誰しも辛いこと嫌なことはなるべくなら避けて通りたい気持ちがあると思いますが、ビジネスの世界、危機や試練に否応なく直面せざるを得ないこともまた現実です。比較的ポジティブな内容の多いYMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)ですが、ネガティブな話題もまたビジネスマンには深く心に刺さるものがあります。
ネガティブ系のテーマとしては、これまで「10年後になくなってしまう70%の会社にならないために」(第23回)、「登山に学ぶ意思決定論 -何故、遭難事項は起きたのか-」(第27回)、「意外と知らない…借入金の真実(ホント)のこと」(第39回)、などがあり、いずれもポジティブ系のテーマの時とはまた違った感応の仕方があったという声が多く聞かれました。今回の株式会社Shade3D代表取締役、笹渕正直さんの体験談もそんな私たちの心の中にある氷の壁の底にあるものを揺さぶるようなお話でした。
詳しくお話しすることはできませんが、数年前に世間を騒がせた重大事件の余波を受ける形で経営危機に陥った会社の社長に就任された笹渕さん。客観的に見れば火中の栗を拾ったとしか見えない事象。通常の倒産でも十分話に足るだけの苦労があるというのに、世間的に注目された事件とも関連があっただけに二重三重の危機が次々と発生します。後の懇親会で「今までのキャリアの集大成だった」とおっしゃっていましたが、言い換えれば全知全能、それまで培ってきた知識・経験を総動員しなければならないほど多くのことが起きたということではないでしょうか。
倒産の危機から資金調達、そして再建スタートまで約2年。人の一生でわずか2年の間にこれほど多くの危機に見舞われるものだろうかと思う程の激動の果てに、ようやくこぎつけた再建の道筋も、変化の激しい業界の中にいる手負いの企業にとっては茨の道です。しかしながら、最後にこれからの夢のある戦略をお聞かせいただいた時、参加者の皆さんの間に何となく安堵と喜びの雰囲気が漂ったのは、多かれ少なかれお話に投影させる何かが皆さんの中にあったからではないかと思います。
結びに。お話の中にあった、企業経営に限らず人生の金言としても通じるような一言をご紹介したいと思います。
「資金調達と経費削除はセット、資金調達できても売上は伸ばせない、赤字は解消できない」
過去のセミナーレポートはこちら。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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