今日は疫病封じのために般若心経を神泉苑等で読誦した日。
三代実録 / 貞観七年(865)五月十三日癸巳条
「十三日癸巳 僧四口を神泉苑に延期べ 般若心経を読ましむ (注1)又僧六口を 七条大路の衢、朱雀道東西に分配し 朝夕二時に般若心経を読ましむ。 夜、佐比寺(注2)の僧恵照に疫神祭を修さしめ以って災疫を防がしむ。 預め左右京職に仰せて 東西九箇条の男女に人別に一銭を輸させ 以って僧の布施供養に充てしむ。 京邑の人民に功徳を頼ましめ天行(注3)を免れしめんと欲する也。」
・(注1)貞観五年(863年)5月20日には神泉苑で初めての御霊会が行われておりその時も「演説金光明経一部。般若心経六卷」(三代実録)とされています。
・(注2)佐比寺は平安京郊外の賽の河原にあった古代寺院。
・(注3)天行とは「はやりやまい」のこと。
此のころ、貞観四年の暮れから 貞観六年まで3年間インフルエンザが流行しています。
日本三代実録・貞観七年四月五日(865年5月7日)の条に「 是日。内裏并諸司諸所延名僧一人。受十善戒。讀般若心經。僧俗所讀經卷數。各別録奉進。去年天下患咳逆病。今年内外疫氣有萠。故轉經攘之」とあります。つまり、去年(864年:貞観6年)天下患咳逆病(世の中の多くの人々がインフルエンザを患った)。今年内外疫氣有萠(今年も流行しそうな様子があるから)と、状況を延べ、前年からの災いを防ぐためこの日、内裏や諸司諸所(各省庁)からそれぞれ1人の名僧を選び、十善戒を受戒し、般若心経を読経した。また僧侶も一般の人もお経を読みかつそれぞれの寺に奉納した、と。
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