中国や韓国の国内の特許情報を、日本の中小企業でも素早く知ることが出来るためとのことですが、良い事なのですが、なんでそんなに高いのというのがひとつ。二つ目は、国内特許の認可期間を短縮する為=国内特許の検索システムに、55億円を投資しても完成できずドブに捨てたのに、大丈夫なのという心配です。
中・韓の特許、和訳システム構築へ…知財保護で : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
政府が、中国や韓国で出願・認定された特許を日本語に翻訳するシステムを整備するのは、海外展開を目指す日本企業が、中韓両国の特許内容を迅速に把握できるようにするためだ。知的財産を巡る国際的な企業のつばぜり合いは各国政府を巻き込んで激しさを増している。(五十棲忠史、中国総局栗原守)
■ブーム
中国では「特許・実用新案・意匠」の三つの知的財産を「専利」と呼ぶ。近年、専利の出願件数が爆発的に増えており、企業にとって一種のブームのような状態となっている。北京市内の弁理士は「中国政府の方針は『まずは量』。企業の知的財産への意識を高めようとしている」と説明する。
政府の後押しもあり、中国での特許出願数(外国企業による出願も含む)は、2009年の約31万件から11年には約53万件と2年間で約7割も増えた。09年までは、米国と日本に次ぐ3位だったが、11年には世界一となった。
関係者の間では「出願内容がはっきりせず、内容もずさんなものが多い」(日本の貿易関係者)という指摘がある一方、「最近は量だけでなく質もあなどれない」(日本の特許事務所)と警戒する声もある。
■空洞化
日本では、特許庁への出願件数は減少傾向が続いている。05年には約43万件の出願があったが、11年には約34万件にまで減った。日本企業がモノ作りの拠点を海外に移した結果、商品を作るために必要な技術について、特許権を日本で保有する必要が薄れていることが背景にある。
特許は申請から登録まで、1件あたり十数万円から数十万円の費用がかかる。コスト削減を図るため、重要な技術に絞って出願する企業も多い。栄光特許事務所(東京)の濱田百合子所長は、「日本企業が、米国や中国など外国だけで特許を取得し、日本での出願を見送るケースも出てきた」と話す。
しかし、中国企業の中には、海外から得た技術を「自主開発した」として特許を先行出願し、トラブルになる事例もある。11年には、日独などのメーカーからの技術供与をもとに開発した「中国版新幹線」について、海外で特許出願手続きを進めていたことが明らかになった。日本企業が、日本での特許出願数を減らせば、中国による出願攻勢により、企業活動が制限される可能性もある。
■まだ健在
とはいえ、日本企業の知的財産を重視する姿勢が後退したわけではない。民間調査会社の「パテント・リザルト」(本社・東京)が11年度に米国で取得された特許を質量の両面から評価したところ、10位以内にパナソニックやキヤノンなど日本企業5社が入った。
技術の輸出から輸入を差し引いた「技術貿易収支」(総務省発表)は、11年度に1兆9704億円と、最高を更新した。日本が持つ特許権や著作権に対し、外国人が支払ったライセンス料などの合計が輸出にあたり、数字の上では「技術大国」の座を維持している。
ただ、特許取得を政府が支援しているのは中国だけではない。経済産業省によると、英国は今春、企業が得た特許収入に対する課税を軽減する制度を始めるなどグローバルな大競争の様相を呈している。
知的財産に詳しい川田篤弁護士は、「日本企業は現時点では健闘しているが、競争に勝つためには、政府によるさらなる後押しが必要」と指摘している。
政府システム調達、失敗の本質 - 55億円無駄に、特許庁の失敗:ITpro
特許庁の失敗は、業務内容に無知な東芝ソリューションを安い(内容を知らないから安くなる)と言う理由で採用したことと、自社側の方針や担当者の揺れがあったことなどの理由がある様に考えられます。
今回のシステムは翻訳が目的で、特許庁の認可期間短縮のシステムとは異なるとは思われますし、業者は異なるのでしょうが、肝は検索の部分でしょう。
日本語のシステムでさえできなかったものを、外国語で出来るのかと、少しだけシステム開発の経験がある遊爺には危惧されるところです。
特許庁のシステム全体の開発が、ダッチロールがあって膨らんで55億円なのに、検索だけのシステムで、先ず20億円ということは更にプラスαがあるとは、よいお値段とおもわれ、羹に懲りて膾を吹く様な気がしますが、部外者の無知故でしょうか。
中韓の翻訳システムもいいのですが、お膝元の日本のシステム改変による認可期間短縮はどうなったのでしょう。
更に、日本企業が、外国で特許申請はするが、国内では申請しない。逆に、中国などが日本国内に申請して国内の企業活動が制限されかねないといったねじれ現象は、国が亡びないかと心配です。
政治が日本の復活に向け好発進している今、民間企業も目先の利益に惑わされず、中長期の展望の視野を持って、日本という足場は護ることを意識していただかねばなりませんね。
余談ですが、中国で政府が企業の知的財産への意識を高めるために特許申請を促進させ、申請件数が増えていることは、中国の現状の惨状を考えれば、好材料ですね。
「自分の物は自分のもの」として護る意識が強まって、「他人のものは他人のもの」との意識も強まればいいのですが、「他人のものも自分のもの」との文化が変わるのかは、簡単にはいかないと推察されますが、意識改革が進み、世界の一流国の仲間入りが実現されることを願います。
トリカブトと蜂 撮影場所;六甲高山植物園 (2012年10月撮影)
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