最近流行の7MHzの道の駅の移動やEsオープン時の50MHzなどでは多くの方が一斉に呼ぶパイルになることがしばしばあります。
こんな時にしばしば行われるのがエリア指定です。今回はエリア指定について少し掘り下げて考えてみたいと思います。
[エリア指定の目的は?]
エリア指定の目的はズバリ同時に呼んでくる局を制限してピックアップしやすくすることです。特定エリア(例えば1エリアだけとか、9エリアおよび0エリアなど複数まとめても可)に相手を絞り、呼んでくる局を何分の一かに減らしてスムースにQSOを進めることができます。大パイルの中からピックアップするのに要する時間を削れますから、結果的に効率よくQSOできるという訳です。
呼ばれる方の技量にもよりますが、同時に数局が呼ぶ程度のパイルであればコールサインの一部をピックアップすることで普通にさばけます。ところが同時に20局とかそれ以上になるともはやコールサインの欠片も分からなくなります。こういったときエリア指定を行うことでスムースに進むことがあります。
パイル整理の方法としては他にもスプリット(呼んでもらう周波数を5kHz上にしてもらうとかで混乱を回避する)やリストQSO、さらにそれらの組み合わせがあります。ただどれも長所短所があり、JAでの国内QSOではエリア指定が一般的です。
7MHzなどでサフィックスの呼び合いになり、あげくに誰もピックアップできず何度も「取れません」と言っている移動局をしばしば聞きますが、そこまでになれば無理せずエリア指定を行うべきです。
[エリア指定の実際は?]
(1)スタート
上記で述べたようにコールサインの一部すら分からないようなパイルになり、個人の技量ではパイルをさばけないようになればスタートすればいいと思います。
「大変多くの方に呼ばれてコールサインが取れなくなりました 申し訳ありませんがエリア指定をさせて頂きます」と宣言すれば大丈夫です。
(2)指定中
単独または複数のエリアをまとめて順に指定をしてゆきます。局数の少ないエリア(4・5・9・0など)はまとめて指定するのが得策です。また各自のこだわり(QRP指定とか)を1つ2つ混ぜるのはいいと思います。
「1エリアの方いませんか?」で1エリアの局と何局かQSOしたら「1エリアの方はしばらくお待ち下さい 2エリアの方お願いします」と2エリアの指定に変更して進めてゆきます。1周回った時点でさらにエリア指定が必要そうであれば1エリアに戻して続けます。
エリア指定中には必ず「エリア指定をしています」とか「△エリアの方お願いします」とかエリアしていることが分かるようにこまめにアナウンスを入れて下さい。途中からパイルに加わる方もいますので、パイルの秩序維持のため面倒がらずこまめにアナウンスを入れる方がいいと思います。
(3)エリア指定終了
一通り回して呼ばれる数が減ったと感じればエリア指定を解除しましょう。その後はオープン戦(各エリアOK)になります。解除時には「これにてエリア指定を解除します どちらからでもOKです」と宣言すれば大丈夫です。
解除のタイミングは必ず全部回してからです。3周目とかでも最後のエリアまで回して終了として下さい。
[エリア指定をしている局を呼ぶときは?]
指定ルールを守るようにしましょう。焦りが出てくることもありますが、じっと我慢です。最近のリグは2VFOが一般的ですから、指定待ちで他の局を探すのも作戦だと思います。
また、「エリア指定をしている」=「多くの局に呼ばれている」ということですから、QSOは手短にしましょう。「ホームQTHはどこですか?」などQSO成立と関係ないことはこのタイミングでは控えるようにして下さい。
ちなみにエリア指定中にJF4CADが呼んでいいのは4エリアが指定されている時だけです。JF4CAD/1が呼んでいいのは1エリアが指定されているときだけです。ご注意下さい。
[エリア指定中にやってはいけないこと]
指定無視の局をピックアップすることはやめましょう。7MHzなんかでは途端にパイルの秩序が崩壊し収拾がつかなくなります。
誤って指定無視のピックアップした場合は「申し訳ありませんがエリア指定中ですのであとでお呼び下さい」とQSOを打ち切るのがベターだと思います。心情的には分からないでもないですが、一旦指定無視を認めると「オレもオレも」と皆さん無視してきますので注意して下さい。
[どう回せばいいのか?]
皆さん最初に思いつくのが1→2→・・・→9→0と10のエリアを1つづつ回す方法です。
ところがこれは1周回るのにかなりの時間を取られることになります。1つのエリアに2分取ったとすれば1周20分です。Condxの変化が激しい50MHzなんかでは次に回ってきたときには既に聞こえなくなっていたなんてこともあり得る話です。
待っている方も大きく時間を取られてしまうことになります。また、局数の多い1エリアや2エリアに比べて9や0は競争率が極端に下がりかなり得をすることになり、エリア間で損得が生じます。
ちなみに各エリアごとのアマチュア局数は以下の通りです。
1エリア 128,543 4エリア 33,131 7エリア 46,733 0エリア 19,941
2エリア 64,869 5エリア 20,761 8エリア 42,783
3エリア 56,283 6エリア 44,888 9エリア 12,914
(総務省の今年3月末データに基づき、6エリアは九州+沖縄の合算値)
最大の1エリアと最小の9エリアではほぼ10倍の差があります。
従って何の考えもなく10個のエリアをダラダラ回すのは全然得策ではないということになります。局数の少ないエリアは複数まとめて指定して1周回す時間を短くする方がベターだと思います。
ということで私は1・2・3・4+5・6・7+8・9+0で回しています。これですと指定は10→7に減り1周する時間を短くできます。これで各エリアごとの局数がどうなるかと言うと、
1 128,543
2 64,869
3 56,283
4+5 53,892
6 44,888
7+8 89,516
9+0 32,855
となります。最大と最小の比が3.9倍まで圧縮されました。どうしても飛び抜ける1エリアを除けばかなり平均化されています。
ちなみに7エリアと8エリアを一緒にしているのには理由があります。特に50MHzなんかでは顕著ですが、8エリアの局はオープン時にCQを出す局はたくさんいても呼び回る局が極端に少ないのです。何せエリア指定をしなくてはならないほど呼ばれているときに8のCQを呼び回ることはあり得ませんから、実質的に8エリアの局数は少ないとみなして構わないことになります。ということで7エリアと8エリアを一緒にしてもバランスが崩れないということなのです。
あとは呼ばれ方によって1つのエリアあたりのQSO数を微調整しています。例えば1エリアは5局QSOして次に回す一方、6エリアは4局にするとかです。これはパイルの具合を見ながらその場で判断すればいいと思います。
もちろんこれがベストの解ではなく、他にも1・2+9+0・3+5・4+6・7+8あたりもいいバランスになるんじゃないかと思っています。これだと5指定で1周回せるので速いですね。
エリア指定は局数を制限して混乱を避けるのが目的ですから、ダラダラ10個回すのではなくそのときの呼ばれ具合と各局の技量にあったパターンでバランスを取って指定するのがいいと思います。