テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

むずかしくて、かんたん?

2015-02-02 21:44:15 | ブックス
「こんにちわゥ、テディちゃでス!
 とッてもォ、しんぷるゥなのにィ!」
「がるる!ぐるるるるがるる!」(←訳:虎です!シンプルで難しい!)
「それはッ?」

 こんにちは、ネーさです。
 シンプルで、難し~い或るお料理。
 それは何かと申しますと……
 答えは、こちらの御本の中ですよ~!

  



 
           ―― 食べることは、生きること ――



 著者は近藤文夫(こんどう・ふみお)さん、2014年11月に発行されました。
 『世界一のてんぷらをあげる』と副題が付されています。

「ふァいッ! こたえェはァ~…」
「ぐるるる!」(←訳:てんぷら!)

 はい、そうなんです。
 美味しくって、日本の料理として世界に知られ、
 でも個人宅で作るとなると、
 これがね、めっぽう難しいというか、
 上手に出来ないんですよねえ、てんぷらって……。

 著者の近藤さんは、
 銀座『てんぷら近藤』の店主さん。
 グルメな活字マニアさんは
 ミシュランガイド東京では二ツ星の店の評価を受ける名店として、
 ネットマニアさんには“オバマ大統領の予約を断った店”として
 記憶されているかもしれません。

「ぎんざのォ、いちりゅうてんッ、でスよゥ!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:みんな行きたがる!)

 『てんぷら近藤』を開業する以前の近藤さん、
 東京のホテルで働いていました。

 《山の上ホテル》といえば、
 活字マニアさんは御存知のことでしょう、
 かつては出版社さんがお仕事の打ち合わせや、
 小説家さんたちを缶ヅメにする際に
 よく利用したホテル!
 (現在では缶ヅメって流行らないようですが)

 近藤さんは、ホテルに立ち寄った昭和の文豪さんたち――
 池波正太郎さん、遠藤周作さん、
 山本健吉さん、井上靖さんといった方々に
 その腕をたいそう愛され、
 《てんぷらと和食 山の上》の料理長を長く務めた後、
 1991年6月、
 銀座五丁目に自分のお店をオープンします。

「もふゥ? いがいとッ?」
「ぐるがるる!」(←訳:最近ですね!)

 自分自身のお店を持つまでの道のり、
 てんぷらの技術を究めるまでの覚悟、
 文豪さんたちから学んだこと。

 この御本は、著者・近藤さんの半生記であり、
 料理/調理の心得本、
 接客をテーマに据えたビジネス書でもあるのですが、
 読んでいて感じ入るのは……

 パイオニアです、近藤さん!

「かいたくしゃッ、でスかァ?」
「がるるぐる?」(←訳:どこがどう?)

 今では、ごく当たり前になっうている
 野菜のてんぷら。

 けれど、40年くらい前までは、
 野菜のてんぷらは“亜流”だった……
 それを変えたのが、
 近藤さん!

 主流である江戸前の魚介から、
 ぐいっと枠を広げて。

 グリーンアスパラガス!
 さつまいも(分厚く)!
 ピーマン(丸ごと)!
 こういった野菜も天種にしてみよう!

「ええッ?? じゃあァ、むかしはァ~!」
「ぐるるるがるるるぐるっるる?」(←訳:おイモのてんぷら無かったの?)

 衝撃の事実です。
 当たり前は、当たり前ではなかった……
 ひとりの料理人さんが始めてみなければ、
 私たちがてんぷらを食べて“美味しいね!”と
 幸福を分かち合うことも無かったのかもしれない、と思うと、
 茫然としてしまいます。

「れきしィ、でスねッ!」
「がるぐるがる!」(←訳:食と人の歴史!)

 お料理好きな方々は、ぜひ一読を!
 御本の巻末には
 《近藤流・てんぷらの揚げ方》も載っています。
 これをもとに練習しまくったら
 いつかは美味し~いてんぷらが……

「できるゥ~!」
「ぐるっ?」(←訳:かなっ?)





 
コメント
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