「王様のブランチ」に出てくるヒゲの編集者、という認識程度の人でしたが、読んで初めて知りました。路上観察学会も宮武外骨も老人力も、みんなこの著者と赤瀬川原平との長いつきあいの中から生まれたものでした。杉浦日向子など、うちにもいっぱいある「ちくま文庫」のマンガもそう。他にもいっぱい。
80年代、90年代に私がおもしろいと思って見ていた本やイベントのかなり多くの部分で、実はこの方が関わっていたのでした。文章は全然うまくないし、やや自己陶酔型のところも見えて、決して好きなタイプの人間ではないのです。
ただ、この人が面白いと感じたことは確かに面白く、それを世に広めるために適切な人物を「その気にさせる」能力には感心します。本人には特別な才能がなくとも、特別な才能がある人にその力を発揮させる能力。まさに「天性の編集者」と言えるんでしょう。
南伸坊(この人も「美学校」時代からのグループです)の解説も笑えます。