
日韓通貨スワップ協定再開について触れさせていただいていました。李明博の竹島上陸行為や天皇陛下にたいする暴言などの反日行動にたいし行われた、協定の延長打ち切りに、韓国は、「日本に頭を下げてまで外貨を借りるつもりはない」、日本に頼まなくても中国や欧米があると悪態をついて平然としたふりをしていました。(本気でそう思って成長する中国依存を高めたのでした)
その舌の根が乾かぬ今、突然、日本に通貨スワップを求めてきた韓国。また、安易に応じた麻生、岸田両氏は、どんな理由があって再開に応じたのか。食い逃げの再発防止策は出来ているのかが不明でした。
未だに謎なのですが、韓国が擦り寄った背景や歯止めについての解説記事がありました。
日韓通貨スワップ協定が再開 - 遊爺雑記帳
米国は「日韓スワップ」を許すか:日経ビジネスオンライン
「日本は無視して米国やEUとスワップを結べばいい」と言っていた韓国ですが、当然欧米諸国には対応を断られた。日米韓の連携を崩したい中国には迎え入れられて走りよったのでした。
しかもそこには、北東アジアのバランサーをめざして「均衡論」を唱えて失敗した盧武鉉大統領の前例は忘れて、日中米の間でのコウモリ外交で国益を得ようとの思い上がりもありました。
来年の中国との協定の更新期が迫る中、米国のTHAAD受入決定で中国の怒りを買うこととなり、協定延長の危機が生じたのでした。「中国を怒らせたのでスワップが消滅する」との恐怖から日本に擦り寄ってきたのだと。
そのくせ韓国は、8月27日に日韓スワップが合意された時、「詳細は年末までに決める」と悠長なことを言っているのだそうです。がそれは、ことここに至っても未だ、日中を天秤にかけて利を得ようとの魂胆を持っているのですね。中国に対し「スワップを延長してくれなければ、あるいは悪い条件を持ち出すなら、日本だけと結んでしまう」とけん制し、一方、日本に対しても「変な条件を付けるならスワップは要らない。中国に助けてもらうから」と言うつもりで、同時並行的に日本、中国とスワップ交渉を進め、両国を操る作戦なのだと、愛知淑徳大学の真田幸光教授は解説しておられます。しかし、韓国は属国だと認識する中国には、この韓国の姿勢にも逆鱗に触れるものなのだとも。宗主国だと自負している中国にすれば、属国から天秤にかけられるという面子丸つぶれは許し難いことなのですね。
コウモリ外交は、長続きはせずいずれ破綻するということです。
真田教授は、朴槿恵政権の外交音痴度も指摘されています。
韓進海運の破綻に対する朴槿恵政権の対応は、「国際金融市場への余波を全く考えていないものでした。ハシゴを外すような破綻処理は、とうてい理解できません。」と、政権の無責任さを指摘しておられるのです。
「韓国にも国際金融のプロが少数ですがいる。今こそこうした人材を重用し鳥瞰的、複眼的に戦略を立てるべき」だが、「彼らを大事にする雰囲気が、韓国政府中枢には薄い」と。。
スワップ協定再開では、契約期間を短くし、韓国に頻繁にロールオーバー(乗り換え)を強いる方法を提案(鈴置編集委員)しておられます。「卑日・反日をしたらスワップは延長しない」というこの手法は極めて効果的だと。
韓国ペースに籠絡されている外務大臣や外務省官僚を放任する安倍首相。積極的外交展開には賛辞をおくりますが、中韓にロシアを含めた近隣諸国外交は、むしろ歴史的失政との評価をせざるをえませんね。
日韓スワップ復活では、日本が得られるものはなにもない契約の様ですが、真田教授が提案しておられる様な、国益を損なうことがない様、歯止めをしっかり実施していただきたいものです。
# 冒頭の画像は、日韓財務対話を終えた、麻生太郎副総理兼財務相と韓国の柳一鎬経済副首相兼企画財政相

この花の名前は、ホタルカズラ
↓よろしかったら、お願いします。







その舌の根が乾かぬ今、突然、日本に通貨スワップを求めてきた韓国。また、安易に応じた麻生、岸田両氏は、どんな理由があって再開に応じたのか。食い逃げの再発防止策は出来ているのかが不明でした。
未だに謎なのですが、韓国が擦り寄った背景や歯止めについての解説記事がありました。
日韓通貨スワップ協定が再開 - 遊爺雑記帳
米国は「日韓スワップ」を許すか:日経ビジネスオンライン
またも、スワップで日中を天秤にかける韓国:日経ビジネスオンライン 日本経済新聞社編集委員 鈴置高史 2016年9月16日
通貨スワップで日本と中国を天秤にかける韓国。でも、今度はそんなに上手くいくのか――。愛知淑徳大学の真田幸光教授と検討した。
「反日条項」は効果的
真田:「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」という記事を読みました。そこで鈴置さんが、日韓スワップの契約期間を短くする――韓国に頻繁にロールオーバー(乗り換え)を強いるというアイデアを語りました。
「期間を3カ月とか半年に限っておき、天皇陛下を侮辱するなど卑日・反日をしたらスワップは延長しない」というこの手法は極めて効果的だと思います。スワップの契約に「反日したら中断する」との停止条項を謳っておくのも大いに意味があります。
韓国が日本に寄ってきたのも「中国を怒らせたのでスワップが消滅する」との恐怖からです。これを見ても「短期契約」「反日条項」の効果が十二分にあることが分かります。
<中略>
日中を競わせる
真田: 2015年3月の対談「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」でも、鈴置さんは「恋々とするな」社説に触れていましたね。
鈴置:「日本は無視して米国やEUとスワップを結べばいい」というのがこの社説の主張でした。
当時の対談で真田先生は「米欧からスワップを取り付けるのは、口で言うほど簡単ではない」と指摘されました。先生の予想通り、韓国は米国やEUから相手にされなかったわけです。
もう1つ質問です。今年8月27日に日韓スワップが合意された時、韓国政府は「詳細は年末までに決める」と言いました。悠長な話です。
やはり、中韓スワップをにらんでの発言と見ていいでしょうか。これは2017年10月10日に終了します。残りの期限が1年を切りかけたので、韓国は延長交渉に入りたいのでしょうが。
真田:そうだと思います。韓国はいざという時にスワップを中国が発動してくれないうえ、延長にも応じてくれないのではないか、と気を揉んでいます。
そこで、中国に対し「スワップを延長してくれなければ、あるいは悪い条件を持ち出すなら、日本だけと結んでしまう」と言える態勢を整えたのだと思います。
でも、日本とあまり早くスワップ再開を決めると「日本カード」の効果が薄れます。ものすごくいい条件で結んでもらえるならともかく。中国から「日本にスワップを結んでもらったのなら、ウチのスワップはもう、要らないだろう」と突き放されたら、まずいからです。
一方、日本に対しても「変な条件を付けるならスワップは要らない。中国に助けてもらうから」と言うつもりでしょう。韓国は同時並行的に日本、中国とスワップ交渉を進め、両国を操る作戦と思われます。
属国に舐められたら……
鈴置:韓国人は「スワップも二股が有効だ」と信じていますからね。2008年10月、韓国は米国から300億ドルのスワップを付けてもらいました。でもウォンの急落は止まらず、日本と中国に助けを求めました。
当時、東京特派員だった朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員が「中国支配論、日本支配論」(2008年12月7日、新聞は翌8日付、韓国語版)を書いています。主張は以下です。
中国が韓国を支配するのを日本人は恐れている。通貨危機にあたってもそれを利用し日中の間で賢く動けば、韓国はより多くの国益を引き出せる。
要は、日本に頭を下げなくとも「中国から人民元を借りるぞ」と脅せば、日本はスワップに応じると説いたのです。
2008年の通貨危機も2011年の危機も、日中を競わせ双方からスワップを得ることに成功した、と韓国人は自信を持っています。「2016年もまた同じ手口で」と考えているのは間違いありません。
真田:でも、中国を日本との天秤にかける韓国のこの態度こそが、中国の逆鱗に触れるのです。
鈴置:中国は韓国を明らかに朝貢国扱いするようになっています。属国から天秤にかけられたら、宗主国のメンツは丸つぶれです。この点が2011年までとは異なります。
「誠実な友」より「怖いボス」
真田:スワップに限らず、韓国は「コウモリ」外交をやり過ぎました。皆から嫌われる国になったのです。その結果「好きに1人で遊んでいろ」と無視されるようになってしまいました。
私は韓国の友人に言っています。「韓国の周りの国で、どこが一番誠実な対応をする国か考えるべきだ。それは日本ではないか」と。しかし、こうした声に耳を貸す人はまずいません。
韓国に国際金融の専門家は極めて少ない。もちろん、ごく少数の専門家は日本の重要性を理解しています。でも、彼らの意見は政権に入れられない。
鈴置:韓国人が求めているのは「誠実な友人」ではなく「力のあるボス」だと思います。怖い国だろうが自分を保護してくれればいい。核兵器も持たず経済の比較優位も衰える日本とは、いくら誠実だろうと組む気はしないのでしょうね。
韓国紙に「今回の日韓スワップにより中国を怒らせないか」との懸念を訴える記事が散見されます(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。
THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)でおかしくなった中国との関係を何とか修復し、中韓スワップを恒常的な装置にすることがベスト、と考えている韓国人が多い証拠です。彼らにとって日本とのスワップは、そこへ至るまでの「つなぎ」に過ぎません。
真田:その意味でも、スワップ交渉で日本の出す条件を韓国がのむかどうかが、リトマス試験紙になります。世界のどこに位置したいのか、韓国の本音が分かります。韓国も、日本がどんな条件を出してくるか、見守っていることでしょう。
<中略>
ロシアを北包囲網に取り込め
真田:その通りです。留意すべきは、ミサイルや潜水艦などで北朝鮮の軍事力強化を技術面で支えているロシアです。
地政学的リスクの顕在化を阻むうえからも「日米中露と韓国」が連携した「平和を求める北朝鮮包囲網の構築」が不可欠です。とりわけ「米中連携」は重要です。
その米中連携を基に「ロシアの北朝鮮に対する関与」をしっかりと牽制しないと「北朝鮮の軍事力を含めた潜在的なリスクの上昇」は食い止められません。
米中が本当の「大国の威信」を示し、覇権主義ではなく大局的な視点からの国際連携を進化させることができればいいのですが……。
鈴置:もう1つ、韓国を揺らすのが8月31日に韓国の海運最大手、韓進海運が破綻したことです。債権団の傘下で経営再建を模索していた会社が「法廷管理」を申請――つまり見捨てられた以上、再建が容易に進むとは考えにくい。
韓進海運の庸船は世界の所有者によって続々と差し押さえられています。外国の海運関連企業への借金も抱えていて、自社船だろうと世界の港に入るのが難しくなった。荷揚げもできません。
荷主から莫大な賠償金を請求される可能性がある。そのうえ、韓国の輸出入にボディーブローのように悪い影響が及ぶと見られています。
唖然とした「韓進」処理
真田:韓国政府による韓進海運の破綻処理は、国際金融市場への余波を全く考えていないものでした。ハシゴを外すような破綻処理は、とうてい理解できません。
いったい何を考えているのか、首をひねったのは私だけではないでしょう。政権と韓進グループの間で何かトラブルがあったのではないかとの穿った見方すらあります。
鈴置:この破綻が、通貨危機の伏線になりませんか。
真田:もちろん、これに端を発する韓国リスクの顕在化の可能性は否定できません。国際金融市場は政府、韓進グループ、金融界の出方をもう少し見極めてから、評価を固めるでしょう。
鈴置:ある韓国の識者から「だんだん1997年に似てきた」と不安を打ち明けられました。国際通貨基金(IMF)に救済されるに至った激しい通貨危機にまた、襲われるとの恐怖です。
真田:1997年当時と比べ、韓国の国家全体の「外貨繰り」は相対的にいい状況にあります。だから「今回は大丈夫」と安心する韓国人が多いのも事実です。
欠如する指導力
鈴置:確かに、そこが1997年や2008年とは異なります。韓国の通貨危機は経常収支や貿易収支が赤字か、黒字であってもそれが急速に減る時に起きました。でも2012年頃から、経常・貿易収支の黒字体質が定着しました。
ただ、韓国人が1997年を思い出すのも無理ありません。当時の通貨危機は「内憂外患」の結果でした。中堅財閥の相次ぐ破綻で金融システムが不安視されたところに、国際的な投機資本がウォン売りを仕掛けました。
今も、海運・造船などゾンビ企業の延命措置が限界に達した。韓進海運の破綻はその象徴です。「内憂」はそれだけではありません。家計の不良債権も膨れ上がっている。景気てこ入れのため、不動産活性化策ばかり行った結果です。
労働人口がピークアウトするなど、韓国経済はこれから少子高齢化の下り坂に差し掛かります。昔とは異なり、不動産価格をつり上げることで景気は良くならず、むしろ危機のタネをまく形になっています。
最も1997年に似ているのは政権の無責任さです。韓進海運を破綻させれば、あちこちで問題が噴出することは明らかでした。でも、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は指導力を全く発揮せず、破局に突っ込みました。
この政権はスタート当初から、青瓦台(大統領府)と官庁の間の意思疎通が極めて悪いと批判されてきました。2018年2月の任期終了が迫るほどに、それがますますひどくなった感じです。
国際金融に疎い朴政権
真田:1997年秋も同じでした。1998年2月に退任することが決まっていた金泳三(キム・ヨンサム)政権は、東南アジアで吹き荒れる通貨危機の暴風が韓国に迫るというのに、有効な通貨防衛策をとりませんでした。
鈴置:当時を知る人によると「国が危機にある」との情報を金泳三大統領に上げる人がいなかったのだそうです。二股外交や韓進海運など各方面の相次ぐ「破綻劇」を見るに、現在も「不快な情報」が大統領に上がっているとはとても思えません。
真田:まさにご指摘の通りです。国際金融市場でのドロドロとした駆け引きをきちんと理解したうえで、厳しいアドバイスができるプロが韓国政府に必要です。
先ほど申し上げたように、韓国にも国際金融のプロが少数ですがいる。今こそこうした人材を重用し鳥瞰的、複眼的に戦略を立てるべきと思います。
しかし、彼らを大事にする雰囲気が、韓国政府中枢には薄いように思われます。これから際どい局面に突入するというのに、そんな気配もないのです。
通貨スワップで日本と中国を天秤にかける韓国。でも、今度はそんなに上手くいくのか――。愛知淑徳大学の真田幸光教授と検討した。
「反日条項」は効果的
真田:「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」という記事を読みました。そこで鈴置さんが、日韓スワップの契約期間を短くする――韓国に頻繁にロールオーバー(乗り換え)を強いるというアイデアを語りました。
「期間を3カ月とか半年に限っておき、天皇陛下を侮辱するなど卑日・反日をしたらスワップは延長しない」というこの手法は極めて効果的だと思います。スワップの契約に「反日したら中断する」との停止条項を謳っておくのも大いに意味があります。
韓国が日本に寄ってきたのも「中国を怒らせたのでスワップが消滅する」との恐怖からです。これを見ても「短期契約」「反日条項」の効果が十二分にあることが分かります。
<中略>
日中を競わせる
真田: 2015年3月の対談「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」でも、鈴置さんは「恋々とするな」社説に触れていましたね。
鈴置:「日本は無視して米国やEUとスワップを結べばいい」というのがこの社説の主張でした。
当時の対談で真田先生は「米欧からスワップを取り付けるのは、口で言うほど簡単ではない」と指摘されました。先生の予想通り、韓国は米国やEUから相手にされなかったわけです。
もう1つ質問です。今年8月27日に日韓スワップが合意された時、韓国政府は「詳細は年末までに決める」と言いました。悠長な話です。
やはり、中韓スワップをにらんでの発言と見ていいでしょうか。これは2017年10月10日に終了します。残りの期限が1年を切りかけたので、韓国は延長交渉に入りたいのでしょうが。
真田:そうだと思います。韓国はいざという時にスワップを中国が発動してくれないうえ、延長にも応じてくれないのではないか、と気を揉んでいます。
そこで、中国に対し「スワップを延長してくれなければ、あるいは悪い条件を持ち出すなら、日本だけと結んでしまう」と言える態勢を整えたのだと思います。
でも、日本とあまり早くスワップ再開を決めると「日本カード」の効果が薄れます。ものすごくいい条件で結んでもらえるならともかく。中国から「日本にスワップを結んでもらったのなら、ウチのスワップはもう、要らないだろう」と突き放されたら、まずいからです。
一方、日本に対しても「変な条件を付けるならスワップは要らない。中国に助けてもらうから」と言うつもりでしょう。韓国は同時並行的に日本、中国とスワップ交渉を進め、両国を操る作戦と思われます。
属国に舐められたら……
鈴置:韓国人は「スワップも二股が有効だ」と信じていますからね。2008年10月、韓国は米国から300億ドルのスワップを付けてもらいました。でもウォンの急落は止まらず、日本と中国に助けを求めました。
当時、東京特派員だった朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員が「中国支配論、日本支配論」(2008年12月7日、新聞は翌8日付、韓国語版)を書いています。主張は以下です。
中国が韓国を支配するのを日本人は恐れている。通貨危機にあたってもそれを利用し日中の間で賢く動けば、韓国はより多くの国益を引き出せる。
要は、日本に頭を下げなくとも「中国から人民元を借りるぞ」と脅せば、日本はスワップに応じると説いたのです。
2008年の通貨危機も2011年の危機も、日中を競わせ双方からスワップを得ることに成功した、と韓国人は自信を持っています。「2016年もまた同じ手口で」と考えているのは間違いありません。
真田:でも、中国を日本との天秤にかける韓国のこの態度こそが、中国の逆鱗に触れるのです。
鈴置:中国は韓国を明らかに朝貢国扱いするようになっています。属国から天秤にかけられたら、宗主国のメンツは丸つぶれです。この点が2011年までとは異なります。
「誠実な友」より「怖いボス」
真田:スワップに限らず、韓国は「コウモリ」外交をやり過ぎました。皆から嫌われる国になったのです。その結果「好きに1人で遊んでいろ」と無視されるようになってしまいました。
私は韓国の友人に言っています。「韓国の周りの国で、どこが一番誠実な対応をする国か考えるべきだ。それは日本ではないか」と。しかし、こうした声に耳を貸す人はまずいません。
韓国に国際金融の専門家は極めて少ない。もちろん、ごく少数の専門家は日本の重要性を理解しています。でも、彼らの意見は政権に入れられない。
鈴置:韓国人が求めているのは「誠実な友人」ではなく「力のあるボス」だと思います。怖い国だろうが自分を保護してくれればいい。核兵器も持たず経済の比較優位も衰える日本とは、いくら誠実だろうと組む気はしないのでしょうね。
韓国紙に「今回の日韓スワップにより中国を怒らせないか」との懸念を訴える記事が散見されます(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。
THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)でおかしくなった中国との関係を何とか修復し、中韓スワップを恒常的な装置にすることがベスト、と考えている韓国人が多い証拠です。彼らにとって日本とのスワップは、そこへ至るまでの「つなぎ」に過ぎません。
真田:その意味でも、スワップ交渉で日本の出す条件を韓国がのむかどうかが、リトマス試験紙になります。世界のどこに位置したいのか、韓国の本音が分かります。韓国も、日本がどんな条件を出してくるか、見守っていることでしょう。
<中略>
ロシアを北包囲網に取り込め
真田:その通りです。留意すべきは、ミサイルや潜水艦などで北朝鮮の軍事力強化を技術面で支えているロシアです。
地政学的リスクの顕在化を阻むうえからも「日米中露と韓国」が連携した「平和を求める北朝鮮包囲網の構築」が不可欠です。とりわけ「米中連携」は重要です。
その米中連携を基に「ロシアの北朝鮮に対する関与」をしっかりと牽制しないと「北朝鮮の軍事力を含めた潜在的なリスクの上昇」は食い止められません。
米中が本当の「大国の威信」を示し、覇権主義ではなく大局的な視点からの国際連携を進化させることができればいいのですが……。
鈴置:もう1つ、韓国を揺らすのが8月31日に韓国の海運最大手、韓進海運が破綻したことです。債権団の傘下で経営再建を模索していた会社が「法廷管理」を申請――つまり見捨てられた以上、再建が容易に進むとは考えにくい。
韓進海運の庸船は世界の所有者によって続々と差し押さえられています。外国の海運関連企業への借金も抱えていて、自社船だろうと世界の港に入るのが難しくなった。荷揚げもできません。
荷主から莫大な賠償金を請求される可能性がある。そのうえ、韓国の輸出入にボディーブローのように悪い影響が及ぶと見られています。
唖然とした「韓進」処理
真田:韓国政府による韓進海運の破綻処理は、国際金融市場への余波を全く考えていないものでした。ハシゴを外すような破綻処理は、とうてい理解できません。
いったい何を考えているのか、首をひねったのは私だけではないでしょう。政権と韓進グループの間で何かトラブルがあったのではないかとの穿った見方すらあります。
鈴置:この破綻が、通貨危機の伏線になりませんか。
真田:もちろん、これに端を発する韓国リスクの顕在化の可能性は否定できません。国際金融市場は政府、韓進グループ、金融界の出方をもう少し見極めてから、評価を固めるでしょう。
鈴置:ある韓国の識者から「だんだん1997年に似てきた」と不安を打ち明けられました。国際通貨基金(IMF)に救済されるに至った激しい通貨危機にまた、襲われるとの恐怖です。
真田:1997年当時と比べ、韓国の国家全体の「外貨繰り」は相対的にいい状況にあります。だから「今回は大丈夫」と安心する韓国人が多いのも事実です。
欠如する指導力
鈴置:確かに、そこが1997年や2008年とは異なります。韓国の通貨危機は経常収支や貿易収支が赤字か、黒字であってもそれが急速に減る時に起きました。でも2012年頃から、経常・貿易収支の黒字体質が定着しました。
ただ、韓国人が1997年を思い出すのも無理ありません。当時の通貨危機は「内憂外患」の結果でした。中堅財閥の相次ぐ破綻で金融システムが不安視されたところに、国際的な投機資本がウォン売りを仕掛けました。
今も、海運・造船などゾンビ企業の延命措置が限界に達した。韓進海運の破綻はその象徴です。「内憂」はそれだけではありません。家計の不良債権も膨れ上がっている。景気てこ入れのため、不動産活性化策ばかり行った結果です。
労働人口がピークアウトするなど、韓国経済はこれから少子高齢化の下り坂に差し掛かります。昔とは異なり、不動産価格をつり上げることで景気は良くならず、むしろ危機のタネをまく形になっています。
最も1997年に似ているのは政権の無責任さです。韓進海運を破綻させれば、あちこちで問題が噴出することは明らかでした。でも、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は指導力を全く発揮せず、破局に突っ込みました。
この政権はスタート当初から、青瓦台(大統領府)と官庁の間の意思疎通が極めて悪いと批判されてきました。2018年2月の任期終了が迫るほどに、それがますますひどくなった感じです。
国際金融に疎い朴政権
真田:1997年秋も同じでした。1998年2月に退任することが決まっていた金泳三(キム・ヨンサム)政権は、東南アジアで吹き荒れる通貨危機の暴風が韓国に迫るというのに、有効な通貨防衛策をとりませんでした。
鈴置:当時を知る人によると「国が危機にある」との情報を金泳三大統領に上げる人がいなかったのだそうです。二股外交や韓進海運など各方面の相次ぐ「破綻劇」を見るに、現在も「不快な情報」が大統領に上がっているとはとても思えません。
真田:まさにご指摘の通りです。国際金融市場でのドロドロとした駆け引きをきちんと理解したうえで、厳しいアドバイスができるプロが韓国政府に必要です。
先ほど申し上げたように、韓国にも国際金融のプロが少数ですがいる。今こそこうした人材を重用し鳥瞰的、複眼的に戦略を立てるべきと思います。
しかし、彼らを大事にする雰囲気が、韓国政府中枢には薄いように思われます。これから際どい局面に突入するというのに、そんな気配もないのです。
「日本は無視して米国やEUとスワップを結べばいい」と言っていた韓国ですが、当然欧米諸国には対応を断られた。日米韓の連携を崩したい中国には迎え入れられて走りよったのでした。
しかもそこには、北東アジアのバランサーをめざして「均衡論」を唱えて失敗した盧武鉉大統領の前例は忘れて、日中米の間でのコウモリ外交で国益を得ようとの思い上がりもありました。
来年の中国との協定の更新期が迫る中、米国のTHAAD受入決定で中国の怒りを買うこととなり、協定延長の危機が生じたのでした。「中国を怒らせたのでスワップが消滅する」との恐怖から日本に擦り寄ってきたのだと。
そのくせ韓国は、8月27日に日韓スワップが合意された時、「詳細は年末までに決める」と悠長なことを言っているのだそうです。がそれは、ことここに至っても未だ、日中を天秤にかけて利を得ようとの魂胆を持っているのですね。中国に対し「スワップを延長してくれなければ、あるいは悪い条件を持ち出すなら、日本だけと結んでしまう」とけん制し、一方、日本に対しても「変な条件を付けるならスワップは要らない。中国に助けてもらうから」と言うつもりで、同時並行的に日本、中国とスワップ交渉を進め、両国を操る作戦なのだと、愛知淑徳大学の真田幸光教授は解説しておられます。しかし、韓国は属国だと認識する中国には、この韓国の姿勢にも逆鱗に触れるものなのだとも。宗主国だと自負している中国にすれば、属国から天秤にかけられるという面子丸つぶれは許し難いことなのですね。
コウモリ外交は、長続きはせずいずれ破綻するということです。
真田教授は、朴槿恵政権の外交音痴度も指摘されています。
韓進海運の破綻に対する朴槿恵政権の対応は、「国際金融市場への余波を全く考えていないものでした。ハシゴを外すような破綻処理は、とうてい理解できません。」と、政権の無責任さを指摘しておられるのです。
「韓国にも国際金融のプロが少数ですがいる。今こそこうした人材を重用し鳥瞰的、複眼的に戦略を立てるべき」だが、「彼らを大事にする雰囲気が、韓国政府中枢には薄い」と。。
スワップ協定再開では、契約期間を短くし、韓国に頻繁にロールオーバー(乗り換え)を強いる方法を提案(鈴置編集委員)しておられます。「卑日・反日をしたらスワップは延長しない」というこの手法は極めて効果的だと。
韓国ペースに籠絡されている外務大臣や外務省官僚を放任する安倍首相。積極的外交展開には賛辞をおくりますが、中韓にロシアを含めた近隣諸国外交は、むしろ歴史的失政との評価をせざるをえませんね。
日韓スワップ復活では、日本が得られるものはなにもない契約の様ですが、真田教授が提案しておられる様な、国益を損なうことがない様、歯止めをしっかり実施していただきたいものです。
# 冒頭の画像は、日韓財務対話を終えた、麻生太郎副総理兼財務相と韓国の柳一鎬経済副首相兼企画財政相

この花の名前は、ホタルカズラ
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