでかつての恋人らしきマスターと出会う。

★ 若い頃、男はやんちゃで、夢ばかり追っていた。二人してアラスカに行こうと言った。しかし、結局は人を傷つけ刑務所に。彼女のもとへは二度と帰ってこなかった。そして、彼女は他の男と家庭を築いた。

★ 日常に飽きていた女は男の出方を探る。夫や子どもを残して逃避行へと旅立つかも。しかし・・・。

★ ミステリーというよりは純文学だが、確かにスリリングだ。作品に引き入れられるのは筆のうまさか。
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香住泰「隠蔽屋」

2021-11-19 15:08:13 | Weblog
★ 昨日はボージョレ・ヌーヴォが解禁というので早速飲んでみた。うーむ、いつも500円未満のワイン(ワインとジュースを混ぜたようなもの)を飲んでいるので、それに慣れてしまって、うまいのかどうなのか、わからない。

★ さて、読書は香住泰さんの「隠蔽屋」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選41」講談社文庫所収)を読んだ。香住さんの作品は初めてだ。企業や政治家・官僚の不祥事を隠蔽する政府の秘密組織の話。お助けするかどうかは、社会への影響をポイント換算してという。

★ 贈収賄事件などで、警察・検察が真相解明まであと一歩まで近づきながら、キーマンが自ら命を断ったり不審死で、真相は霧の中ってことがあったように思う。勘繰れば、その背景で「隠蔽屋」のような組織が動いていたのかも知れない。(「モリカケ」疑惑や桜を見る会は結局どうだったのかな)

★ エンディングは想定内だったが、阿刀田高さんのようなブラックユーモアを感じだ。
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歌野晶午「烏勧請」

2021-11-17 13:18:13 | Weblog
★ 塾生にジャニーズWESTの小瀧望さんのファンがいる。その小瀧さんがドラマで主演を務めるというので、そのアニメ版を観ている。「鹿楓堂よついろ日和」(原作、清水ユウ)。

★ 4人のイケメンが営む和風喫茶「鹿楓堂」。なくてもいいけど、あったらホッとするようなお店を目指している。老若男女を問わず、このお店を訪れてはほっこりした時間を過ごすというもの。第1話を観て、みたらし団子がどうしようもなく食べたくなった。

★ さて、読書は歌野晶午さんの「烏勧請」(日本推理作家協会編「ミステリー傑作選41」講談社文庫所収)を読んだ。小説ならではの醍醐味を感じる。

★ あるゴミ屋敷で女性の遺体が発見された。玄関や窓は施錠され、唯一開け放たれたバルコニーで女性の遺体が。それにしてもゴミの悪臭はすさまじい。読んでいても臭ってきそうだ。ここに住むのは夫婦。夫の浮気が原因で妻は心を病み、ご近所のゴミを集めるようになったという。どうやら遺体はその妻のようなのだが。烏に食い荒らされひどい状態だったという。

★ 2人の刑事の地道な捜査に妙な大学生が絡んで真相に迫っていく(ほとんどはこの大学生の奇想天外な推理だが)。この絡み方が面白い。事件は予想外の方向へと進む。なぜ、妻はゴミを集めるようになったのか。それがヒントだ。

★ 「殺人」の手口は現実にはあり得ないが、それはともかく面白かった。
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