とめどもないことをつらつらと

日々の雑感などを書いて行こうと思います。
草稿に近く、人に読まれる事を前提としていません。
引用OKす。

徴税権行使不可事例

2024-03-31 12:10:26 | 社会・テレビ・広告・既存市場動向
カテゴリーはここ。私の意見は下記。


NY市、固定資産税の未払い急増-納税インセンティブの低下が原因か - Bloomberg
2024年3月29日 15:07 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-29/SB2WQ5T1UM0W00

ニューヨーク市で固定資産税を納めなくなった市民が増えている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期から見られる傾向であり、歳入を増やす目的で1996年に導入された租税先取特権の競売制度が終了したことが原因と市当局はみている。

  固定資産税の滞納額は過去最高レベルに達し、6月の会計年度末には3年前より30%余り急増し、8億8000万ドル(約1330億円)を超えると予想されている。市の一般財源債発行に関連する文書から明らかになった。市は税収の半分近くを固定資産税から得ており、税収の落ち込みにつながり得る。

  市議会の財政委員会が3月4日開いた公聴会で、市の財政コミッショナー、プレストン・ニブラック氏は「心配すべきは金額だけではない」とし、「固定資産税を払わなくても、何の影響もない」と人々が認識していることが問題だと指摘。「それが続くことは許されない」と話した。

  ニューヨークのオフィス市場が苦戦を続ける中、固定資産税の未払いが増加しているのは確かだ。市が1月に示した財政計画によると、マンハッタンのオフィススペース全体の空室率は昨年11月に22.5%と、記録的高水準となった。

  先取特権は他の債権者に優先して債権の弁済を受ける権利。未納の固定資産税の先取特権を競売にかけるプログラムは2022年3月に期限切れとなったが、市議会はこれを再承認しなかった。このため、当局によると、滞納者には負債を支払うインセンティブがないという。

  このプログラムでは、固定資産税の滞納が3年続いた場合、市当局は一戸建てとコンドミニアムの先取特権を競売に出すことが可能だった。他の種類の不動産については、1年後に売却することができた。

  市当局は最も市場性の高い先取特権を有価証券にパッケージ化し、第三者の信託に割引価格で売却。信託はサービサー(債権回収業者)を通じて債権回収の責任を負い、手数料と利息の支払いを加える。投資家に返済された後、市当局は利払いや手数料から追加収入を得る権利があるというものだった。

  地域活動家や一部の選出議員は、このプログラムが低所得層の不動産所有者を不当にターゲットにしていると批判。ニューヨーク州のジェームズ司法長官は20年12月、強制的な5%の追加手数料や弁護士費用、日割りで計算される9%または18%の金利について、「追加手数料は比較的小さな租税先取特権を一瞬にして圧倒的な経済的負担に変え、最終的には住宅所有者を差し押さえに追い込む可能性がある」と述べていた。

  市の財務局は、住宅所有者が差し押さえや立ち退きに直面しないようにするため、租税先取特権売却プログラムを再承認する条例案に取り組んでいると説明。「固定資産税執行の新たなより公平な形に向け、この重要な問題に関して市議会と協力することを期待している」とライアン・ラビス報道官はコメントした。

  市議会は「行政や支援者、影響を受ける地域社会、全ての利害関係者」と協力し、「固定資産税の未払い分に対処する政策を進めるとともに、住宅保有者とコミュニティー、市の経済的な健全性を支えていく」とする声明を出した。

  ニューヨーク市は今年度、固定資産税327億ドルの徴収を見込んでいる。これは、固定資産税が税収入全体の約45%、現行予算1140億ドルのほぼ30%を賄っていることを意味する。


一昨日、ちょいとした機会があって、権利に関する議論を他の方と実施していたのだが、権利とは一体なんぞやというお題の時に、
私「権利とは社会の保証の前段的補償範囲の営為であって、範囲的には保証されるが必ず履行されるものではない。だがこれについて色んな人に話をするに、これがしっくり来ないようだ。このもやもやは一体何か」
と言うことを聞いた。
すると、他の人が「それは権利が提唱されると必ずその対義として義務が生ずるからではないか。権利には行使されるかされないかというゼロ百の世界であって、80%程度行使されると言う濃度がある世界ではないと皆が認識しているからではないか」と言う補足をもらった。

その例として「国には徴税権があって、それは必ず行使される」と言う例があったのだが、その反例が早速できてしまったので引用。



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リキッドデスの文化

2024-03-25 21:28:36 | 社会・テレビ・広告・既存市場動向


・私が思うに。
・市場開拓とその仕組みについてはモハPさんが解説している。
・おそらく日本では再現しない。
・と言うのも、これはアメリカのマッチョ文化、つまりは「実態の中身はないけど、これをやったら俺は男らしいんだぜえ〜」と周囲に主張したり、あるいはそういう行動をして、周囲に認められるなどをする文化が根付いてそれが発露した結果だと考えられるため。
・これは音楽や銃の所持、薬物、あるいは犯罪などにも現れる。これはアメリカ特有のものだ。
・一方日本にはそういうものがマジョリティーとしては存在しないが、完全に存在しないかと言うとそうでもない。恐らく半グレだとかギャングに売れる。

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市場があまり魅力的でない時期

2024-03-20 23:10:29 | 社会・テレビ・広告・既存市場動向
スノーボール改訂新版 中 アリスシュローダーP68

バニータとフレッド・スタンバックは、フレッドの実家があるノースキャロライナ州ソールズベリーに住んでいた。いまやスタンバックは、血圧が高くなるような結婚生活から逃れようとしていた。それで、ほかのグレアム主義者とは違って、スタンバックはしばらく投資に集中できなくなった。それに、どのみち市場があまり魅力的でない時期だった。五〇社以上の投資ファンドがつぎつぎに登場し、舞台の袖では六五社ほどが順番を待っていた。株を所有するのが一般大衆の流行りになるのは、アメリカの歴史始まって以来のことだった。バフェットはこの様相を「不幸の手紙の蔓延」に似ているとし、「熱狂(マニア)」とまで評している。そのおおかたは、「過度な期待を持ち、騙されやすくて欲の深い連中で、願望を満たすような根拠に飛びついた」のだと。


ここでいくつか考えてみたい。

1.まずバフェットはこの一般大衆の流行りに対する一般大衆をどう見ているかというと、完全に素人さん扱いとしている。
 ではバフェットと素人の違いとは一体何になるのだろうか。
 それはこの文中から考えるに、一般大衆とは過度な期待を持つが、プロの投資家は数字による分析からなる安全マージンとそれの確保からなる利益を求めるものである。
 次に一般大衆は都合の良い情報に騙されやすいが、プロの投資家はアメリカにおける小さな市場情報の紙切れに書いてある文字も読み込んで判断をするということになる。
 最後に欲が深い連中という風な記述があるが、私から見れば欲が深いのは一般大衆もバフェットも同類である。
 それではバフェットから見た「欲の深い連中」とは一体何なのだろうか。
 それはこれまでバフェットが行っていた自分の仕事あるいは業務内容に関してそれらの仕事におけるプロフェッショナルの自負を持っていたことに対する、一般大衆のスキルの無さと本来はそれに伴うべきではないはずの購買意欲のギャップから素人として判断していたのではないかと私は考える。

2.「市場があまり魅力的でない時期」とは何か。
これを整理すると、
・投資ファンドが大量に流入し同業他社が増えている。
・知識のない一般大衆の投資意欲が過熱している。
・これらの参入により、株式が適正価格よりは大幅に上昇した形となった。
・安全マージンを計算した、底堅い株式の購入と売却によって運用益を出すバフェットのスタイルにおいては、この加熱は邪魔者だった。相場よりも大抵の株式価格が大幅に高いためである。つまりこれはバフェット流に言えば旨味がない株式となる。
 1つの会社の株式がそうなのであればまだ目をつぶれるが、この時に至っては相場全体がそのような動きになっているため、投資という形における株式の購入と売却においては、安く買って高く売るというスタイルの投資家が参入するような時期ではなかった。
・これは今の日本にも言える。これまで株式会社の経験がないあるいは知識のなかった一般人が株式の市場に参入することによってその価格の上昇気流を形成してしまった形となっている。つまり2023年度現在の日本社会の株式売買においては旨味がない。
 あるいは旨味が出そうなところをより選定した形にとって株式売買を行うべきである。


なぜ人は、還元率の悪い「宝くじ」を買ってしまうのか? | サイコロジー・オブ・マネー | ダイヤモンド・オンライン
2022.1.1 2:55
https://diamond.jp/articles/-/290752

一冊の「お金」の本が世界的に注目を集めている。『The Psychology of Money(サイコロジー・オブ・マネー)』だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙のコラムニストも務めた金融のプロが、資産形成、経済的自立のために知っておくべきお金の教訓を「人間心理」の側面から教える、これまでにない一冊である。世界43か国で刊行され、世界的ベストセラーとなった本書には、「ここ数年で最高かつ、もっとも独創的なお金の本」と高評価が集まり、Amazon.comでもすでに10000件以上のレビューが集まっている。本書の邦訳版『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』が、12月8日に発売となった。その刊行を記念して、本書の一部を特別に公開する。

貧困層は、高所得者層の4倍も「宝くじ」を買っている

 アメリカ人が毎年、宝くじに費やすお金は、映画やビデオゲーム、音楽、スポーツイベント、書籍を合わせた額を上回る。

 くじを買っているのは誰か? そのほとんどは、貧困層だ。アメリカの低所得者層は、年間平均412ドルを宝くじに費やしている。これは高所得者層の平均購入額の4倍である。アメリカ人の4割は、いざというときのための蓄えが400ドルに満たない。

 つまり、毎年宝くじを400ドル以上買っている人たちの大半は、非常時のための400ドルを用意できない人たちでもある。数百万分の1の確率でしか大当たりしないもののために、生活を守るための資金を投じているのだ。

 私にとって、これは正気の沙汰とは思えない。同じ感想を持つ読者も多いはずだ。だが、私は最低所得層ではないし、読者の多くもそうだろう。だから、低所得者層が宝くじを買う理由を肌で理解するのは簡単ではない。
彼らが宝くじを買う理由

 しかし少し考えれば、次のような意見を持つ人がいることも想像できるのではないだろうか。

「私たちは毎月のわずかな給料でなんとかやりくりしている。貯金をする余裕すらない。給料が上がる見込みもないし、贅沢な休暇を過ごすなんて夢のまた夢だ。新車も買えないし、健康保険にも入れない。立地のいい場所に家を建てることもできなければ、大きな借金を抱えなければ子どもを大学に通わせることもできない。ファイナンス関連の本を読むような豊かな人たちが手にしているものを、私たちは手にすることができない。

 私たちにとっての宝くじは、豊かな人が当たり前のように享受しているものを手に入れる唯一のチャンスなのだ。豊かな人はすでに夢のような生活をしている。だから、夢のために宝くじを買う人の気持ちはわからないだろう。これが、私たちが宝くじにお金を注ぎ込む理由だ」
数字だけに基づいて、意思決定できる人などいない

 もちろん、誰もがこの意見に同意する必要はない。どのような理由があるとしても、お金がないときに宝くじを買うのは良くないとも言えるだろう。

 それでも、私は宝くじが売れ続ける理由がなんとなくわかるような気がする。なぜなら、お金に関する意思決定を、表計算ソフト上の数字だけを見て行う人はほとんどいないからだ。

 意思決定は、家庭の食卓や会社の会議室で行われる。そこでは、個人的な過去の出来事や、独自の世界観、エゴ、プライド、マーケティング、複雑なインセンティブなどが混じり合い、当人にとって都合の良いストーリーがつくられているのである。


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バフェット氏、株高騰「カジノ的」 投資機会乏しさ憂う

2024-02-27 23:20:41 | 社会・テレビ・広告・既存市場動向
これがポジトーなのかどうなのか分からんが記載。


バフェット氏、株高騰「カジノ的」 投資機会乏しさ憂う
2024年2月25日 2:21
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN243HQ0U4A220C2000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1708795509

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは24日、恒例の「株主への手紙」を公表した。米国内外の株式相場の高騰は「カジノ的」だと警鐘を鳴らした。魅力的な新規投資機会は乏しく、バークシャーの投資待機資金は最高水準に積み上がる。

バフェット氏は手紙で、自身が初めて株式を買った1942年3月にダウ工業株30種平均は100ドルを割り込んでいたと...


これに関連する著述:
スノーボール  改訂新版中  アリス シュローダー P84

左手にはビル・ スコットのオフィスがあり、「 早くしろ! こっちは忙しいんだ!」とブローカーをどなりつけ、 バフェットの売買を実行させる。
(中略)
  相場が上昇しているので、 スコットはここのところ あまり忙しくない。
(中略)
一九六〇年代末、市場の高騰によって 株式投資がやりにくくなっていた。

と言うことで、上昇相場での天井においては基本的に買うことに関して旨味がない。
バフェットが手を引きかけているのもうなずける話だ。

また、バフェットが日本の半導体関連株を買っているから大丈夫的な話もちらほら見かけるが、これは手放しでは喜べない。
と言うのもバフェットの基本スタンスは株式関連における利益が出ればいいので、安全マージンを確保できた上で割安なものに投資をし、成長したらその利益を得る、と言うスタイルだからだ。
つまりこれは日本の半導体関連株は、良質な環境と人材がある割に、円安かつ日本の社会構造の問題から割安になっているのを見定めて、極めて安牌の立場から買っているだけなのであって、日本が良くて高品質だからと言う理由がメインになっているのではない。日本は世界的に相場より安く見られており、それが問題であることを認識すべきなのだ。
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バフェットがインテルに投資をしなかった話

2024-02-17 10:51:45 | 社会・テレビ・広告・既存市場動向
今回の件はバフェットがインテルに投資をしなかったということで、いくらなんでもリスクを「負わなさすぎだろう」というような類の話である。
バフェットは慎重派の中でもかなりの慎重派なので、インテルという株が投資に向いているかどうかについてはリスクがあるという判断をしていたようである。
日本語文章の表現が若干ややこしいことになっているが私なりにまとめるとこうした表現になる。

スノーボール改訂新版中 アリスシュローダー P75

 バフェットとマンガーは、有望な会社をまた見つけ出し、できるだけ多くの株を買った。交換スタンプを扱うブルーチップ・スタンプスである。ふたりは別に買うこともあれば、いっしょに買うこともあり、その後、ブルーチップは2人の仕事人生を劇的につくり替えることになる。
 交換スタンプというのは買い物のおまけだった。小売店が釣り銭と一緒にスタンプを客に渡す。客はスタンプを小さな台帳に貼る。台帳が何冊か集まると、トースターやテザーボールなどと交換できる。スタンプを貯めるちょっとした喜びは、その時代には消えつつあった節約や借金を恐れる心を思い出させた。”無料(ただ)の景品”は、わざわざスタンプを集めたご褒美とみなされた。
 だが、実をいえばスタンプは無料(ただ)ではない。焦点はそれに金を払い、商品の値段にそれが織り込まれている。アメリカ最大の交換スタンプ業者は、スペリー&ハッチソン(S&H)だが、カリフォルニア州だけは別だった。カリフォルニアでは小売チェーンが独自の交換スタンプをはじめて、S&Hのグリーンスタンプを締め出したのだ。それがブルーチップで、自分たちが安値で販売していた。ブルーチップは、独占販売の典型だった。
「大手石油会社や食料品店がすべて同じスタンプを配るようになると、それは一種の貨幣になる。小銭を持ち歩かず、スタンプを使う。葬儀屋までスタンプを出す。売春婦までスタンプを出す。スタンプはどこにでもあって、偽造するやつまでいるというわけさ」
一九六三年、司法省がブルーチップを、自由取引を妨げ、カリフォルニア州の交換スタンプ業を独占しているとして告訴した。S&Hも訴えた。パシフィック・パートナーズという自分のパートナーシップを立ち上げていたリック・ゲインが、株価が低迷するブルーチップに注目して、マンガーに教えた。バフェットも気づいていた。「ブルーチップには清く正しいという発想がなかった」とマンガーは認めているが、ブルーチップは難関を乗り越えるだろうと三人とも判断した。
 三人が買収したいと思ったのは、ブルーチップに”手持ち金(フロート)”があるからだった。スタンプの代金は前もって支払われる。経費に交換されるまでに日にちがある。その間、ブルーチップは未払金を何年も活用できる。バフェットがこの喉から手が出るほど欲しくなる発想に出合ったのは、ガイコ最初だった。ナショナル・インデグニティを手に入れたかったのも、おなじ理由からだった。保険業者はまず保険料を受け取り、保険金はあとで支払う。どんな事業にも、未決済の小切手や手形はつきものだ。銀行預金もそのひとつといえる。客は銀行が好意で安全な場所に現金を保管しておいてくれると思いがちだが、銀行は預金をできるだけ高い金利で貸し付けるという投資を行っている。それが”手持ち金”。他人の金で投資をし、そこから利益を得ているバフェットのような人間にとっては、ネコにマタタビみたいなものだった。
 バフェットと友人たちは、お金についてあらゆる状況を逆の立場から見ることができた。どこかで交換スタンプを渡されたら、こう考える。「そうか、交換スタンプをもらうよりも、交換スタンプ会社を所有した方が得に違いない」子供のころは切手を収集していて、今でも切手は数えたいと夢想し、若き日の失敗の記念に四セント切手を地下室にしまっているバフェットですら、ブルーチップ・スタンプを集めるぐらいならブルーチップの株を集めた方がマシだと思っていた。
 一九六八年、ブルーチップは競合他社による訴訟の和解に乗り出した。司法省とも同意判決に達して、ブルーチップの親会社の食品スーパーチェーンは、スタンプを配っている小売店の株の四五パーセントを売却することを命じられた。食品スーパーチェーンの支配力をさらに弱めるために、司法省はスタンプ授業の三分の一を売却する相手を探すよう要求していた。それでも、ブルーチップはこの訴訟問題を乗り越えたように見えた。
 マンガーのパートナーシップが二万株を買い、ゲリンも同じだけ買った。その際にマンガーは、バフェットがバークシャー・ハサウェイ買収の際にとったのと同じ態度を示した。他人に手出しをするなと警告したのだ。「ブルーチップは買って欲しくない」とみんなにいった。「これだけはだれにも買って欲しくない」
 市場が上昇に転じると、バフェットはパートナーシップの一時的なキャッシュポジションを数千万ドルに引きあげた。バフェットのパートナーシップは、食料品店からも大量のブルーチップ株を買い、アリグザンダーズ・マーケッツの所有していた分も買った。七万株以上を買い占めるまで買い続けた。S&Hの訴訟が和解する方に大きく賭けたのはさいわいだった。──そうでなかったら、タイミングは最悪だったはずだ。
バフェットとマンガーがブルーチップに取り込んでいた時期が、同社の着実な成長の頂点だった。女性解放運動が急激にひろまり、女性はもっと楽しいことができるようになり、収入も得られるようになった。権利意識が強まると、電気ミキサーやフォンデュ・セットがほしければ、ちまちまと集めたスタンプを台帳に貼って交換するよりも、買いに行った方が早いと思い始めた。社会的な役割や演習が覆り、エスタブリッシュメントの文化があしざまに罵られて、若者は頭ごなしに”三〇歳以上のやつは信用するな”といった。三八歳のバフェットには、自分は年寄りだという気持ちはなかった──老いたと感じることはその後もない──が、「自分は老人病棟にいる」とパートナーに書き送っている。現代の文化や金融とは歩調が合わなかった。
 一九六八年、パリのベトナム和平交渉の進展が、市場にまた馬鹿騒ぎをもたらした。
 三〇〇人以上のパートナーの一億五〇〇万ドルの最低限のリスクで注意深く管理し、育て、複利で運用してきたバフェットは、新手の投資家を遊覧飛行に連れ出して、一夜にして五億ドルを儲けさせるような若い冒険的なマネーマネージャーの前では、影が薄かった。
 どんどん登場していた新テクノロジー企業のことでは、バフェットはことに──お気楽なほど──古風に見えた。グリネル大学の会議に出たバフェットは、理事仲間のボブ・ノイズが、フェアチャイルド・セミコンダクターを止めたがっていることを知った。ノイス、研究部長ゴードン・ムーア、研究開発次長アンドリュー・グローブは、カリフォルニア州マウンテンビューで名もない新会社を設立することを決めていた。集積回路技術を”より高度なレベル”に引き上げるという漠然とした計画が土台になっていた。ジョー・ローゼンフィールドと大学の寄付基金が、それぞれ一〇万ドルを投資する予定だった。ほかにも数十人の出資者がいて、新会社の資本金は二五〇万ドルにのぼった──この会社はまもなく集積化電子(インテグレーテッド・エレクトロン)を縮めてインテルと呼ばれるようになる。
 バフェットはそれまでずっとハイテク関係の投資には見向きもしなかったし、安全マージンがないと見ていた。一〇年以上前の一九五七年、叔父フレッドの妻ケイティがバフェットの家の裏口に来てたずねたことがあった。弟のビルの新会社に夫婦で投資しようかと思っているのだけれど、どうかしら? ビル・ノリスは、レミントンランドのUNIVACコンピューター部門を辞めて、IBMと競合するコントロール・データ・コーポレーションを設立しようとしていた。
 ウォーレンは驚愕した。「ビルは、レミントンランドがIBMの更新を拝することになると考えていた。頭がどうかしたんじゃないかと思った。ケイティ叔母さんとフレッド叔父さんは、コントロール・データに創業時からわずかな出資をするつもりだった。ビルには金がない。いってみれば、みんな金がなかった」バフェットとスージーだけは別だった。「やろうと思えば、半分出資することができた。でも、否定的だった。それで、”競合が激しいんじゃないかな。コンピュータ会社なんて、そんなにいっぱいいらないだろう”といった」
 だがビルはケイティの弟なので、フレッドとケイティは今度ばかりはバフェットの助言を顧みず、四〇〇ドルを投資して、一株一六セントで株を買った。
 コントロール・データが成功しても、ハイテクに対するバフェットの意見は変わらなかった。同時期に操業したほかのハイテク会社の多くは破綻している。だが、他の理由はともかく、ローゼンフィールドに敬意を表して、バフェットはグリネル大学のハイテク投資を承認した。ローゼンフィールドは大学の投資を保証し、それで安全マージンが生まれた。バフェットはノイズを尊敬していたが、パートナーシップのためにインテル株を買うことはしなかった。人生最大の投資機会を逃したわけだった。困難な状況で投資の基準を引き下げることはあっても──これからもそうするつもりだが──安全マージンを無視することはできなかった。この特質こそが──リスクに制限を設けなければ手に入れられる富の前を素通りできるのが──ウォーレン・バフェットたるゆえんなのである。
 バフェットにしてみれば、いまや市場全体がインテルのように見えていた。一九六八年末の手紙は、投資アイデアがいまだかつてなかったほど低調だと述べている。
(中略) 
バフェットが自分の暗い予測を上回る成績をあげるたびに、伝説はふくれあがっていた。だが、それが永遠につづかないことを、バフェットは知っていた。



>「大手石油会社や食料品店がすべて同じスタンプを配るようになると、それは一種の貨幣になる。小銭を持ち歩かず、スタンプを使う。葬儀屋までスタンプを出す。売春婦までスタンプを出す。スタンプはどこにでもあって、偽造するやつまでいるというわけさ」
スタンプが貨幣代わりになったという例。

> 一九六八年、パリのベトナム和平交渉の進展が、市場にまた馬鹿騒ぎをもたらした。
と言うことだが、この馬鹿騒ぎというのは一体何だろうか。
私が解釈するに、基本的に今の一般的な株式の購買に関しても、直感やある種の魔術的な要素があると認識されているこの市場において、予測不可能な部分に関してはそうした非科学的な解釈がなされるが、そうではなく安全マージンを基準とした数値的理論を用いて株式を売買運用をしているベンジャミングレアム、そしてその信奉者であったウォーレンバフェットに関しては、理論を用いない直感による売買をする人間、つまり一般一般大衆による株式売買に関する参入というのは、理論を用いない騒乱に過ぎなかったということではないかと考える。


「 三〇〇人以上のパートナーの一億五〇〇万ドルの最低限のリスクで注意深く管理し、育て、複利で運用してきたバフェットは、新手の投資家を遊覧飛行に連れ出して、一夜にして五億ドルを儲けさせるような若い冒険的なマネーマネージャーの前では、影が薄かった。


ここが分かりづらいので、私なりに日本語を文章を組み替える。
「バフェットの投資スタイルがどういうものであるかというと、三〇〇人以上のパートナーの一億五〇〇万ドルの最低限のリスクで注意深く管理し、育て、複利で運用してきた慎重派である。
一方、若い冒険的なマネーマネージャーは違った。
新手の投資家を遊覧飛行に連れ出して、一夜にして五億ドルを儲けさせるようなことをしていた。
そのようなマネーマネージャーの前では、バフェットは影が薄かった。





「この特質こそが──リスクに制限を設けなければ手に入れられる富の前を素通りできるのが──ウォーレン・バフェットたるゆえんなのである。」

ここに関しても、日本語文章がややわかりづらい形になっているので私なりに整理を行う。

富がある。
富を得ようとするか素通りしようとするかについてはその人間の自由である。
ただ一方において富についてはそれを得る時にリスクがついて回るものである。
富を得ようとする時の理論的リスクがその安全マージンを超える時に、いくらそれが莫大なものであろうとそれを得ることをしないという判断をするという慎重派がバフェットである。

という文意である。

ただこれも英語元の文章が悪かったのか、あるいは翻訳ミスであるのかがわからないが「リスクに制限を設けなければ手に入れられる富」という表現が個人的には良くないと考えた。
というのも、リスクに制限を設けなければ手に入れられる富というのは、カジノにおける大勝負もこれに入ってしまうので、表現としては適切ではないように思われる。
この本の文脈で言えば、バフェットは安全マージンを超えるような形での投資を不適切だと思っており、それがわずかにでも超えるようなのであれば、そのリスクを考えて投資をしないというものがバフェットのスタイルである。
よってここの文章意としては、「リスクとしての安全マージンの閾値をわずかに超えれば得られる富があれば」という意味の方がより近いだろう。


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