B面でかせごう!

京都なまりのフランス語通訳
*人見有羽子のポップでキュート*

京都で谷口ジロー展 

2022-08-22 11:25:58 | アート・文化

京都では、ブライアン・イーノ展がこの夏の目玉的な扱いなのだけれど、

疲労困憊している頭に自分なりの考察を促されても、ほとんどノーアイデアのような予感がして

熟考の末、却下。

それよりも具体的に心に響きそうな谷口ジロー展に出かけました。200点の原画展です。場所は烏丸御池の京都国際マンガミュージアム。

「描くひと 谷口ジロー展」そしてなんとフランス語でL'Homme qui dessine  Jirô Taniguchiという副題まであります。

フランスではもう長いこと谷口ジローさんは漫画界のスターなのですよ。

先日もフランス人監督がアニメ化した『神々の山嶺(いただき)』が公開されたところです。

(未だ見過ごしていますが、まだどこかでやっているだろうか・・)

 

わたしが彼の存在を知ったのは、パリ留学時代の後半だったと思いますが、

学校(=イナルコ)の日本文学史の授業が面白くて、その流れで明治期の文豪たちを遅まきながら再発見(=正確には発見ですね)し、またまたその流れでフランス人の先生や生徒が明治の文学思想を漫画化した「『坊ちゃん』の時代」(1987-96)にはまっていたのに興味を持って、日本に戻ってから文庫化された全巻を読んだ・・のだったか。原作の関川夏央さんもその頃に知り、けっこうツボでしたので、何作か続けて彼の著作も読みました。

「『坊ちゃん』の時代」はすごいと思いました。漱石はなんだかダメダメな人に描かれているし、ユーモアたっぷりながら、時代の空気は鋭くとらえれらている。勉強になる! 文豪を普通の人として描くのは関川さんからのリクエストだったようですが、展覧会会場では、関川さん始め、谷口ジローさんに関わった方々のインタビューからなるビデオ 48分が流されいて、しっかり全部観ましたが、フランスでは谷口さんは日本の漫画界の小津安二郎の位置づけらしいですね。なるほど・・・です。

(Au temps de Botchan 仏語版です)

あまりにも早い訃報(2017,享年70歳)は、フランスのメディアでのとりあげの方が日本よりもはるかに大きかったですね。

敬意を感じました。

(外国版の谷口ジロー作品のいくつか)

京都国際マンガミュージアムは漫画好きにはたまらない場所ですが

谷口ジロー展は外国の見学者も多かったです。

ミュージアム入場券900円でこの展覧会には無料でアクセスできますので、涼をとりつつ

ぜひ来週29日までの会期中にお楽しみ下さい! 

 

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8月は「長崎の郵便配達」

2022-08-17 10:55:16 | シネマ&芝居

8月5日公開の「長崎の郵便配達」。ごらんになったかたがたの評判はなかなか好印象のようで嬉しい!

そうですね、いわゆる頭を使って考えるドキュメンタリーではない。情報を咀嚼する必要がない。

心で観られる作品。

1970年代後半、長崎の街で出会った二人:原爆投下時に16歳の郵便配達だった谷口稜暉(すみてる)さんと元英国空軍の英雄・父親ピーター・タウンゼント氏。敗戦国側と戦勝国側、ともに身体に心に深い傷を負った二人。

彼らの足跡をたどるのがタウンゼント氏の娘イザベルさん。娘時代に父の書いた「The Postman of Nagasaki」(1984年刊行)はむさぼるように読んではいたが、当時は原爆の悲惨さ、父を突き動かしたものがつかみきれていなかったと言う。そして、2018年、川瀬美香監督の誘いを受けて、長崎での撮影に参加することになる。カセットテープに残された父の語りを頼りに、今度は自分が語り部として。

とても誠実に自分の使命を果たそうとするイザベルさんに胸打たれる。

当初は「もっと知りたい、理解したい」という思いで長崎の地に立ったイザベルさんだったが、撮影が進むにつれ、谷口さんと父親から渡されたバトンを、若い世代に引き継ぎたいという使命感が生まれた。

とても自然に。

だから、私たちもとても自然に彼女の思いを受け止めることができる。

長崎の風景を目にしながら、人間の再生への力強い歩みに想いを馳せながら。

 

 

 

 

 

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サンペさん、いつまでもいつまでも

2022-08-15 15:01:05 | 好きなもの

フランスで国民的人気を誇るサンペ、大好きなイラストレーターでした。

フランス語を習う人なら避けては通れないプチ・ニコラ。

パリにいた頃、ル・ディヴァン(=今はなきサンジェルマンデプレ教会の前の広場の一角にあったとても良心的な本屋さん)で、たしか新作のâmes soeurs のサイン会があり、もちろん駆けつけました。

お話もしました。夕方7時頃だったかなあ、すでにサンペさんは一杯も二杯も入っていたのか、赤ら顔の

シャイで優しそうなムッシューでした。

実家においてあるのが写真上のアルバムと、写真下のフォリオ版の5冊。

東京の自宅にもアルバム2作くらい置いてあるかな。やっぱり近くに置いておきたい本なのですよ。

ちょっと心が弱っているときに、手にしたい。表紙を見るだけでも中のイラストをパラパラと目にするだけでも

癒やされるというか、自分の中で押さえこまれている童心やお茶目心が目覚めます。

 

確か「プチ・ニコラの夏休み」ともう一冊(タイトル失念)のフォリオ版はフランス語を猛勉強中の甥っ子に貸してあります。おそらく、ドゥルーズやレヴィナスを読解する甥っ子には「簡単すぎて、歯が弱る」というくらいに

シンプルで普段着の少年言葉(=当時のね。今、こういう話し方はもう少年もしないのかも知れません)ですので、

フランス語初心者におすすめです。わたしもその頃、読みました。

今年、アヌシー映画祭で、たしかサンペとゴシニーの友情を描いた(だっけ?)、サンペのイラストをベースに制作されたアニメ映画がグランプリを受賞し、日本でもおそらく来年あたり公開されるはず! 楽しみですね〜

(=プチ・ニコラの実写映画はすでにありますが、それ以上に楽しみ。声が大事。ラジオでも子供の声でシリーズ化されている。すごくビビッド。きっと子供の声を出せる大人の声優なんだろうな、うますぎる)

 

でも、今は先週他界されたジャン=ジャック・サンペ氏に感謝と哀悼の意を捧げつつ、末永く愛読者であることを

誓います。

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「1640日の家族」とは

2022-08-14 11:35:52 | シネマ&芝居

あまりにも疲れていたので、ブログで映画の話題をとりあげるのも不可能状態。

とりあえず、チラシの写真だけアップして・・・と言いながら、書き連ねます・・

取材で情報過多のせいもあるのでしょうか。情報を取捨選択してまとめるのが難しい。

日本ではあまり聞き慣れない里親制度が題材の作品。

監督の子供の頃の実体験に基づくストーリーですが(=お母様が里親として里子を家庭に受け入れた)、監督の幼少期と現代ではフランスの里親制度も進化したようで、現在、里親自体は研修を受けて資格を得た後のれっきとした職業だそうで、給与もあれば年金の対象にもなるようです。

日本は養子縁組こそ昔は普通でしたが、養子縁組と違い、里親には子供の親権は委譲されず、期間限定の親子関係ですね。だからこそ生まれるドラマもあって、ちょっと胸が痛くなります。

本作では、里親の過剰な愛情は、里子が実親のもとに戻ることを最終ゴールとする里親制度に相容れないということで、司法行政の判断のもと、お互い愛情で結ばれていても里親のもとから里子がひき離される。1640日は、最初から設定された里親期間ではなく、否応なくピリオドが打たれたのが1640日目ということですね。

フランス語タイトルのLa vraie famille は「本当の家族」という意味ですが、本当の家族って何? 定義できないものだよね、というのが真意です。

里子のシモンくんを演じた男の子が可愛い。映画初出演だそうですが、よく頑張ったね!と言いたいほど、二人の親の間で葛藤する少年の表情がリアルです。

愛情でつっぱしる里親のお母さん役はメラニー・ティエリー。マルグリット・デュラスの自伝的小説「苦悩/La douleur」の映画化『あなたはまだ帰ってこない』でも、やはり熱演が光ってました。

里親家庭のお父さん役は、最近急上昇中のリエ・サレム。ミシェル・アザナヴィシウス監督の新作「キャメラを止めるな!」(=日本で大化けした大ヒット作「カメラを止めるな!」のリメイク)でも

プロデューサー役で存在感を発揮しています。人間味もあるし、俳優としての安定感もあるので、おそらく今後もフランス映画で重宝される俳優だと思います。楽しみです。

 

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zoomでも疲れるお盆

2022-08-14 11:28:12 | 京都の田舎から

なんとかみんな元気でお盆を迎えています。

これだけ感染者数が増えると、明日は我が身で過ごしていましたが

とりあえず発症もなく、お盆初日は母を囲んで三人兄弟が実家にそろいましたが、その後、体調不良者も出ていないので、なんとかしのいだのかなと。

恒例の御詠歌は帰省できなかった家族も参加できるように

パソコン2台を駆使して、今年もzoom生中継でした。総勢9名。

 

すごい世の中になったものです。

zoomごしでも、人が集まると賑やかで楽しい半面、終わるとドッと疲れが・・

ふだんひとりで無表情ですごしているのに、にわかに愛想良く振る舞うことで疲れるのでしょうか。ここのところ22時半就寝です。ぐったりです。

 

 

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