雪が積もった。ほんの数センチだが、風向きによって吹きだまったところはフカフカになっている。数日前の寒波で降った雪がミゾレ混じりだったのに比べると、やっと雪景色と言っていいような朝を迎えた。テオはすぐに散歩に行こうと騒がしいが、こんな日はお日様が顔を出してから家を出るのが正しい。
テオは雪の中に顔を突っ込み、雪をパクパク食べる。子供と一緒で雪が積もるとテンションが高い。
途中、サクちゃんちの前を通ると、サクちゃんが散歩から帰って来て繋がれていた。
「雪が積もったね」「そだね」
「いっちょやるか」「そうこなくっちゃ」
早速「うりゃりゃりゃりゃ」とやり始める2匹。そんなに暴れたら散歩に行かなくても十分運動になっているんじゃないか。
サクちゃんと別れ、昔の小学校の跡地までやってくると、その隣の墓地の空き地で今度はケンくんがボール投げに興じていた。ボーダーコリーのケンくんは、普通の散歩くらいじゃ体力を持て余すので、朝早くここの空き地に来てはボールを追いかけ、走り回っている。普段は僕らの方が時間が早いので会うことはないが、今日はお日様が昇ってから家を出たので、ケンくんの運動時間とはちあった。
ボールをくわえて走り回るケンくん。その後を追いかけるテオ。ボーダーコリーは知能も運動能力も犬の世界では一番との呼び声が高い。が、そんなボーダーコリーもテオは余裕で追いかけ回す。これにはさすがにケンくんの飼い主さんも、「この犬は足が速いね」と舌を巻いていた。テオはとにかくスピード狂なのだ。
朝早くから全力で遊び回りすっかり温まったのだろう、テオは雪の中で休憩する。
お日様が昇ってくると世界はキラキラと輝く。東北の冬はやっぱり雪がないとしまらない。
乾いた雪質のせいか、風もないのに木の枝に積もった雪がハラハラと落ちてくる。朝日を浴びて輝く雪は、ダイヤモンドダストのように頭の上に降り注いでくる。