なんてことない外出自粛の日々が続いています。
急ぎの翻訳は、ややこしいほど外界の憂さを忘れさせてくれるので、
ありがたや〜と取り組んでます。 原文日本語の読解がすでに難解で、う・・ん、これは単数か複数か、女性か男性か、
日本語はフランス語よりもそのあたりが不明瞭なので、立ち止まることの連続。
幸い、依頼主に電話で連絡がとれるので、なんとか。
そんな折り、偶然、France Musique の番組で、バッハの「フーガの技法/L'Art de la Fugue BWV 1080」の何とも魅力的な演奏を耳にして大興奮!
なんなんだ、このピアニストは、と調べましたら、ロシア人のグリゴリー・ソコロフさん。私が聴いた演奏はおそらくは30代の頃のものだと思いますが、今、現在70歳。ご健在で、来月にはシャンゼリゼ劇場でソロリサイタルのようで、
ああ〜〜、その場に飛んで行きたい。 コロナ禍だから、時間もあるし、でもお金がないからやっぱり行けない。
でも、一瞬、夢見ました。
それで、早速、中古でアルバム2枚組を注文したら、今日、届きました。
「フーガの技法」は飽きないんです。グレン・グールドのハープシコード演奏のアルバムは持っていますが、9番で
終わるので、あら、もう終わっちゃったの、う・・・ん、そんなあとをひく楽曲ですが、これがソコロフさんのピアノとなると、これがまたたまらなく優しくて、今回のアルバムには17番、とんで19番までおさめられているので、堪能させていただきます(=ん?なんで18番がないのだ? 調べよう)
おそらくわたしの場合は(=皆さんもそうでしょうか)、対位法がツボにはまるのだと思いますが、快感この上ない。
バッハはドイツ人で、ソコロフさんはロシア人。
あくまでわたしの趣味ですが、フランス人の作曲家ですごく好きという人はあまりいない・・。
イギリスならヘンデル(=英国に帰化するまでは確かドイツ人)、イタリアならバロック期のヴィヴァルディ、コレッリと名前は挙がりますが、フランスとなると・・・探さないとすぐに頭に浮かびません。
ジャン=フィリップ・ラモー? でも、これ!といったお気に入り曲はない。
人間の感性って何に反応するか人それぞれで面白いですよね。
わたしがフランス語を好きなのは、その数学的な厳格さだと思います。なので、わたしは意外に厳格な感性の持ち主かも知れないと推理しています。って、ぜんぜん違ってたりして!
この年まで生きてくると、けっこう人生、つじつまがあっているので面白いです。
ソクロフさんの「フーガの技法」、部屋に流したら、違う空気が流れました。
ああ、それは良かったです。
むかし、『いつもポケットにショパン』という、くらもちふさこの漫画が好きでしたが(今でもたぶん)、『いつもお部屋にはバッハ』くらいのゆとりがほしいですよね。
わたしもあらためてバッハの癒し力を痛感しています。しかも、ソクロフさんのタッチ、いいですよね。
ジャケットで見る感じ、お体もそれなりにご貫禄があり、その身体的パワーが鍵盤に垂直におりていくスタッカートが頼もしい。
最近では、ランランの『ゴルトベルク変奏曲』にも、ハッとさせられましたが、ソクロフさんはさもありなん、な風貌にも魅せられます。
ぜひ、お部屋にはバッハを!
グリゴリーも、ついついグレゴリーと言いそうになるので、そちらを注意していたら、間違いました。 ロシアの名前はややこしい。ロシアのピアニストで言うと、エフゲニ−・コロリオフさんの『フーガの技法』も名演奏と言われています。
iTunesでさわりを視聴してみましたが、あ、わたしはコロリオフよりソコロフ、と舌を嚙みそうになりながらつぶやきました。
すみません!
私こそが、「つづりから言うても、グレゴリーちゃうんやな」と気を取られ、「ソクロフさん」と…
しかも、ソコロフさんよりソクロフさんの方がより舌を噛むのに。
バッハ聴いて、落ち着きます。