走歴20数年のベテランとは誰のこと?
あまりにも信じがたい展開、例えるなら・・
最高走行距離20kmという人が、無謀にも、いきなり、トレイル100kmのウルトラマラソンに挑戦したぞって感じの展開。
105kmを走ろうというのに、25kmあたりでほぼ終わり。
史上最大、まさに歴史的な大撃沈。いったいどうしたのか。何が起こったのか。
これから始まるレポを読んでも・・答えは見つかりません!・・よ。
スタート直後に感じたのは「何? この足の重さ!」でしたが、超長距離レースであれば、かえってこのくらいが幸運。軽すぎて突っ込みすぎを回避できますからね。
・・・で、コースが変更となったアスファルト道を進むうちに、案の定、徐々にいい感じがやってきた。色んな選手に声かけられたり、声かけたりしつつ進みました。序盤の楽しみの一つ。もちろん速い選手達にはどんどん行ってもらいます。
ピッチも安定、心拍数も140台~150前半をキープ。流れ的に少し速いかなとも思ったけど、野辺山の時はやや押さえすぎの感もあったので、そのままGo!。何人かの集団をひっぱる形で淡々と進む。
15km手前で去年のおんたけでは一度も一緒に走れなかった女子チャンプ小川さんに追いつく。これは昨年の例から言うと最高のパターン。今年初対面でワイワイと雑談しながら楽しく進む。
20km付近では、なんとfunachiくんにも追いつく。ものすごいいい感じ。
調子に乗らず、この感じで行けば・・・今日はやれちゃうぜってなもん。待ってろよ~、タッキーさん。
夜レースの雰囲気写真なんか撮っちゃって。
な~んて勢いよかったのはここまで。
25km手前の初エイドを過ぎたあたりで、突然のように失速。本人、えっ???
冗談でしょ、ウソでしょ。みるみる進みが悪くなってくる。どこも悪くないし痛くもないのに。突如の拒絶反応?
まだ2時間半も経っていない。冗談でしょ、冗談じゃないよ。
ホームコースだったら・・青梅丘陵を過ぎて棒ノ嶺に向かうあたりか。冗談でしょ、冗談じゃないよ。
そんな突っ込みを入れつつ、さっきまでの元気はどうしたのかという程ののろのろ。
かどさん、こっしーが元気に、さっそうと追い抜いていった。
伸び盛りjunさんに気づいて追っかける。
そろそろ夜も明けた40km手前、雨もドバッと落ちてきた。めっちゃくちゃ。
第1関門到着。最初に目に飛び込んできたのはなんと大阪の生駒山賊さん。調子悪いし、気持ちも切れてリタイヤと。
富士山(登山競走)もあるし、一緒に止めよう・・・な~んて甘い誘いがあったけど、普通に走ればエイジ優勝確実の彼が止めたと言うことは・・・まさかの千載一遇のチャンス到来・・・な~んて気がちょっぴり湧き上がり、ノー!
ちょっとだれたけど、まだまだ先は長い。今から復活すればいいのだ、とばかり頑張って再スタートするが5分も持たなかった・・・。
時々ちょっとしたミニ復活気味の風が吹くけど、どれもほんの一瞬。
粘れ粘れ、我慢我慢。
でも、それって後半の勝負所や疲労困憊の時の呪文だろ。今はまだ半分にも満たない地点。あり得ない。冗談じゃないよ。
昨年元気にひげちゃんと走った平坦な貯水池周りの道もよれよれ。ゆっくりと集団が追いついてきて抜いていく・・・が、全く追えない。ガックシ。
相変わらずどこも痛くないし、なんか不調の理由を必死で探すのだけど、な~んも見つからない。
気持ちの問題なら、ハリ天はなんて根性ないやつなんだって、それくらい。
もう全然レースになっていないんだから
そんな状態なら残りの距離は無駄だから
富士山も待ってるし
やめちゃえやめちゃえ。
でも、その「止める勇気」というのがどこを探しても見つからないので、仕方なく、本当に仕方なく足を前に踏み出している・・だけ。
走るまねごとのような歩きで進んでいると、どこからそんなにという程、次々と選手に追い越されます。
何人かに一人は、「あれ、ハリ天さんですか」って声をかけて下さいます。
どうされたんですか
故障ですか
何かいるものあったら言って下さい
ブログいつも楽しみにしてますよ
嬉しいですね。
しゃべっていると元気になります。
にこにこしてますが、でも走れないんです。
顔はにこにこ、こころはガックシ
練習不足は応えますと言いながら、あれっという顔でひげちゃんにも追いつかれましたが、また追いついて・・・。
あちこち相当やられたらしいひげちゃんは第2関門で休んでいたらやってきて、「リタイヤします」
ハリ天もほんのちょっぴりもういいかなって思っていたけど、先に言われたら「お疲れさん」って言ってスタートしてた。
萩往還、サロマとタフネス振りを発揮の地元仲間のせいごさんも着実な足取り。
次は誰かなってとこで登場はたーこさん。
彼女と初めてお会いしたのが第3回TTRのゴール地点。その時のあれこれを伺ったりしたら急に元気が湧き起こり、85km手前の第3関門までの約10kmを一緒に激走。もう25km以降、な~んも得るものがないかという所、救いの女神登場でした。苦しい道程を思い返すと、奇跡のような1時間余。感謝感謝。
・・でも、結局はスピードが出ないのです。また一人旅。
フォトグラファー藤巻くんが軽トラでコースに出没、あちこちで応援いただく。笑えるならもっと走れってとこだけど、それができないもどかしさ。
時折、日が差すけど、相も変わらずドバーッと雨もカラダをたたく。
12時間を経過。昨年のゴールタイムも過ぎたあたりから足の爪が痛み出した。どうやら豆もそうとう出来ている感じ。
時間が経つにつれ、むくみもひどくなってきてますます締め付けられる爪。一度脱いでみたら・・・見なければよかった。
雨で気温は上がらず、寒いくらいだけど、天然エイドステーションでは足を突っ込みつま先を冷やす。
90km地点。まだ15kmもあるんかい!
すっかりふやけただろう足裏。豆がバリッと音を立てて広がる瞬間の衝撃を味わいつつ、たった5kmに1時間もかかっていることに気づくと、とたん元気もすっかり消失。下を向いてただただ前に進むこと・・・。
進むのだけど、用もなく止まる。何度も止まる。拒絶反応的ストップ。
ゴール地点のドーム屋根が見え、最後の橋を渡ってからさらに10分もかかってたどりついたゴール。長い長い一日でした。信じられない一日でした。
出口の見えないレース(とは言えない状態でしたが)はもう懲り懲りって(どうせ忘れちゃうだろうけど)、心の底から思った一日でした。
でも、レースではなくなった「105分の80」のうちのほとんどを呆然と流しつつも、
人は何故走るのか、やめる勇気とやめない愚挙、ハリ天はいったい何がしたいのか等々について、
あ~でもない、こ~でもないと
御嶽周辺を流れ飛んでいた強風のごとく
あるいは時折たたきつけるような強雨のごとく
はたまた湧き上がる真白きガスのごとく
次から次へ、色々に様相を変える自分の頭の中をのぞけたのは収穫だったのかもしれません(最後はシビアに)。