じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「ブレイン・ゲーム」

2020-11-29 11:54:51 | Weblog
★ 中山七里さんの「ドクター・デスの遺産」(角川文庫)を読み始めた。安楽死をテーマとした作品のようだ。

★ さて、たまたまながら映画「ブレイン・ゲーム」(2015年)を観た。連続殺人の捜査は難航していた。FBI捜査官は「ある出来事」のために、今は人とのかかわりを控えている元同僚(?)の医師に協力を依頼する。彼には予知能力があった。

★ ストーリーが進むと連続殺人犯の動機が、この医師への挑戦(あるいはリクルート)であるのがわかってくる。予知能力を持つ二人の男の心の対決。それはまるで天使と悪魔の対決のようだ。

★ 殺人犯は不治の病を予知し、その苦しみから解放するために安楽な死を与えていると主張するのだが。

★ 医師役にアンソニー・ホプキンス。「羊たちの沈黙」のレクター博士のイメージが強くて、沈黙して座っているだけで何か怖い。さすがに高齢とあって、走るシーンは辛そうだった。

★ 豪華なキャストを揃え、斬新な映像を駆使している割に、作品として迫るものがないのは何故だろう。多くのことを盛り込み過ぎているのかも知れない。

☆ さて、京都新聞の朝刊、「天眼」のコラムは「すっかり呆けないうちに」という題で、瀬戸内寂聴さんが書かれていた。100年前のスペイン風邪から筆をおこし、昨今のコロナ騒動にも言及。今やあの世に先だった友人の数が現世の知人よりも多くなったと、老いの日々を語る。最後の「ああ!!」の嘆息が実に印象に残った。
コメント

藤沢周平「隠し剣鬼ノ爪」

2020-11-27 19:39:30 | Weblog
★ 中学校の期末テストが終わって一段落。冬期講座のチラシを作り、次は高校生の期末テスト対策だ。

★ 学校関係のクラスターもちらほら報告されるようになり、10代は比較的感染しにくいとか、重症化しにくいとか言われながらも少々心配になってきた。

★ コロナ関係とマラドーナ氏の死去が紙面を覆う中、今朝の朝日新聞、池上彰さんの「新聞ななめ読み」が面白かった。「桜」夕食会をめぐる報道について。読売新聞のスクープと毎日、朝日の追随の様子。記者ならではの視点が興味深い。

★ 秘書の虚偽報告ということで、国会答弁との整合性を保とうとする元首相周辺。知ってて国会で虚偽答弁をしていたにせよ、秘書の虚偽報告を真に受けていたにせよ、どちらに転んでも、悪辣か無能かの誹りは免れない。

★ 当時、官房長官だった菅首相の心境(安倍氏の再登板を阻止しようという想い)まで深読みをしているところも興味深かった。

★ さて、世相についてはその辺で、昨夜は映画「隠し剣鬼ノ爪」(2004年)を観た。原作が短編だというので、「隠し剣 孤影抄」(文春文庫)から「隠し剣鬼ノ爪」を読んだ。

★ 原作の骨格はそのままに、映画は更に肉付けされていた。さすがは山田洋次監督(脚本は朝間義隆氏と共著)、原作がさらに面白く脚色されていた。

★ ある家臣が江戸で刃傷沙汰をおこし(映画では謀叛に加担し)故郷で幽閉されるが、世話役の下男から鍵を奪い破獄する。藩は、男と同じ道場で修業をした片岡宗蔵を上意討ちに向かわせる(原作では男が片岡を指名し果し合いをすることになっている)。

★ このストーリーに藩上層部の腐敗や男の妻の助命嘆願、片岡の下女との恋愛物語が絡んでくる。最後はほんのりとした終わり方になっていた。
コメント

映画「バード・インフェルノ」

2020-11-26 13:38:49 | Weblog
★ 映画「バード・インフェルノ」(2006年)を観た。鳥インフルエンザによるパンデミック作品。

★ 最近、感染爆発をテーマとした小説や映画が増え、少々食傷気味。それに、現実がもはやフィクションを超えた感がある。この映画も平時ならばB級パニック映画と言うところだが、制作が2006年というから、そこは先見の明がある。

★ CDCの女性医師が活躍したり、上司とのやり取りは映画「コンテイジョン」のパイロット版という感じだ。大量の死体が大きな穴に埋葬されるところは医療が崩壊し多くの死者を出した北イタリアのようだ。商品不足やホームセンター(あるいはショッピングセンター)でパニック買いをする人々は最近見た光景、まさにそのままだ。

★ ウイルスの変異を考えると、ワクチンの効果もあやしいようだ。エンディングは「ここで終わりか」と思えるほど救いのないものになっている。果たして死者数が、医師が予想した3億人にまで達するのだろうか。無情なまでに死者数のカウントが続く。

☆ 日本は第3波。今はまだ感染爆発が始まったばかりなのかも知れない。国(政府)、地方(知事)、専門家がそれぞれに責任のなすり合いをしているが、そうこうしている内にも感染は広がっていく。

☆ 「GO TO」にしても政府の対応は及び腰だ。「エビデンス」(証拠)などと英語を使いだしたら、まゆつば物だ。経済を回さなければならないのはわかるけれど。何を優先するか、プライオリティの問題だろうね。

☆ 東京都知事は「5つの小」とか「高・重」とか、連日大喜利のように言葉が躍っているが、なんか違和感がある。言葉が軽い気がする。オリンピックが念頭にあるのだろうか。

★ さて、映画ではある州の知事を取り上げていた。最初、隔離政策で封じ込めようとした(自分たち州の首脳はシェルターのようなところに閉じこもった)が、身内が死ぬに及んで政策を改めた。住民も最初は我が身大事で、自分や自分の家族の安全を最優先とする。感染者への偏見も満ち溢れる。しかしやがて、自分だけが生き残ろうとしても不可能であることに気付き、住民同士が助け合う「共助」に目覚める。それを州政府が流通を確保すると言った「公助」で援護するという図式が描かれている。

★ 説教っぽいところもあるが、確かに最終的にはこういう道筋なのかも知れないと思った。
コメント

藤沢周平「滴る汗」

2020-11-24 21:18:13 | Weblog
★ 藤沢周平さんの「時雨みち」(新潮文庫)から「滴る汗」を読んだ。

★ 3代にわたる公儀隠密。すっかり町に根付き、瀬戸物を皮切りに、荒物屋として城中の御用も承っている。この男、森田屋宇兵衛という。

★ ある日、いつものように城中を訪れた宇兵衛。異様な雰囲気を感じる。公儀隠密の存在が見つかり、近々捕らえられるという話を聞く。「隠密」とは自分のことか。宇兵衛は隠密としての証拠隠滅を図る。気がかりなのはかつて下男として奉公していた男の存在だ。

★ 宇兵衛は、ある行動に出るのだが、それが思いもよらないことに。

★ 心に秘密があるということ、それを「弱み」と感じると何かと厄介なことになる。1つの嘘を隠すために、いくつものを嘘を覆いかぶせなければならなくなる。それはどこかでほころんでくる。

★ そう言えば「桜を見る会」をめぐり、安倍前首相の周辺が騒がしくなってきた。地検の追及はトップまで及ぶのだろうか。まさか指揮権や免責はなかろうね。結局は秘書のシッポ切りって感じかな。
コメント

津村記久子「給水塔と亀」

2020-11-22 16:33:59 | Weblog
★ 「我慢の3連休」第2日目。朝10時から12時まで、中学1年生、2年生のテスト対策。午後は1時から4時45分まで中学3年生のテスト対策。少々疲れた。

★ さて、津村記久子さんの「浮遊霊ブラジル」(文春文庫)から「給水塔と亀」を読んだ。私小説風な作品。

★ たぶん還暦も過ぎたであろう熟年の独身男性。都会を離れ、生まれ故郷に帰ってきた。故郷といっても、もはや身寄りも知る人もいない。ただ眼前の海だけが懐かしい。

★ 縁談話がなかったわけではない。しかし、ある時は多忙を理由に、ある時は独り身の気楽さ故に独身を通した。この歳になって、「人間が家族や子供を必要とするのは、義務がなければあまりに人生を長く平たく感じるからだ。その単純さにやがて耐えられなるからだ」(17頁)と告白する。

★ アパートの先住者は孤独死だったという。その住人が飼っていた亀を管理人さんが預かっていた。男はその亀を引き取り共に暮らすことにする。新たな生活の1歩を踏み出そうとしている。

★ エンディングは、ベランダで水茄子をつまみに琥珀ヱビスを飲むシーン。さすがにこの季節、ベランダは寒いだろうが、温かい部屋で、水茄子に琥珀ヱビスを追体験しようと思った。
コメント

ドラマ「BORDER」

2020-11-21 10:38:16 | Weblog
★ 期末テスト対策期間。ある意味「我慢の3連休」。

★ この間、ドラマ「BORDER」(2014年)を観る。ある刑事が何者かに銃撃される。一命はとりとめたが、銃弾が脳の深くに達しているため摘出できない。弾を残したまま現場に復帰。ところが刑事に異変が。生死をさまよったためか、死者とコンタクトできることに。被害者の無念の声を聞き、犯人に迫る。

★ 刑事役の小栗旬さんの演技が光る。それにエンディングが実に衝撃的(後味が悪い)だった。

★ 「BORDER」と同時に、今さらながらドラマ「MOZU」(2014年)も観ている。爆弾テロで妻を失った公安警察官。「本当の真実」を知るために「ブレーキの壊れた列車のような」暴走を始める。日頃馴染みのない公安警察の様子が興味深い。テロ事件の背後には大きな国家的陰謀があるようだが、それはこれからのお楽しみ。

★ アニメ「ゴールデンカムイ」、ドラマ「監察医 朝顔」、NHK「100分de名著」など、最近テレビが面白い。


☆ そして、もう一題。月ぎめおよそ4,000円の新聞。朝の日課として目を通すが、だいたいは「ふふん」といった感じで古紙となる。そんな中、今朝の朝日新聞は面白かった。

☆ まずは「大澤真幸が読む 古典百名山」。このコラムを読むために朝日新聞をとっていると言っても過言ではない。人類の知的遺産とも言うべき歴史的大著が実に簡潔に要約されていてありがたい。今回は、アリストテレスの「形而上学」。持ってはいてもなかなか読む気が起こらない(読んでもわかりそうもない)作品。そのポイントがわかりやすく解説されていて、知的刺激を受けた。

☆ 「形而上学とはこういう意味だったのか」「形相や質料とはこういう意味だったのか」「現実態と可能態とはこういうことなのか」とよくわかった。「プラトンに抗する思索が、純プラトン的なもの」になったというところが面白かった。

☆ 稲垣康介編集委員のよる「多事奏論」も面白かった。先ごろ来日したIOCのバッハ会長。彼を取り巻く日本側の首脳たちの「お・も・て・な・し」の様子が興味深かった。アスリートの純粋な想いとは別のところで動いているオリンピック。今や「スポーツの祭典」とは別の極めて政治的なイベントと化している。古代オリンピックの衰退もこのあたりに問題があったのでは感じた。

☆ 最後は「天声人語」。落語の「あくび指南」を引きながら、昨今の政治家のちんまりしたコロナ対策を皮肉っている。「静かなマスク会食」「5つの小(こ)」果ては「飲食用のフェースシールド」まで。医療現場のひっ迫感とは裏腹に、キャッチフレーズばかりが増発される。まずは政治のトップの「こころづかい」(有効な政策)が必要なのではないかと思った。

☆ 年末年始。多少は減るであろうが、初詣はやはり賑わうであろうし、正月となれば気も緩む。移動も活発になりそうだ。2週間後、1月15日前後の新規患者数が恐ろしい。入学試験もどうなるやら。某大臣の発言のように「神のみぞ知る」ことだが。(すべてを神に委ねれば、政治家などいらないけれどね)
コメント

井沢元彦「猿丸幻視行」

2020-11-15 19:00:23 | Weblog
★ 井沢元彦さんの「猿丸幻視行」(講談社文庫)を読んだ。いわゆる歴史ミステリー。

★ ある大学院生が薬の治験に誘われる。報酬の誘惑に動かされて応じたところ、果たして幻覚なのか、折口信夫(民俗学者、国文学者)の身体に入り込み、彼の感覚を通して明治時代にタイムスリップ。猿丸大夫の謎に迫るというストーリーに発展する。

★ 著者の博学ゆえか、前半の暗号解きは難しい。猿丸大夫(これは個人名ではなくある集団の名称だという解釈)が実は柿本人麻呂ではという論稿に進む。このあたりは、小説というよりかは新書を読むような感覚だった。

★ 後半、舞台が私の居住地・宇治に移り、急に親近感がわいてきた。宇治川にそって滋賀方面に進むと宇治田原町に至る。小説に登場する猿丸神社は今も存在するようだ。

★ 猿丸大夫を追ううちに、折口は都が平城京に遷る前のある権力闘争にたどり着く。藤原氏対アンチ藤原氏の抗争。この辺りの記述は大学受験の日本史の解説ようだ。

★ 結局、猿丸一族の秘密は、今や天ヶ瀬ダム湖の湖底に眠り続けているようだ。
コメント

ドラマ「24JAPAN」

2020-11-15 01:58:54 | Weblog
★ ドラマ「24JAPAN」第1話を観た。普通に観ても良かったのだが、オリジナルとどうちがうのか知りたかったので、およそ10分刻みで比較しながら観た。

★ 日本版、セリフはほとんどオリジナル版と同じだったが(設定上や文化的な違いは考慮されていたが)、それがどうも日本の俳優には合っていないように感じた。(セリフが翻訳調だからだろうか)

★ モチーフはそのままで、もっと翻案した方が馴染みやすいのだろうが、そこは版権上の制約があるのかも。

★ 一番大きな設定上の違いは、オリジナル版が「初の黒人大統領誕生か」というのに対して、日本版が「初の女性総理誕生か」となっている点。

★ オリジナル版でジャック・バウワーの娘がマリファナを隠し持っていたところを日本版では秘密で「クラブ」に行っていたことになっていたところも印象に残った。

★ スケールや撮影現場の違いは、そもそも予算が違っているから仕方がないか。ラブシーンや身体的な接触も違うなぁと感じた。

★ 家庭の雰囲気や人間関係など文化の違いが学べたのは良かった。
コメント

「つひに行く道」

2020-11-14 10:53:09 | Weblog
★ 中学校の期末テスト対策で忙しい日々を送っています。

★ さて、NHK「100分de名著」、11月は「伊勢物語」が取り上げられている。ある男(在原業平がモデルとか)の恋多き人生が歌物語として描かれている。

★ 高校の教科書でも「筒井筒」や「芥川」「東下り」などが採用されている。「東下り」はともかく(昔の人はよく泣くなぁと感じた記憶がある)、「筒井筒」「芥川」などは高校生にはハードルが高い。夫婦の情愛や駆け落ちなど、どれほど理解できるやら。そんなことを言えば「源氏物語」など、マザコン、ロリコン、不倫が満載だが。

★ 先の番組、第2回は「井筒」「芥川」が取り上げられていた。解説されている高樹のぶ子さんの「業平」(日本経済新聞出版)を断片的に読みながら楽しんだ(全部読むのはなかなか大変そうだ)。

★ 「井筒」は、幼馴染が困難を乗り越え結ばれるが、経済的に不安定になるや夫は外に女をつくるありさま。それを妻は不快に思わず(悪しと思へる気色もなくて)送り出す。そうなると夫は不安になる。もしや妻に男ができたのか、といった話。良いのは最後の短歌だが、ハッピーエンドで何よりだ。

★ 「芥川」は、身分違いの女性に恋をした「ある男」がその女性と駆け落ちするという話。裏には政略結婚のドラマがある。モチーフは現代劇でも通用しそうだ。

★ さて、平安時代のイケメン、プレイボーイの「ある男」にも老いはやってくる。病の床に臥せ、死が迫ってくる。伊勢物語第125段は、男の辞世の歌を載せている。「つひに行く道とはかねて聞きしかどきのうけふとは思はざりしを」(最後は死んでいくと前々から聞いていたが、昨日今日のこととは思ってもいなかったのに)

★ 高樹さんの「業平」では、肉付けして「男」にかつての日々を回想させている。叶った恋もあり、叶わぬ恋もあった。それも今となってはどれも今生の思い出。

★ そうして、物語は静かに幕を閉じる。

★ 「メメント・モリ(自分がいつか死ぬことを忘れるな)」という言葉がある。死は実に身近にある。雑事に忙殺され、あたふたと日々を消化しているのが現実だが、死を意識して、日々充実して(楽しんで)生きたいものだと思った。
コメント

石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」

2020-11-08 20:53:11 | Weblog
★ 10月以降の土日は中学3年生を対象とした「土日特訓」に明け暮れる。今年も日が暮れるのが早くなった。受験が迫ってきた。

★ 授業と採点・添削の合間を縫って、石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク」(文春文庫)から表題作を読んだ。池袋西口公園にたむろする若者たち。彼らは彼らなりに「ルール」を守りながら、若者を食い物にする大人たちを取り締まっている。

★ 彼らの刹那的な生き方や結局は「力」が支配する仕組みに反感をもちつつも、石田衣良さんの軽快な文章に乗せられて、物語に引き込まれてしまった。

★ 物語は真島誠の一人語りで進む。ワルが集まる工業高校を卒業したばかり。実家は池袋で果物屋を営んでいる。店番もするが、夜は西口公園(ウエストゲートパーク)に仲間たちが集まり、四方山話に花を咲かせる(表現が爺臭くて申し訳ないが)。そして、仲間に何かが起こると池袋中の仲間が手を組み、解決にあたる。彼らは彼らなりに街を守っているのだ。

★ 大人社会や押し付けられる秩序には反発しながらも、自分たちの「ルール」には案外忠実な彼ら。表があれば裏もある。良いことばかりではないだろうし、少し先行きを考えればいつまでも公園でたむろしているわけにはいくまい。彼らは彼らなりのヒエラルヒーがあるようだし。

★ それはそうとして、いろいろと考えさせられる作品だった。

コメント