遊爺雑記帳

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北方領土 本来、千島列島返還も要求すべきところ

2014-01-23 23:55:55 | ロシア全般
 最近、立て続けにヤルタ会談での、ルーズベルト、チャーチル、スターリンの取引会談の話に接しました。ひとつは、月間ウイル 2月号(12月発売)の堤堯氏の寄稿。もう一つは、今日(1/23)の読売の記事。
 堤堯氏の記事は、3者の交渉の駆け引きを、マイケル・ドブス著の「ヤルタからヒロシマへ」(白水社)を参考にかかれたとのことですが、津守滋氏は、その駆け引きの中の北方領土に関する部分を取り上げられたものです。
 日ソの間では、千島列島をソ連に返すいわれが無く、北方領土の4島返還ですら、本来千島列島を要求すべきところを最低限に絞り込んで要求しているものだとの論です。
 

北方領土日露協議 4島返還最低限の要求 【1/23 読売 論点 津守滋氏】

 今月31日に日露外務次官級協議が開かれる。そこでロシア側が、先の安倍首相の靖国神社参拝を受けて国際社会から歴史認識などを巡る対日批判が出ていることに便乗し、北方領土に関する「歴史認識」で揺さぶってくるのではないかとの懸念が出ている。「北方領土問題で日本が被害者だとの歴史認識は通用しない」というのが、ロシア側の主張
のようだ。それが全く正当化できない独りよがりの歴史認識、主張であることを明らかにしたい。

 1945年のヤルタ会談でソ連の最高指導者
スターリンは、米大統領ルー-ズベルトの対日参戦の要請に対し、「日ソ中立条約」が有効で、「日本との関係で何も問題がない」状況でソ連国民を納得させるには代償が必要だとして、樺太及び千島の「返還」を持ち出した。樺太はともかく、千島は1875年の千島樺太交換条約でロシアとの交換契約で正当な対価(樺太の放棄)を払って取得したもので、「返還」の対象たり得ない。ポツダム宣言受諾で「履行されるべき」カイロ宣言のいかなる規定でも、千島をソ連に「返還」はもちろん、「引き渡す」義務も負っていない

 
ヤルタでルーズベルトがスターリンに対し、「引き渡し」に同意したのは歴史的誤りだった。それは米国自身も認めている。サンフランシスコ平和条約調印の際、米国務長官顧問のダレスはヤルタ協定を拒否する旨明言し、米上院も同協定を認めないことを条件に条約批准に同意した。1953年、アイゼンハワー大統領も、ヤルタ協定を含むあらゆる秘密協定を破棄する旨言明
している。
 そもそもソ連を含め第2次大戦の戦勝国が設定した
戦後国際秩序の大原則の一つは「領土不拡大」だ。米英の大西洋憲章およびソ連も参加した連合国共同宣言ならびにカイロ宣言で明言されている。この原則からしても、ソ連が千島を取得するいかなる正当な理由もなく、日本がソ連に引き渡す義務もない。サンフランシスコ平和条約で日本は納得がいかないまま、千島を「放棄」した。ちなみにソ連は同条約に署名しておらず、この条項はソ連との関係では効力がない。本来、千島返還も要求すべきところ、日本政府が昭和30年頃より4島のみに絞って返還を求めてきたのは、「最低限の要求」だった
のだ。
 韓国、中国との歴史認識問題では、両国国民の根強い対日ルサンチマン(国民的怨念)の存在に鑑みれば、日本政府にはまだなすべきことがある。他方、ロシアとは、?ソ連は日ソ中立条約を破った?ソ連は日本のポツダム宣言受諾で実質的に終戦になった45年8月15日後の8月18日から千島および4島を不法占領しており、「戦争の結果として」北方領土を獲得したとの主張は正しくない?ソ連も含めた連合国が設定した「領土不拡大」の大原則に北方領土の占領は違背するとの歴史的事実に照らし、日本から繰り返し説明を求める理由がある。
 日本政府の交渉当事者には、安倍首相の靖国参拝をロシア側に悪用させないような対応を求めたい。


 2月7日は、北方領土の日です。
 民主党の菅・仙谷政権の失政で、メドベージェフ大統領(当時)の北方領土への上陸を許し、過去の北方領土返還 & 平和条約締結へ向けた長い交渉の歴史を水泡と化してしまいました。
 プーチン大統領の復帰により、野田政権末期から安倍政権になっての交渉で、両国の対話が可能となりましたが、未だ隔たりが大きいことは、諸兄がご承知の通りです。

 日露両国が納得できるには双方の歩み寄りが必要と、2島先行論や面積2等分論といった現実策も必要との議論が、日本側で台頭しています。
 プーチン大統領は、2003年 1月に小泉首相との間で採択した
日ロ行動計画では、日ソ共同宣言、東京宣言、イルクーツク声明及びその他の諸合意が、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化することを目的とした交渉における基礎と認識し、交渉を加速することを確認していましたが、現状では、日ソ共同宣言の、2島返還のレベルがどうかという姿勢ですね。
 
日露首脳会談 北方領土新戦術の効果がだせるか - 遊爺雑記帳
 プーチン次期大統領が北方領土問題の最終解決を目指したいと - 遊爺雑記帳

 そこで最近取沙汰され始めているのが、千島列島全島返還要求論。
 その根拠となるのが、今回の記事の様な論拠。
 4島で交渉するから、2島になる。原点に戻って、千島列島で交渉すべきというものですね。すくなくとも、ロシア国内に、千島列島の領有の経緯をPRする必要があります。

 何度も繰り返していますので、ここでは詳しく触れませんが、ロシアの資源開発・販売の苦しい台所事情があり、日本は優位な状況にあります。
 4島返還を最低限の目標として、資源の開発援助、資源の購入、対中牽制連携、千島列島返還といったカードを駆使した外交努力を期待します。





  この花の名前は、コマグサ  撮影場所;六甲高山植物園(2013年 8月撮影)





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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交



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1 コメント

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Unknown (トミー)
2014-10-20 10:04:31
ロシアと仲の良い人たちは、4島返還も不当要求だから取り下げろと言っていますよ。たしかに択捉、国後はサンフランシスコ条約で放棄した範囲に入ると思われます。

ただ、ロシアは調印していないから、ロシアとの関係では拘束されるものではないと思いますが、調印国との間では交渉が必要になるかもしれません。

しかし、樺太千島交換条約自体、ロシアの武力に屈したという面があり、本来は、樺太の南半分、南千島、で線を引くのが妥当だと思います。

いずれにせよ、ロシアが応じるとは思えませんが、数百年のうちにはロシアが弱体化することもあるでしょうから、日本は焦らず、その時を待つことですね。
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