一般的に子供の頃というものはどのような音楽を聴いていただろうか。
美空ひばりか。タイガースか。
あるいはジュリーか。キャンディーズか。
もっと行くとセーラー服を脱がさないでを歌って大人に怒られたか。
パラダイス銀河を幼稚園のバスの中で歌っていたか。
モーニング娘か。AKBか。
いずれもその時代を反映した歌が歌われているし、歌が世情を反映した部分もある。皆が皆、それらの時代のそれらのヒット曲に納得するだろう。
全てに力がみなぎっている。
弱弱しい曲が流行ったとしても、それは弱弱しい曲でなければならないという負のオーラに満ち満ちている。
ただ、現在の流行りの歌は決してテレビの中だけのものでないらしい。
未成年を中心にインターネットで好まれている歌がある。
ニコニコ動画を見れば、ボーカロイドソフトで音階のついた声をつけ、ソフトに歌わせているものが目立つ。これは素晴らしい作品が沢山あるのと同時に、時に何故このような奇怪な曲があるのかというものもある。そしてそれらがまたヒットしているのだ。
聴いて頂ければ分かると思うが、それらがゆがんだ心情を表現するかのような音階と音で構成されている。
例えば、
・【GUMI】十面相【オリジナル曲PV付き】
・【オリジナル曲PV】マトリョシカ【初音ミク・GUMI】
・初音ミク オリジナル曲 「アンハッピーリフレイン」
・初音ミク・巡音ルカ オリジナル曲 「ワールズエンド・ダンスホール」
などなど・・・。
私はこれらの曲が嫌いではないが、好んでヘビーローテーションで聞く訳ではない。しかし、これを好んでお気に入りとしている人の心情は大変よく分かる。
これらが流行っている理由は何か。なぜ聴いている人はこれをセレクトしたか。そしてこれらの曲を肯定すべきか、否定すべきか。その辺りを書いていきたい。
これらの音楽が病的だと断ずるにはまだ早い。確かに音楽は病的かもしれないが、一歩進めて考えてみたい。それは、これらの音楽をセレクトさせる社会的背景が病的ではないか、という事だ。現代には人間が動物として持っている本能を抑制しなければならないシーンが度々発生する。衝動は動物として必要であったが、社会に生きる人間としては抑制せねばならない。こうしたジレンマを抱えた私達は自然とフラストレーションを抱える事になる。この時、どこにも吐き出せないフラストレーションを吐き出す場所や方法があった方が社会としては健全だ。これをどうやって吐き出すかと言えば、その一つに、音楽への共感や自意識への客観的認識によって心理的な自己強化を行ったり、あるいは構造的不備を抱える社会への批判メッセージに同調する事を周囲の人間へ主張し、自分がそうした事への批判者である事のアピールをしたり、あるいはメッセージそのものに同調する事で、社会に対する代理攻撃を行っているのではないか。私の場合はユーロビートであったが、自らが抱える矛盾や不満を自分の周辺では吐き出す事ができず、そうした自らの狂おしさ、せつなさを音楽が代弁するので、これを利用していたが、現代における上記の曲を選んでいる人達も同様に、自身の持つフラストレーションの解消や社会の病理に対する攻撃手段としてその曲を選んでいるのではないかと想像する。
そして社会が高度化、複雑化してくるに伴い、そのフラストレーションの形態も一様に捉えきれない様相を示すのではないか。
仮にそうだとした場合、そのフラストレーションの解決策がこれらの音楽のように比較的健全で無くなって来ている。
比較的健全でない、という言葉を使ったが、これらは作者やリスナーを批判したいのではない。
時代は新しい技術とともに、前時代の人間からは眉をひそめられたが、それはその時代の要望にあったものだった。よってこれらは否定すべきではないし、そこから社会の病理を解明する必要がある。
これらの曲群は、現代の時代に見合った奇妙な新形態なのであり、我々が否定、肯定する範疇ではないと私は考える。アマゾンの河川が時代の経過と共に湾曲が激しくなり、流れも変わり、最終的に三日月湖を残すように、選曲も時代と共に我々の意識に存在しなかった新形態のものが選択されるようになるのではないだろうか。
時代の変遷とは、ある評価尺度の数直線を行ったり来たりするものだけではない。過去にあったものが融合し、それらが新機軸の評価尺度を生み出す。
その評価尺度を自己の中で認めうる事ができない場合、我々の目に奇妙だと映るのだ。
追記:
尚、ボーカロイド曲についてフォローを入れておくが、全てが病的な曲である訳ではない。次のような爽やかな曲も多数あって、それらが人気の曲である事も申し添えて起きたい。
・「Re:package」 Hatsune Miku - Packaged
・【巡音ルカ GUMI】 ハッピーシンセサイザ 【オリジナル曲】
・【MMD-PV】エレクトリック・ラブ
・【調教すげぇ】初音ミク『FREELY TOMORROW』(完成)【オリジナル】
・【初音ミク】 livetune (kz) - Tell Your World - Full size Ver
ボーカロイドの難点はアリシア・キースやMary j Brigeのように歌にコブシがきかせられない事だろう。だがこれも後々に改善されるはずだ。
日本企業から黒人女性のようなR&B歌唱モデルが出る日が待ち遠しい(需要は無いだろうが・・・)。
美空ひばりか。タイガースか。
あるいはジュリーか。キャンディーズか。
もっと行くとセーラー服を脱がさないでを歌って大人に怒られたか。
パラダイス銀河を幼稚園のバスの中で歌っていたか。
モーニング娘か。AKBか。
いずれもその時代を反映した歌が歌われているし、歌が世情を反映した部分もある。皆が皆、それらの時代のそれらのヒット曲に納得するだろう。
全てに力がみなぎっている。
弱弱しい曲が流行ったとしても、それは弱弱しい曲でなければならないという負のオーラに満ち満ちている。
ただ、現在の流行りの歌は決してテレビの中だけのものでないらしい。
未成年を中心にインターネットで好まれている歌がある。
ニコニコ動画を見れば、ボーカロイドソフトで音階のついた声をつけ、ソフトに歌わせているものが目立つ。これは素晴らしい作品が沢山あるのと同時に、時に何故このような奇怪な曲があるのかというものもある。そしてそれらがまたヒットしているのだ。
聴いて頂ければ分かると思うが、それらがゆがんだ心情を表現するかのような音階と音で構成されている。
例えば、
・【GUMI】十面相【オリジナル曲PV付き】
・【オリジナル曲PV】マトリョシカ【初音ミク・GUMI】
・初音ミク オリジナル曲 「アンハッピーリフレイン」
・初音ミク・巡音ルカ オリジナル曲 「ワールズエンド・ダンスホール」
などなど・・・。
私はこれらの曲が嫌いではないが、好んでヘビーローテーションで聞く訳ではない。しかし、これを好んでお気に入りとしている人の心情は大変よく分かる。
これらが流行っている理由は何か。なぜ聴いている人はこれをセレクトしたか。そしてこれらの曲を肯定すべきか、否定すべきか。その辺りを書いていきたい。
これらの音楽が病的だと断ずるにはまだ早い。確かに音楽は病的かもしれないが、一歩進めて考えてみたい。それは、これらの音楽をセレクトさせる社会的背景が病的ではないか、という事だ。現代には人間が動物として持っている本能を抑制しなければならないシーンが度々発生する。衝動は動物として必要であったが、社会に生きる人間としては抑制せねばならない。こうしたジレンマを抱えた私達は自然とフラストレーションを抱える事になる。この時、どこにも吐き出せないフラストレーションを吐き出す場所や方法があった方が社会としては健全だ。これをどうやって吐き出すかと言えば、その一つに、音楽への共感や自意識への客観的認識によって心理的な自己強化を行ったり、あるいは構造的不備を抱える社会への批判メッセージに同調する事を周囲の人間へ主張し、自分がそうした事への批判者である事のアピールをしたり、あるいはメッセージそのものに同調する事で、社会に対する代理攻撃を行っているのではないか。私の場合はユーロビートであったが、自らが抱える矛盾や不満を自分の周辺では吐き出す事ができず、そうした自らの狂おしさ、せつなさを音楽が代弁するので、これを利用していたが、現代における上記の曲を選んでいる人達も同様に、自身の持つフラストレーションの解消や社会の病理に対する攻撃手段としてその曲を選んでいるのではないかと想像する。
そして社会が高度化、複雑化してくるに伴い、そのフラストレーションの形態も一様に捉えきれない様相を示すのではないか。
仮にそうだとした場合、そのフラストレーションの解決策がこれらの音楽のように比較的健全で無くなって来ている。
比較的健全でない、という言葉を使ったが、これらは作者やリスナーを批判したいのではない。
時代は新しい技術とともに、前時代の人間からは眉をひそめられたが、それはその時代の要望にあったものだった。よってこれらは否定すべきではないし、そこから社会の病理を解明する必要がある。
これらの曲群は、現代の時代に見合った奇妙な新形態なのであり、我々が否定、肯定する範疇ではないと私は考える。アマゾンの河川が時代の経過と共に湾曲が激しくなり、流れも変わり、最終的に三日月湖を残すように、選曲も時代と共に我々の意識に存在しなかった新形態のものが選択されるようになるのではないだろうか。
時代の変遷とは、ある評価尺度の数直線を行ったり来たりするものだけではない。過去にあったものが融合し、それらが新機軸の評価尺度を生み出す。
その評価尺度を自己の中で認めうる事ができない場合、我々の目に奇妙だと映るのだ。
追記:
尚、ボーカロイド曲についてフォローを入れておくが、全てが病的な曲である訳ではない。次のような爽やかな曲も多数あって、それらが人気の曲である事も申し添えて起きたい。
・「Re:package」 Hatsune Miku - Packaged
・【巡音ルカ GUMI】 ハッピーシンセサイザ 【オリジナル曲】
・【MMD-PV】エレクトリック・ラブ
・【調教すげぇ】初音ミク『FREELY TOMORROW』(完成)【オリジナル】
・【初音ミク】 livetune (kz) - Tell Your World - Full size Ver
ボーカロイドの難点はアリシア・キースやMary j Brigeのように歌にコブシがきかせられない事だろう。だがこれも後々に改善されるはずだ。
日本企業から黒人女性のようなR&B歌唱モデルが出る日が待ち遠しい(需要は無いだろうが・・・)。