伊東家のデスク

オタクの備忘録など

夏が、来た頃についてあれこれ

2019-06-30 00:49:31 | 雑文
 今年も楽しい季節がやってくるけど、その前にあれこれ。

・『新幹線変形ロボシンカリオン』が完結。勿論近年でも稀な楽しい作品だったのは間違いないが、若干消化不良。やっぱり延長が結果的に完成度を下げた面は否めないと思う。
 あとで色々まとめたい。
 それにしても、令和のロボットアニメはこれと戦わなきゃいけないのか。大変であるな。凄く大変であるな……。

・『ピコピコ少年EX』、今回はあまりよろしくなかったねぇ。これだと『猫背を伸ばして』あたりと大して変わらない。ネタそのものの切れ味もガクッと落ちている。
 エッセイはルポと違って当人がネタを吐き出すタイミングにも左右されるのだが、そのあたりのバランスの悪さもあったと思われる。
 「ピコピコ中年少年」は蓮介漫画日記っぽさが戻っていて割と良かったのだが……。

・『兄の嫁と暮らしています。』6巻。遂に姉妹激突。
 周囲が完全に志乃の扱いをマスターしているのが心地良い。特にここにきて明子がキャラクターとして大きく成長していて、本当に愛らしい。

・『深夜プラス1』。ギャビン・ライアルなら『もっとも危険なゲーム』でもいいかなと思ったのだが、こっちを読んだ。
 何度読んでもいいとは言わないけれど、たまに読みたくなるのは名作である証拠か。
 道具のセレクトが素晴らしい。パーフェクト。

・ここ最近はゆりマスターが心の支えになっている。姉にひっついて離れないこころとか、みんなに可愛がられるななさんとかを妄想して楽しんでいる。

燃えよペン

2019-06-22 23:20:47 | 感想文
 90年~91年。作者は島本和彦。
 名キャラクター炎尾燃の初主演作ということになるのか。
 続編にあたる『吼えろペン』あたりは完全にギャグ漫画家としてベテランになった島本和彦の緻密な作風が前に出るのだが、本作ではどちらかというと若さに任せた勢い重視のギャグと暴露が特徴となっている。
 何かしら創作活動をちらとでも行った者ならば、結構刺さるシーンが多い。
 それを含めて非常に出来の良い漫画家コメディである。
 放浪が妙に爽やかなのも良い。
 島本和彦の代表作だと、これか『炎の転校生』を挙げるね私は。

夢現 Re:Master 雑感

2019-06-20 22:20:26 | 雑文

 久しぶりに力入れてADVやった気がする。またこっちのジャンルにちゃんと帰ってこようかな。
 ネタバレ込みなので未プレイの場合閲覧非推奨で。




 とりあえず、キャラと個別シナリオについてさーっと。

・大鳥あい
 まぁ本作もこうなるだろうと分かってはいたけど、やっぱり凄いね。主人公の壊れっぷりが。問答無用で作中一のやべぇ女ではないか。
 狙いを定めたらほぼ確実に獲りにかかるのが充分すぎるほどあくまである。
 独占欲の強さは本来のあい成分が強く出ているのだろう。ニエ成分ではああはならない気がする。
 心中はもうちょっと破壊力抜群にやってもらいたかったかなぁ。この手の作品だとレジェンド枠で「出会って数日で後追い心中」かましたヒロインがいたからなぁ。

・柳谷こころ
 どのルートでもポンコツな犬らしさ全開で愛らしい。
 個別ルートは裏側のネタ晴らしなので、こころ自身はそれほど活躍できていないのはまぁ仕方ないか。
 どちらかといえば他ルートでの段々とやわらかく強くなっていく姿で印象が深まっていくタイプであろう。
 ななルートでの殴り込みかけるCGが一番好き。いっぱいいっぱいなのがよく出ている。

・無限堂さき
 裏の主人公という立ち位置であるな。この物語は基本的にほのかとさきがみさきと戦い続けるお話なのである。
 テンションを上げ下げしながらも段々と弱っていくのが愛らしかった。
 シナリオはてっきり自分の中のみさきを殺す覚悟がなかったのを解消していくおはなしになるのかなと思ったら、そんなことはなかったね。
 中盤が今一つ恋愛ドラマとして盛り上がらないのだが、これはやはりこころの導き手としての役割を大きく与えてしまったためであろう。あれを壊す役割をあいに振っていれば、この辺もう少しなんとかなったはずなのだが。そのため、終盤に力技を導入せねばならなくなった。
 後半のさきさんお悩み相談室のノリは割と好き。こっそりフラストレーションとか色々溜めていくあいと、嫁を手に入れて余裕の出たさきの差が面白い。
 あと、終盤ね。こころがキスされたと知って、遂に臨界点突破してさきに迫るあい。あの展開、力技ではあるけど、大好物。同時に、あんなやべぇ女の近くにいながらさきさん無防備すぎたのがいけなかったよな…とも。

・太刀花なな
 テンション高く楽しそうなフリをしている自己演出キャラ、結構好き。バナナメイドさんは充分合格。
 井澤詩織は素晴らしいねぇ。セリフの抜け方が非常によろしくて、聴いていて幸せになれる。
 シナリオは一番良かった。ルートに入ると、あい視点が少ないのは少し残念でもあるが、ななの視点から惹かれていく様が中々に良い。こうして見ると、あいちゃんなんて可愛いんだとなるから凄いものだ。
 どのルートでもある程度報われるので、メインでは思いっきりいじめられているのがおいしいのか哀れなのか。
 筋立てはシンプルだがやはり楽しい。幸せを掴める! からの、やっぱり自分はダメなんだ……となる展開の繰り返しは古典的ながらもやはり破壊力ある。
 なんとしても幸せになってもらいたいのに、四方から取り囲まれていくので、そこから見るあいという構成がはまっていた。
 しっかりラスボスにトドメをさす際にもあいとのエピソードを絡めたので因果関係がスッキリついて良い。
 エピローグでのモノローグも中々。満足である。

・マリー・マーラー
 妖しい魅力を出す「あい」の呼び方が素晴らしいの一言。
 隙を見せると食いにかかってくるようで、その実隙だらけなのっていいよね。
 どのルートでも独特の存在感を出せているが、しかし便利屋にはならないというバランスが良い。
 シナリオの核は愛してはいけないのに愛してしまった、だと思うのだが、分量的にも不十分。
 あいをガンガン絡ませて空回りさせる方向に行った方が、ユリイカを離れるあたりもうちょっと良い感じになった気が。
 バッドエンドはさきバッドやななバッドと違い、事前にあいが死んでしまうので物理的には囚われてもらえないのだが、夢に閉じ込められるのはやはりいい。
 欲を言えば、キスCGもう一枚欲しかったかなぁ。ラストの二枚で圧倒的アドバンテージ貰ってはいるけれどね。

・醍醐ほのか
 頑張ればこの人のシナリオも少し位あると思ったのに、なんで、どうして。仕方ないか。
 立ち位置としてはさきと同じく裏の主人公ということになるか。

・ニエと魔女
 さきの妄想時の二人が一番好き。ニエがかつてないほど知能が低下していて。

ADVとかあれこれ

2019-06-18 22:30:25 | 雑文

 一応、ある程度は青春をギャルゲー等々に捧げていたので、その辺の記憶含めて諸々。

・ADVゲームの選択肢によるフラグ管理式シナリオ分岐システム採用型キャラクター攻略ゲームは、基本的には繰り返し繰り返しプレイすることになる。選択肢のタイミングでセーブデータを作っておいて、そこからフラグ構築の成否を確認していく、などというプレイもある。
 このようなゲームだと、たとえグッドエンドを迎えようがバッドエンドを迎えようが、繰り返し最初からプレイしていくことになる。
 この繰り返しが実は面白いところなのだ。
 一定の楽しみを与えてくれるギャルゲーならば、この繰り返しが効果を発揮してくれる。何度も何度も同じ場面を、同じキャラクターを見ることで、必要以上にそのキャラクターを身体に、心に叩き込むことができるのだ。たとえ既読スキップを使っても、一度読んだものは中々忘れないものである。むしろグラフィックの変化からすぐ情報を引っ張ってこれるので、余計に焼きつきやすい。
 この方式のゲームが、一昔前のオタ文化圏で隆盛したのは、このあたりの事情もあったのだろう。

・上記の事情から遡り、『ときめきメモリアル』あたりを規範とするシステムを採用したゲームはまた別の労力を快感に変換している。シナリオに乗るのではなく小さなエピソードを自分で積み重ねていくことに繰り返しの肝があるのだ。
 これらがどのタイミングではっきり分かれていったかは、作品の移り変わりよりもユーザー、当時のオタクの動きをじっくり洗ってみる必要がある。ので、今は保留。……などとずっと言ってきたのだが、既に太古の昔になりかけているし、そろそろ時期かもしれない。

・主人公のキャラ付けがさほどでもなかった時代ならともかく、明確に個性が出てきて以降は複数のヒロインを攻略していくと主人公のキャラクターが崩れやすくなってしまいがちである。無理もない。一人の主人公が己のドラマを大体同じに、別のシナリオを進めていくのだから。これで崩すなというのは、難しいとまでは正直言いたくないが、簡単ともいえないだろう。ルート分岐の弱点の一つである。
 しかし、そこはそれなりの歴史を持つジャンル。これに関する解答もいくつか用意してある。
 徹底的に主人公を人たらしの天才にするパターン。とにかく主人公のカリスマを盛って盛って、という技である。燃えゲーとかだとこれが常套句か。
 ギャグから問答無用のハーレムに持ち込む。全年齢向けコンシュマーからエロゲーまで幅広く使われたパターンだ。お話を放り投げるパワーが必要になる。
 ドラマの強さでキャラクターを強引に巻き込むのもある。話にキャラクターを合わせるので、うまくしないと今一つキャラ萌え観点からは弱いものも見られるのだが。
 極論、「愛し合うことだけはやめられない」ぐらいの気持ちにさせたら上等か。

・『選択肢』というものの立ち位置。これに気を使うゲームは大抵うまい。フラグ管理が、ではなく、一人称視点シナリオ選択ゲームの演出が、である。
 考えるまでもなく、我々の生活において目の前に選択肢が表示されることはない。しかし、やはり生きていれば何かを選ぶために悩む場面が存在する。これは紛れもない事実である。そして、この時に選ばなかったことは、ゲームでいえば色が薄くならないまま(今のゲームはどうか知らないが)の選択肢と言える。
 逆に言えば、こうなる。選択肢とは単に展開を選ぶための行動選択ではなく、その場面でキャラクターが迷ったことの表現なのである。
 これはノベル形式ゲームが進歩と共に手に入れたものである。『弟切草』や『ときめきメモリアル』のぶっ飛んだ、主人公にしたってそれはおかしい、展開的にそれはおかしいという選択肢を目の当たりにしてきた方ならば分かるだろう。
 ある時はキャラクターの隠された一面を、ある時は納得極まりない似通った選択肢によるブレのなさを。そしてある時は、自分が何者であるかを。選択肢は選ばせるのではなく、浮かんでくることで様々な表現を可能としていたのである。

・更に言えば、上記選択肢の方法論にはもう一つの特徴がある。『新たなる選択肢の追加』というものに着目する必要があるだろう。フラグをしっかり構築していき、一定の段階に達するとクライマックスとかで新たな分岐が出るようなアレである。
 これをどう判断すべきか。
 まずもって、この分岐が例えばノーマルエンドとグッドエンドを分けるものだったとしよう。大抵はグッドへ進むためにこの手の選択肢は出現するものと思われる。重要なのは、これが出現しなかった場合物語としてどう解釈すべきか、だ。それはつまり、選択の余地がなかったということ。キャラクターの、ひいては一人称でそこに没頭しているプレイヤーの未熟があったということだ。選択肢が浮かばないということはそれだけで避けられない運命を表現しているのである。まぁこれは、なにもルートを分けるシーンだけではない。怒ったり笑ったり、それが当該キャラクターにとって迷うことのない道であった場合、あえて選択肢を出さないという方法もある。
 選択肢を新たに浮上させるということは、フラグ管理を越えたキャラクターの成長やその道筋の強さをも表現できるのである。
 ループものなんかでこれが使われていると、頷きやすいのではなかろうか。

・たまに視点変更が起こるゲームがある。この時、選択肢が表示され、それが上手だと私は拍手してしまうよ。
 方法としては様々はものがあるのだろうが、ここはいっちょうその選択肢は『主人公と関わったことで発生したもの』として演出するとグッとくるのではないだろうか。少なくとも、私はそうである。
 今までと同じ宿命を良しとするか、大切な人と一緒にいるを良しとするか、とかさ。

・一人称視点と選択肢を極限まで活用したのは、やはり名作『Ever17 -the out of infinity-』であろうか。あれはメタ要素も強いので番外に入れてもいいと最近思えてきているが。
 誰が選択肢を選び、何を見ているかはこのジャンルの最大の強みだなぁ、とは勿論思う。

・とりとめがなくなってきた。ここまでにしよう。
 やはりこのジャンルは私にとってかけがえのないものである。

勇者王ガオガイガー

2019-06-18 19:24:20 | 感想文
 97年。監督は米たにヨシトモ。
 勇者シリーズ最終作。90年代スーパーロボットアニメの中でも屈指の傑作と言っていいだろう。スーパーロボットものとしての極地の一つに辿り着いた作品と言ってもいい。
 この作品の良さは一言では中々言い表せない。シンプルながら力強い、天海護の成長というメインラインに、獅子王凱の熱い生き様、GGGによるルーチンを極めたロボットの運用描写、ゾンダー周りの設定の優秀さ。何をとってもハイレベルである。
 ここでは、ひとまず『スーパーロボットアニメ』としての『勇者王ガオガイガー』ということで出しておきたい。
 この作品のスーパーロボット描写は非常に巧みである。あらゆる役割をしっかり分けて描いているので、作劇的にもメリハリがついている。これを最大限活かすことができたのは、ガオガイガーに工具をモチーフとした装備を与えたことなどによる、ゾンダーの解体というイメージを付与できたためであろう。核を抉り出すのも、そもそも外装破壊は目的ではなくあくまで作業、過程でしかないということを強調している。一方で、各ゾンダーロボは非常に個性的な働きをするため、その過程もまた楽しく描けている。
 このあたりの徹底ぶりは実に秀逸。あの手この手で楽しませてくれるのだ。
 敵も味方も戦力が整った原種編においても、これはある程度保たれている。ある程度を越える場合は、それだけ敵が強大になったということで、これまた激戦を描けるわけだな。バトルの構成に隙がほとんどない。
 ロボットが出てきて敵を倒して終わる、をとことん煮詰めた一本として、本作はスーパーロボットファンなら一見の価値は間違いなくあると言えよう。