福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

金光明最勝王經・全訳・・15/32

2020-01-15 | 諸経
金光明最勝王經・全訳・・15/32



金光明最勝王經如意寶珠品第十四(四王電王離怖呪・観音・執金剛・梵天・帝釈天等の呪とその威力を説く)
(大師の「金勝王經祕密伽陀第七卷・無染著陀羅尼・如意寶珠眞言・觀
音眞言祕主乃至辨才天等 七言では、無染著陀羅尼品第十三・如意宝珠品第十四・大弁財女品第十五を以下のように解説されています。

我心淸淨にして是れ無染 能く諸願を満ずれば寶珠と號す 秘主・觀音・梵・帝釋・多聞・諸龍、悉く我が軀なり 四無礙辨才天女 此の深義を解するを丈夫といふ 若し衆生有りて是の趣を得れば 覺苑に優遊せんこと則ち須臾なり)



爾時、世尊は大衆中において、阿難陀に告げて曰はく「汝等當に知るべし。陀羅尼あり。名て如意寶珠。一切災厄を遠離し亦た能く諸惡雷電を遮止す。過去如來應正等覺の共に宣説するところなり。我今時に、此經中において亦た汝等大衆の為に宣説す。能く人天において大利益を為し世間を哀愍し一切を擁護し安樂を得しめん」。時に諸大衆及び阿難陀は佛の語を聞き已り、各各至誠に世尊を瞻仰し神呪を聽受す。佛言「汝等諦聽。此東方において光明電王あり名て阿掲多(あがた)。南方に光明電王あり、名て設羝嚕(しゃとろ)。
西方に光明電王あり、名て主多光(しゅたこう)。北方に光明電王あり、名て蘇多末尼(そたまに)。若し善男子善女人ありて如是の電王の名字及び方處を知る者あらば、此人は即便ち一切怖畏之事を遠離し、及び諸災横悉皆消殄せん。若し住處において此の四方電王の名を書する者は所住處において雷電怖なく亦た災厄及諸障惱なく、非時の抂死悉く皆遠離せん」。
爾時、世尊即ち呪を説いて曰く
「怛姪他 儞弭 儞弭 儞弭 尼民達
哩 窒哩盧迦 盧羯儞 窒哩輸攞波儞 
曷叉 曷叉 (我某甲及此住處)一切恐怖所有苦惱雷電霹靂乃至抂死悉皆遠離莎訶」
爾時、觀自在菩薩摩訶薩は大衆中にありて即ち座より
起ち偏袒右肩・合掌恭敬して白佛言「世尊。我今また
佛前において如意寶珠神呪を略説せん。諸人天において大利益を為し世間を哀愍し一切を擁護し安樂を得しめ、大威力ありて所求如意ならしめん」。即ち呪を説いて曰く
「怛姪他 喝帝 毘喝帝 儞喝帝 鉢喇窒體雞 鉢喇底 蜜窒囇 戍提 目羝 毘末麗 鉢喇婆莎囇 安茶囇 般茶囇 税帝 般茶囉婆死儞 喝囇
羯茶囇 劫畢麗 氷掲羅惡綺 達地目企 曷叉 曷叉 我某甲。及此住處一切恐怖所有苦惱。乃
至抂死。悉皆遠離。願我莫見罪惡之事。
常蒙聖觀自在菩薩大悲威光之所護念。莎
訶」
爾時、執金剛祕密主菩薩は即ち座より起ちて、合掌恭
敬して白佛言「世尊。我今亦た陀羅尼呪を説く。名て曰く無勝。諸人天において大利益をなし世間を哀愍し一切を擁護し大威力あり、所求如願ならしめん」。即ち呪を説いて曰く
「怛姪他 母儞母儞 母尼囇 末底末底 
蘇末底 莫訶末底 呵呵呵 磨婆 以那悉底帝波跛 跋折攞波儞 惡甜姪㗚茶 莎訶」
世尊。我が此の神呪は名て曰く無勝擁護と。若し男女ありて一心受持・書寫讀誦・憶念不忘すれば、我晝夜において常に是人を護り一切恐怖乃至抂死において。悉く皆な遠離す」。
爾時、索訶世界主梵天王は即ち座より起ち、合掌恭
敬して白佛言「世尊。我に亦た陀羅尼微妙法門あり。
諸人天において大利益をなし世間を哀愍し一切を擁護し大威力ありて所求如願ならしむ。即ち呪を説いて曰く
「怛姪他 醯哩 弭哩 地哩 莎訶 跋囉甜魔布囇 跋囉甜麼末泥 跋囉甜麼掲鞞 補澁跛僧悉怛囇 莎訶」
世尊よ我が此の神呪は名て曰く梵治。
悉く能く是呪者を護持し憂惱及諸罪業を離れしめ、
抂死悉皆遠離す。
爾時帝釋天主、即從座起・合掌恭敬して白佛言「世尊。我にまた陀羅尼あり名て跋折羅扇儞(ばざらせんに)
是大明呪は能く一切恐怖厄難を除き乃至抂死悉く皆遠離し拔苦與樂・利益人天す」
即ち呪を説いて曰く
「怛姪他 毘儞 婆喇儞 畔陀麼彈滯
磨膩儞㨖 爾瞿哩 健陀哩 旃茶哩 摩登耆
十羯死 薩囉跋喇鞞 呬娜末住 答麼 嗢多喇儞 莫呼喇儞 達喇儞計斫羯囉婆抧 捨伐哩
 奢伐哩 莎訶」
爾時、多聞天王・持國天王・増長天王・廣目天王、倶に座より起ち合掌恭敬して白佛言「世尊。我に今
亦た神呪あり。名て施一切衆生無畏と。諸苦惱において常に擁護を為し安樂を得せしめ壽命を増益し諸患苦無く乃至抂死悉く皆な遠離す」。即ち呪を説いて曰く
「怛姪他補澁閉 蘇補澁閉 度麼鉢喇呵囇 阿耶鉢喇設悉帝 扇帝 涅目帝 忙掲例 窣覩帝 悉哆鼻帝 莎訶」
爾時、復た諸大龍王あり。所謂る末那斯龍王・電
光龍王・無熱池龍王・電舌龍王・妙光龍王なり。倶に
座より起ち合掌恭敬して白佛言「世尊。我に亦た如
意寶珠陀羅尼あり。能く惡電を遮し諸恐怖を除き、能く人天において大利益をなし、世間を哀愍し一切を擁護し、大威力ありて所求如願、乃至抂死悉く皆な遠離し一切毒藥皆止息せしめ一切造作の蠱道・呪術・不吉祥事を悉く除滅せしむ。我れ今、此神呪を以て世尊に奉獻す。惟だ願くは哀愍慈悲し納受したまへ。當に我等をして此の龍趣を離れしめ永く慳貪を捨てしむべし。何以故。此慳貪に由りて生死中において諸苦惱を受くればなり。我等願くは慳貪種子を斷ぜん。
即ち呪を説いて曰く
「怛姪他 阿折囇 阿末囇 阿蜜㗚諦 
惡叉裔 阿弊裔 奔尼鉢唎耶栗諦 
薩婆波跛 鉢唎苫摩尼裔  阿離裔
般豆 蘇波尼裔莎訶」
世尊よ、若し善男子善女人ありて、口中に此陀羅尼明呪を説き、或は經卷に書して受持讀誦恭敬供養する者は終に雷電霹靂及諸恐怖苦惱憂患なく、乃至抂死悉く皆な遠離す。所有る毒藥・蠱魅・厭祷(えんとう)・害人虎狼師子毒蛇之類乃至蚊虻も悉く害をなすこと得ず。
爾時、世尊普く大衆に告げたまはく「善哉善哉。此等神呪は皆な大力あり。能く衆生の心に随ひ所求事を悉く圓滿せしめ大利益をなし、不至心を除く。汝等疑ふ勿れ。時に諸大衆、佛語を聞き已りて歡喜信受す。
金光明最勝王經大辯才天女品第十五之一(大辯才天女品第十五の一、二で弁才天が金光明経読誦講説の行者に種々の利益を与えることを説く)
爾時、大辯才天女は大衆中において、即ち座より起ち、頂禮佛足して白佛言「世尊。若し法師ありて説是の金光明最勝王經を説く者は我當に其智慧を益し、言説之辯を具足莊嚴すべし。若し彼の法師、此經中において文字句義を忘失する所あらば皆な憶持して能善く開悟せしめん。復た陀羅尼總持無礙を與へん。又た此の金光明最勝王經は彼の有情の已に百千佛所において諸善根を種へて常に受持する者のために贍部洲において廣行流布して速に隱沒せしめざらん。復た無量有情の是經典を聞くものをして皆な不可思議捷利辯才・無盡大慧を得しめ、善く衆論及諸伎術を解しめ、能く生死を出て速に無上正等菩提に趣かしめん。現世中において、壽命増益し資身之具は悉く圓滿ならしめん。世尊。我當に彼の持經法師及び餘の有情の此經典において聽聞を樂ふ者の為に、其の呪藥洗浴之法を説かん。彼の人の所有る惡星災變・初生時に與へし星屬の
相違・疫病之苦・鬪諍・戰陣・惡夢・鬼神・蠱毒・厭
魅・呪術・起屍、如是の諸惡の障難を為す者は悉く除滅せしむ。諸有智者は應に如是の洗浴之法を作せ。當に香藥三十二味を取れ。所謂
菖蒲(跋者)
牛黃(瞿盧折娜)
苜蓿香(塞畢力迦)
麝香(莫迦婆伽)
雄黃(末奈眵羅)
合昏樹(屍利灑)
白及(因達囉喝悉哆)
芎藭(阇莫迦)
狗杞根(苫弭)
松脂(室利薜瑟得迦)
桂皮(咄者)
香附子(目窣哆)
沉香(惡揭嚕)
栴檀(栴檀娜)
零凌香(多揭羅)
丁子(索瞿者)
鬱金(茶矩麼)
婆律膏(揭羅娑)
葦香(捺剌柁)
竹黃(鶻路戰娜)
細荳蔻(蘇泣迷羅)
甘松(苦弭哆)
藿香(缽怛羅)
茅根香(嗢尸羅)
叱脂(薩洛計)
艾納(世黎也)
安息香(窶具攞)
芥子(薩利殺跛)
馬芹(葉婆儞)
龍花須(那伽雞薩羅)
白膠(薩折羅婆)
青木(矩瑟侘)。
皆等分せよ。布灑星日(ふしゃしょうひ・印度で吉日とされる日)を以て一處に擣篩(つきふるひ)其の香末を取れ。當に此呪を以て呪すること一百八遍せよ。呪曰く
「怛姪他 蘇訖栗帝 訖栗帝 訖栗訖栗計 劫摩怛里 繕怒羯囉滯 郝羯喇滯 因達囉闍利膩 鑠羯㘓滯 鉢設姪囇 阿伐底 羯細計娜 矩覩 脚迦鼻囇 劫鼻囇 劫鼻囇 劫毘囉末底 尸羅末底 那底
度囉 末底 波伐雉 畔稚囇 室囇室囇
薩底悉體羝 莎訶」
若し如法洗浴を楽ふ時は 應に壇場方八肘なるを作るべし。寂靜安隱處において 所求事を念じ不離心なるべし。
應に牛糞を塗りて其壇を作り 上に普く諸花彩を散ずべし
當に淨潔金銀器を以て美味并に乳蜜を盛滿すべし。
彼の壇場において四門所、四人守護すること法は常の如く四童子をして身を好嚴せしめ 各の一角において瓶水を持せしめよ
此において常に安息香を燒き五音之樂聲絶ず
幡蓋莊嚴し繒綵を懸け壇場之四邊に安在し
復た場内に明鏡・利刀を兼て箭各四枚を置き
壇の中心において大盆を埋め、 應に漏版を以て」其上に安ぜよ。
前香末を用ひて湯に和し 亦復た壇内に安在せよ
既に如斯に布置を作し已り 然後に呪を誦して其壇を結べ。
結界呪に曰く
「怛姪他 頞喇計 娜也泥 呬囇 弭囇 祇囇 企企囇 莎訶」
如是に結界已らば 方に壇内に入り
水を呪すること三七遍 四方散灑す
次に香湯を呪し 滿一百八遍すべし。
四邊に幔障を安じ 然後に身を洗浴し、水を呪し湯を呪せ。
呪に曰く。
「怛姪他 索掲智 毘掲智 毘掲荼 伐底 莎訶」

若し洗浴訖らば、其洗浴湯及び壇場中の供養の飮食は河池内に棄て餘は皆な收攝せよ。如是に浴し已りて方に淨衣を著し、既に壇場を出て淨室内に入れ。呪師は其をして弘誓願を發し永く衆惡を斷じ諸善を常修せしめ、諸有情において大悲心を興さしむべし。
是因縁を以て、當に無量の隨心福報を獲べし。復た頌を説いて曰く
若し病苦の諸衆生ありて 種種の方藥もて治するに差へずといえども
若し如是の洗浴法に依り 并に復た斯經典を讀誦し
常に日夜に念じて散ぜず 專ら慇懃おんごんに想ひ信心を生ぜば
所有る患苦は盡く消除し貧窮を解脱し財寶足る。
四方の星辰及び日月は 威神擁護し延年を得て
吉祥安隱にして福徳増し 災變厄難皆除遣す。
次に護身呪を誦すること三七遍せよ。呪に曰く
「怛姪他 三謎 毘三謎 莎訶 索掲滯
毘掲滯 莎訶 伐底 莎訶 娑掲囉 三歩多也莎訶 塞建陀 摩多也 莎訶 尼攞建佗也 莎訶 阿鉢囉市哆 毘耶也 莎訶 呬摩槃哆 三歩多也 莎訶 阿儞蜜攞 薄怛囉也 莎訶 南謨 薄伽伐都 跋囉甜摩寫 莎訶 南謨薩囉酸底 莫訶提鼻裔 莎訶 悉甸覩 漫(此云成就我某甲) 曼怛囉鉢拖 莎訶 怛喇覩 仳姪哆 跋囉甜摩奴末覩 莎訶」
爾時、大辯才天女は洗浴法壇場呪を説き已り、前みて
佛足を禮し白佛言「世尊。若し苾芻・苾芻尼・鄔波索迦(優婆塞)・鄔波斯迦(優婆夷)ありて、是妙經王を受持讀誦書寫流布し如説に行ぜん者は、若しは城邑聚落曠野山林僧尼住處に在らんに、我是人の為に、諸眷屬を將ひて天伎樂を作し、其所に來詣して爲に擁護し、諸病苦・流星變怪・疫疾・鬪諍・王法所拘・惡夢・惡神爲障礙者・蠱道厭術、悉く皆な除殄せん。是等持經之人・苾芻等衆及諸聽者を饒益し、皆な生死大海を速渡して菩提を退せざらしめん」。
爾時、世尊は是の説を聞き已りて、辯才天女を讃じて言く「善哉善哉。天女。汝能く無量無邊の有情を安樂利益し、此神呪及香水壇場法式を説く。果報難思なり。
汝當に最勝經王を擁護し隱沒せしむるなく常に流通を得しむるべし」。
爾時、大辯才天女は佛足を禮已し還た本座に復す。
爾時、法師授記憍陳如婆羅門は佛威力を承け、
大衆前において、辯才天女を讃請して曰く
「聰明勇進の辯才天よ、人天の供養を悉く應に受けよ
名聞は世間に遍じて充滿し 能く一切衆生の願を與ふ
高山頂の勝住處に依り 葺茅を室と爲し中に在居す
恒に軟草を結びて以って衣と爲し 在處は常に一足を翹あぐ
諸天大衆皆來集し 咸く同一心に讃請を申す
惟だ願くは智慧辯才天よ 妙言詞を以て一切に施せ」と。
爾時、辯才天女は即便ち請を受けて為に呪を説ひて曰く
「怛姪他慕囇只囇 阿伐帝 阿伐吒伐底 馨遇㘑
名具㘑 名具羅伐底 鴦具師 末唎只三末底 毘三末底 毘王末底惡近唎莫唎 怛囉只 怛囉者伐 底質質哩 室里蜜里 末難地 曇末唎只 八囉拏畢唎裔 盧迦逝瑟跇盧迦失囇瑟耻 盧迦畢唎裔 悉馱跋唎帝 毘麼目企 
輸只折唎 阿鉢唎底喝帝 阿鉢喇底喝哆勃地 南母只南母只 莫訶提鼻 鉢喇底近唎昬恨拏
南摩塞迦囉 (我某甲)勃地達哩奢呬 勃地阿鉢喇底
喝哆 婆跋覩 疸婆謎毘 輸姪覩 舍悉怛囉輸路迦 曼怛囉畢得迦 迦婢耶地數 怛姪他 莫訶鉢喇婆鼻 呬里蜜里 呬里 蜜里蜜里 毘折喇覩 謎勃地 (我某甲)勃地輸提 薄伽伐點提毘焔 薩羅酸點
羯囉帝 雞由囉 雞由囉末底 
呬里蜜里 呬里蜜里 阿婆訶耶弭 莫訶提
鼻勃陀薩帝娜 達摩薩帝娜 僧伽薩帝娜
因達囉薩帝娜 跋嘍拏薩帝娜 裔 蘆雞 薩底婆地娜 羝釤 薩帝娜 薩底伐者泥娜
阿婆訶耶弭 莫訶提鼻 呬哩蜜哩 呬哩蜜哩 毘折喇覩 (我某甲)勃地 南謨薄伽伐底 莫訶提鼻 薩囉酸底 悉甸覩 曼怛囉鉢陀彌 莎訶」
爾時、辯才天女は是の呪を説き已りて、婆羅門に告げて言く「善哉大士。能く衆生のために、妙辯才及諸珍寶神通智慧を求めて一切を廣利して速證菩提す。如是に應に受持法式を知るべし。即ち頌を説いて曰く
「先ず此陀羅尼を誦して純熟し無謬失ならしむべし
三寶と諸天衆に歸敬し加護を請求し願はくは心に随んと。
諸佛及法寶・菩薩・獨覺・聲聞衆に敬禮し
次に梵王并に帝釋及び護世者の四天王を禮せよ
一切の梵行を常修せん人は 悉く至誠殷重に敬せよ
寂靜蘭若處に於いて 大聲に前の呪讃法を誦せ
應に佛像・天龍の前において 其所有に随ひて供養を修せよ
彼の一切衆生類において慈悲哀愍心を發起せよ
世尊妙相紫金身を正念に繋想して心亂るること勿れ
世尊護念して教法を説き 彼の根機に随て習定せしむ
其句義において善く思惟し 復た空性に依りて修習し
應に世尊形像前にありて 一心正念に安坐せよ
即ち妙智三摩地を得 并に最勝陀羅尼を獲ん
如來金口の演説の法は 妙響し諸人天を調伏す
舌相は隨縁して希有を現じ 廣長にして能く三千界を覆ふ
如是の諸佛妙音聲を 至誠憶念し心に畏るるなかれ
諸佛は皆な弘願を發するに由りて此の舌相不思議を得る
諸法は皆な非有なりと宣説すること 譬ば虚空の無所著なるが如し
諸佛の音聲及舌相は 繋念思量して圓滿ならんことを願へ
若しは辯才天を供養するを見 或は弟子が師教に随ひて此秘法を授して修學せしむるを見て 尊重せば隨心に皆成ずることを得ん。
若し人、最上智を得んと欲せば 應當に一心に此法を持すべし
福智・諸功徳を増長し 必定して成就せん、疑いを生ずる勿れ
若し財を求むる者は多財を得 名稱を求むる者は名稱を獲
出離を求むる者は解脱を得る 必定して成就すること疑を生ず勿れ
無量無邊の諸功徳は其内心之所願に隨ふ
若し能く如是に依行する者は 必ず成就を得ん、疑を生ずる勿れ
當に淨處に於いて淨衣を著し 應に壇場を作して大小に隨ふべし
四淨瓶を以て美味を盛り 香花供養は時に随ふべし
諸繒綵并に幡蓋を懸け 塗香末香遍く嚴飾し
佛及辯才天に供養し 天身を見ることを求めば皆願を遂ぐ
應に三七日、前呪を誦して大辯天神前に對せよ
若し此天神を見ずんば 應に更に用心して九日を經べし
後夜中において猶ほ不見ならば 更に清淨勝妙處を求めて
如法に辯才天を畫き 供養誦持して心に捨つることなかれ
晝夜に懈怠を生ぜず 自利利他窮盡するなく
所獲の果報を群生に施せば 所求願に於いて皆成就せん
若し不遂意ならば三月・ 六月・九月或は一年を経て慇懃に求請して心不移ならば 天眼(通)・他心(通)皆悉く得」。
爾時、憍陳如婆羅門は是説を聞き已りて、歡喜踊躍し
未曾有なりと歎じ、諸大衆に告げて如是言を作す。
「汝等人天一切大衆よ、如是に當に知るべし。皆一心に聽け。我今更に世諦法に依りて彼の勝妙辯才天女を讃ぜんと欲す」。
即頌を説いて曰く
「天女那羅延に敬禮す 世界中において自在を得たり
我今彼尊者を讃歎す 皆な往昔の仙人の説の如くならん
吉祥成就して心安隱 聰明慙愧して名聞有り
母となりて能く世間を生じ 勇猛にして常に大精進を行ず
軍陣處に於いて戰ひ恒に勝ち 長養調伏して心慈忍なり
現じて閻羅の長姉となりて 常に青色野蠶衣(やさんね・蚕の原種)を著す
好醜の容儀は皆な具有し 眼目は能く見者をして怖れしむ
無量の勝行は世間に超え 歸信之人を咸く攝受す
或は山巖深險處に在り 或は坎窟(かんくつ・洞穴)及河邊に居り
或は大樹諸叢林に在り 天女多くは此中に依りて住す
假使たとひ、山林野人の輩も 亦た常に天女を供養す
孔雀羽を以て幡旗を作り 一切時に於いて常に世を護る
師子虎狼恒に圍遶し 牛羊雞等亦た相依る
大鈴鐸を振ひて音聲 を出し頻陀山(びださん・阿私陀山)衆も皆な響を聞く
或は三戟を執りて頭の髻を圓くし 左右恒に日月旗を持つ
黒月(満月から新月までの15日間)の九日・十一日 此時中において當に供養すべし
或は婆蘇大天女と現じ 鬪戰有るを見て心に常に愍む
一切有情中を觀察するに 天女は最勝にして過る者なし
牧牛歡喜女と權現し 天と戰ふ時に常に勝ことを得
能く久しく世間に安住し 亦た和忍及暴惡となる
大婆羅門四明法、幻化呪等悉く皆な通ず
天仙中のいて自在を得 能く種子及大地と為る。
諸天女等集會時には 大海潮の如く必ず來應す
諸龍神藥叉衆において咸く爲は上首となり能く調伏す
諸女中において最も梵行あり 言を出すこと猶ほ世間主の如し
王住處に於いて蓮華の如く 若し河津にあれば橋栰に喩へん
面貌は猶ほ盛滿月の如し多聞を具足し依處となり
辯才勝出す高峯の如し 念者は皆な與に洲渚となる
阿蘇羅等の諸天衆は 咸く共に其功徳を稱讃し、
乃至千眼帝釋主も 殷重心を以て觀察す
衆生は若し悕求事有れば 悉く能く彼をして速に成ずることを得しめ
亦た聰辯にして聞持を具せしめ、 大地中において第一と為す
此十方世界中に於いて 大燈明の如く常に普照し
乃至神鬼諸禽獸にも 咸く皆な彼の所求心を遂げしむ
諸女中において山峯の如し 昔の仙人の久住世したるに同じ
少女天の如く常に離欲し 實語は猶ほ大世主の如し
普く世間差別類乃至欲界諸天宮を見るに
唯だ天女の獨り尊を称するあり 有情の能く勝る者を見ず
若し戰陣恐怖處において 或は火坑中に墮在するを見
河津の險難と賊盜時に 悉く能く彼をして怖畏を除かしむ
或は王法に枷縛せらるるところとなり 或は怨讎のために殺害を行ぜらるは、
若し能く專注に心不移ならば 決定して諸憂苦を解脱せん
善惡の人において皆な擁護し 慈悲愍念して常に現前す
是故に我至誠心を以て 大天女に稽首歸依す」
爾時、婆羅門は復た呪を以て天女を讃じて曰く
「 世間尊を敬禮敬禮し 諸母中において最も勝れたり
三種世間咸く供養し 面貌容儀人觀んことを樂ふ
種種妙徳以って嚴身し 目は脩廣青蓮葉の如し
福智・光明・名稱の滿ちたること 譬ば無價の末尼珠の如し
我今最勝者を讃歎す 悉く能く所求心を成辦す
眞實の功徳は妙吉祥なり 譬ば蓮花の極清淨なるが如し
身色端嚴にして皆見ることを樂ふ 衆相希有にして不思議なり
能く無垢智光明を放つ 諸念中において最勝となす
猶ほ師子獸中の上たるが如し 常に八臂を以て自ら莊嚴す
各の弓・箭・刀・矟・斧・長杵・鐵輪并羂索を持す
端正にして見るを樂ふ滿月の如し 言詞無滯にして和音を出す
若し衆生ありて心に願求せば 善事は隨念に圓滿ならしむ
帝釋諸天咸く供養し 皆共に稱讃し歸依すべし
衆徳能く生ずること不思議なり 一切時中に恭敬を起こす 莎訶」

若し辯才天を祈請せんと欲せば此呪讃言詞句に依りて
晨朝に清淨至誠に誦せよ 所求の事悉く心に隨はん
爾時、佛婆羅門に告げたまはく「善哉善哉。汝能く如是に衆生を利益し安楽を施與す。彼天女を讃じて加護を請求し獲福無邊ならん。」
(金光明最勝王經卷第七終わり)

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 身分の低い人にも自分から道... | トップ | 神仏一体資料15 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すばらしい (m)
2021-11-11 19:47:27
誠にありがとうございました。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

諸経」カテゴリの最新記事