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生ピアノを使ったロック風エレクトロニカ。未消化な部分もあり

2013-11-27 17:10:04 | 音盤ノート
Aufgang "Istiklaliya" InFin, 2013.

  エレクトロニカになるのか?。鍵盤二台とドラムというトリオによる構成だが、生ピアノを大々的にフィーチュアしているところが特徴である。このアルバムは二枚目にあたる。鍵盤と電子機器担当のFrancesco Tristano Schlimé(フランチェスコ・トリスターノ・シュリメ)はすでに名の知れた若手「クラシック」系ピアニストらしいが、僕はよく知らない。

  エレクトロニカと言っても、反復中心のミニマルなテクノとは違い、クラシック風の複雑な曲展開を目指しているようである。ドラムは割と普通のロック系で、シンセ音や打ち込み部分もあまり凝ったものではなく、1980年代のプログレやフュージョンを思い起こさせるところがある。率直に言って、まだ実験段階という印象だ。似たような試みとして、ジャズ系だがブッゲ・ヴェッセルトフトのもの(参考)があるが、あちらのほうがエレクトロニクスの使い方が繊細で洗練されている。鍵盤の力量はこちらの方があるが。けれども、電子音と生ピアノを組み合わせることの難しさはここでも同様である。全体で一番良い部分が、"African Geisha"という酷いタイトルの曲における、電子音少なめの中での静かなピアノソロである。速い曲だとせっかくテクニカルな生ピアノが後景に引いてしまい、もったいない。

  というわけで、どこをポイントにして聴けばいいのかわかりにくい作品だろう。曲展開か、生ピアノか、電子音か。どこかにちょうどよい配分比率があるはずで、それがうまくいけばより優れた音楽的快楽がもたらされるはずである。
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