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完璧ではないものの評価できる作品

2009-09-04 13:08:03 | 音盤ノート
Bugge Wesseltoft "Moving" Jazzland, 2001.

  NPMつながりで一つ。日本語表記だと“ブッゲ・ヴェッセルトフト”と書くこのノルウェーのピアニストは、"New conception of jazz"なる打ち込みエレクトロ・サウンドを使ったジャズの提唱者として知られている。このアルバムは同コンセプトでの三作目。機械的なリズムトラック(人力リズム隊も参加している)にアコースティック・ベースとシンセサイザーを添え、鍵盤を響かせるというもの。で、うまくいっているのか?

  個人的に気に入ってはいるが、絶賛というわけにはいかない。気になる点は二つある。一つは、本人のピアノが朴訥系で、ソロが単調なこと。もう少し緊張感のある演奏をしてくれればなあ、と。これはNPMの"Revision"のところでも述べたことだけど、ソロの魅力の無さの自覚がエレクトロニカというアイデアを要求しているのだろう。二つ目は、生ピアノの使い方。エレクトリックピアノを使った一・二曲目は後ろの演奏と合っているが、生ピアノをのせる感傷的な他の曲は、ピアノの音が浮いてしまっている。そもそも反復ビートと合わないのか、楽曲や奏法の改善または音響処理でなんとかなるのかわからないが、十分消化できていないという印象である。

  上のような問題はあるものの、チャレンジングな作品として高く評価できるだろう。バックの演奏はエレクトロニカ系のトラックとして満足できる水準である(近年のJan Garbarekの打ち込み曲と比較してみてほしい)。楽曲もNPMほど重たくなく、聴きやすいだろう。

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