kisetsunokazeni

ときには空を見上げて深呼吸。無駄と思える時間も必要な時がある。

太陽の宝石

2017-05-02 13:09:19 | ひとこと
泣きながら


その子は駆けていく


水たまりに映ったお日さまを


届けたい人がいるのに


何度やっても


お水もお日さまも


掬った手のすき間をすり抜けてしまう


しろく


日のあまり差し込まない部屋にいる


大好きなおねえさんに


キラキラのお日さまを


届けたいのに・・・


気がつくともう


そこはおねえさんの部屋の前


そおっとドアを開けると


いつも通りの優しい笑顔


おねえさんに伝えなきゃ


きれいなお日さまをここに持ってきたかったって


そう思えば思うほど


涙がまたあふれる


おねえさんはとびきりの笑顔で


優しく抱きしめてくれる


そこは


お日さまのにおいがした


おねえさんはお水をコップに入れて


ないしょ、っていいながらそっと裏庭に出ると


合わせた小さな手のひらに


お水をすこしいれて


背にした太陽にお水をおもいっきりとばすと


キラキラキラ


太陽の宝石が降りそそぐ


それがあまりにも美しくて


くらくらしてしまう


コップのお水がなくなるまで


何度も何度も


お水を飛ばすと


おねえさんのところには


お日様よりきれいなのがあったんだ、と


ホッとした気持ちになった



帰っていくその後ろ姿を見ながら


おねえさんの頬を涙が伝う


忘れないで


今日の優しい想いと


太陽の宝石のこと


わすれないで


わたしの言葉


いずれ来るさようならの日を


乗り越えられるように


そして


もう会えなくなっても


いつまでも私が見守ってることを


いつまでも
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