じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

東野圭吾「壊死る」

2019-10-31 19:42:37 | Weblog
☆ 東野圭吾さんの「探偵ガリレオ」(文春文庫)から「壊死る(くさる)」を読んだ。

☆ 一代で小さなスーパーマーケットを築き上げた男が浴室で死んでいた。一見心臓麻痺のようではあったが、胸の付近の皮膚が壊死していた。男は相当なケチだったが、お気に入りの愛人にはかなり出費をしていたようだ。

☆ 推理小説なので当然殺人事件ということで、ガリレオ湯川が凶器の謎、胸の壊死の謎に挑む。

☆ 浴槽で感電死なんて殺害方法はよく見かけるが、こんな方法もあるんだなぁと感心した。といって、実行はしないように。
コメント

阿部和重「グランド・フィナーレ」

2019-10-31 17:06:07 | Weblog
☆ 阿部和重さんの「グランド・フィナーレ」(講談社文庫)を読んだ。

☆ 「ロリコン趣味」を自任する主人公、撮りためた少女の裸の写真(わが子も含む)を妻に見つかり別居に。妻とのイザコザがきっかけで、DV法に基づき接近禁止に。愛する我が娘にも会えなくなった。

☆ 自らのアブノーマルな趣味が原因とは言え、会社も辞め故郷に帰ることとなった。故郷に帰ったところですることもなく、たまたま小学校教員をしている同級生の気遣いで演劇指導のボランティアを引き受けるのだが、どうもこの公演を最後に自殺を計画しているような少女2人と関わってしまう。さて、というところで物語が終わる。

☆ 巻末に高橋源一郎さんの解説があり、何となくわかったような気になったが、でもやっぱりわからない作品だった。

☆ わからないからなお一層、行間に込められたもの、文底に隠された暗号のようなものを読み取ろうとしてしまうのだが、それはまた後日の課題としよう。真実はジンジャーマン(主人公が愛用している人形か)だけが知っているのかも知れない。
コメント

浅田次郎「遠い砲音」

2019-10-30 18:54:12 | Weblog
☆ 浅田次郎さんの「五郎治殿御始末」(新潮文庫)から「遠い砲音」を読んだ。

☆ 長州藩の支藩、長門清浦藩に仕える土江彦蔵はもはや家来のいなくなった藩主を支えながら、自らは陸軍中尉の任にあった。

☆ 江戸から明治へ時代が急変する中、時間も西洋式に改められた。自然や人の生活に合わせたのんびりした旧来の時間制に代わって、機械仕掛けの時計によって刻まれる1セカンド単位の時間制だ。

☆ 彦蔵はこの西洋時間に馴染めず遅刻を繰り返す、遂には切腹するしないの騒ぎに。

☆ フランス人教官の取り計らいによって難を免れた彦蔵、今度は忠節を誓った主君が渡仏するという。

☆ 時代の移り変わりの中で右往左往しつつも力強く生きていった日本人の姿が描かれていた。日本の近代化が始まったのだ。
コメント

東野圭吾「転写る」

2019-10-29 21:09:23 | Weblog
☆ 東野圭吾さんの「探偵ガリレオ」(文春文庫)から「転写る」を読んだ。

☆ 中学生達が釣りをしていてアルミ製のボウルのようなものを見つけた。これに石膏を流すとデスマスクができた。偶然それを見た教師が知人に似ていると言い出して大騒動に。中学生たちが釣りをしていたひょうたん池をさらうと遺体が出てきた。

☆ そこから犯人探しになるのだが、なぜデスマスクの型ができたのか、その謎解きが楽しい。「ガリレオ」ならではの犯罪捜査と科学の合体だった。

☆ 今さらながら東野作品を面白く感じたので、「ガリレオ」シリーズと「加賀恭一郎」シリーズを大人買いしてしまった。
コメント

有栖川有栖「英国庭園の謎」

2019-10-28 19:45:16 | Weblog
☆ 有栖川有栖さんの「英国庭園の謎」(講談社文庫)から表題作を読んだ。

☆ 手入れの行き届いた英国庭園。それを眺めるようにこの屋敷の主が殺されていた。彼は人を集めてゲームをするのが趣味だったようで、この日も暗号文を渡して宝探しを催していた。

☆ 暗号の解読と犯人探しの両方が楽しめる。火村・有栖ペアは絶妙なコンビだ。

☆ 暗号にまつわる蘊蓄やフランス庭園と英国庭園さらには日本庭園の特徴と違いも知ることができた。

☆ 広大な庭園のある御屋敷に住みたいものだと思ったが、手入れが大変そうだね。
コメント

相棒「物理学者と猫」

2019-10-28 15:01:42 | Weblog
☆ しばらく観ていなかったけれど、最近またドラマ「相棒」を観ている。アマゾンビデオで14シーズンから。

☆ その第17話「物理学者と猫」は随分と凝った脚本だった。

☆ 作品の中で「シュレディンガーの猫」が引用されていたが、4つの可能性が仮説されていた。パラレルワールドを60分番組で、うまくまとめていたなぁ。マニアックであるが。

☆ 量子力学では状態は確率でしか捉えられないそうだが、この人間世界では果たしてどうか。無数のパラレルワールドがあって、それぞれが無数に進化(進化という表現が正しいかどうかはわからないが)しているとするなら「あれかこれか」ではなく「あれもこれも」存在するというのはありうるかも知れないけれど。

☆ 量子力学も相対性理論も日常生活にはあまり関係ないけれど、「神」が与えた宿題を人間はこれからも解明していくんだろうね。

☆ ダークマターやダークエネルギーなどもやがて解明されるんだろうなぁ。
コメント

島本理生「ナラタージュ」

2019-10-27 11:26:04 | Weblog
☆ 久しぶりに本屋に行った。BGMが流れていた。いい曲だが題名が思い出せない。あれこれ考えて、そうだ、GLAYの「HOWEVER」だ。

☆ 島本理生さんの「ナラタージュ」(角川文庫)を読んだ。恋愛小説だ。

☆ 女子高校生と若い高校教師。高校生は演劇部に所属し、教師はその顧問だった。女子高校生・工藤泉はクラスに馴染めず、教師・葉山貴司に居場所を求めた。妻と別居中の葉山は、そんな彼女を見守っていた。

☆ 二人は「想い」を残したまま、彼女の卒業と同時に終止符を打つ、はずだった。葉山は大学生となった泉に演劇部の後輩を指導して欲しいと電話。そしてドラマの幕が上がる。


☆ 還暦も過ぎると恋愛小説は結構辛いものがある。人の恋愛などどうだっていいように思えてくる。そんな感覚で読むから、前半は実に退屈だった。それが、300ページを過ぎるあたりから、急に面白くなってきた。

☆ 「HOWEVWR」を聞いたころから、その歌詞が作品とシンクロしたのだ。

☆ 心とは裏腹に「大丈夫」が口癖の泉。映画では有村架純さんが演じていた(断片しか観ていないけれど)。彼女のイメージで作品を読んだ。

☆ 言葉では言い尽くせない、あるいは本人さえ意識していない「想い」、人間とは実に厄介な生き物だが、それが人生の彩であり、人間らしさなのかも知れない。恋愛小説を読む醍醐味は、この弱弱しく、情欲に揺れ動く人間のありのままを感じることなのかも知れない。
コメント

佐藤正午「月の満ち欠け」

2019-10-26 20:47:10 | Weblog
☆ 人間は死んでしまえばそれでお終い、そういう考え方を断見というらしい。一方でタマシイは永遠という考え方、これは常見というらしい。人生は一度きりなのか、それとも業によって輪廻転生を繰り返すのか(中には、解脱したのにかわいそうな衆生を導くために願って生まれてくる奇特な人もいるそうだが)、それは私には分からない。過去の記憶がない以上、どっちだって同じように思うのだが。

☆ 佐藤正午さんの「月の満ち欠け」(岩波書店、岩波文庫風の装丁になっている)を読んだ。「いのち」について考えさせられる作品だった。

☆ 非業の死を遂げた「瑠璃」という名をもつ「いのち」。会いたい人に会うために繰り返し生まれ変わってきているようだ。ただ周りの人々はそんな少女の言動を奇異に感じるだけで、真剣には受け取らない。

☆ 途中、何代もの「瑠璃」と彼女を取り巻く物語が語られるので、あっちへ行ったりこっちへ行ったりと、少々混乱した。

☆ 素晴らしいのは最終章だと思う。ついに念願叶うのか。これには感動した。この終焉に持っていくための385ページだったように思う。
コメント

東野圭吾「燃える」

2019-10-24 20:53:33 | Weblog
☆ 東野圭吾さんの「探偵ガリレオ」(文春文庫)から「第一章 燃える」を読んだ。

☆ 「ガリレオ」シリーズもドラマでは見ていたが、原作は初めて。実に面白かった。

☆ 「ガリレオ」の面白さは湯川先生の科学的な推理だ。文章も読みやすい。この文章はクセになりそう。

☆ 今回の話、深夜、自販機の前で騒々しくたむろする若者が焼死するというもの。ガソリンが発火したようだが、証言によるとガソリンの炎が人に燃え移ったのではなく、まず人の後頭部が燃え、それがガソリンの入ったタンクに引火したという。この謎に、湯川助教授が挑む。

☆ そう言えば、人間が自動発火するという話は「Xファイル」にもあった。どういう話だったかな。
コメント

東川篤哉「殺人現場では靴はお脱ぎください」

2019-10-24 19:06:55 | Weblog
☆ 東川篤哉さんの「謎解きはディナーのあとで」(小学館文庫)から「殺人現場では靴をお脱ぎください」を読んだ。

☆ ドラマ化もされたこのシリーズ、一度原作を読んでみたいと思っていた。ベストセラーだというが、確かに読みやすい。お嬢様刑事と執事のコミカルなやりとり、これが魅力だ。

☆ 「お嬢様はアホでいらっしゃいますか」、来たー、このフレーズ。

☆ アパートの自室でブーツをはいたOLが殺された。被害者はなぜブーツをはいていたのか。二人の人物がこの部屋の合鍵を持っていたが、どちらにもアリバイがあった。果たして犯人は・・・。まあ事件はともかく、お嬢様と執事の会話を楽しみたい。

☆ 殺人事件なのに深刻さがない。それが読みやすさなのかも知れない。
コメント