伊東家のデスク

オタクの備忘録など

うしおととら

2021-02-14 19:04:36 | 感想文
 90年~96年。作者は藤田和日郎。
 現在でも名作として語られることが多い、90年代黄金期サンデーを代表する一品である。
 王道を往く熱いストーリーとド派手な描写に豊かなキャラクターと、少年マンガに必要なものは一通り揃っている。特に構成に関しては見事。綺麗にクライマックスまで物語の盛り上がりを運ぶことに成功している。
 まぁ、まず一度読んでおいて損はない作品ではあるのだが、どうにも私は手放しでは称賛しかねる。荒いところは結構あるし、熱い少年向けかくあるべしと傾きすぎて展開が乱暴にまでなっている部分も目に付く。特に主人公の蒼月潮があらゆる価値観の中央に位置付けられたような終盤は、やはり首を捻ってしまう。
 しかし、それでも主人公コンビのノリのいい妖怪退治道中の魅力は揺るがない。これは間違いない。その全てが昇華される最終決戦は必見である。
 まあ最も見てもらいたいのは準レギュラーの鏢なのだが。

とりあえず色々見ている頃について

2021-02-11 21:12:23 | 雑文
・『ミスト』
 一番怖いのは序盤の揺れるスーパーマーケット。3.11からもう10年だしそろそろまた見れるだろと思ったら、結構当時を覚えているもんだね。きつかった。
 基本的にみんな愚かしい行動ばかりするのだけれど、淡々と描いているからすんなり楽しめる。マーシャ・ゲイ・ハーデンの狂信者っぷりは必見。『ブロブ』の神父様を知っていると余計に楽しくなるなぁ。
 中盤の飛行昆虫戦が中々のもの。やっぱり昆虫系の怪獣・モンスターは好きだなぁ。クッソ怖くてかっこいい。
 あと、相変わらず私はホラーを真面目に見ようとしない。B級アクションに慣れている状態で見たということもあるが。なぜみんな外に出て一匹残らずバケモノを皆殺しにするという考えをしないんだろうと首を傾げてしまう。霧が来るだけなら怖がっていてもいい。自然現象は侵略ではない。モンスターが来たなら侵略である。ならば戦わなければ。滅すことはできるのだから。突然ジェームズ・ホーナーの勇壮な曲が流れて思い思いに武装し、群がるバケモノどもをちぎっては投げちぎっては投げ。歩いているでっかい奴をぶっ倒すために発電所とかに誘導して大爆発に巻き込むのだ。最後は突然現れた、そうだな、軍服着たリチャード・クレンナあたりに「勲章はいりません」とか決めてThe Whoの『Baba O'Riley』と共にクレジットが流れて劇終。クレジット後にモンスターの一部がどこかで生存していることを示唆。こうでなければ。監督がロバート・ロドリゲス(+タランティーノ)とかだったら本当にやりそうだな。多分その場合、コミカライズが押切蓮介になる。

・『マキシマム・ブラッド』
 ヴァンダムは『その男ヴァンダム』の時点で老いと衰えをしっかり自覚して取り入れたと思ったはずが、やっぱり未練あってまだ三十代の頃を引きずっている印象がある。しかし、その諦めの悪さが結果的に盛りを過ぎたジジイヒーローとしての魅力に合致しているのが面白い。
 本作も、その辺が活きていて、ヴァンダムはやはりかっこいいなぁと、私は思うわけだ。オチも何もバレバレだって構いやしないのだ。

・『セブン』
 昔、「セブンは実は野良犬のリメイクなんだぜ」と変な嘘つかれたのを覚えている。まあ分からんでもないネタだが。
 今見てもオープニングは震えがくるほどかっこいい。クレジット見えた瞬間ゾクゾクしたよ。
 コートで歩くモーガン・フリーマンはもう素晴らしいね。ケヴィン・スペイシーは『ユージュアル・サスペクツ』の方が好きかな。
 ご存じの通り、最後はブラッド・ピットがやっちまうわけなのだが、デビッド刑事が優等生タイプじゃないのと、撃ったことがある男なのがちょっと残念にも映る。このあたりを突き詰めるなら、最後に撃つべきは実はサマセット刑事だったと思うのだ。怒りにかられて一線を越えると同時に刑事生活を終えてしまう男。目の前で絶望的な光景が繰り広げられて崩れ落ちる若者。絵としてはいいと思うのだがなぁ。まぁラストでそれでも世に価値ありと信じるサマセットの味わいを考えると選択の余地はないか。
 どうでもいいが、ジョン・ドゥと戦うのがハリー・キャラハンやマーティン・リッグスだったらどうなっていただろう。特に『リーサル・ウェポン』一作目のマーティンなんか明らかに狂っているので、スーパー狂人大戦になっていたかもしれない。

・『放射能X』
 非常に面白かった。『空の大怪獣ラドン』や『平成ガメラ』とか好きだった人にはガチでおすすめである。
 謎の事件から巨大な蟻の発見、そこから殲滅に至るまでがクールに進んでいく。モンスター映画としては珍しい部類で、人間側が有能なのだ。巨大蟻の演出も素晴らしいの一言。
 また、同年に日本では『ゴジラ』が公開されるわけだが、改めて『ゴジラ』はおかしいぐらい出来が良かったのだなということが実によくわかる。なんというか、陳腐な言い方ではあるのだが、円谷英二は偉大だよね。

・『霊幻道士X 最強妖怪キョンシー現る』
 どうも私はキョンシー映画に甘い気がする。それで育ったようなもんだからなぁ。
 出来はまぁよくない。流石にラム・チェンインと比べるのは酷だと分かっているのだが、チン・シュウホウはアクションにしろキャラ付けにしろいまいち。シナリオがテンプレ通りなのは置いといても、衣装をバサーっとやるあのカッコよさが微妙に感じてしまうのはいただけない。ただ、敵に山魈を持ってきたのは気に入っている。


・『セーラームーンS』、遂にほたる登場まで進んだ。ここから先は外部との対立軸にちびうさとほたるのドラマが重なっていくわけだ。先の展開分かっているので、やっぱり二人が出会った瞬間「いやあああ!仲良くしたらあとがつらいんだぞ二人ともー!」と心で叫んでしまう。

・お昼食いながら見ていたアニメ版『瀬戸の花嫁』を完走した。本当に、何度見ても楽しいアニメであるよ。
 そして、しみじみ思う。00年代のアニメはやはりこのあたりで完成したのだなぁと。
 微妙に現代風の物を作り慣れていないノリもそうだし、ギャグ一つとってもまだ古典的な手法を残しつつ次の時代を模索している。
 アニメの歴史を眺めると、こういう完成された時期がたまに現れる。10年代なら2017~19年あたりかしら。次はいつ来るか。

2月の頃について

2021-02-05 19:24:24 | 雑文
・『片腕ドラゴン』
 ジミー・ウォングは不思議な人だ。ヘンテコなはずなのに、しっかり痛快カンフーアクションができてしまっている。
 導入はカンフー映画でありがちな流れだが、敵がキャラの濃すぎる助っ人の先生たちを集めてから怪しい雰囲気に。その雰囲気のまま最終決戦までいってしまうのがなんともすごい。
 続編は先に視聴済み。もうだいぶ昔の話だが。あれに比べるとまだまとも……とも思えないなぁ。素敵。

・『櫻の園』
 なんか女子がいっぱい出ているものが見たいな。ついでに昔の匂いを感じたいなと思いセレクト。
 中島ひろ子の存在感の浮きっぷりが実にいい。学生演劇当日舞台裏の雰囲気というのも効果的なのかな。素晴らしいかっこよさだった。
 志水さんが倉田さんと思い出を作っている中、タバコ吸ってジッとしている杉山さんがやっぱりグッとくる。

・『アンノウン』
 リーアム・ニーソンも好きなのよ。スタイルが非常にいい。
 サスペンス仕立てで始まり、クライマックスで真相が明らかになったらバカっぽい感じのアクション。定石であるな。
 途中で出てくるブルーノ・ガンツが無駄に有能でかっこいい。元秘密警察で、敵も味方も頑張っている中あっさり真相に辿り着き、敵が来たら何もさせずに余裕綽々と自殺。強い。バカみたいに強すぎる。
 終わってみれば主人公も戦闘能力高かったわけで、味方側戦力が過剰すぎる痛快サスペンスアクションになっているのが笑える。

・『女王蜂』
 そういえば石坂金田一でこれだけ見ていなかった。揃いも揃って超豪華キャスト。佐々木剛と小林昭二が出ているので実質仮面ライダーであるな。
 岸恵子、流石の美しさであった。
 沖雅也の使い方が贅沢で笑う。
 映画そのものとしては、流石に市川崑もダレたのかなぁ、今一つこれまでより落ちる気もするが、役者のパワーで押し切られてしまう。

・『ベテラン』
 韓国の刑事ものほとんど見ていないので、定式が分からないからその辺をあれこれ語れない。
 ユ・アインの御曹司がしっかりクソ野郎なのがとても良かった。ボロボロになる父親の姿を全部子供に見せるのが実に素晴らしいクソっぷり。
 全体的に80年代の和製刑事アクションドラマっぽいので、気軽にいけるね。


・『新五捕物帳』はもう本当に杉良太郎がかっこいいよなぁ。新五親分の優しさが染みる。
 それにしても、岡っ引きものは独特の味わいがある。例えば、権力サイドの『鬼平犯科帳』なんかは刑事ドラマのノリが近いわけだが、権力サイドでも岡っ引きは探偵ものに近いわけである。しかし探偵のフォーマットがそのまま通じるわけでもない。このあたりが実に面白い。

・特急で『セーラームーン』を『S』まで進めた。流石に人気の高いシリーズだけに、勢いがこれまでと違う。
 天王はるかと海王みちる、やはりオーラが別格。
 『R』の苦悩を越えて、地場衛がすっかり保護者のお兄さんタイプになっているのが面白い。


シーンを繰り返し見る頃について

2021-02-01 00:08:35 | 雑文
・一昔前、いやもう二つ三つも前かな。ゲームのシーンを繰り返し見るには、基本的には毎回プレイしなければいけなかったのである。
 今は凄いね。ゲーム機にデフォで録画機能がついているし、おまけでイベントシーンの再生もできるんだから。

・『ペルソナ5』及び『ザ・ロイヤル』、ジョーカーがラスボスにとどめの一撃かますシーンが本当に好きなんだ。
 どちらも拳銃をつきつけるわけだけど、この時のジョーカーはもう、あらゆるフィクションの中でも屈指のかっこよさであるよ。

・『創の軌跡』のCルート、ルーファスとラピスが夜空の下で会話するシーンが好きでねぇ。何度も何度も見てしまう。会話として完成されていて実に素晴らしい。

・久しぶりに『ファイナルファンタジー6』のファルコン発進を眺めたら、ちょっと泣いちゃった。


・『アラビアのロレンス』
 ジョセフ・ジョースターが長いと言ってた映画、というイメージしかなかったので、この機会に見てみた。
 面白いけど、確かにこれは長い。雄大な砂漠の描写の美しさにうっとりできれば問題ないかもしれんが。この長さは砂漠という強さを味わっている結果なのである。
 インターバル挟んでからの、ロレンスの崩壊が見ていてあまり無情とも思えないあたり、大したもんだなぁと思う。まあ「ばーか滅びろ英国!」要素が入っていると、そりゃそうなるよな。

・『リトルトウキョー殺人課』
 まぁよくあるB級アクションだろと思っていたら、変な日本語とおバカジャパン要素と痛快アクションメガ盛りで送る楽しい一本だった。よく考えればレスターがノリノリの頃の作品だもんね。
 ドルフ・ラングレンは存在が既に面白い人なので、こういう変な映画に出てくれた方が映える気がするなぁ。途中の謎装備やラストの斬り合いが印象深いが、やはり銃撃戦もはまっている。
 ブランドン・リー、申し分ない相棒役だった。味方サイドが二人(+ヒロイン)だけなのだが、ブランドンがいるだけで十分よ。長生きしてくれていれば……と思わずにはいられない。ブランドン、ドヤ顔の作り方が父親にちょっと似ていて、そこは私としてはあまり嬉しくないなぁと思ったり。ブルース・リーが嫌いなわけではなく、親子で似ているというのは必ずしも良いことばかりではないと、まぁ、色々な例で知ってしまっているからねぇ。

・『ペーパー・ムーン』
 いやもう幼き頃のテータム・オニールが信じられないほどやばいぐらい可愛い。可愛げのないクソガキなのがまた素晴らしい。賢いクソガキ好きは必見であるな。というより、見ると賢いクソガキが好きになってしまうほどのパワーがある。
 キャラクターがしっかり立っていると、このようにうまくシナリオが転がるという好例。
 途中、アディがイモジンと組んで一発仕組む展開が好き。並んでタバコ吸うシーンもいいね。

・『最も危険な遊戯』
 この年になって松田優作の味が分かるようになって、間に合ってよかったぁ、という気持ちでいっぱいである。日を浴びて銃を片手に立つ鳴海昌平のカッコよさたるや。
 優作、流石に走る姿が様になっている。ラストのやっつけ殴り込みも楽しい。オチで脳内で勝手に「GET WILD」流れるのは仕方ないよね。
 それにしても、和製ガンアクションを見るたびに感じる、この奇妙な味わいは何なんだろね。海外が舞台だとそうでもないのだが。

・『エニイ・ギブン・サンデー』
 ここいらで一つ銃が出てこない作品を入れておきたいなぁと思ったので、見てみた。「舐めんなよ、俺だってアイシールド21を全部読んだんだ」という程度の知識しかないのだが、割と分かるものであるな。
 基本的にプロスポーツものの典型でしかないわけだが、酒を飲むアル・パチーノが良かったので、よかったということにしよう。

・美空ひばりの映画も一つ二つ見といた方がいいのかなぁと思ったり。けど気が進まない。勝手なイメージだが、結局のところしょぼいアイドル映画止まりなんだろうなぁと思ってしまっているので。まぁ、アイドル映画であることは悪いことではないのだが。というか、実際問題アイドル映画は出来で良し悪しを語るべきではない。あくまでファンの信仰心を再確認させるか強化するか、あるいはそれを植え付けられるかで判断されるべきである。それはさておき、どうしたものか。